日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
6 / 486
第一章:素敵な出会い、それは狂った妖刀でした

005:古廻流、ヤバイ骨董と出会う

しおりを挟む
「〆:まぁまぁ、そこはサービスと申しますか、記入するお手間を取らせては申し訳ありませんので先に記載しておきました」
「そう言う意味じゃなくてな、なぜ名前や夢が分かるのかって事だよ! はぁ~、まぁいい。どうせ妖怪屋敷の事だから怪しげな妖術の類か何かだと思っておくさ」

 するとメモ用紙の文字なのに、何故か〝ムッ〟とした怒った感情が伝わってくるような感じで書きなぐられた。

「〆:妖怪屋敷と一緒にしないでいただきたいですね! もう一度言いますが、ここは由緒正しき『異怪骨董やさん』なのですからね!」
「怪が入っていますが分かりましたよ~はいはい、分かりましたよ~っと」
「〆:……反省が全く感じられませんが良いでしょう。では最後の空欄へ『素晴らしい人生と義務の遂行を』と書いてください」

 何処かで聞いたことがあるような台詞に一瞬考えると、それを思い出す。

「なんだそりゃ? あれか、ノブリスオブリージュみたいだな」
「〆:そんな感じですかね、素晴らしい人生を選択出来れば自ずと義務が生まれます、それを遂行していただきたいと言う先人の願い……ですかね」
「ふむ、まぁいい。どうせ書かないとあちらの世界には行けないのだろう?」
「〆:その通りです。鍵……いえ、一般的な言い方ですと鉾鈴にそのような条件で異世界への滞在が解放されると聞いて居ます。行けても時間制限があるので戻る事になり、結果活動に制限が掛かってしまいますからね」
「よく分からんが、常識の範囲内で楽しんで来るよ」

 流は羽ペンを取ると、指定された文字を書き始める。普通ここは署名するんじゃない? と思いながら。
 すると一瞬用紙が青く光ると、そのまま元に戻り普通の紙となる。

「ほら、書いたぞ。後はどうすればいいんだ?」
「〆:ありがとうございます。ふぅ~これで一安心ですね。お帰りになられたらどうしようかと思っておりました」
「は? ●を押して契約したから帰れないのだろう? どんなに入口の戸を引いても一ミリも開かなかったぞ?」

 何か聞き捨てならない事を言っているメモ用紙に、流はジト目で反応する。
 それが気になったのか、〆はひな人形の折紙になり話し出す。

「〆:よく言うじゃないですか、押してダメなら引いてみろと。だから『普通には帰れません』と申したのです。ですので、あの引き戸を押してみれば開いたと思いますよ? 私の能力では入口の封印も解除も不可能ですが、固定観念さえ打ち払えば、古廻様なら押せば開いたと確信しています。因みにこの情報は古廻様が本契約をなされたのでお伝えが可能となりました、決して教えなかった訳ではありませんよ?」

 それに一瞬唖然としながらも、沸きあがる悔しさに〝ぐぬぅ〟とする流。

「ぐぬぬぬぬぬ……。でもあれだろう、例えば『押せ!』とか関係の無い所に書いておく事とか可能だろう?」
「〆:流石に頭が回りますね、はい。可能ですね」
「やっぱり! じゃあそれで、教えてくれれば良かったじゃないか?」
「〆:それはあれです。何故って『聞かれませんでした』からね♪」

 折紙くせに、両手を器用に上に向け肩をすくめる。
 そのあまりの言い様に唖然とした後、怒りが沸騰するお湯のように沸きあがる。

「こ…………この、性悪妖怪屋敷がああああああ!!!!!!」
「〆:ム、失礼な。まあ、とにかく固定観念は捨てるべきですね、これからの人生においてはそれがとても重要です」
「ぐぬぅぅぅ、なんと言う痛い代償だ」

 あまりの〆の言い様に、怒りを通り越して呆れる。
 だがよくよく考えて見ると、流にとってこの状況は悪い話ではなかった。

(とは言え、予定とは大幅に違うが骨董屋を開けるなんて夢のようだ……しかも元手は無し! もしかしてこれは最高か?)

 自分の元の生活がある意味元手なのだが、流にとってはソレはどうでもいい事であった。
 両親は起業家で海外で生活しているし、兄や姉は家を出ている。そして祖父は気ままな一人世界旅行の最中で、二年も会っていない。
 家に一人しか居ない流は、実にお気楽な次男坊なのであった。

「時に、お前の名前の『〆:』に何か意味が?」
「〆:はて? SNS等でも名前やアイコンの後に文字を打つでしょう? 常識を知らないのですか?」
「お前に常識を問われると軽く凹むんですがね? それと今までの口ぶりではお前、いや〆はここの主ではないんだろう? 主はいつ戻るんだ?」
「〆:そうですね……。そのうち……と、だけお伝えします」

 主にはそのうち必ず会えると言う予感がしたのと、これ以上今は聞いても答えないだろうと、なぜか心が騒めくのでこれ以上は聞かない事とする。

「……そうか。それと最後に一つ聞かせてくれ。なぜ俺が選ばれ――いや、呼ばれたんだ?」
「〆:本当によくお分かりになりますね……。現代では希薄な価値観ですが、古来より日本には物を大事にする文化が特に強くありました。そして大事にされた物には魂が宿るとされています。この店にある品の中にはそう言った特殊な品が存在します。人はそれを『付喪神』と言い、最近では九十九神とも言います。その中の一つである神事の道具であるのが古廻様が持つ物です」

 流はその手に持っている鉾鈴を〆に向けて問う。

「つまりこの鉾鈴に呼ばれたと?」
「〆:はい、その通りです。なぜかは私には分かりかねますが、結果的にここに居ると言う事が全てだと思います」

 しばらく無言で考え込みながら、右手に持った鉾鈴をじっと見つめる。
 何も反応は無いが、妙な存在感と、そこから溢れる力のような物が自分へと流れて来るのを感じた。

(鉾鈴は俺に何をさせたいんだ? いずれ分かるか……)

「そうか、分かった。じゃあそろそろ行ってみるか。あ! そうだ。また障子戸潜り抜ける時、視覚と聴覚がやられるのか? あれは本当に酷かったぞ? 目と耳が潰れたかと思う程酷かったからな。大佐の苦労が初めて分かったよ……」
「〆:あ~あれはサービスですよ、サービス」
「マテ、目が潰れそうになったんだが?」
「〆:人生油断してはいけないと言う教訓を学んでもらったんですよ? ほら、だから今、現在、ここで油断無く質問をしてるじゃないですか。人は成長する生き物なんですからね。ふふん」

 実に得意げに言い切る〆を破り捨て、その後焼却したい衝動を抑え流は核心をつく。

「で、本当の所は?」
「〆:過剰な演出で見てると面し……コホン。感動を味わっていただけたらぁ~って感じです?」
「キサマー! 今すぐ破り捨ててやるわ!!!!」
「〆:暴力反対! でも止めた方がいいですよ、一枚が二枚、二枚が四枚、四枚が八枚になるだけですからね」
「お前はガマの薬売りかよ……」

(〆:本当は最初の解放は資格者が通る時に受ける洗礼のような物で、『門』に資格無しと判断されると、裁断されて元の世界にばら撒かれるんですけどね)

「たく、お前と居ると驚すぎて老け込んだ挙句、老衰で死にそうなるよ。さて、これ以上精神的に爺さんになる前に旅立つとしますかね」

 長い溜息を吐いた後、椅子から立ち上がる流に〆は思い出したように話す。

「〆:あ、お待ちください! 門の解放記念として、そちらの刀『悲恋美琴』をお持ちください」

 背後の棚に〝コトリ〟と、何かが置かれた音がしたので振り返るとソレと逢った。



 ☆*:゚♪+。.☆.+**:゚+。☆彡
  【あなた様に大感謝♪】
 ☆*:゚+。.☆.+*♪*:゚+。★彡

 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!
 更新の励みになりますので、よろしければブックマークや感想を頂けたら、とっても嬉しいです♪
 あなた様の応援、こころよりお待ちしています。(*ᴗˬᴗ)⁾⁾ペコリ
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...