日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです

087:ゴミのお掃除と、エルシアの優しさ

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「楽しみは最後にとっておくタイプでね、それに俺の友人も困っているみたいだからな。どのみち俺も商人として他の町へも行く事もあるだろうし、そう言うゴミはさっさと掃除するに限るだろ? それで具体的にはどうすればいいんだ?」
「そう、だな……まずは目立つように普通の依頼でも受けてくれ。町から離れたフィールドかダンジョン系が良い。そこへお前が相手だから、かなりの戦力で殺しに来るはずだ」
「そして、それを殲滅してリーダー格を捕えろと?」
「話が早くて実にいい反応だ。そしてもう一つ。今の宿屋は引き払った方が良い。理由は分かるな?」
「ああ、そうしようと思ってたところだ。それに今は立派な屋敷があるしな?」

 そうメリサを見てウインクする。そんな流を頬を染めて見つめながら頷くと、隣のエルシアはムッとした様子でメリサを睨む。

「そうですね。あ、丁度良い。サブマスターなら、こちらの完了証にサインをいただけますか?」
「ッ!? ナガレ、お前……幽霊屋敷の事は聞いたが、まさか私の財布だけじゃなく、屋敷まで手に入れたのか。とんでもない悪党だな」
「マテ、俺はあんたの財布など知らん! 全く俺に賭けとけばこんな事にはならなかったのにな。マヌケめ」
「ぐぬぬぬぬぅ」

 リットンハイムは顔を真っ赤にしながら、とても丁寧にサインをするのだった。

「……これでいいな。それと内通者が何処に居るか不明な点で、悪いがお前一人での討伐となる。お前の実力は知っているので心配はしていないが、商業・冒険両ギルドからの頼みだ、本当にすまない」

 そこで何か違和感を感じた流は、一つ聞いてみる事とする。

「そこまで信頼出来る奴が居ないのか? 例えばジェニファーちゃんとか」
「いや、ジェニファーは『ギルドの要』だからな。ウチのギルマスからの依頼か、または緊急時か、それに相応するような事態が起こらないと、決められた事以外の依頼が出せないんだよ。冒険者ギルドとしてはそれなりに居る事はいるんだが、全員町を離れて居てな。それも殺盗団がらみの依頼だから、信頼出来る奴を優先に付けている感じだ」
「それで以前、殺盗団と戦った俺に話が回って来たと?」
「それもある。が、商業ギルドからの熱望に近い依頼でな。今回お前が狙われているとの情報をあちらも持っているから、それを利用しようとしたんだろう。そんな訳もあり、是非ともお前にして欲しいそうだ」

 その話を聞く流は難しい顔して、しばらく考え込む。
 あまりにも無謀かつ、常識で考えればありえない孤立無援の依頼に裏があるのかとも思える。

(商業ギルドが何故そこまで新参の俺を頼る? 商業ギルドの地位向上のためとか? そして冒険者ギルドもいくら何でもムチャ振りがすぎる。まぁ……いずれ分かるか)

「思う処も多々あるだろう……だがすまない。そこでギルドとしてではなく、これは私個人として、この件についてはお前に出来るだけ便宜を図りたい。冒険者の増援は出来ないが、その他の方法で手助けするつもりだ。詳細は一応ここでは伏せておく。それが動いてくれるとも限らんからな」
「了解した、期待しないで待ってみるさ。そうだ、一つ聞きたい。この件では無いが、俺の屋敷の地下に居た悪霊の親玉について何か知らないか?」

 その話を聞いたリットンハイムは、これまで聞いた情報を思い出す。

「そうだな、初めて報告にその悪霊が出たのは、前の持ち主が処刑された後だったな。それまでは幽霊騒ぎも無く、新しい買い手が決まるかどうかと言うところでの幽霊騒ぎが起きたと聞いている」
「そうか、情報に感謝する」
「では私は忙しい、察してくれ」
「ああ、状況が進展したら報告する。じゃあな」

 そう言って流が席を立った時だった。

「……まあ、少し待て。なんだ、もうちょっとそこに座れ」
「でもアンタ忙しいって言ってたろ」
「それはそれ、これはこれだ」

 流達を座らせるとリットンハイムは机の横にある棚からティーセットを出す。そして流れる仕草でお茶を入れると、三人にすすめる。

「この茶葉は私のお気に入りでな、実に良い味と香りがする。試してみてくれ」

 困惑しながらも三人はお茶を飲む、すると確かに絶品の味と香りだった。

「これは美味い、な……フラワリーで、口に含むと心地よい渋みと共に、香が鼻孔から抜ける満足感が実にいい」
「本当ですね、とても美味しいです……」
「サブマスにこんな趣味があるなんて意外でした!」

 それを聞いたリットンハイムは実に満足気に頷き、さらに焼き菓子も披露する。

「これはまぁ……うちの婆さん作なのだが、この紅茶によく合うんだ。これも試してくれ」

 恥ずかしそうに焼き菓子を出す姿に三人は思う『こいつ、ツンデレだ!!』と……。
 オッサンのツンデレにいかほどの需要があるか分からないが、コアコア層を狙い撃ちにしたリットンハイムは、憎めない男であったと流は思うのだった。

 そしてエルシア以外誰もが思っていたが、口に出さなかった禁忌をリットンハイムが口にする。

「ところでエルシア。お前は何故、『花束のように』串焼きを抱えているんだ?」
「えっと……大事な人からのプレゼント……ですから?」
「「「いや、早く食べよ」」」

 一斉に突っ込まれたエルシアは、涙目になりながら泣く泣く提案する。

「あの……一本だけですが食べます?」
「……もらおう」
「……俺も」
「……私も」

 身を切る思いでエルシアはそう言うと、みんなに串焼きを渡す。
 全員さっそく串焼きを頬張ると、幸せそうに味わっているのをエルシアは見る。
 やっぱり食事って、みんなと一緒に食べるのが美味しいなと思いながら、エルシアも美味しそうに食べるのだった。


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