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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです
103:先生の高尚な授業~風を学ぼう
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「う……そ、だろ……? 弓兵は!? 下に居た奴らまで埋まっちまったのか!!」
「らしいぞ? さて、どうするア~ニキ?」
背後から聞こえる間の抜けた問いにゾっとする。ゆっくりと振り向くとヤツが居た。
「あ、あ、あ、アンタは一体何者なんだ……」
「俺? ただの骨董好きの商人だが何か?」
「バ、馬鹿をいうんじゃねえええええ!! こんな事が出来る奴が商人の訳があるかあああ!!」
「む、失礼なアニキだ。さて問おう、二度目の地獄へのご招待だ。今度は逝ってくれるよな?」
アニキは数歩後ずさると、血の気が失せた表情で叫ぶ。
「せ、先生!! 先生!! お願いしやす!! 報酬は二倍、いや五倍出しますんでお願いしやす!!!!!!」
「馬鹿だねぇ……そこで先生を呼んだら奇襲が出来なくなるだろうに。まぁそれも通じるか怪しい相手だがね」
瞬間、流の第六感が〝ビリリ〟と嫌な感覚を与えて来る。
見た目は二十代半ば程の、糸目で優男風の美男子だった。
その出で立ちは黒の宗教的衣服のような物を着ており、両肩には宗教指導者が掛けているような、白銀の豪華なストラがなびいていた。
「先生? 語学の先生なら、すでに微妙な先生を雇っているから必要ないが?」
「ハハハ。中々楽しいね、キミ。確かに剣技は一流らしい……が、これはどうかな?」
先生と呼ばれた男は右手に「風の塊」を可視化する程の濃密さで現す。
「先生は王都で昔はそれなりに有名な魔法使いだったんだがね、まあ今となってはこっち側の方が性に合っていた訳だ。そんな訳で、死んでくれないかい?」
先生はそう言うと、右手の風の塊を圧縮し始める。
「まずはこれでもどうかね? ≪風球よ颯となりて敵を撃て、エアボール!≫」
風の塊が高速で流れに向かって来たのを、流は美琴で斬り割く。
「こんな物ッ! グガァッ!?」
斬り割いたはずの二つの風球一つが、流の左肩に当たってダメージを受けてしまう。
「ああ言い忘れていたが、それを剣で斬っても消えないぞ? そのために開発したモノだからね。おてがるなのに、剣士には嫌われるやっかいな魔法さ」
「そう言う事は早く言ってもらえませんかね、先生……結構痛いんですけど」
「結構ですんでるのが結構な事だね。普通は骨折しててもおかしくないんだが?」
(確かに美琴で斬らなければダメージがもっと大きかったか、ネットリと纏わりつく風なんて初めてだ)
「さ、流石先生!! テメーら今だ! 女を人質にして来い!!」
「ヘイ!」
先程の岩石弾により、リリアンの前に居た賊は丁度盾になる格好で頭と体に石礫が当り気絶していた。
そこへ生き残りの賊が殺到する。更に運が悪い事に、先程の岩石弾が右の岩を割り、そこからもう一人分のスペースが出来てしまう。
「リリアン!」
「大丈夫だ、こっちを気にせず魔法使いを倒してくれ!!」
「死ぬなよ!」
リリアンは「ああ」と小さく頷くと、向かって来る賊達に備える。
「馬鹿が。やっと一人を抑えてただけの小娘が、二人を相手に出来るかよ」
「やってみないと分からない!」
「分かるぜ? ほらよ!」
賊が正面から斬りかかるのをリリアンは盾て防ぐ、すぐに反撃をしようとすると、別の賊が棍棒で殴りかかって来る。
しかしやはり狭いらしく、棍棒を思いっきりは振れないのが幸いして躱す事に成功する。
「テメェ、邪魔だ。もう少しそっちへ寄れ」
「お前が邪魔なんだよ、そっちこそ向こうへ行け」
(これはチャンスなんじゃないか? よし!)
リリアンは覚悟を決めてショートソードを持った賊へと斬りかかる。
「いいからそっちへ行けって言っ!? あぎゃッ」
「馬鹿! 何してんだよ! その傷じゃもうだめだ、お前は下がってろ!」
リリアンがショートソードの男を袈裟懸けに斬ると、その奥から最後の賊が槍を持って襲い掛かる。
「おい、俺は槍で攻撃する。お前は前に出て小娘を捕えろ」
「チィ仕方ねぇ。オイ小娘! 大人しく捕まれば痛い事をしねーからこっちへ来い」
賊はジリジリと間を詰める、そこがチャンスと思ったリリアンは大胆に踏み込み、棍棒の男へ斬りかかる。しかし――。
「バーカ、俺の事を忘れるなよ?」
「ぐぅぅ盾がっ」
リリアンの盾に槍が突き刺さり、盾の左上の一部が壊れる。
それを見た槍の賊はニヤリと嫌らしい笑みを浮かべながら、リリアンを嬲る様に槍をこねくり回す。
「ほらほら、どうした娘? もう少しで最後の希望が壊れるぞ~?」
「ちげえねぇ! オラッ! 俺の棍棒もよ~く味わえ」
棍棒の賊も興奮したのか、汚いテントを張りながらリリアンを弄ぶように棍棒を振るう。
槍と棍棒の二重攻撃に窮するリリアン。
(こ、このままではやられる!?)
槍を捌き、棍棒を盾で受け凌ぐ。その時、賊が二人同時には攻撃出来ない事に気が付く。
(そうか! 槍で攻撃している時は刺さるから、棍棒の奴は攻撃出来ないんだ! ならッ)
リリアンは槍の攻撃を盾で〝ガッシリ〟と受ける。すると弱った盾を貫通し、槍はリリアンの左腕に傷を与えながら盾に食い込んでしまう。
「なッ!? 槍が抜けねぇ!」
「グゥ! こっちへ来い! ダアアアアアア!!」
リリアンは盾に食い込んでいる槍を、そのまま掴み強引に引き寄せる。
槍の男はバランスを崩し、手前の棍棒の男へと覆いかぶさる。
「馬鹿! 何をやってい――」
「馬鹿はお前達だ! ヤアアアア!!」
リリアンはバランスを崩し、倒れ込む二人を刺し貫く。
二人はなす術もなく、リリアンの剣に貫かれて絶命するのだった。
「ナガレ!! こっちは片付いた! 後は頼む!!」
リリアンはそう言うと、膝から崩れ落ちるように倒れた。
「らしいぞ? さて、どうするア~ニキ?」
背後から聞こえる間の抜けた問いにゾっとする。ゆっくりと振り向くとヤツが居た。
「あ、あ、あ、アンタは一体何者なんだ……」
「俺? ただの骨董好きの商人だが何か?」
「バ、馬鹿をいうんじゃねえええええ!! こんな事が出来る奴が商人の訳があるかあああ!!」
「む、失礼なアニキだ。さて問おう、二度目の地獄へのご招待だ。今度は逝ってくれるよな?」
アニキは数歩後ずさると、血の気が失せた表情で叫ぶ。
「せ、先生!! 先生!! お願いしやす!! 報酬は二倍、いや五倍出しますんでお願いしやす!!!!!!」
「馬鹿だねぇ……そこで先生を呼んだら奇襲が出来なくなるだろうに。まぁそれも通じるか怪しい相手だがね」
瞬間、流の第六感が〝ビリリ〟と嫌な感覚を与えて来る。
見た目は二十代半ば程の、糸目で優男風の美男子だった。
その出で立ちは黒の宗教的衣服のような物を着ており、両肩には宗教指導者が掛けているような、白銀の豪華なストラがなびいていた。
「先生? 語学の先生なら、すでに微妙な先生を雇っているから必要ないが?」
「ハハハ。中々楽しいね、キミ。確かに剣技は一流らしい……が、これはどうかな?」
先生と呼ばれた男は右手に「風の塊」を可視化する程の濃密さで現す。
「先生は王都で昔はそれなりに有名な魔法使いだったんだがね、まあ今となってはこっち側の方が性に合っていた訳だ。そんな訳で、死んでくれないかい?」
先生はそう言うと、右手の風の塊を圧縮し始める。
「まずはこれでもどうかね? ≪風球よ颯となりて敵を撃て、エアボール!≫」
風の塊が高速で流れに向かって来たのを、流は美琴で斬り割く。
「こんな物ッ! グガァッ!?」
斬り割いたはずの二つの風球一つが、流の左肩に当たってダメージを受けてしまう。
「ああ言い忘れていたが、それを剣で斬っても消えないぞ? そのために開発したモノだからね。おてがるなのに、剣士には嫌われるやっかいな魔法さ」
「そう言う事は早く言ってもらえませんかね、先生……結構痛いんですけど」
「結構ですんでるのが結構な事だね。普通は骨折しててもおかしくないんだが?」
(確かに美琴で斬らなければダメージがもっと大きかったか、ネットリと纏わりつく風なんて初めてだ)
「さ、流石先生!! テメーら今だ! 女を人質にして来い!!」
「ヘイ!」
先程の岩石弾により、リリアンの前に居た賊は丁度盾になる格好で頭と体に石礫が当り気絶していた。
そこへ生き残りの賊が殺到する。更に運が悪い事に、先程の岩石弾が右の岩を割り、そこからもう一人分のスペースが出来てしまう。
「リリアン!」
「大丈夫だ、こっちを気にせず魔法使いを倒してくれ!!」
「死ぬなよ!」
リリアンは「ああ」と小さく頷くと、向かって来る賊達に備える。
「馬鹿が。やっと一人を抑えてただけの小娘が、二人を相手に出来るかよ」
「やってみないと分からない!」
「分かるぜ? ほらよ!」
賊が正面から斬りかかるのをリリアンは盾て防ぐ、すぐに反撃をしようとすると、別の賊が棍棒で殴りかかって来る。
しかしやはり狭いらしく、棍棒を思いっきりは振れないのが幸いして躱す事に成功する。
「テメェ、邪魔だ。もう少しそっちへ寄れ」
「お前が邪魔なんだよ、そっちこそ向こうへ行け」
(これはチャンスなんじゃないか? よし!)
リリアンは覚悟を決めてショートソードを持った賊へと斬りかかる。
「いいからそっちへ行けって言っ!? あぎゃッ」
「馬鹿! 何してんだよ! その傷じゃもうだめだ、お前は下がってろ!」
リリアンがショートソードの男を袈裟懸けに斬ると、その奥から最後の賊が槍を持って襲い掛かる。
「おい、俺は槍で攻撃する。お前は前に出て小娘を捕えろ」
「チィ仕方ねぇ。オイ小娘! 大人しく捕まれば痛い事をしねーからこっちへ来い」
賊はジリジリと間を詰める、そこがチャンスと思ったリリアンは大胆に踏み込み、棍棒の男へ斬りかかる。しかし――。
「バーカ、俺の事を忘れるなよ?」
「ぐぅぅ盾がっ」
リリアンの盾に槍が突き刺さり、盾の左上の一部が壊れる。
それを見た槍の賊はニヤリと嫌らしい笑みを浮かべながら、リリアンを嬲る様に槍をこねくり回す。
「ほらほら、どうした娘? もう少しで最後の希望が壊れるぞ~?」
「ちげえねぇ! オラッ! 俺の棍棒もよ~く味わえ」
棍棒の賊も興奮したのか、汚いテントを張りながらリリアンを弄ぶように棍棒を振るう。
槍と棍棒の二重攻撃に窮するリリアン。
(こ、このままではやられる!?)
槍を捌き、棍棒を盾で受け凌ぐ。その時、賊が二人同時には攻撃出来ない事に気が付く。
(そうか! 槍で攻撃している時は刺さるから、棍棒の奴は攻撃出来ないんだ! ならッ)
リリアンは槍の攻撃を盾で〝ガッシリ〟と受ける。すると弱った盾を貫通し、槍はリリアンの左腕に傷を与えながら盾に食い込んでしまう。
「なッ!? 槍が抜けねぇ!」
「グゥ! こっちへ来い! ダアアアアアア!!」
リリアンは盾に食い込んでいる槍を、そのまま掴み強引に引き寄せる。
槍の男はバランスを崩し、手前の棍棒の男へと覆いかぶさる。
「馬鹿! 何をやってい――」
「馬鹿はお前達だ! ヤアアアア!!」
リリアンはバランスを崩し、倒れ込む二人を刺し貫く。
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