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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです
104:先生の高尚な授業~水を学ぼう
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「お前ら……クッ!! 先生、ホントに頼んますぜ!!」
アニキは渾身から搾り出るような焦りで、先生に希望を託す。
「やれやれ、困った男だね。キミもそう思わないか?」
「……ああ、それには同感だ」
流は先生の使い勝手のいい魔法の「破片」を数発貰って、ダメージを蓄積していた。
何度か隙を見て攻撃しようと、岩を蹴り先生へ肉薄する寸前に、エアボールの空気弾が流を襲う。それを迎撃するだけで手一杯の状況だった。
「キミは魔法師と戦った事が無いんだろう? なら先生が最初で良かったね」
「どうしてだ?」
「そりゃぁキミぃ~。優しく殺してあげれるからね?」
そう魔法先生がニコリと笑うと、両手に空気の塊が二つ出来る。
「さぁ今度は二つだ、躱せるかなぁ? 《風球よ颯となりて敵を撃て、エアボール!》」
「クッソ!」
流は先生の放った空気弾の一つを綺麗に斬り割き、残り一つを躱す、が。
「甘いねぇ~、それッ」
突如空気弾の起動が曲がり、流の左肩に直撃する。
たまらず流は右後方へ飛ばされる。
「グウウウウッ! 痛ってぇぇぇ!!」
「おいおい、『痛い』で済むのかい? どうなっているんだキミの体は? 先ほどよりも丈夫になっていないかい?」
「つぅ……そんな事も分からないのか? 先生のくせに」
「あっはっは、キミは本当に面白い男だ。どうだい、先生の弟子にならないかい? 君なら先生の役に立ちそうだ」
「後ろ向きに善処させてもらうよ」
無駄口を叩きながら、流は考える。
確かに同じ魔法を何度か食らったせいで耐性が付いたのか、ダメージは軽減されている気がした。
そして初の直撃すら、かなり痛いが耐えられるレベルだった。
「ふむ、少々興が乗った。それでは中級の魔法を使ってみようかね」
「……は?」
流は耳を疑った、先程までの攻撃は初級の魔法だったと言うのだから。
「んん? 何を驚く。あれは初級の魔法さ。ま、私のオリジナルスペルではあるけど、最近は使う奴らが多くてね。まったく、使用料を払って欲しいものだよ」
そう先生は憤慨しながら、中級の魔法を構築する。
「これはまぁ一般的な中級魔法さ。色々迷ったけどね、その『カタナ』の持ち主ならチョット期待しちゃうじゃないか?」
「何故これが刀だと?」
更に構築しながら先生は話す。
「だってキミぃ。それ、御伽の国の遺物だろう? ワクワクするじゃないか!!」
「……なら、持ってみるか?」
「え!? いいのかい!? ……いや、やめとくよ。何か怖いよ、それ」
「先生!! 大正解ですぜ! そいつの剣を触ると死にますぜ!」
「えーやっぱりそうなのかい? 何か嫌な気配がしたんだよね、コワイコワイ。あ! キミは先生を騙そうとしたね? 悪い子だなぁ、メッ!」
先生は人差し指を立てながら思った、お仕置が必要だ! と。
流は思った、こいつは敵としても普通のやつじゃない! と。
美琴は思った、私を知らない人に渡すなんて酷よもう! と。
「さて、覚悟は出来たかな? キミのカタナに相応しい魔法を考えて見たんだけどね、やっぱり水属性が相応しいと思わないかい? そのブレードが何とも美しい……それが水に当てられたら、どんなに輝くかと思うと……〘水雷の牙!!〗」
「いきなりかよ!!」
先生は突如《水雷の牙》を放つ。
流との距離は六メートル程だったが、先生を中心に水の柱が立ち昇ると、一気に爆散し、雷のようにうねりながら斜め上方より襲い掛かる。その数は八つ!
「クソ!」
(やった事はねーが、ジジイの業にあったアレをやるっきゃねー!!)
流は迫る水雷の牙を観察眼でギリギリまで見極めながら、上方より迫る殺意を斬り割く。
「ココっきゃねー! ジジイ流壱式! 四連斬!!」
四連斬は体にかかる負担が多く、以前の流には難しかった業だった。
だが異世界で図らずしも鍛えられ、十分に放つ事が可能になった。が――
「ぐぅッ!? 付け焼刃では撃ち損じたかッ!!」
連撃の腕輪で八連斬にまで昇華した斬撃は、六連までは決まったが、七と八。特に八つめが壊滅的に失敗した。
結果、流の右脇腹の外側を水雷の牙が削り取る。
「んんん!? 凄いよキミぃ~ 魔法使いとの初めての実戦。しかも初見の中級魔法を剣の業のみでよくぞ防ぎました。先生、感服しちゃいましたよ! 及第点をあげます」
「及第点なのかよ、そこは合格にして欲しいね……」
「ははは、それはもう少し先生に『魅せて』くれたらね?」
そう言うと先生は実に楽しそうな笑顔になるのだった。
「あんたも領域者の類かよ……この世界は変態が多くていけねぇな」
「ははは、そんなに褒めても魔法しか出ないよ?」
「褒めてねぇけど、魔法はもっといらねぇ」
(観察眼での弱点……心臓・首・脳天か、まあ普通の人間だな。それより因幡の涙を飲むべきか? いや、あれは最終手段だ。ジジイの痛みに耐える修行はしたからまだいける、って俺はドMか!? それに酷い怪我人が出るかもだしな)
流は先生と会話を楽しみながらも、思考の奥では作戦を練る。
そして油断なく、先生の挙動を一瞬たりとも見逃さないように、観察眼をフル稼働させた。
アニキは渾身から搾り出るような焦りで、先生に希望を託す。
「やれやれ、困った男だね。キミもそう思わないか?」
「……ああ、それには同感だ」
流は先生の使い勝手のいい魔法の「破片」を数発貰って、ダメージを蓄積していた。
何度か隙を見て攻撃しようと、岩を蹴り先生へ肉薄する寸前に、エアボールの空気弾が流を襲う。それを迎撃するだけで手一杯の状況だった。
「キミは魔法師と戦った事が無いんだろう? なら先生が最初で良かったね」
「どうしてだ?」
「そりゃぁキミぃ~。優しく殺してあげれるからね?」
そう魔法先生がニコリと笑うと、両手に空気の塊が二つ出来る。
「さぁ今度は二つだ、躱せるかなぁ? 《風球よ颯となりて敵を撃て、エアボール!》」
「クッソ!」
流は先生の放った空気弾の一つを綺麗に斬り割き、残り一つを躱す、が。
「甘いねぇ~、それッ」
突如空気弾の起動が曲がり、流の左肩に直撃する。
たまらず流は右後方へ飛ばされる。
「グウウウウッ! 痛ってぇぇぇ!!」
「おいおい、『痛い』で済むのかい? どうなっているんだキミの体は? 先ほどよりも丈夫になっていないかい?」
「つぅ……そんな事も分からないのか? 先生のくせに」
「あっはっは、キミは本当に面白い男だ。どうだい、先生の弟子にならないかい? 君なら先生の役に立ちそうだ」
「後ろ向きに善処させてもらうよ」
無駄口を叩きながら、流は考える。
確かに同じ魔法を何度か食らったせいで耐性が付いたのか、ダメージは軽減されている気がした。
そして初の直撃すら、かなり痛いが耐えられるレベルだった。
「ふむ、少々興が乗った。それでは中級の魔法を使ってみようかね」
「……は?」
流は耳を疑った、先程までの攻撃は初級の魔法だったと言うのだから。
「んん? 何を驚く。あれは初級の魔法さ。ま、私のオリジナルスペルではあるけど、最近は使う奴らが多くてね。まったく、使用料を払って欲しいものだよ」
そう先生は憤慨しながら、中級の魔法を構築する。
「これはまぁ一般的な中級魔法さ。色々迷ったけどね、その『カタナ』の持ち主ならチョット期待しちゃうじゃないか?」
「何故これが刀だと?」
更に構築しながら先生は話す。
「だってキミぃ。それ、御伽の国の遺物だろう? ワクワクするじゃないか!!」
「……なら、持ってみるか?」
「え!? いいのかい!? ……いや、やめとくよ。何か怖いよ、それ」
「先生!! 大正解ですぜ! そいつの剣を触ると死にますぜ!」
「えーやっぱりそうなのかい? 何か嫌な気配がしたんだよね、コワイコワイ。あ! キミは先生を騙そうとしたね? 悪い子だなぁ、メッ!」
先生は人差し指を立てながら思った、お仕置が必要だ! と。
流は思った、こいつは敵としても普通のやつじゃない! と。
美琴は思った、私を知らない人に渡すなんて酷よもう! と。
「さて、覚悟は出来たかな? キミのカタナに相応しい魔法を考えて見たんだけどね、やっぱり水属性が相応しいと思わないかい? そのブレードが何とも美しい……それが水に当てられたら、どんなに輝くかと思うと……〘水雷の牙!!〗」
「いきなりかよ!!」
先生は突如《水雷の牙》を放つ。
流との距離は六メートル程だったが、先生を中心に水の柱が立ち昇ると、一気に爆散し、雷のようにうねりながら斜め上方より襲い掛かる。その数は八つ!
「クソ!」
(やった事はねーが、ジジイの業にあったアレをやるっきゃねー!!)
流は迫る水雷の牙を観察眼でギリギリまで見極めながら、上方より迫る殺意を斬り割く。
「ココっきゃねー! ジジイ流壱式! 四連斬!!」
四連斬は体にかかる負担が多く、以前の流には難しかった業だった。
だが異世界で図らずしも鍛えられ、十分に放つ事が可能になった。が――
「ぐぅッ!? 付け焼刃では撃ち損じたかッ!!」
連撃の腕輪で八連斬にまで昇華した斬撃は、六連までは決まったが、七と八。特に八つめが壊滅的に失敗した。
結果、流の右脇腹の外側を水雷の牙が削り取る。
「んんん!? 凄いよキミぃ~ 魔法使いとの初めての実戦。しかも初見の中級魔法を剣の業のみでよくぞ防ぎました。先生、感服しちゃいましたよ! 及第点をあげます」
「及第点なのかよ、そこは合格にして欲しいね……」
「ははは、それはもう少し先生に『魅せて』くれたらね?」
そう言うと先生は実に楽しそうな笑顔になるのだった。
「あんたも領域者の類かよ……この世界は変態が多くていけねぇな」
「ははは、そんなに褒めても魔法しか出ないよ?」
「褒めてねぇけど、魔法はもっといらねぇ」
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