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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです
105:先生の高尚な授業~死を学ぼう
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「先生はやっぱりキミが欲しいですね~。どうです、先生に師事しませんか? きっと素晴らしい地獄が待っていますよ?」
(今は詠唱をしている雰囲気では無い、今がチャンスか? いやダメだ。あの野郎、風球を左手に出してやがる)
「勧誘するなら、そこは天国って言うべきですよ、先生?」
(連撃のクールタイムは残り六分、時間を稼げるか……いや、無理そうか。なら古典的なアレをやるっきゃねぇ)
「先生とした事が! それは失礼をしました。で、どうですか? 一緒に来ませんか?」
「行ってもいいですがねぇ。先生、その前に一つ付き合ってくれよ」
流の提案に先生はとても嬉しそうに頷く。
「ほっほ~! それは何です? 先生はキミの提案を心より歓迎しましょう」
「ありがとうよ先生。後三十分待ってくれと言ったら待ってくれるか?」
「それは無理ってものですよ、興醒めです」
「分かった、ならニ十分はどうだ?」
「キミねぇ~、先程と何ら変わらないじゃないですか? それにほら、観客もアニキだけになってしまいましたよ? お連れの二人は今逃げ出したようですし」
気配察知で探ると、確かにカワード達の気配が無い。
「流石先生だな、この状況で良く分かる」
「ふふふ、当然ですよ。先生ですからね!」
さらに流は話をのらりくらりと引き延ばしながら、時間を半分まで減らす。
「なら先生……残り三分だ。それなら待ってくれてもいいだろう? 最初の十分の一だ。まさかこれすら蹴るなんて言わないだろう、先生?」
「……まぁ、その程度ならいいでしょう」
(かかった!! 先生は詐欺に弱いのかもしれねぇ)
流は古典的な思考誘導を試みた。
それは詐欺師や強面のお兄さんが良く使う手口で、初めに無理難題を提案し、最後は妥協しやすい所まで持って行く手法だったが、実際は無理な提案なのに「最初よりはマシ」と思い込み、気が付かないで契約すると言う手口だった。
「では先生もそれなりに本気を出しましょうか。次は詠唱破棄をしないで行きますよ?」
「先生……アンタまさか、さっきのは手加減をしてたのか?」
「え? それ以外何が?」
「そうか、なら俺も全力で行かせてもらおうかね」
「素晴らしい! 先生は感動しました! さて……そろそろでしょうかね?」
「そう、だな……」
流は腕時計をチラ見する。
残り十秒。
「では行きますよ~≪精霊よ、水の彼方より我が呼びかけに答えよ。汝の怒りは自在な雷と化し敵を穿て……精霊魔法・水雷の牙!!》」
流は詠唱と同時に先生へと突っ込む! 先生は詠唱破棄で放ったエアボールを全面に押し出し、流に備える。
「それは予想済みだ!! これでも食らいやがれ! 飛竜牙!!」
流はエアボールに飛竜牙を叩き込み爆散させる。
瞬間、先生の足元から水の柱が噴き出る。
ついに本気の《水雷の牙》を先生が放つ刹那、流は水の壁に向けて渾身の一撃を放つ!
「ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
流の間欠穿で、水雷の牙になる前の水の柱に一瞬穴が空く、そこへ――。
「ジジイ流初伝! ただの突き二連撃イイイイイイ!!」
間欠穿で穿った穴へ、さらに一歩踏み出し美琴を真っ直ぐ突き刺す事二連!
――間欠穿で開いた穴はすぐに閉じると予想した流は、「ノーモーション」から放てる業が無かった。
そこで初伝の基本型の突きを放ち、それで貫通出来ないようだったら、「もう一連」連撃の腕輪で押し込む事にする――
何の障壁も無い状態の先生の鳩尾へと、美琴の切先まで刺さり、さらにトドメとばかりに、物打ちあたりまで突き刺さると同時に水の壁が四散する。
「ガッフッゥ!!」
「セ、先生エエエエエッ!!」
先生はたまらず吐血し、そのまま仰向けに倒れると同時に水雷の牙は霧散する。
そんな先生を見て、アニキがこの世の終わりのような声で、先生に向けて絶叫する。
「ぶッはぁ! はぁはぁ……どうだ、先生、合格か?」
「ゴフォ……あ~見事ですよキミぃ……まさか、あの……水の壁を越えて来るなんて……想像……しませんよ。ゴフッ……普通、なら剣が折れ、ますよ……合格、です……それでキミ、は一体何者……なんです?」
「俺か? ただの骨董をこよなく愛する商人だが?」
「ハハ……ハ。そんな商人が居て……たまるもの……ですか……ゴホッ! ハァハァ……命の、最後に素晴らしい、戦いを、ありがとう」
先生は吐血しながらも流を称える。
「先生、あんたも凄かったぜ……もう二度と殺りあいたく無いくらいにな」
「はは……は、それは良かったです……最後にそのカタナを……もう一度見せてくれませんか?」
流は先生に美琴を掲げて見せる。
「ああ~美しい……いい物は……イイです、ね……」
そう言うと先生は満足し、満ち足りた表情で事切れたのだった。
「こんな所で会わなければ、いい趣味持ちとして仲よくなれたかもな……さて、アニキ。お前には二つの選択肢がある。今すぐ地獄へ旅立つか、仲間の情報を教えて生き残るか? さあ選べ、時は有限だ。今は砂金より一秒が優先なんでな」
アニキは顔面蒼白になりながらも即答する。
「わわわ、分かった! 知りたい事は何でも教えてやるから、命だけは助けてくれ!!」
「結構! では、コチラへと追いで頂こうか?」
流は片手をスっと差し出すと、賊が持っていたロープでアニキの上半身を縛って、元来た道に向けて歩き出すのだった。
(今は詠唱をしている雰囲気では無い、今がチャンスか? いやダメだ。あの野郎、風球を左手に出してやがる)
「勧誘するなら、そこは天国って言うべきですよ、先生?」
(連撃のクールタイムは残り六分、時間を稼げるか……いや、無理そうか。なら古典的なアレをやるっきゃねぇ)
「先生とした事が! それは失礼をしました。で、どうですか? 一緒に来ませんか?」
「行ってもいいですがねぇ。先生、その前に一つ付き合ってくれよ」
流の提案に先生はとても嬉しそうに頷く。
「ほっほ~! それは何です? 先生はキミの提案を心より歓迎しましょう」
「ありがとうよ先生。後三十分待ってくれと言ったら待ってくれるか?」
「それは無理ってものですよ、興醒めです」
「分かった、ならニ十分はどうだ?」
「キミねぇ~、先程と何ら変わらないじゃないですか? それにほら、観客もアニキだけになってしまいましたよ? お連れの二人は今逃げ出したようですし」
気配察知で探ると、確かにカワード達の気配が無い。
「流石先生だな、この状況で良く分かる」
「ふふふ、当然ですよ。先生ですからね!」
さらに流は話をのらりくらりと引き延ばしながら、時間を半分まで減らす。
「なら先生……残り三分だ。それなら待ってくれてもいいだろう? 最初の十分の一だ。まさかこれすら蹴るなんて言わないだろう、先生?」
「……まぁ、その程度ならいいでしょう」
(かかった!! 先生は詐欺に弱いのかもしれねぇ)
流は古典的な思考誘導を試みた。
それは詐欺師や強面のお兄さんが良く使う手口で、初めに無理難題を提案し、最後は妥協しやすい所まで持って行く手法だったが、実際は無理な提案なのに「最初よりはマシ」と思い込み、気が付かないで契約すると言う手口だった。
「では先生もそれなりに本気を出しましょうか。次は詠唱破棄をしないで行きますよ?」
「先生……アンタまさか、さっきのは手加減をしてたのか?」
「え? それ以外何が?」
「そうか、なら俺も全力で行かせてもらおうかね」
「素晴らしい! 先生は感動しました! さて……そろそろでしょうかね?」
「そう、だな……」
流は腕時計をチラ見する。
残り十秒。
「では行きますよ~≪精霊よ、水の彼方より我が呼びかけに答えよ。汝の怒りは自在な雷と化し敵を穿て……精霊魔法・水雷の牙!!》」
流は詠唱と同時に先生へと突っ込む! 先生は詠唱破棄で放ったエアボールを全面に押し出し、流に備える。
「それは予想済みだ!! これでも食らいやがれ! 飛竜牙!!」
流はエアボールに飛竜牙を叩き込み爆散させる。
瞬間、先生の足元から水の柱が噴き出る。
ついに本気の《水雷の牙》を先生が放つ刹那、流は水の壁に向けて渾身の一撃を放つ!
「ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
流の間欠穿で、水雷の牙になる前の水の柱に一瞬穴が空く、そこへ――。
「ジジイ流初伝! ただの突き二連撃イイイイイイ!!」
間欠穿で穿った穴へ、さらに一歩踏み出し美琴を真っ直ぐ突き刺す事二連!
――間欠穿で開いた穴はすぐに閉じると予想した流は、「ノーモーション」から放てる業が無かった。
そこで初伝の基本型の突きを放ち、それで貫通出来ないようだったら、「もう一連」連撃の腕輪で押し込む事にする――
何の障壁も無い状態の先生の鳩尾へと、美琴の切先まで刺さり、さらにトドメとばかりに、物打ちあたりまで突き刺さると同時に水の壁が四散する。
「ガッフッゥ!!」
「セ、先生エエエエエッ!!」
先生はたまらず吐血し、そのまま仰向けに倒れると同時に水雷の牙は霧散する。
そんな先生を見て、アニキがこの世の終わりのような声で、先生に向けて絶叫する。
「ぶッはぁ! はぁはぁ……どうだ、先生、合格か?」
「ゴフォ……あ~見事ですよキミぃ……まさか、あの……水の壁を越えて来るなんて……想像……しませんよ。ゴフッ……普通、なら剣が折れ、ますよ……合格、です……それでキミ、は一体何者……なんです?」
「俺か? ただの骨董をこよなく愛する商人だが?」
「ハハ……ハ。そんな商人が居て……たまるもの……ですか……ゴホッ! ハァハァ……命の、最後に素晴らしい、戦いを、ありがとう」
先生は吐血しながらも流を称える。
「先生、あんたも凄かったぜ……もう二度と殺りあいたく無いくらいにな」
「はは……は、それは良かったです……最後にそのカタナを……もう一度見せてくれませんか?」
流は先生に美琴を掲げて見せる。
「ああ~美しい……いい物は……イイです、ね……」
そう言うと先生は満足し、満ち足りた表情で事切れたのだった。
「こんな所で会わなければ、いい趣味持ちとして仲よくなれたかもな……さて、アニキ。お前には二つの選択肢がある。今すぐ地獄へ旅立つか、仲間の情報を教えて生き残るか? さあ選べ、時は有限だ。今は砂金より一秒が優先なんでな」
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