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第四章:凶賊と、人類最高の【ざまぁ】はこちらです
106:カワードさんは愉悦に浸る
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カワードはレイナを連れて、元来た道を急いで戻る。
しかし、レイナが抵抗するために思う様に進めないでいた。
「オイ! いい加減にしろ! お前が来ないと俺が殺される!!」
「うるさい馬鹿! お前みたいな卑怯者が何を言っているのよ!」
「こんの馬鹿アマ!」
カワードは言う事を聞かないレイナの顔を平手で殴り、そのまま休まず歩かせる。
「キャアア」
「いいかレイナ? 俺は寛大な男だ。だが我慢の限界ってのがある。もし次に邪魔したら迷わず殺す、いいな?」
そう言うとカワードは、レイナの腰に当てていた短剣を首筋にを向けた。
「くぅ……この卑怯者の屑野郎!」
「ウルサイ、さっさと歩け! もう少しすれば殺盗団の増援も来るはずだ。それまで凌げば俺の勝ちだ! そしたらレイナ、お前を俺のモノにしてやるからな? クククッ、楽しみだな」
カワードはもうすぐ訪れるであろう、淫靡な未来を予測して目を濁らせる。
その様子に反吐が出かけるレイナであったが、それより驚くべき情報に目を見開く。
「殺盗団!? 大体何時からあんな連中と関わりがあったのよ!」
「ああん? トエトリーに来てからだよ。酒場で荒れてたら声をかけられてな。リリアンとナガレと引き換えに、金とお前を貰う事になってる」
「何て馬鹿な事を……」
(お姉ちゃん、ナガレさん。どうか無事でいて……)
その時だった、遠くから砂塵と馬の蹄の音が聞こえて来る。その蹄の音は徐々に大きくなり、その規模がそれなりに多いと言う事がレイナにも分かった。
「ハッハッハ! レイナ、来たぞ! ついに来た!! もしものための増援を送ると、殺盗団の奴ら言ってたしな。タイミングも完璧だな!」
「そんな…………」
土煙のする方角を見て喜ぶカワードを見て、レイナはガックリと肩を落とす。
砂煙が舞う方へと無邪気に手を振るカワード。そんな最高の気分をぶち壊す不埒者がカワードへと語り掛ける。
「何がそんなに嬉しいんだ、カワード? 俺達なら無事だぞ。あ、そうかそれを喜んでくれているんだな? 流石カワードさんはお優しい」
「っう!? ナ、ナガレ!? 生きていやがったのか!!」
「ナガレさん!! お姉ちゃん!! 無事で良かった!!」
「ハイハイ、あなたの流さんですよ~」
「レイナ!! 無事で良かった……」
カワードは青い顔をしてレイナを後ろから羽交い絞めにする。
「動くんじゃねぇ!! レイナがどうなっても知らねえからな!!」
「カワード! いつもヒドイ奴だと思っていたけど、オマエと言う奴は! 今なら分かる、どうせお前がカレリナをハメタんだろう!!」
「馬鹿な事言うなリリアン、俺は何もしてない。あの女が迂闊にもお前のせいで森に行ったから肉奴隷になっただけの事だ」
「カワード!!」
「おっと、可愛い妹が首だけになっても知らねーぞ?」
片手で羽交い絞めにされ、首には短剣を突きつけられたレイナが苦しそうに言う。
しかしその言葉は自らの命をも顧みない強い意思の表れだった。
「お、お姉ちゃん! ナガレさん! 私の事は良いから、この卑怯者をやっつけてください!!」
「黙ってろボケが!」
カワードはレイナの頭を短剣の金属で出来た柄で殴る。
その衝撃にレイナの額が軽く裂け、そこから一筋の赤い血が流れ落ちた。
「アゥッ」
「レイナー!」
「煩い、叫ぶなボケが。ほら、もうすぐ殺盗団の増援が来るぞ? 逃げた方がいいんじゃないか~?」
カワードはゴミを見るような目で流とリリアンを見下す。
「ほ~ら、もうすぐ絶望がやって来るぞ? い・い・の・か・なぁ? このままならお前達は……おお!? 想像したでけで恐ろしいいい!! ナガレェェェ! お前、金持ってるんだろう? 今なら俺に謝罪と賠償金を払えばお前達は『逃げた』って事にしてやってもいいんだぜぇ?」
同じ人間とは思えない下品な笑顔で、流とリリアンにおぞましく腐った事を言いだすカワード。
だが、ここに来て無言だった流が一言呟くように言う。
「なぁ、カワード。本当に『アレ』は殺盗団なのか?」
「はあん?」
殺盗団の増援と思われる集団は、全員が鎧を装備しているようだった。
その鎧は殺盗団が着用しているような、継ぎ接ぎ鎧じゃなく、正規の騎士が装備する立派なものであった。
「あ、あ、あ、あ……」
カワードは混乱する、その集団の中には「トエトリーの領軍旗」がはためいていたからだった。
「さて、カワード。もう一度問う『あれ』は本当に殺盗団なのか?」
「ば、ば、馬鹿な!! どうしてこんな短時間で領兵が動ける、しかもあんなに大勢で!」
「どうしてってなぁ……?」
流はリリアンとレイナを見てからカワードへと告げる。
「そりゃあ、お前のしている事なんて全部バレてるからだろ?」
「はぁ? 何がどうバレているってんだ!?」
「オマエ、リリアンを嵌めたろう? と言うか、リリアンとレイナが『今どうしてこなっているか』の原因は全てお前が仕組んだ結果って訳だ」
「な、何を言っている!? 俺は何もしていない! 俺は親切心からの提案でカレリナを助けてやろうとしただけだ!!」
姉妹はジッとカワードを睨む。
「二人から聞いたが、お前は森でカレリナを見殺しにしたんだって?」
「違う、見殺しじゃない! 俺が到着した時にはカレリナが派手な音を出して逃げ回ってたんだ。そこにゴブリンの大群が押し寄せて、武器も無い俺はなす術無く見てただけだ!」
話している最中に領兵がカワードの背後へと到着したが、弁解に夢中になっている男はそれには気が付かない。
なおもツバを飛ばし、威嚇するように流へと身振り手振りの大げさなジェスチャーで、自分の潔白さを証明しようとしているのだった。
しかし、レイナが抵抗するために思う様に進めないでいた。
「オイ! いい加減にしろ! お前が来ないと俺が殺される!!」
「うるさい馬鹿! お前みたいな卑怯者が何を言っているのよ!」
「こんの馬鹿アマ!」
カワードは言う事を聞かないレイナの顔を平手で殴り、そのまま休まず歩かせる。
「キャアア」
「いいかレイナ? 俺は寛大な男だ。だが我慢の限界ってのがある。もし次に邪魔したら迷わず殺す、いいな?」
そう言うとカワードは、レイナの腰に当てていた短剣を首筋にを向けた。
「くぅ……この卑怯者の屑野郎!」
「ウルサイ、さっさと歩け! もう少しすれば殺盗団の増援も来るはずだ。それまで凌げば俺の勝ちだ! そしたらレイナ、お前を俺のモノにしてやるからな? クククッ、楽しみだな」
カワードはもうすぐ訪れるであろう、淫靡な未来を予測して目を濁らせる。
その様子に反吐が出かけるレイナであったが、それより驚くべき情報に目を見開く。
「殺盗団!? 大体何時からあんな連中と関わりがあったのよ!」
「ああん? トエトリーに来てからだよ。酒場で荒れてたら声をかけられてな。リリアンとナガレと引き換えに、金とお前を貰う事になってる」
「何て馬鹿な事を……」
(お姉ちゃん、ナガレさん。どうか無事でいて……)
その時だった、遠くから砂塵と馬の蹄の音が聞こえて来る。その蹄の音は徐々に大きくなり、その規模がそれなりに多いと言う事がレイナにも分かった。
「ハッハッハ! レイナ、来たぞ! ついに来た!! もしものための増援を送ると、殺盗団の奴ら言ってたしな。タイミングも完璧だな!」
「そんな…………」
土煙のする方角を見て喜ぶカワードを見て、レイナはガックリと肩を落とす。
砂煙が舞う方へと無邪気に手を振るカワード。そんな最高の気分をぶち壊す不埒者がカワードへと語り掛ける。
「何がそんなに嬉しいんだ、カワード? 俺達なら無事だぞ。あ、そうかそれを喜んでくれているんだな? 流石カワードさんはお優しい」
「っう!? ナ、ナガレ!? 生きていやがったのか!!」
「ナガレさん!! お姉ちゃん!! 無事で良かった!!」
「ハイハイ、あなたの流さんですよ~」
「レイナ!! 無事で良かった……」
カワードは青い顔をしてレイナを後ろから羽交い絞めにする。
「動くんじゃねぇ!! レイナがどうなっても知らねえからな!!」
「カワード! いつもヒドイ奴だと思っていたけど、オマエと言う奴は! 今なら分かる、どうせお前がカレリナをハメタんだろう!!」
「馬鹿な事言うなリリアン、俺は何もしてない。あの女が迂闊にもお前のせいで森に行ったから肉奴隷になっただけの事だ」
「カワード!!」
「おっと、可愛い妹が首だけになっても知らねーぞ?」
片手で羽交い絞めにされ、首には短剣を突きつけられたレイナが苦しそうに言う。
しかしその言葉は自らの命をも顧みない強い意思の表れだった。
「お、お姉ちゃん! ナガレさん! 私の事は良いから、この卑怯者をやっつけてください!!」
「黙ってろボケが!」
カワードはレイナの頭を短剣の金属で出来た柄で殴る。
その衝撃にレイナの額が軽く裂け、そこから一筋の赤い血が流れ落ちた。
「アゥッ」
「レイナー!」
「煩い、叫ぶなボケが。ほら、もうすぐ殺盗団の増援が来るぞ? 逃げた方がいいんじゃないか~?」
カワードはゴミを見るような目で流とリリアンを見下す。
「ほ~ら、もうすぐ絶望がやって来るぞ? い・い・の・か・なぁ? このままならお前達は……おお!? 想像したでけで恐ろしいいい!! ナガレェェェ! お前、金持ってるんだろう? 今なら俺に謝罪と賠償金を払えばお前達は『逃げた』って事にしてやってもいいんだぜぇ?」
同じ人間とは思えない下品な笑顔で、流とリリアンにおぞましく腐った事を言いだすカワード。
だが、ここに来て無言だった流が一言呟くように言う。
「なぁ、カワード。本当に『アレ』は殺盗団なのか?」
「はあん?」
殺盗団の増援と思われる集団は、全員が鎧を装備しているようだった。
その鎧は殺盗団が着用しているような、継ぎ接ぎ鎧じゃなく、正規の騎士が装備する立派なものであった。
「あ、あ、あ、あ……」
カワードは混乱する、その集団の中には「トエトリーの領軍旗」がはためいていたからだった。
「さて、カワード。もう一度問う『あれ』は本当に殺盗団なのか?」
「ば、ば、馬鹿な!! どうしてこんな短時間で領兵が動ける、しかもあんなに大勢で!」
「どうしてってなぁ……?」
流はリリアンとレイナを見てからカワードへと告げる。
「そりゃあ、お前のしている事なんて全部バレてるからだろ?」
「はぁ? 何がどうバレているってんだ!?」
「オマエ、リリアンを嵌めたろう? と言うか、リリアンとレイナが『今どうしてこなっているか』の原因は全てお前が仕組んだ結果って訳だ」
「な、何を言っている!? 俺は何もしていない! 俺は親切心からの提案でカレリナを助けてやろうとしただけだ!!」
姉妹はジッとカワードを睨む。
「二人から聞いたが、お前は森でカレリナを見殺しにしたんだって?」
「違う、見殺しじゃない! 俺が到着した時にはカレリナが派手な音を出して逃げ回ってたんだ。そこにゴブリンの大群が押し寄せて、武器も無い俺はなす術無く見てただけだ!」
話している最中に領兵がカワードの背後へと到着したが、弁解に夢中になっている男はそれには気が付かない。
なおもツバを飛ばし、威嚇するように流へと身振り手振りの大げさなジェスチャーで、自分の潔白さを証明しようとしているのだった。
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