日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

138:決戦! オルドラ大使館⑥

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「チィ! お前のその剣は普通じゃないな?」
「それはお互い様だろう、何だその蛇は。ヌルッとして気持ち悪いぞ!」

 どちらとも言わず、二人は後方へと飛び距離を取る。
 その隙に流は、美琴へと耳打ちするように話しかける。

(美琴、行けそうか?)
『…………』
(そいつは面倒だな、探ってみる)

「……おい、ガキ。誰と話している?」
「おばあちゃんなのに耳がいいですねぇ。気のせいですよ、御年なんですからね?」
「絶・対コロス!!!!」
「まぁ怖い!!」

 その言葉が合図の如く、弾け飛ぶように敵に向かう二人。
 右手の炎の蛇が霧のような物を纏いだしながら流に迫る。

「今度こそ死ね! 霧毒蛇拳むどくじゃけん!」
「お前がな! ジジイ流壱式! 三連斬!!」

 流の三連撃がボルツが放つ霧毒蛇拳を弾きながら、左胸へと迫る必殺の一撃がボルツの胸へと吸い込まれた。

「殺ったか!! ッ――何だ!?」

 会心の剣筋に思わず禁句を発する流。しかし禁句の効力は絶大らしく、その威力を存分に発揮する。

「捕えた……ガキィィィ! お前は御仕舞だよ! どうだ動けまい? 防御不能の霧毒だ。斬り結んだ瞬間お前の負けは確定だああああ」
「つぁック!? 左半身がッ!!」
「クククク……ギャハハハハハハ!! これだ! これ程楽しい事はない! お前はオレを予想以上に追い詰めていた事を自覚していないだろう? そうさ、久しぶりに命のやり取りをして生きている実感ってヤツを楽しんだ……そうだ、これこそが生だッ!! 殺盗団? ハッ! そんなモンはオレが楽しむ椅子に過ぎねぇ! 見ろナガレ! オレ達は今、最高に、美しイイイイィ!!」

 ボルツはメイド服を無造作に剥ぎ取り、下着姿のまま奥に詰まった妖艶に実った果実を惜しげも無く流に献上する。
 さらに上気した恍惚とした表情で涙を流し、右の口元より涎を垂らしながら流に歩み寄る。

「大体半身しか麻痺らねぇとは何だよオマエ……ハァハァ……ナガレ! ナガレ! ナガレェエェ! どうだ!!! 俺と一緒に世界を楽しまねーか!? お前となら何処までもイケる気がする! 心も体も全部イケる!! 間違いねぇ……オマエだ、長年探していた半身パーツは絶対にオマエダ!!」

 血走った目で目の前に迫る痴女に流は覚悟を決める。
 最早これまで! 流は不自由な右半身で精一杯の返答をする、全身全霊で嘘偽りなく、心のホゾまで晒して命を賭して真剣に答える。

「あ、いや、ロリババアは趣味じゃないので……それにロリババアは十七歳までが世界標準なんで、二十代半ばに言われましても……(困惑)」
「ふふ……そうよね、オレなんか女として見てくれねーんだ……はは……そうだ、とっておきのプレゼントがあるんだった。受け取ってくれよ……」

 ボルツの両手に顕現していた蛇が具現化していた魔力が右手に集まる。
 紫から赤紫へと変化したその魔力の塊は、禍々しいと言うにも烏滸がましい程に、見る者全てを射殺すような強烈な呪詛を含んだモノが具現化した蛇へと変貌する。

「シッネェェェ工エェェェアアアア!! 極死ごくし蛇拳!!」

 叫びなのか奇声なのか良く分からない雄叫びを上げ、ボルツは流に「触れたら命が無くなる」のが分かる、ヤバイ蛇を解放するように右拳を放つ。
 それは狙った獲物が死ぬまで絡みつくように、毒蛇の化身が襲いかかる強烈な一撃だった。

「それがどうした! 誤認&疾風発動!!」

 流は動かないはずの半身に力を込める。
 すると麻痺していた半身が、活力を取り戻すように細胞が活性化する。
 それは因幡謹製の回復薬による効果が、今だ続いていた事による復活劇だった。

 流は細胞が復活する感覚を感じながら、異世界へ来た時に因幡からもらった薬を整理していた時、一枚の紙が輪ゴムで括り付けられていた事を思い出す。

 そこには丸っこい文字で「あ、そう言えば毒にも効くのですよ。えっへん!」と書いてあった。

「ナァッ!? 消え――」

 誤認の効果を発動した流は疾風を纏い、高速バックステップで距離をとったかと思えば、即腰を落とし美琴を「即死の毒蛇拳」へと一点突破の構え、つまり――

「ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」

 オルドラ大使館へ突入前、キルトからボルツの必殺とも言える業を聞いた時に美琴はこう言った。

『問題ありませんよ、人の業など綺麗に穿ってみせましょう』と。

 ボルツの纏う蛇の魔力が具現化し、さらにソレが凶悪に成長した姿になった毒蛇の化身とも言える蛇へ、流は美琴を渾身の力で蛇の眉間へと美琴を突き立てたと同時に姿を現す!

 即座に毒蛇を介して、右手に伝わる衝撃にボルツは口角を上げてあざ笑う。

「ギャハハハ! 馬鹿かよ! 一瞬隠れて驚いたが、その程度の業でオレの極死蛇拳が破れるものか!」
「――と、思うだろ? 俺もそう思う。が、美琴さんにかかればこうなるッ!!」

 攻撃力より防御力、拳闘士においてそれは攻撃力と同義な拳を流は穿つ。
 先程までヌルヌルと美琴を受け流していた魔力は、美琴がその魔力の要を見極めた事により、確実に毒蛇が顕現している要を破壊する。
 
 それは赤紫の毒蛇を真っ二つに叩き斬り、その斬撃は止まる事を忘れたかのように疾走する。

「ッ!? ギャアアアオレノ腕ガアアアア」

 止まらない斬撃は、右手の中指と人差し指の間から綺麗に肩口まで真っ二つにし、背後の壁まで斬った後、壁に大穴を開けて止まるのだった。
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