日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
140 / 486
第五章:殺盗団を壊滅せよ

139:決戦? オルドラ大使館⑦

しおりを挟む
「「姉さあああああああああああん!!!!」」

 突如響き渡るメイドの声に流も思わず振り返る。

「グアアアッ……来るな! お前達はそこに居ろ!!」
「で、でも姉さん……」
「黙れ!! いいか、これは因果応報ってヤツだ。オレ……いや、アタシ達はとうの昔に死んでいる。分かるな!?」
「はい……」
「……いい子だ。ナガレ! さあ、最後の勝負といこうじゃないか。アタシとお前の命の輝きをここに示せ!!」

 ボルツは怪我など無かったように、左手と両足で果敢に攻め立てる。
 それは一撃を放つ度にボルツの命を削るかのような鋭い攻撃だった。

「そのダメージでそこまでやるかよッ!」
「ハハッ、当たり前だ。この……そう今、この瞬間のために生きて来たのだからなぁ」

 ボルツは流の頭部へ踵落としで大技を放つが、それを見切って半歩体を右にひねり流はかわす。
 が、それは誘いで本当の攻撃は右足で踵落としをし、そのままグルリと縦に一回転した遠心力を利用した左足の踵落とし二連撃を流に叩き込む。

 セミプロの業ならいざ知らず、玄人。それも本職のトップの業に、たまらず流はすでに再使用が可能になった奥の手を使う。

「ッゥ! アクティブ! 氷盾の指輪!!」

 二連撃と思われた蹴り技は、そのまま止まる事を許さず縦、横とコマのように回転しながら流を追い詰める。
 突然の事にアクティブの三つの盾はあっと言う間に使い切る。

「くぅ!? お前、毒蛇より今の方がよほど脅威だぞ!!」
「くはッ~、嬉しい事を……言って……くれる。本来、これが、アタシの業だよ」

 ボルツの顔はすでに死相が取り付いているのが分かるほど土気色に変色し、さらに息も荒い。

「ボルツ……お前もうやめな――」
「ば~っか♪ これがアタシの最後の生きた証だよ」


 流の言葉を遮るようにボルツはクスリと笑うと、まるでバレリーナのように右足を高々と頭の上へと掲げると、右足から覗く左目で妹達を見ながら最後の言葉をかける。

「ねぇ、ミレリア。ロッティ。今日までありがとうね、あんた達が居てくれたからお姉ちゃん頑張れたんだ。あれからもう何十年かな……」
「百十五年だよお姉ちゃん……」
「そっか……もし天国……違うか、地獄ってものが本当にあったらそこで謝るね。本当にごめんね、ありがとう」
「私達こそごめん……」
「お姉ちゃん、先に行ってて。すぐに向かうね」
「馬鹿!! 出来れば何とか生きて。そのためにも……ッ!!」
「俺が邪魔か?」
「ええ、お願い。私と一緒に地獄へ落ちて!!」
「そう言うセリフは、愛しい娘に言って欲しかったんだがな」

 流は腰のアイテムバッグから取り出した、紫色の回復薬を一気に煽り飲む。

「準備はいい? はぁ~。最後の大技、ナガレに受けてもらえて最高の気分で逝けるってねえええええ!!」
「ふん、かかって来い。俺も美琴も雑魚には負けん!!」

 ボルツは高く掲げた足を正面へ勢い無く・・・・落とす。
 すると突然正面の空間が歪み、歪んだ空間の分だけ流が引き寄せられる。

 流は「なッ!?」と言う呻きとも驚愕とも言える声が出る。

「いらっしゃ~い♪ そして、死んで!!」

 目前に迫るボルツの右膝が、流の鳩尾へと痛恨の一撃となってめり込む。

「グッボッッヴァ!?」

 たまらず流は吐しゃ物を嘔吐し、内臓も破壊されたのか血液も吐き出し倒れる。
 それを満足気に見つめたボルツも、同時に大量に吐血して倒れた。

「ぐぼッ――はぁぐぅッ! 今……『契約』が、切れ、たわ!」
「「おねえぢゃん!!」」
「ミレリア……ロッティ……ナガレ、が生きていたら……あり……がとう。そして、ごめんなさいと……伝えて……あと、二人とも……元気で……ね」
「う゛ん゛! おねえぢゃんも……ありがどう」
「さようなら姉さん……愛しています、いつまでも」
「先……生……今そ――」

 その言葉を聞いたボルツは、憑物が晴れたかのような清々しい顔で瞼を閉じる。
 すると美しかった容姿は、突如時間が無慈悲に過ぎたかのように流がれ、美しかった顔は骨と皮だけになってから灰になってしまう。

「ボルツ……最後の攻撃、死ぬほど効いたぞ。よく分からないが、ボルツの意思は受け取った。安らかに眠ってくれ」

 流は完璧にダメージが抜けていないからか、片膝を床に付きつつも左手をスっと胸の位置まで上げ片合掌をし、軽く頭を下げ黙祷するのだった。

「ナガレさん……あの怪我でもう……」
「本当に申し訳ありませんでした。言い訳はしません、後の事はお任せします」
「おいおい、それじゃ何の事かさっぱりなんだが? 俺としてはボルツだと思っていたあっちに転がっている男が実は偽物で、本物は君らの姉さんってだけで混乱モノなんだぞ?」

 二人の姉妹は顔を見合わせ頷き合う。
 
「あらためまして名乗りをさせていただきます。私がこの子の姉のミレリア、そして妹のロッティと申します。少し、長い話になりますがお付き合い……いただけますでしょうか?」
「ああ構わないよ。まだ夜は……始まったばかりだ」

 流は窓より見える、町の喧騒を思い出しながら先を促す。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...