日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

149:衝撃の冒険者ギルド

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「お館様、ご報告いたします。屋敷を取り巻く暗殺者は、全て沈黙に成功しました。予想したギルドや殺盗団の外部からの監視や索敵も無く、問題は無いと思われます」
「お、ご苦労さん。流石は夜……よ……」
『…………』
「夜朔だな!」

 ノリで名付けたネーミングを忘れた流は、ジト目の美琴に救われる。

「ハッ! ありがたきお言葉!」
「後ろのお前達もご苦労さん、慣れないと思うが徐々に慣れてくれ」
「「「ハッ!」」」
「そうだ、キルト。こいつ中々見所があってな、俺を結界内へ入れてくれた事もあるから連れて来たんだが、お前達の一員として使ってやれるか?」
「肯定です。こいつは念話による連絡が行えるので、いて重宝する男です」
「お~そんな事が出来るのか、ロッキー?」

 ここまで惚けながら聞いていたロッキーは、突如話を振られた事で現実に引き戻される。

「は、はいぃ! 出来ます、やらせてくだせえ! きっとお役に立ちますんで」
「後はそっちの二人だな……よし、全員まずは俺んちまで帰るぞ」

 全員は頷くと、そのまま正門へ向けて歩き出す。

「そう言えばロッティ、お前達しか使用人はいないのか?」
「いや、いたはずなんだけど……何処に行ったのかな?」
「お館様、それならば裏口で伸びていますよ?」
「何でまたそんな事に?」

 正門へ着くと、壱がその訳を教えてくれた。

「壱:多分でっけと正面は戦場になるとふんで、裏口から脱出しようとしたんちゃいまっか? 結界に何度か反応がありましたさかい」
「なる程ね、それで結界に触れ気絶と?」
「壱:多分そうなりますねん」
「分かった、じゃあ俺はこのままギルドへと報告してから帰る」
「壱:了解でっせ! 僕も屋敷へと戻っておきます」

 幽霊屋敷への帰館組と別れて、それぞれの目的場所へ向かい歩く。
 流は正門を出てから振り返り、オルドラ大使館を見る。見学者たちも大穴が空いて、なんだろう? くらいの騒ぎであり、内部で壮絶な戦闘があったとは思えないほど周囲は静かだった。

「悪魔の存在か……また面倒な事になりそうだな」

 そう独り言ちると、そのまま冒険者ギルドへと向かうのだった。


 ◇◇◇


 時刻は二十三時を少し回った頃、冒険者ギルドに激震が走る。
 殺盗団の壊滅と、その詳細が流によって報告されたからである。
 殺盗団討伐中のために待機中だったミャレリナが詳細を聞き、帰宅していたリットンハイムは即呼び出され、何時にも増して神経質な顔が固い。
 現在はサブマスターのリットンハイムの部屋で、あらためて報告がなされていた。

「ナガレ、それは本当の事……なのか?」
「ああ本当だ、最初に遭遇したボルツは偽物で、本物は悪魔の僕だった女が殺盗団の頭目だった」
「その悪魔だが、本当にあの悪魔なのか?」
「あのがどのかは知らんが、魔界の悪魔なのは間違いないと思うぜ?」
「悪魔がこの街にいたニャンて……しかもオルドラの大使として。リットンハイムさん、これはかなりマズイのでは?」

 二人は真剣な表情で思い悩む。

「ああ、だがしかし話によると流が討伐したんだろう?」
「それは確約する。ただすまない、出来るだけ穏便にって事だったんだが、その……屋敷に大穴を開けちまったんだが……」
「馬鹿野郎!! そんな事はどうでもいい! それよりお前が無事で本当に良かったぞ、ナガレ!」
「全くですニャ! あそこは観光地だからそうお願いしたんニャけれど、相手が悪魔だったって言うのだから、むしろその程度ですんで良かったですニャ」

 馬鹿野郎と叱られたのかと思いきや、リットンハイムとミャレリナは流の安否を気遣ってくれた事に、思わず心が温かくなる。

「一応聞くが、悪魔だと証明出来る物は何か持って来て無いか?」
「ああすまない。倒したら全身が塩の塊になってしまってな。あ、そうだ。悪魔がいた三階に、悪魔が閉じ込めたと言う魂が籠った品々が複数あるはずだ。それでどうだ?」
「うむ、調べて見ないと分からないが、それは物証になるだろう。ミャレリナは急いでこの事を憲兵隊に伝えてくれ。あと領主様へもな。今だ信頼が出来る者が戻らない以上、私が陣頭指揮を執ってオルドラの大使館へ乗り込む! ミャレリナも報告書の指示が終わったら、部下と冒険者の護衛を集めて置いてくれ」
「はいニャ! すぐに取り掛かりますニャ!」

 そう言うとミャレリナは、一秒でも惜しいという感じで駆けて行った。

「しかしナガレ、まさかこんなに早く解決するとは思わなかったぞ。しかも外で大暴れした後なのだろう? 凄いな本当に……」
「俺もここまで急展開に進むとは思わなかったさ」
「そうだろうとも。さて、聞いての通り私はこれから出撃する。まぁ事後処理だがね。外の件も含め、詳細は後日ゆっくりと聞かせてくれ」
「了解した。あんたも今夜は大変だな」
「なに、お前程ではないがな」

 お互いニヤリと笑うと、そのまま流は部屋を出ようと入口まで行く。

「ああそうだ。近く、ギルドマスターが戻られる。正式にお前を紹介したいから、そのつもりでいてくれ」
「ギルドマスター? ああそうか、アンタはサブマスターだったんだっけ。なんかここの責任者はアンタって感じで定着してたから忘れてたよ」
「はっはっは。俺と違ってギルドマスターはお美しい方だ。まぁ見てのお楽しみだ」
「期待して待っておくさ。じゃあな」

 去る後ろ姿を見ながらリットンハイムは独り言つ。

「コマワリ・ナガレか……一体何者なんだ? トエトリーに敵対しないといいんだが……ふっ 問題ないか」

 期待と不安。その両方がリットンハイムの中にはあった。
 短い間の付き合いだが、ナガレと言う人物は信頼出来ると思う、そんな自分の魂から来る囁きを信じる事にしたのだった。
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