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第五章:殺盗団を壊滅せよ
156:極秘ファイル
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「ん? これ……は……殺盗団の内通者リストかッ!!!!」
「ええええ!? 今、一番欲しいものじゃないですか!!」
「たまたま俺に協力してくれる人物と知り合いましてね、悪魔に拘束されていた姉妹を保護したんですよ。悪魔が死んで自由になった事で、殺盗団の内部を良く見ていた関係者だから、誰よりも信ぴょう性は高いと思いますよ?」
「さっき言ってた姉妹の事か? なるほど、それなら信頼も出来よう。ただな、その姉妹が殺盗団に与していないのは分かったが……」
バーツは姉妹の生い立ちと、現在の状況を考えると不安要素があると判断し、素直に喜べない所もあった。
「まぁ心配でしょうね。そこで今回の俺への報酬ですが、この二人の身柄を俺が貰うと言うのはどうでしょうか? あまりに不憫な姉妹ゆえ、何とかしてやりたいんですよね。それ以外の報酬はいりませんから、何とかなりませんか?」
悩むバーツは、ひとしきり唸ると流の目をじっと見つめ問う。
「……しかしそれでは、今回のお前の苦労に見合った報酬とは思えんが?」
「まぁ、それはそうなんですけどね。金は稼げば何時かは増えますが、不憫な姉妹が処刑されたら戻って来ませんからね。そしてその資料の功績をもって、自由の身になれたらいいかな……って、まぁそんな所です。あ、でも他にもくれるって言うなら遠慮無く頂きますよ~?」
流は最後にコミカルな動きで両手を差し出す。
それを見たバーツはクワっと眉を上げると、豪快に笑いだす。
「ガッハッハッハ!! 何だそれは、いい話かと思えば最後で台無しではないか。ハッハッハ……はぁ、笑った。ふむ、いいだろう。その意気やよし! ここで答えなければ男じゃないな。うむ、ではその願い聞き届けよう」
「あぁ~良かった。聞いてくれると思ってましたよ」
それを聞いたバーツは手をスッと差し出す。
そしてこう続ける「汝と我の約束を違えず遂行する」と。
「この場での握手と言うのは、商業ギルドで商売上神聖な意味がある。これを拒否したら、二度とこの件に関する取引は成立しない。しかし握手が成立すれば、必ず実行しなければいけないと言う意味が込められている」
その言葉とバーツの真剣な眼差しに、流も無言で頷くとバーツの手を取る。
「ええ、こちらこそよろしくお願いしますよ、ギルドマスター」
「……バーツだ。これからはバーツと呼べ。この取引のもう一つの意味は『対等な身分』と言う意味も込められている」
握手一つにここまでの覚悟を込める文化に、流も素直な気持ちで称賛する。
「ただの握手にそこまで意味と、そして決意が込められているなんて驚きです。異国の地から見れば素晴らしい文化だと思いますよ。正に信頼と言う形が実にシンプルに表れている。これからもよろしくお願いしますよ、バーツさん」
「ふむ、呼び捨てでも構わんのだがな?」
「いえ、そこは目上の方への礼儀と、ビジネスの時はこうと決めていますので」
「はっはっは。そうか、冒険者ギルドのように振る舞ってもいいんだがな? まぁ、少々寂しくもあるが、今はそれでいいだろう。今はな」
いささか含むような言い回しに少し気になる流であったが、そこへ今まで黙って聞いていたメリサが割り込んで来る。
「あのギルドマスターが『握手の儀』を行うなんて……始めて見ましたよ。ナガレ様って本当に凄いんですね……しかも無報酬に近い条件で終わるなんて信じられませんよ……って、もしかして!? ナガレ様、その姉妹と恋仲になったからなんですか!?」
「おいおい、メリサ。妄想もそこまで来ると才能だぞ? まぁ、しばらく俺の所にいて、落ち着いたら旅立つさ、間違いなくな」
「そ、それならいいんですけど……」
その様子を見てバーツはまたも大笑いする。
「ブッハハハハ! あのメリサが女になったのかよ! これは今日はギルド上げて祝いかな? ククククッ」
「なぁッ!? 酷いですよギルドマスター!!」
「ぷくくく。悪い悪い、今はそれ所じゃなかったな。どれ、もう一度しっかりとリストと見て見よう」
メリサが抗議の声を上げるが、最早バーツは仕事モードであった。そして見つけてしまう、この商業ギルドの汚点を。
「メリサ、これを見ろ……」
「もう! なんですか!?」
憤慨しているメリサを呼ぶバーツ、しかしその瞳は怒りで静かに震えていた。
「ッ!? こ、この人は」
「ああ、局長のアレハンドだ。お前を育て、そしてここまで導いた男でもある」
「そ、そんな……どうしてアレハンドさんが……」
「訳はそこに書いてあるだろう?」
リストにある、個人の弱点たる項目が書いてある場所があった。
そこに〝トラップ要綱〟という欄に目が留まる――そこには「金銭の受領と使い込み」と書いてあった。
「お金……まさか! 不正会計を捜査しているのも彼で……あ……」
「そう言う事だ、泥棒と憲兵が同一人物だったら……捕まるものも捕まらないわな」
心の弱い者が今のバーツを見たら倒れる程の怒気を放出させ、メリサは両手を顔に当て涙を流していた。
「ええええ!? 今、一番欲しいものじゃないですか!!」
「たまたま俺に協力してくれる人物と知り合いましてね、悪魔に拘束されていた姉妹を保護したんですよ。悪魔が死んで自由になった事で、殺盗団の内部を良く見ていた関係者だから、誰よりも信ぴょう性は高いと思いますよ?」
「さっき言ってた姉妹の事か? なるほど、それなら信頼も出来よう。ただな、その姉妹が殺盗団に与していないのは分かったが……」
バーツは姉妹の生い立ちと、現在の状況を考えると不安要素があると判断し、素直に喜べない所もあった。
「まぁ心配でしょうね。そこで今回の俺への報酬ですが、この二人の身柄を俺が貰うと言うのはどうでしょうか? あまりに不憫な姉妹ゆえ、何とかしてやりたいんですよね。それ以外の報酬はいりませんから、何とかなりませんか?」
悩むバーツは、ひとしきり唸ると流の目をじっと見つめ問う。
「……しかしそれでは、今回のお前の苦労に見合った報酬とは思えんが?」
「まぁ、それはそうなんですけどね。金は稼げば何時かは増えますが、不憫な姉妹が処刑されたら戻って来ませんからね。そしてその資料の功績をもって、自由の身になれたらいいかな……って、まぁそんな所です。あ、でも他にもくれるって言うなら遠慮無く頂きますよ~?」
流は最後にコミカルな動きで両手を差し出す。
それを見たバーツはクワっと眉を上げると、豪快に笑いだす。
「ガッハッハッハ!! 何だそれは、いい話かと思えば最後で台無しではないか。ハッハッハ……はぁ、笑った。ふむ、いいだろう。その意気やよし! ここで答えなければ男じゃないな。うむ、ではその願い聞き届けよう」
「あぁ~良かった。聞いてくれると思ってましたよ」
それを聞いたバーツは手をスッと差し出す。
そしてこう続ける「汝と我の約束を違えず遂行する」と。
「この場での握手と言うのは、商業ギルドで商売上神聖な意味がある。これを拒否したら、二度とこの件に関する取引は成立しない。しかし握手が成立すれば、必ず実行しなければいけないと言う意味が込められている」
その言葉とバーツの真剣な眼差しに、流も無言で頷くとバーツの手を取る。
「ええ、こちらこそよろしくお願いしますよ、ギルドマスター」
「……バーツだ。これからはバーツと呼べ。この取引のもう一つの意味は『対等な身分』と言う意味も込められている」
握手一つにここまでの覚悟を込める文化に、流も素直な気持ちで称賛する。
「ただの握手にそこまで意味と、そして決意が込められているなんて驚きです。異国の地から見れば素晴らしい文化だと思いますよ。正に信頼と言う形が実にシンプルに表れている。これからもよろしくお願いしますよ、バーツさん」
「ふむ、呼び捨てでも構わんのだがな?」
「いえ、そこは目上の方への礼儀と、ビジネスの時はこうと決めていますので」
「はっはっは。そうか、冒険者ギルドのように振る舞ってもいいんだがな? まぁ、少々寂しくもあるが、今はそれでいいだろう。今はな」
いささか含むような言い回しに少し気になる流であったが、そこへ今まで黙って聞いていたメリサが割り込んで来る。
「あのギルドマスターが『握手の儀』を行うなんて……始めて見ましたよ。ナガレ様って本当に凄いんですね……しかも無報酬に近い条件で終わるなんて信じられませんよ……って、もしかして!? ナガレ様、その姉妹と恋仲になったからなんですか!?」
「おいおい、メリサ。妄想もそこまで来ると才能だぞ? まぁ、しばらく俺の所にいて、落ち着いたら旅立つさ、間違いなくな」
「そ、それならいいんですけど……」
その様子を見てバーツはまたも大笑いする。
「ブッハハハハ! あのメリサが女になったのかよ! これは今日はギルド上げて祝いかな? ククククッ」
「なぁッ!? 酷いですよギルドマスター!!」
「ぷくくく。悪い悪い、今はそれ所じゃなかったな。どれ、もう一度しっかりとリストと見て見よう」
メリサが抗議の声を上げるが、最早バーツは仕事モードであった。そして見つけてしまう、この商業ギルドの汚点を。
「メリサ、これを見ろ……」
「もう! なんですか!?」
憤慨しているメリサを呼ぶバーツ、しかしその瞳は怒りで静かに震えていた。
「ッ!? こ、この人は」
「ああ、局長のアレハンドだ。お前を育て、そしてここまで導いた男でもある」
「そ、そんな……どうしてアレハンドさんが……」
「訳はそこに書いてあるだろう?」
リストにある、個人の弱点たる項目が書いてある場所があった。
そこに〝トラップ要綱〟という欄に目が留まる――そこには「金銭の受領と使い込み」と書いてあった。
「お金……まさか! 不正会計を捜査しているのも彼で……あ……」
「そう言う事だ、泥棒と憲兵が同一人物だったら……捕まるものも捕まらないわな」
心の弱い者が今のバーツを見たら倒れる程の怒気を放出させ、メリサは両手を顔に当て涙を流していた。
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