日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

189:恐怖への招待~新たな流通

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「運送コストも含めて採算が合うようにしたいと思います。それに一部の貴族に独占されても、売れる量はたかが知れています。そこで価格を下げる事で、広く一般的に商った方が儲かると踏んでいます」
「確かにそれはそうだが……。だが本当にそれだけの大量な香辛料を仕入れられるのか?」
「ええ、そこは問題ありません。私がいる限りは、この国が香辛料に困る事は無いでしょう」
「「「おおお!」」」

 感嘆の声を上げる三人、そしてさらに驚きの言葉を発す流。

「さらに条件さえ整えば、香辛料の農場等をトエトリーに作ろうと思います」
「なんだと!? そ、それは本当か!!!!!?」
「はい。ただそちらは、気象や土地の関係で出来るかは不透明なのでお約束はしかねますがね」
「そんなものはいい、そのやってくれると言うだけで俺は嬉しく思う。もしそれが実現したら、我がトエトリーは更なる発展を約束されるだろう」
「またそんな大げさな~」

 そんな流の様子を見た三人は顔を見合わせると、呆れるように流へ話す。

「ナガレ様、香辛料と言うのはそれだけ価値があるのですよ?」
「そうだぜナガレ。香辛料一つで殺し合いになる事は結構ある」
「うむ。歴史を紐解けば、それで戦争にまでなった愚かな歴史すらある程だ」
「え……マジ?」
「「「マジ」」」

 ここに来てまた、異世界の常識に打ちのめされる流であった。
 そんな感じで三人に香辛料の主な使い方を説明しながら、メリサの用意してくれたお茶に、物は試しと加工済みのバニラビーンズを少量入れて見る。

「ほぅ……これはまた面白い香りだな。香ばしさとも違う引き込まれる甘い香りだ」
「ええ、お菓子にもあいそうですね。焼き菓子なんかに入れたら美味しそうです」
「確かに二人の言う通りだ、工夫をすれば料理にも合いそうだぜ、これは!」

 三人の評価も上々のようで、その後の話になる。

「そこでこれらの香辛料を使った料理をウチの屋敷で用意したいのですが、良かったら来ませんか?」
「なに!? 流の幽霊屋敷か! あれからどうなったか気になっていた所だ、是非それも含めてお邪魔させてもらおう!」
「ナガレ様のお屋敷に!? 夢のようです、ぜひ行きます、絶対に!!」
「おう、俺も当然行くぜ? あの美味い料理は最高だったからな~」
「え? ファンさんはもう行った事あるんですか? ずるい」
「先日の殺盗団の件で、ちょいとな」
「一人だけいい思いしおって、許さん!」
「おいおい、オヤジまで……困った二人だよ」
「まぁまぁ。その分大歓迎しますから許してくださいよ」
「ふむぅ。ナガレがそう言うなら、仕方ないか」
「ですね、あ~。今から楽しみだなぁ♪」

 三人は流の屋敷への招待と、未知の料理に心を躍らせる。

「楽しみにしててください。それとファンを呼んだのは、この香辛料の交易ルートの確保と運送を頼みたい」
「マジかよ!! そりゃ是非やらせてもらうぜ!! うちは行商特化で商ってるからな、国中へ広めてやるさ!」
「それなんだが、いっその事、運輸専門でやらないか? 各町には直営店を置き、自分達では商わない。村へは状況次第で直営店を置く感じだ。さらに人は運ばず、物流だけに特化した運搬と言う形に変えてほしい」
「ナガレ……お前……」
「ふむ、ナガレよ。これは凄い事を思いつくな。商業の歴史が変わるかもしれんぞ!」
「ええ、これは凄いですよ! 今までは個人が自分の物を運び、目的地で商っていた。それを運搬と言う形で、どんどん物を送る事に専念すれば、早く品が回転しますものね!」

 ファンは流の言葉の可能性を考えると震える。それは自分がやって来た事の上位互換なのだから。

「ナガレ!!!! 是非やらせてくれ! これは凄い事になる、間違いねえ。大手の商家なんかは似たような事をしているが、特化まではしてねえ。あちこち寄りつつ利益を上げながら進むから歩みは遅いし、辺境に行くほどそれは酷くなる。下手したら半年に一度の交易しかない村や町もある程だからな」
「ああ、それに売る品が特殊っての言う事も関係している。運搬コストを考えても確実に利益が出るだろう」
「ナガレ様、貴方って人はどれだけ……」

 三人が流へと熱い視線を送る。一人違う視線も混ざっているが、骨董系鈍感王に隙は無い。

「そんな訳で細かい事は香辛料の料理を食べた後で煮詰めるとして、三人を招待するのは何時でもいいですが、何時にしますか?」
「「「「今夜でお願いします!!」」」
「え!? そのまだ混乱している最中と思いますが……大丈夫なんですか?」
「ハッハッハ、大丈夫じゃない! だがこれ程重要な案件は、早急に進めなくてはいかんからな。それにだ、俺も連日の激務に疲れたからな、ここらで生き抜きをしたい」
「もうギルドマスター。まぁ私も同じですけどね、ふふ」
「俺はゴミが一人だったから、それもほどダメージは無いし、今頃部下達が適切に処理してるから大丈夫だ」
「そ、そうですか。それでは今夜お待ちしていますね。時間はそうですね……十九時でどうです?」
「うむ、それで問題ない。何があっても駆けつけるからな。メリサもいいな?」
「はい! それまでに本日の分は誰かに押し付けます」
「おいおい、押し付けるのかよ。俺もそれでいいぜ。じゃあ楽しみにしてる」

 こうして三人と約束をした流は、マスタールームを後にして屋敷へ戻り準備をする事にする。
 ファンは流が提案した新しい運送方法でバーツと少し相談してから帰るとの事だった。
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