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第六章:商いをする漢
209:嵐影の友達
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執務室の前到着すると、そこにも大きな鎧兵がおり、それが扉を開ける。
その先に三人がすでに待っているのを見て、流は苦笑が。
「ただいま、お前達は時間とか距離の概念は無いのか?」
「うふふ。お帰りなさいませ古廻様」
「壱:おかえりやす~」
「フム。お帰りなさいませ、それでどうでしたかな?」
「それがな――」
今日あった事を話すと、三人は我が事の様に喜ぶのだった。
「まあ! それはようございましたね♪」
「ああ、本当に良かったよ。十キロ持って行ったコショウは即完売だぞ? しかも半額で銅貨5枚にも関わらずな」
「壱:そら売れますがな~。普通ならその二十倍やもん」
「フム。そうですな。してカレーはどうなりましたかな?」
「そっちもアイテムバック入れていた分も含めて百食完売だ。あの食べている客の顔を見ると、こっちまで幸せになるから不思議だな」
「笑顔は人を幸せにしますからね。では今日の売り上げは日本円にして五百二十万円程ですかね? なかなか好調な滑り出しです。明日からどうしましょうか?」
「それなんだが――」
流はバーツからの話の内容を伝える。
「なるほど。それなら商業ギルドへあちらの世界から現状持ち出せる、一日の最大量の三百キロから米等を引いた分を納品しておきましょう」
「助かる。本来ならコショウのみの販売の方が儲かるが、スパイスの普及が今は一番の目的だからな。あの美味さを知るにはカレーが一番分かりやすい、その後料理の品数を順次増やすつもりだ。しかし日本ではホール状の物で、一キロで三千円位だったよな? それがこの世界では今後は十グラム銀貨一枚で売るから、一キロ百万円だぞ? 何だこの錬金術はってな話だよな。よし、今日から俺はコショウの錬金術師と二つ名を名乗ろう!」
「「それはいいですな!」」
盛り上がる兄達にジト目を向けつつ、〆は今後の予定を話す。
「大口はギルドで引き受けるとして、屋台の方はどういたしましょうか?」
「今日三人でやったんだが、かなり大変でさ。もう数人販売員を増やせるか?」
「フム。それは問題ありませんな」
「参、おまえも本当に規格外に意味不明な人脈があるな……」
「フム。はっはっは。それが私の能力なればこそですな」
「それじゃあ……そうだな。もう少し混乱しそうだから後五名頼む」
「承知しました」
そこでふと気になり、参の能力を聞いてみる。
「参よ、お前の能力って何なんだ?」
「ふむぅ……」
突如困る様に黙ってしまう参に、流はどうしたのかと思う。
「実は古廻様……。大変申しにくいのですが、その事はまだ明かす訳にはいかないのです……。もう暫く、もう少しだけお待ちください。必ず全てを話せる時が来ます、それまで何卒ご容赦を」
そう〆が言うと、三人は流へ頭を下げて許しを請う。
「フム。誠に申し訳ございません」
「壱:僕もかんにんなぁ……ホンマは今すぐにでも話したいんやけどね」
「待て待て、別に怒っている訳じゃないぞ? ただ気になっただけだよ。まあ今は話せないってのなら構わないさ、お前達がその気になったら話してくれよ?」
「は、はい! それは間違いなくお約束いたします!」
こんなに自分に尽くしてくれている三人が、言い出せない事がある。
それはとても重要な事なんだろうと流は考えるが、〆達の心底申し訳なさそうな顔を見ているとそんな考えも吹き飛び、逆に感謝の気持ちで一杯になるのだった。
「とにかく俺はお前達を信頼しているし、そしてとても感謝している。何時あのバケモノに襲われても不思議じゃない恐怖が無いと言えば嘘になるが、それはお前達がいてくれるから、こんなものなんだと何時も感謝しているよ。〆、壱、参、あらためてありがとう」
そんな流の真摯な気持ちに、三人は眼頭に涙を蓄え、頭を下げて答えるのだった。
翌日、流達はもう一台馬車を用意し、そちらに増員したメイドと荷物を積み出かける。
その馬車を引くのは、嵐影の友馬の黒毛の巨大な馬だった。
今日は荷物も多いので、朝の早い時間に出発する。
そのお陰で人通りも少なく、元々の道幅も馬車五台分通行しても余裕な道幅と言う事もあり、販売車と馬車は並んで走る。
「その馬は嵐影の友達なのか?」
「……マ」
「へぇ、そんな事がねぇ。それで嵐影達が背負ってこの町に来たのかぁ」
「……マ」
どうやら病気で街道に捨てられたこの馬を、嵐影ともう一頭のラーマンが背負って来たようだった。
それを長老が治療して元気になり、現在はラーマンの長老がいる公園でのんびり暮らしているのだとか。
「良かったなおまえ。良かったらウチに来てもいいんだぞ?」
「ブルルル」
「……マァ」
「そっか、なら何時でも来たくなったら来てくれ。うまい飯を用意してやるからな」
「ヒヒーン」
流石に馬の言葉は分からなかったが、嵐影が通訳してくれたので意思疎通もお手の物だった。
そんな話をしながら流達はラハーシア広場へと到着する。
周囲の店も既に開店している所もあれば、開店準備をしている店もあり、忙しそうにしている。
そんな周囲を見ながら、のんびりと流の出店スペースに行くと、そこには香ばしい奴らがいたのだった。
その先に三人がすでに待っているのを見て、流は苦笑が。
「ただいま、お前達は時間とか距離の概念は無いのか?」
「うふふ。お帰りなさいませ古廻様」
「壱:おかえりやす~」
「フム。お帰りなさいませ、それでどうでしたかな?」
「それがな――」
今日あった事を話すと、三人は我が事の様に喜ぶのだった。
「まあ! それはようございましたね♪」
「ああ、本当に良かったよ。十キロ持って行ったコショウは即完売だぞ? しかも半額で銅貨5枚にも関わらずな」
「壱:そら売れますがな~。普通ならその二十倍やもん」
「フム。そうですな。してカレーはどうなりましたかな?」
「そっちもアイテムバック入れていた分も含めて百食完売だ。あの食べている客の顔を見ると、こっちまで幸せになるから不思議だな」
「笑顔は人を幸せにしますからね。では今日の売り上げは日本円にして五百二十万円程ですかね? なかなか好調な滑り出しです。明日からどうしましょうか?」
「それなんだが――」
流はバーツからの話の内容を伝える。
「なるほど。それなら商業ギルドへあちらの世界から現状持ち出せる、一日の最大量の三百キロから米等を引いた分を納品しておきましょう」
「助かる。本来ならコショウのみの販売の方が儲かるが、スパイスの普及が今は一番の目的だからな。あの美味さを知るにはカレーが一番分かりやすい、その後料理の品数を順次増やすつもりだ。しかし日本ではホール状の物で、一キロで三千円位だったよな? それがこの世界では今後は十グラム銀貨一枚で売るから、一キロ百万円だぞ? 何だこの錬金術はってな話だよな。よし、今日から俺はコショウの錬金術師と二つ名を名乗ろう!」
「「それはいいですな!」」
盛り上がる兄達にジト目を向けつつ、〆は今後の予定を話す。
「大口はギルドで引き受けるとして、屋台の方はどういたしましょうか?」
「今日三人でやったんだが、かなり大変でさ。もう数人販売員を増やせるか?」
「フム。それは問題ありませんな」
「参、おまえも本当に規格外に意味不明な人脈があるな……」
「フム。はっはっは。それが私の能力なればこそですな」
「それじゃあ……そうだな。もう少し混乱しそうだから後五名頼む」
「承知しました」
そこでふと気になり、参の能力を聞いてみる。
「参よ、お前の能力って何なんだ?」
「ふむぅ……」
突如困る様に黙ってしまう参に、流はどうしたのかと思う。
「実は古廻様……。大変申しにくいのですが、その事はまだ明かす訳にはいかないのです……。もう暫く、もう少しだけお待ちください。必ず全てを話せる時が来ます、それまで何卒ご容赦を」
そう〆が言うと、三人は流へ頭を下げて許しを請う。
「フム。誠に申し訳ございません」
「壱:僕もかんにんなぁ……ホンマは今すぐにでも話したいんやけどね」
「待て待て、別に怒っている訳じゃないぞ? ただ気になっただけだよ。まあ今は話せないってのなら構わないさ、お前達がその気になったら話してくれよ?」
「は、はい! それは間違いなくお約束いたします!」
こんなに自分に尽くしてくれている三人が、言い出せない事がある。
それはとても重要な事なんだろうと流は考えるが、〆達の心底申し訳なさそうな顔を見ているとそんな考えも吹き飛び、逆に感謝の気持ちで一杯になるのだった。
「とにかく俺はお前達を信頼しているし、そしてとても感謝している。何時あのバケモノに襲われても不思議じゃない恐怖が無いと言えば嘘になるが、それはお前達がいてくれるから、こんなものなんだと何時も感謝しているよ。〆、壱、参、あらためてありがとう」
そんな流の真摯な気持ちに、三人は眼頭に涙を蓄え、頭を下げて答えるのだった。
翌日、流達はもう一台馬車を用意し、そちらに増員したメイドと荷物を積み出かける。
その馬車を引くのは、嵐影の友馬の黒毛の巨大な馬だった。
今日は荷物も多いので、朝の早い時間に出発する。
そのお陰で人通りも少なく、元々の道幅も馬車五台分通行しても余裕な道幅と言う事もあり、販売車と馬車は並んで走る。
「その馬は嵐影の友達なのか?」
「……マ」
「へぇ、そんな事がねぇ。それで嵐影達が背負ってこの町に来たのかぁ」
「……マ」
どうやら病気で街道に捨てられたこの馬を、嵐影ともう一頭のラーマンが背負って来たようだった。
それを長老が治療して元気になり、現在はラーマンの長老がいる公園でのんびり暮らしているのだとか。
「良かったなおまえ。良かったらウチに来てもいいんだぞ?」
「ブルルル」
「……マァ」
「そっか、なら何時でも来たくなったら来てくれ。うまい飯を用意してやるからな」
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流石に馬の言葉は分からなかったが、嵐影が通訳してくれたので意思疎通もお手の物だった。
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