もふもふ子狐のせいで、廃棄(ゴミ)の烙印を押されたハズレ男。あまりにも酷い扱いをされたので、異世界召喚をした国を爽快バトルにて滅ぼします

竹本蘭乃

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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編

043:いちるの望み

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 ドスドスと遠慮の無い足音が、馬房の影より近づいて来る。
 やがてその姿を現したライオスは、フェリスを見てギョっとすると、一呼吸おいてから静かに話し出す。

「元気になってよかった。実は、な」

 そのライオスらしくない歯切れの悪い様子に、戦極は嫌な予感を覚えつつも、彼の話を聞き入る。

「今朝の会議での場で、おまえの処遇が決まってしまったのだ……」
「その様子から見れば大体分かるが、俺は死刑とかだったりして?」

 ライオスはその言葉に「うむぅ」と、歯切れの悪い返事で答えるが、それにフェリスが口を挟む。

「ちょっとライオス! ハッキリと言いなさいよね!!」
「は、あ、いえ。コホン……分かっている。センゴクよ、実はな――」

 先程決まった絶対遵守の王命の内容を話す。
 どうやら戦極の予想通りに、ダンジョンへ戦極の廃棄しゅうしょくが決まったようだ。
 それに「逃してはくれねぇのかよ」と、戦極は一言吐き捨てる。

「ふぅ、それでライオンマン。俺はそこで生き残れると思うかい?」

 その問にライオスは鼻筋にシワをにじませ、苦しそうに話す。

「多分……ムリだろう。だが一つ希望はある」
「希望ねぇ。ロクでもないんだろうけど、一応聞いとくよ」

 ライオスは「うむ」と頷くと、閉会した後にジョルジュと戦極の話をしたと言う。
 何とかならないかと考えるが、このままなら戦極の命は絶望的であり、確実に死ぬという結論になる。
 その原因となるのが――。

「――つまり俺が、勇者あいつらの罠よけに使われる可能性が高いってこと?」
「バーゲンはそのつもりだ。だからお前を勇者の一員としてあつかうだろう」
「そんな勝手な事をいわないでよ!! 変態さんは弱いのよ!? ライオス何とかしなさい!!」

 フェリスは驚くほど上から、ライオスを叱責する。
 その様子に戦極も驚くが、ライオスはもっと驚いたように挙動不審者のようになる。
 口をパクつきながら、視線を泳がせて壁のランプを見ながら、やっと口をひらく。

「は、ひぅ、あ……いえ、その。コホン、王命は絶対だ。それは何があってもな」
「どこを見て話しているよ! こっちを見なさい、私の目を!!」

 なんだこの状況? ライオンマンが滝みたいな汗を流しているぞ……毛皮顔のくせに。
 ちょっと面白すぎないこれ。よっぽどフェリスが怖いのか?

 まぁ分からないでもない。なにせマンティコアだしなぁ。
 あ~あ、今度はランプの点検を始めやがった。
 たくっ、四天王なんだろう? しっかりしろよライオンマン。

 っとこのままなら話が進まないな。

「まぁまぁ。フェリスの気持ちは嬉しけどさ、まずはライオンマンの話を聞こうぜ? それに――あるんだろう。希望ってやつが、な?」
「そ、そうだ! 希望があるんだ、希望がな!! ハッハッハ!」

 なにをありありと〝助かった!〟って顔して俺の肩を叩く。
 ヤツを助けたはずだが、肩が悲鳴をあげるほどの痛いんですがね?
 よし、俺の心のメモ帳に恩を仇で返すヤツと記載しとこ。

「うむ、そうなのだ! 実はな……」

 急に声をひそめはじめたライオス。
 その内容は希望にふさわしい・・・・・・・・内容であった。

「まて、まってくれよ。じゃあ何か? 俺はダンジョンで運ゲーしろって事か?」
「ウンゲー? 〝もんげー〟って叫ぶ魔物はいるが、ウンゲーは知らんなぁ」
「……やめろ、妖怪の話は俺に効くッ!! それで俺は勇者たちと一緒に、〝宝箱から解呪の札〟を探せってこと?」
「うむ、そのとおりだ。それさえあれば、クビの刻印は消え去りこの国からの支配も解ける」
「一つ聞くが、その札の発見確率は?」
「二割……いや、一割あればいいほうだ。しかも中層からしか出現しない! さらにダンジョンに挑む回数としてだ!」

 冗談じゃねぇぜ。そんな十回潜って、一割の確率しかねぇようなのに期待しろって?
 なんの冗談だよって話だよな……でも、そんなのにしか期待出来ないのが俺の現状か。
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