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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
047:わん太郎の冒険🐾~水難の章
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「あの大木は斬れるっしょ」
「うっそだ~。だってアレ直径五メートルはあるよ?」
「ほんとほんと。まぁ今は絶対に無理だけどな。気をつかっても、せいぜい細木くらいしか無理だろうな」
それに俺の中にある妖気と気力がぶつかり合い、本来の力が出せねぇ。
とは言え、無いよりはマシだ。
気力でなんとかダンジョンを生き抜く。
あとは運にまる投げってな。
解呪さえ成功すれば自由に動けるし、悲恋美琴を探しにいける。
マジ頼むぜ、この世界の神様。俺に解呪の札を引かせてくれよ!
「さてと……俺は気をできるだけ使えるように、これから瞑想にはいる。さっきの藁束くらいで、気の打ち止めでは話にならないからな」
「わかったよ変態さん。周囲の安全は私に任せておいて!」
戦極は頼むと言うと、そのまま大木の下へと移動し、あぐらをかきながら瞑想するのだった。
◇◇◇
――その頃、わん太郎と美琴は水路都市〝アッサム〟へと来ていた。
人口はこれまでの街とは比較にならないほどであり、見るからに大勢いるとひと目でわかる。
こっそりと侵入した二人は、水路都市と呼ばれるだけあって、水路の見事さに目を奪われた。
水路はよく整備されており、珍しい水車が公園へと水を引く。
その水を利用した遊具が動いているが、誰も居ないのがさみしい。
だが金魚によく似た、体の大きくなった魚が群れをつくり、水路を泳ぐのを見た二人は思わずのぞきこむ。
「『わぁ~きれ~い』」
「まっかで美味しそうだワンねぇ」
『食べちゃダメなんだよ、わん太郎』
上流より時たま白い花が流れてくるのが実に美しく、美しい魚と共に訪れたものを歓迎するようだ。
露天や商店も沢山あり、人々はそこで買い物をしているのだが……。
このアッサムの街はどこかおかしい。そう二人は思いながら街を進む。
『ねぇ、わん太郎。なにかこの街っておかしくない?』
「う~ん、ワレもなんだか変だなぁって思うんだワン」
『でしょう? なんと言うか……あ、そうか。これだけ人がいるに活気がないんだよ』
わん太郎は周囲を見回す。
確かに人はいるが誰も彼もが言葉少なげであり、下を向いて歩いている。
よく見れば商店の品揃えも悪く、開店閉業している店もちらほら見えた。
「お店の品揃えがと~っても悪いんだワン」
『そうだねぇ。あんなに広いのに、売っているのが果物が一つだけなんだよ』
そんな街の中をわん太郎は〝ぽむぽむ〟と、かわいらしい足音をひびかせ歩く。
やはりどこも不景気な様相であり、人々は顔色を悪く足早に進む。
『わん太郎、ここも戦極様の気配は感じないかな?』
「う~んいないワンねぇ……ぁ、それよりお腹へったワン」
『ソレよりじゃないんだよ!』
美琴は鞘でわん太郎の頭をコチンとする。
ぷくりと膨らむわん太郎の頭部は、いまや異世界でのトレードマークだ。
そんな涙目のわん太郎は、いきなり走り出す。
『ちょ、ちょっと! どこに行くんだよ!?』
「あっちから助けを呼ぶ声がしたんだワン!」
三叉路を右に曲がり、二メートルの水路を飛び越えてショートカット。
足元には水草が流れているが、その美しさを尻目にわん太郎は小さな足で駆ける。
やがて水路から子供が流れてくるのを発見し、わん太郎は小さな目を見開き叫ぶ。
「子供が流れているんだワン!」
『たいへん! 早く助けてあげなきゃだよ!! 近くに人は……いない。どうしよう、わん太郎』
「むむむむ……あ、そうだワン! 女幽霊ちょっと借りるんだワン!」
わん太郎は水路へ下りる階段をみつけると、そこから悲恋美琴を伸ばす。
美琴もそれを察して、鞘から妖刀が抜けないようにしっかりとホールド。
「あっぷ、助しゅけてえええええ」
「これに捕まるんだワン!」
わん太郎は悲恋美琴を小さな手でつかむと、思い切り差し出すのだった。
「うっそだ~。だってアレ直径五メートルはあるよ?」
「ほんとほんと。まぁ今は絶対に無理だけどな。気をつかっても、せいぜい細木くらいしか無理だろうな」
それに俺の中にある妖気と気力がぶつかり合い、本来の力が出せねぇ。
とは言え、無いよりはマシだ。
気力でなんとかダンジョンを生き抜く。
あとは運にまる投げってな。
解呪さえ成功すれば自由に動けるし、悲恋美琴を探しにいける。
マジ頼むぜ、この世界の神様。俺に解呪の札を引かせてくれよ!
「さてと……俺は気をできるだけ使えるように、これから瞑想にはいる。さっきの藁束くらいで、気の打ち止めでは話にならないからな」
「わかったよ変態さん。周囲の安全は私に任せておいて!」
戦極は頼むと言うと、そのまま大木の下へと移動し、あぐらをかきながら瞑想するのだった。
◇◇◇
――その頃、わん太郎と美琴は水路都市〝アッサム〟へと来ていた。
人口はこれまでの街とは比較にならないほどであり、見るからに大勢いるとひと目でわかる。
こっそりと侵入した二人は、水路都市と呼ばれるだけあって、水路の見事さに目を奪われた。
水路はよく整備されており、珍しい水車が公園へと水を引く。
その水を利用した遊具が動いているが、誰も居ないのがさみしい。
だが金魚によく似た、体の大きくなった魚が群れをつくり、水路を泳ぐのを見た二人は思わずのぞきこむ。
「『わぁ~きれ~い』」
「まっかで美味しそうだワンねぇ」
『食べちゃダメなんだよ、わん太郎』
上流より時たま白い花が流れてくるのが実に美しく、美しい魚と共に訪れたものを歓迎するようだ。
露天や商店も沢山あり、人々はそこで買い物をしているのだが……。
このアッサムの街はどこかおかしい。そう二人は思いながら街を進む。
『ねぇ、わん太郎。なにかこの街っておかしくない?』
「う~ん、ワレもなんだか変だなぁって思うんだワン」
『でしょう? なんと言うか……あ、そうか。これだけ人がいるに活気がないんだよ』
わん太郎は周囲を見回す。
確かに人はいるが誰も彼もが言葉少なげであり、下を向いて歩いている。
よく見れば商店の品揃えも悪く、開店閉業している店もちらほら見えた。
「お店の品揃えがと~っても悪いんだワン」
『そうだねぇ。あんなに広いのに、売っているのが果物が一つだけなんだよ』
そんな街の中をわん太郎は〝ぽむぽむ〟と、かわいらしい足音をひびかせ歩く。
やはりどこも不景気な様相であり、人々は顔色を悪く足早に進む。
『わん太郎、ここも戦極様の気配は感じないかな?』
「う~んいないワンねぇ……ぁ、それよりお腹へったワン」
『ソレよりじゃないんだよ!』
美琴は鞘でわん太郎の頭をコチンとする。
ぷくりと膨らむわん太郎の頭部は、いまや異世界でのトレードマークだ。
そんな涙目のわん太郎は、いきなり走り出す。
『ちょ、ちょっと! どこに行くんだよ!?』
「あっちから助けを呼ぶ声がしたんだワン!」
三叉路を右に曲がり、二メートルの水路を飛び越えてショートカット。
足元には水草が流れているが、その美しさを尻目にわん太郎は小さな足で駆ける。
やがて水路から子供が流れてくるのを発見し、わん太郎は小さな目を見開き叫ぶ。
「子供が流れているんだワン!」
『たいへん! 早く助けてあげなきゃだよ!! 近くに人は……いない。どうしよう、わん太郎』
「むむむむ……あ、そうだワン! 女幽霊ちょっと借りるんだワン!」
わん太郎は水路へ下りる階段をみつけると、そこから悲恋美琴を伸ばす。
美琴もそれを察して、鞘から妖刀が抜けないようにしっかりとホールド。
「あっぷ、助しゅけてえええええ」
「これに捕まるんだワン!」
わん太郎は悲恋美琴を小さな手でつかむと、思い切り差し出すのだった。
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