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完全開放!! 爽快バトル編
102:撤退しよう
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「やっぱ、お前たち二人は最高だぜ!!」
「きゃ!? 戦極さん。驚かさないでくださいよぅ」
「あ、いや、その!? びっくりしました……」
驚く二人の肩を抱きながら、戦極は楽しげに笑う。
桜は恥ずかしげに頬を染め、剛流は別の意味で顔をそめる。
そう、一時は戦極を見捨てて逃げ出そうとしたのだから。
だがそんな事を知らない戦極は、そのまま二人の前に出ると、深々と頭を下げた。
「本当に助かった、ありがとう!! おかげで今日まで生きてこれたのは、お前たち二人のおかげだ。この礼は必ず形として返すと約束するからな!」
「お互い様ですよ。だから私たちがピンチの時に助けてくださいよ?」
「あぁ任せておけってばよ、こう見えて結構強いんだぜ?」
「け、結構どころじゃないと思うけど。はぁ僕もガンバらないと」
「ワレも、むっちょガンバルだワンよ~」
「もぅ。食べ歩きばかりしちゃダメなんだよ?」
ハハハ。わん太郎は相変わらずだな。
まぁ桜も剛流もそんな顔をするなって。ぬか喜びさせるのも可愛そうだから今はまだ言えないが、必ず日本へと返してやるからな。
ただその日本への帰還路を開くためには、ここでは無理だ。
なんとか異超門を構築出来る場所を探さねぇと……。
「そういえば他の二人は?」
「それが実は――」
――あぁなるほどね。
まぁあの二人なら逃げだすのも分かる、が。
素人同然の二人だ。怪我なく無事だといいんだが……今は考えてもしかたないか。
それとエカテリーナの事も話しておくかね。
「――と、言うわけで俺の方も色々あったのよ。だからもう下層から戻って来るやつはいない」
「そ、そんな……エカテリーナ先生が……」
「確かに戦極さんに対する態度と、先日の訓練と称したリンチは、私も許せないと思ってはいました。だけど殺そうとしていたなんて……」
「まぁ、な。どうやらこの国には深い闇があるらしい」
桜はその言葉に「闇……」と呟きつつ、自分の首をさわる。
そこにある奴隷紋ともいえる、呪いの首輪を思い出しうつむいてしまう。
剛流も同様で、首筋を撫でながら戦極へと話す。
「せ、戦極さん。僕たちはどうなるんでしょうか。この首輪がある限り――って、無い!!」
剛流の言葉で桜は顔をあげる。そして剛流の視線の先を見て、思わず大きな声で「あ!!」と叫ぶ。
そう、戦極の首にあったはずの奴隷紋が消えていたのだから。
「戦極さんの呪いの首輪が消えている!?」
「ぼ、僕も驚いたよ。いったいなぜ……」
「あぁそれはな、そこにいる美琴とこの妖刀・悲恋が俺の元へと戻ったことで、あの程度の呪いは弾き返したのさ」
「そんな事が……」
その時だった。墓地全体の空間が振動しはじめ、地響きがはじまる。
さらにアンデッドの遺体が消え始め、おどろおどろしい景色が一変。
静謐で整然とした墓地になり、爽やかな風と青い空へと変化した。
「こ……これは一体……」
「見て剛流くん、お墓がとっても綺麗な石になっちゃったよ」
「あぁそいつはな、ここの主の仕業だろうさ。なぁ迅羽?」
すると空間から響く野太い声が全員の鼓膜に響く。
『ぐっぐっぐ。戦極よ、やっと全階層の掌握に成功した。これよりこのダンジョンを封印するのでな、外へと直接送ってやろう』
「そうか、それは助かるよ」
『なに造作もなきことよ。今後お前がここへくる用事があれば、外の大岩へと触れるがいい。お前なら扉を作って通してやろう』
「わかった、色々世話になった」
『こちらこそ、な。では開く、いでよ亜空の扉!!』
迅羽がそう言った瞬間、目の前に濃密で白い空間が出来上がる。
その柔らかい波動があふれる空間に、戦極は右手を入れて感覚を確かめながら背後を向く。
「大丈夫だ、ここから帰れる。俺の手の向こうは夏の風を感じれるからな」
「そういえば一階層も、ここも空気がちがってたよね」
「う、うん。僕もそれは感じていた」
「なら行こうぜ? 自由の始まりだ」
そう言うと戦極は白い空間へと飛び込む。
戦極の言う自由と言う意味が分からず、二人は顔を見合わせるが。
「大丈夫だよ。ほら、行こう? 迅羽が自由をくれるだよ」
「そうだワンよ~ほれぇ行くんだワン」
「オレもそう思うぞ。あの旦那は強い、しかも信頼できる。おっと、紹介がまだだったな。オレはイザークと言う冒険者だ。ヨロシクな」
いつのまにか背後にいた冒険者の男、イザークが剛流の肩に手をおき笑いかける。
そして桜は美琴に押されながら白い空間へと、全員で溶け込む。
次に桜が気が付いた時、目の前には緑地が広がり夏の熱い空気が鼻孔を抜けた。
見れば隣に剛流とイザークがおり、戦極と美琴。それにわん太郎がいない。
「――ここは? あ、帰って来れたんだ!! 剛流くん、帰って来れたよ!」
「ほ、本当だ……でも戦極さんたちは?」
「旦那がいねぇ。ん、向こうから声がするぜ」
三人は戦極を探す。
すると遠くから悲鳴と大声が聞こえ、それがここを守護する衛兵たちだとすぐにわかる。
「て、撤退するぞ!!」
「しかし副長! 撤退だなどという勝手は、エカテリーナ様に殺されますぞ!?」
「その男が生きている、それがどういう意味か分からぬのか!! ええい、馬鹿はほっておけ! 死にたくないものは着いて来い!! おまえは勝手にその男を足止めして死んどけ!!」
バタバタと騒がしい足音と共に、守護兵たちは転がるように逃げていく。
そんな状態の守護兵をアクビまじりに見送る戦極。
「ふぁ~、バーゲンに伝えておけよ~? 規格外がお礼にうかがうとな~」
「クッ、必ず伝えてやるッ! 撤退、撤退だあああ!!」
「「「ハッ!!」」」
部下を引き連れて副長が逃げていく。
そんな様子を呆れながら戦極は見ているのだった。
「きゃ!? 戦極さん。驚かさないでくださいよぅ」
「あ、いや、その!? びっくりしました……」
驚く二人の肩を抱きながら、戦極は楽しげに笑う。
桜は恥ずかしげに頬を染め、剛流は別の意味で顔をそめる。
そう、一時は戦極を見捨てて逃げ出そうとしたのだから。
だがそんな事を知らない戦極は、そのまま二人の前に出ると、深々と頭を下げた。
「本当に助かった、ありがとう!! おかげで今日まで生きてこれたのは、お前たち二人のおかげだ。この礼は必ず形として返すと約束するからな!」
「お互い様ですよ。だから私たちがピンチの時に助けてくださいよ?」
「あぁ任せておけってばよ、こう見えて結構強いんだぜ?」
「け、結構どころじゃないと思うけど。はぁ僕もガンバらないと」
「ワレも、むっちょガンバルだワンよ~」
「もぅ。食べ歩きばかりしちゃダメなんだよ?」
ハハハ。わん太郎は相変わらずだな。
まぁ桜も剛流もそんな顔をするなって。ぬか喜びさせるのも可愛そうだから今はまだ言えないが、必ず日本へと返してやるからな。
ただその日本への帰還路を開くためには、ここでは無理だ。
なんとか異超門を構築出来る場所を探さねぇと……。
「そういえば他の二人は?」
「それが実は――」
――あぁなるほどね。
まぁあの二人なら逃げだすのも分かる、が。
素人同然の二人だ。怪我なく無事だといいんだが……今は考えてもしかたないか。
それとエカテリーナの事も話しておくかね。
「――と、言うわけで俺の方も色々あったのよ。だからもう下層から戻って来るやつはいない」
「そ、そんな……エカテリーナ先生が……」
「確かに戦極さんに対する態度と、先日の訓練と称したリンチは、私も許せないと思ってはいました。だけど殺そうとしていたなんて……」
「まぁ、な。どうやらこの国には深い闇があるらしい」
桜はその言葉に「闇……」と呟きつつ、自分の首をさわる。
そこにある奴隷紋ともいえる、呪いの首輪を思い出しうつむいてしまう。
剛流も同様で、首筋を撫でながら戦極へと話す。
「せ、戦極さん。僕たちはどうなるんでしょうか。この首輪がある限り――って、無い!!」
剛流の言葉で桜は顔をあげる。そして剛流の視線の先を見て、思わず大きな声で「あ!!」と叫ぶ。
そう、戦極の首にあったはずの奴隷紋が消えていたのだから。
「戦極さんの呪いの首輪が消えている!?」
「ぼ、僕も驚いたよ。いったいなぜ……」
「あぁそれはな、そこにいる美琴とこの妖刀・悲恋が俺の元へと戻ったことで、あの程度の呪いは弾き返したのさ」
「そんな事が……」
その時だった。墓地全体の空間が振動しはじめ、地響きがはじまる。
さらにアンデッドの遺体が消え始め、おどろおどろしい景色が一変。
静謐で整然とした墓地になり、爽やかな風と青い空へと変化した。
「こ……これは一体……」
「見て剛流くん、お墓がとっても綺麗な石になっちゃったよ」
「あぁそいつはな、ここの主の仕業だろうさ。なぁ迅羽?」
すると空間から響く野太い声が全員の鼓膜に響く。
『ぐっぐっぐ。戦極よ、やっと全階層の掌握に成功した。これよりこのダンジョンを封印するのでな、外へと直接送ってやろう』
「そうか、それは助かるよ」
『なに造作もなきことよ。今後お前がここへくる用事があれば、外の大岩へと触れるがいい。お前なら扉を作って通してやろう』
「わかった、色々世話になった」
『こちらこそ、な。では開く、いでよ亜空の扉!!』
迅羽がそう言った瞬間、目の前に濃密で白い空間が出来上がる。
その柔らかい波動があふれる空間に、戦極は右手を入れて感覚を確かめながら背後を向く。
「大丈夫だ、ここから帰れる。俺の手の向こうは夏の風を感じれるからな」
「そういえば一階層も、ここも空気がちがってたよね」
「う、うん。僕もそれは感じていた」
「なら行こうぜ? 自由の始まりだ」
そう言うと戦極は白い空間へと飛び込む。
戦極の言う自由と言う意味が分からず、二人は顔を見合わせるが。
「大丈夫だよ。ほら、行こう? 迅羽が自由をくれるだよ」
「そうだワンよ~ほれぇ行くんだワン」
「オレもそう思うぞ。あの旦那は強い、しかも信頼できる。おっと、紹介がまだだったな。オレはイザークと言う冒険者だ。ヨロシクな」
いつのまにか背後にいた冒険者の男、イザークが剛流の肩に手をおき笑いかける。
そして桜は美琴に押されながら白い空間へと、全員で溶け込む。
次に桜が気が付いた時、目の前には緑地が広がり夏の熱い空気が鼻孔を抜けた。
見れば隣に剛流とイザークがおり、戦極と美琴。それにわん太郎がいない。
「――ここは? あ、帰って来れたんだ!! 剛流くん、帰って来れたよ!」
「ほ、本当だ……でも戦極さんたちは?」
「旦那がいねぇ。ん、向こうから声がするぜ」
三人は戦極を探す。
すると遠くから悲鳴と大声が聞こえ、それがここを守護する衛兵たちだとすぐにわかる。
「て、撤退するぞ!!」
「しかし副長! 撤退だなどという勝手は、エカテリーナ様に殺されますぞ!?」
「その男が生きている、それがどういう意味か分からぬのか!! ええい、馬鹿はほっておけ! 死にたくないものは着いて来い!! おまえは勝手にその男を足止めして死んどけ!!」
バタバタと騒がしい足音と共に、守護兵たちは転がるように逃げていく。
そんな状態の守護兵をアクビまじりに見送る戦極。
「ふぁ~、バーゲンに伝えておけよ~? 規格外がお礼にうかがうとな~」
「クッ、必ず伝えてやるッ! 撤退、撤退だあああ!!」
「「「ハッ!!」」」
部下を引き連れて副長が逃げていく。
そんな様子を呆れながら戦極は見ているのだった。
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