【完結🍺釣り無双】異世界最強の島を釣り上げると、もふもふ+虐げられた聖女×お侍=SSSランクまでHITした結果が激ヤバだった件

竹本蘭乃

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028:プライベートビーチと爆睡子狐

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 ◇◇◇

「おぉ……あらためて見るとスゲェ光景だよな。南国リゾートのプライベートビーチって感じで、雰囲気が最高だな」
『ここへ来たのですか?』
「まぁな。誰か居ないかと思って島を一周した時に見つけたんだけど、その時は余裕なくて素通りしただけだったんだ」

 朽ちた社から歩いて子供の足で四十分ほどで、湾になっている場所を再発見。

 大人の足ならもっと早いのにと、あらためて子供ボディに舌打ちしつつ崖の上からそこを目指す。
 神釣島の外周部分でも、特にココは特別な地形だ。

 近づくにつれて、その美しさに息を呑む。
 白を超えた純白の砂浜を、やさしく撫でる小さな波。

 冗談みたいに透明度が高い、オーシャンブルーの涼やかな水面みなもから覗く、これぞ色・・・・と思えるほどのビビットな魚の群れ。

 海岸へ降りると人工物みたいな岩が、船着き場のように沖へと伸びていて、ここはいい釣り場になりそうだ。
 さらに振り返ると、つるりとした岩肌が見えている。

 その一部から滝が流れ落ち、滝つぼが天然のプールになっていた。
 透明度の高いエメラルドグリーンのプールに、太陽光が岩肌に反射してそこもまた幻想的だ。

 周囲にはヤシに似た木々が生い茂り、心地よい日陰が潮風を肌になじませてくれる。
 その木々の周辺には、サフィニアに似た色とりどりの花が咲きみだれ、甘い香りで熱烈に俺たちを歓迎してくれた。

「近くで見ると色々と凄いな……」
『確かにすごい景観ですね。主の故郷の価値観からすれば、子供は五千円。大人は三万八千円で入場できるレベルですね』

「せっかくの感動を円換算で言うのやめていただけますぅ?」
『失礼。乳児は無料です』
「棺桶に片足突っ込んだ山爺も、無料にしてほしいのですが?」

 なんて棒っ切れだ。
 こんな素晴らしい景観を商売にしようだなんて!
 とはいえ、あの船着き場っぽい場所は管理釣り場にしたら儲かりそうだな……うへへ。

『……ご存知ですか? 類は友を呼ぶといいます』
「いやあああ!? 俺の汚れた心をみすかなさいでえええ!!」

 なんてヤツだ。
 俺の心のほぞを見透かすとは……恐ろしい子ッ!?
 そんな相棒に戦慄していると、『顔に出ていますし』と呆れられた。解せん。

「さて、オチもついたし本題だ。ここを拠点にしようと思うんだけど、どうよ?」
『セルフでオチをつけていただかなくても、私がつけましたものを。とはいえ、確かにここは良い条件が整っていますね』

「だろう? 後でおまえに判断してもらうけどさ、当面の水はあの岩から染み出している水があるし、ダメならヤシの実みたいなのも豊富にあるしな」
『まずは食事ですか。食材も豊富にありそうですし、何からいきます?』

 そこだ。流石に連続してのルイベは飽きる。
 ここは文明的に火を使って調理したいが、火を起こす道具がない。ん? いやまてよ。釣り糸を焼き切るのにライターがあったはずだ。

「ライフジャケットを持ってきて正解だったな。ポケットの中に……あったあった」
『火種は丁度いいものがありますよ。それから火種を大きくするのに、適した木片もありますね』

 相棒が先をしならせて指す方向。
 そこにはヤシの木に似た木の幹に、モフッとまとわりつく糸状の繊維せんいがある。

「お、アレは種火に最高だよな! ヤシの木に似た……ええい面倒だ。この際似たやつは地球呼びにしよう」
『ですね。オリジナルの名前をつけても覚えるのに面倒ですから、主がわかりやすい名称がよいかと』

 相棒もそういうし、「うし! じゃあアレはヤシの木な!」と言いながらヤシの木へと歩く。
 想像以上に細い繊維がからまっていて、それを手でむしってみる。

 するとトロロ昆布を引き裂いたのと似た感触で、〝めそっぅ〟と抜ける。気持ちいい♪

 その快感がたまらなく、めそめそめそっぅと高速で抜きまくると、相棒がなにやら呆れた声で話す。

『……主、もうそのあたりでよいのでは?』
「あ!? 思わずくせになる手触りで夢中になった」
『まったく仕方ない主ですね』

 スミマセンデシタと水たまりより深く反省をしつつ、次は火種を大きくする物を探す。
 あたりを見渡すと丁度いい物があり、そこへと小走りで向かう。


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 おしらせです!
 第一話の上に、もう一話追加しました。
 よろしければお楽しみください(´ω`)

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