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055:呪力と妖力
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「だい……じょうぶです。たまに起きる発作みたいなものです、から」
「大丈夫なワケないだろう!? すっごく苦しそうだぞ!」
「そんなに心配しないでくださいよ。ほら……へいきへいき」
アリシアは片足で立ち上がり、両手でバランスを取る。
が、また顔が痛みだし、「うッ」と一言噛み殺すと、バランスを崩して滝つぼへと落下。
「チッ、相棒!!」
『承知!!』
相棒をとっさに動かし、落下寸前のアリシアに、釣り糸を絡ませてから引き上げる。
「ふぅ~あぶねぇ。ほら、無理するからそうなるんだぞ?」
「ッ……ごめんなさい」
苦痛になお顔を歪めるアリシア。
どうしたものかと考えていると、アリシアの周りをウロウロしている、わん太郎へと聞いてみる。
「困ったな。あ、そうだ。わん太郎は氷とか出せる?」
するとやはりと言うか、「まかせるんだワン!」と言いながら氷を瞬時に作り出す。やっぱりただの駄犬じゃないらしい。
「よし、じゃあ次は……アレを使うか」
相棒を手に、ゴッド・ルアーを五グラムの金属小魚にして、近くのヤシの枝へと投げる。
そこから細く柔らかい部分だけを狙い、魔釣力で整形しながら〝スキル:変態的な器用さ〟で一気に具現化した物を抜き取る。
「よし、コイツなら使えるだろう」
『それは袋ですか?』
「そう、ヤシの葉っぱ繊維を使って作ったものだ。耐久力はそんなに無いとは思うけど、こいつに氷を入れてアリシアの顔に当ててやろう」
するとわん太郎がすぐに細かくしてくれて、袋の中へと詰めてくれる。
以外と弾力性のある不思議な袋だったが、それをそっとアリシアへとあてがう。
「ぅぅ……あれ? 痛みが引いていく? え、うそ。楽になっちゃった……」
驚くアリシアだったが、その種明かしをする。
「よかった~うまくいったか」
「これは一体……何をしてもムダで、痛みが収まるまで我慢するしかなかったのに」
「さっき相棒はその痛みの原因は呪いだって言ったよな?」
『ええ。魔力じゃなく呪いだと言いましたが、それがどうして氷袋で?』
「そこだよ。最初に相棒はその力を魔力と勘違いしただろ? それって、呪力も似たような感じかと思ったんだよ」
「なるほど、読めてきました。根っこは同じモノだと仮定して、主の力である魔釣力をぶつけたのですね?」
それに頷き「そのとおり!」と応える。
「ただ何の確証もない思いつきだったからさ、似たような力を相殺させたんじゃなく――」
アリシアの顔から袋を離して、全員に見えるように掲げる。
すると顔に当ててあった部分の色が変色し、黒いウロコ状の後が見えた。
「――この袋に呪力を一時肩代わりしてもらったのさ」
「そ、そんな事ができるだなんて聞いたことがありません! ヤマトさんはいったい……」
驚くアリシアを尻目に、相棒は竿先で頷きながら答えを話す。
『そうでしたか。魔釣力でいじった布を、呪力を吸うように具現化したのですね?』
「正解。ただアリシアの顔を見て思ったんだよ。多分吸ったら袋が呪力に耐えきれずに燃えるだろうって。そこで、わん太郎の怪しげな氷の出番ってわけ」
不思議そうに「んぁ? ワレの氷は妖力で作ったんだワン」と言う。
「やっぱりな。コテージを作り終わってから分かるようになったんだけど、なんつぅか、力の流れ? みたいなのが分かるようになった」
『そんな事まで……』
「まぁな。それで思ったのさ、俺の袋で吸いきれないやつは、わん太郎の妖気っての? その力が近い気がしたから、それなら相殺できんじゃねぇかって」
「たしかにぃ~それなら同じ闇の力だからして、ワレの力と相殺出来そうだワン」
「そう。でも顔だろう? もし怪我しちゃいけないからと思って、俺の作った袋で力を弱めてから、わん太郎の力と相殺させたってワケ。完璧っしょ?」
そうドヤってみせたが、全員素直にうなずいていた。なんだろうか……もっとこう、ヤジってほしい。
「大丈夫なワケないだろう!? すっごく苦しそうだぞ!」
「そんなに心配しないでくださいよ。ほら……へいきへいき」
アリシアは片足で立ち上がり、両手でバランスを取る。
が、また顔が痛みだし、「うッ」と一言噛み殺すと、バランスを崩して滝つぼへと落下。
「チッ、相棒!!」
『承知!!』
相棒をとっさに動かし、落下寸前のアリシアに、釣り糸を絡ませてから引き上げる。
「ふぅ~あぶねぇ。ほら、無理するからそうなるんだぞ?」
「ッ……ごめんなさい」
苦痛になお顔を歪めるアリシア。
どうしたものかと考えていると、アリシアの周りをウロウロしている、わん太郎へと聞いてみる。
「困ったな。あ、そうだ。わん太郎は氷とか出せる?」
するとやはりと言うか、「まかせるんだワン!」と言いながら氷を瞬時に作り出す。やっぱりただの駄犬じゃないらしい。
「よし、じゃあ次は……アレを使うか」
相棒を手に、ゴッド・ルアーを五グラムの金属小魚にして、近くのヤシの枝へと投げる。
そこから細く柔らかい部分だけを狙い、魔釣力で整形しながら〝スキル:変態的な器用さ〟で一気に具現化した物を抜き取る。
「よし、コイツなら使えるだろう」
『それは袋ですか?』
「そう、ヤシの葉っぱ繊維を使って作ったものだ。耐久力はそんなに無いとは思うけど、こいつに氷を入れてアリシアの顔に当ててやろう」
するとわん太郎がすぐに細かくしてくれて、袋の中へと詰めてくれる。
以外と弾力性のある不思議な袋だったが、それをそっとアリシアへとあてがう。
「ぅぅ……あれ? 痛みが引いていく? え、うそ。楽になっちゃった……」
驚くアリシアだったが、その種明かしをする。
「よかった~うまくいったか」
「これは一体……何をしてもムダで、痛みが収まるまで我慢するしかなかったのに」
「さっき相棒はその痛みの原因は呪いだって言ったよな?」
『ええ。魔力じゃなく呪いだと言いましたが、それがどうして氷袋で?』
「そこだよ。最初に相棒はその力を魔力と勘違いしただろ? それって、呪力も似たような感じかと思ったんだよ」
「なるほど、読めてきました。根っこは同じモノだと仮定して、主の力である魔釣力をぶつけたのですね?」
それに頷き「そのとおり!」と応える。
「ただ何の確証もない思いつきだったからさ、似たような力を相殺させたんじゃなく――」
アリシアの顔から袋を離して、全員に見えるように掲げる。
すると顔に当ててあった部分の色が変色し、黒いウロコ状の後が見えた。
「――この袋に呪力を一時肩代わりしてもらったのさ」
「そ、そんな事ができるだなんて聞いたことがありません! ヤマトさんはいったい……」
驚くアリシアを尻目に、相棒は竿先で頷きながら答えを話す。
『そうでしたか。魔釣力でいじった布を、呪力を吸うように具現化したのですね?』
「正解。ただアリシアの顔を見て思ったんだよ。多分吸ったら袋が呪力に耐えきれずに燃えるだろうって。そこで、わん太郎の怪しげな氷の出番ってわけ」
不思議そうに「んぁ? ワレの氷は妖力で作ったんだワン」と言う。
「やっぱりな。コテージを作り終わってから分かるようになったんだけど、なんつぅか、力の流れ? みたいなのが分かるようになった」
『そんな事まで……』
「まぁな。それで思ったのさ、俺の袋で吸いきれないやつは、わん太郎の妖気っての? その力が近い気がしたから、それなら相殺できんじゃねぇかって」
「たしかにぃ~それなら同じ闇の力だからして、ワレの力と相殺出来そうだワン」
「そう。でも顔だろう? もし怪我しちゃいけないからと思って、俺の作った袋で力を弱めてから、わん太郎の力と相殺させたってワケ。完璧っしょ?」
そうドヤってみせたが、全員素直にうなずいていた。なんだろうか……もっとこう、ヤジってほしい。
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