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089:羽卵
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「あうぅぅぅ……ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「ア、アリシアアアア!!」
その瞬間、アリシアの胸の中から光る石――聖石がむき出しに現れ、莫大な神気を放つ。
「くくく……あ~っはっは! 喜びなさい。今、大罪人アリシアは汚れを払いました」
「どういう意味だ!?」
「神へ力を返盃したのですよ。アリシアは稀代の聖女……つまり認めたくはないが、大聖女というほどの力があります。その力を暴走させ、神の力を借りるのです」
『主、先程アリシアが言っていた、聖女の力をフルバーストさせてと言うのはこの事では?』
「……ッ!? 島に結界を貼るとかって言ってやつか!!」
「なんと。自分でこの状態になってまで、島を守りたかった、と? 偽善者め、ヘドが出る!!」
「オマエが言うな、エセ宗教家が!!」
「ふん、なんとでも吠えるがよいです。しかし使われなくてよかった。もっとも自分しか出来ないと思っていたのが、やはり神の采配といったところですかね」
「オマエ! アリシアに何をした!?」
「まぁ見ていれば分かります。ほら、始まった」
まばゆい光を周囲に放つ白い聖石が、白いバラの花に似た形状になる。
そこから青金の光が輝きだし、白バラがアリシアの体から血管を付けたまま浮き上がった。
次の瞬間、アリシアの体が純白の羽に覆われ、その羽にも血管が浮き出ていた。
驚くことにそれは勢いよく体積が増えだし、近くの死体まで取り込んでいく。
「ははは、あさましい。悪女に相応しい最後というもので――ッ! な、や、やめなさい!! こっちに来るギャアアアア!!」
すぐ側にいたゲスダーに生々しい羽が覆いかぶさる。
瞬間、ゲスダーは羽と一体になり、溶けて吸収されてしまう。
徐々に広がる不気味な天使の羽は、一気に収束して一つの羽の繭となった。
「アリシア……」
『ほけている場合じゃないですぞ、内部より急速に圧を感じます!』
「ッ!? 本当だ、この感覚は……アリシア……いや、違う。そうだけど違うのを二つ感じる」
自分でも何を言っているのかが分からない。
が、確実に言えることがある。
あの白い羽の繭の中に、三つの息吹を感じると。
それがなんだか分からないまま、見守ることしか出来ない。
やがてその時が来た。
羽の繭のてっぺんから徐々に羽が剥がれ落ち、それが急速に広がって行くとついにソレが見えた。
まず見えがのが、直径五メートルはある巨大な中性的な天使の顔。
当然、ギャグみたいな青色のエンジェルリングも付いている。
だが問題はそこからだった。
その頭が上にムクリと上に昇り、その下から胴体が出てくる。
無邪気な表情に似合わず、胴体は怠惰ともいえる、太った肉塊。
短い手足をバタつかせ、背中には生々しい羽を生やした天使がそこに居た。
「な……なんだよあれは……」
『主よ。心して相手なさいませ。あれは第七位にして権天使――プリンシパリティ級です』
「おいおい、冗談だろ? 天使とかいるのかよ」
『います、目の前にね。しかも受肉している特殊個体です』
「受肉? って、まさかアリシアなのか!?」
『いえ、そうなのですが……いや、ゾンビ娘の気配はするのですが、あの権天使は何かがおかしい』
そう言われると確かにおかしな気配を感じた。
「確かに変だ。虚ろと言うか、無理やり主人格を封じて、誰かがのっとっているような……」
そう呟いた時だった。
権天使の額がうごめきだし、そこから上下逆さまの男――ゲスダーの顔が出てきた。
「ア、アリシアアアア!!」
その瞬間、アリシアの胸の中から光る石――聖石がむき出しに現れ、莫大な神気を放つ。
「くくく……あ~っはっは! 喜びなさい。今、大罪人アリシアは汚れを払いました」
「どういう意味だ!?」
「神へ力を返盃したのですよ。アリシアは稀代の聖女……つまり認めたくはないが、大聖女というほどの力があります。その力を暴走させ、神の力を借りるのです」
『主、先程アリシアが言っていた、聖女の力をフルバーストさせてと言うのはこの事では?』
「……ッ!? 島に結界を貼るとかって言ってやつか!!」
「なんと。自分でこの状態になってまで、島を守りたかった、と? 偽善者め、ヘドが出る!!」
「オマエが言うな、エセ宗教家が!!」
「ふん、なんとでも吠えるがよいです。しかし使われなくてよかった。もっとも自分しか出来ないと思っていたのが、やはり神の采配といったところですかね」
「オマエ! アリシアに何をした!?」
「まぁ見ていれば分かります。ほら、始まった」
まばゆい光を周囲に放つ白い聖石が、白いバラの花に似た形状になる。
そこから青金の光が輝きだし、白バラがアリシアの体から血管を付けたまま浮き上がった。
次の瞬間、アリシアの体が純白の羽に覆われ、その羽にも血管が浮き出ていた。
驚くことにそれは勢いよく体積が増えだし、近くの死体まで取り込んでいく。
「ははは、あさましい。悪女に相応しい最後というもので――ッ! な、や、やめなさい!! こっちに来るギャアアアア!!」
すぐ側にいたゲスダーに生々しい羽が覆いかぶさる。
瞬間、ゲスダーは羽と一体になり、溶けて吸収されてしまう。
徐々に広がる不気味な天使の羽は、一気に収束して一つの羽の繭となった。
「アリシア……」
『ほけている場合じゃないですぞ、内部より急速に圧を感じます!』
「ッ!? 本当だ、この感覚は……アリシア……いや、違う。そうだけど違うのを二つ感じる」
自分でも何を言っているのかが分からない。
が、確実に言えることがある。
あの白い羽の繭の中に、三つの息吹を感じると。
それがなんだか分からないまま、見守ることしか出来ない。
やがてその時が来た。
羽の繭のてっぺんから徐々に羽が剥がれ落ち、それが急速に広がって行くとついにソレが見えた。
まず見えがのが、直径五メートルはある巨大な中性的な天使の顔。
当然、ギャグみたいな青色のエンジェルリングも付いている。
だが問題はそこからだった。
その頭が上にムクリと上に昇り、その下から胴体が出てくる。
無邪気な表情に似合わず、胴体は怠惰ともいえる、太った肉塊。
短い手足をバタつかせ、背中には生々しい羽を生やした天使がそこに居た。
「な……なんだよあれは……」
『主よ。心して相手なさいませ。あれは第七位にして権天使――プリンシパリティ級です』
「おいおい、冗談だろ? 天使とかいるのかよ」
『います、目の前にね。しかも受肉している特殊個体です』
「受肉? って、まさかアリシアなのか!?」
『いえ、そうなのですが……いや、ゾンビ娘の気配はするのですが、あの権天使は何かがおかしい』
そう言われると確かにおかしな気配を感じた。
「確かに変だ。虚ろと言うか、無理やり主人格を封じて、誰かがのっとっているような……」
そう呟いた時だった。
権天使の額がうごめきだし、そこから上下逆さまの男――ゲスダーの顔が出てきた。
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