俺がラスボスになった件

浅葱凍夜

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訓練と食事とお嬢様!?

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楓は全員にリストバンドを渡した。それを手首と足首に付けさせた。

「これ重いね」
「これで力をつけるってことか?」
「力だけじゃない。動いてみろ」

言われた通り康介は歩こうとしたが、動かない。それどころか膝をついてしまった。

「なんだこれ?ただの重りじゃないぞ」
「本当だ。全然動かない」
「それをつけて普通に動けるようになれ。どうしても外したい時は俺に言え」
「楓君」
「なんだもうギブか?」
「お手洗いの時とかも?」
「ああ、女子は外していい。つけたままでも良いならそのまましな」
「これ、何キロあるの?」
「さぁな。それはただ重いだけじゃない。それがわからんとずっと動けんからな」

楓はそう言ってどこかに言った。康介達はしばらく動けなかったが、会長の洋子が
何かに気づいた。

「なるほど。これは効くわね」
「会長、何かわかったんですか?」
「多分ね。これ、能力で作られてるっぽいからもしかしたらって思ったけど
正解したみたいね。能力の力を出せば動くわ」
「本当だ。でもこれって」
「うん。ずっと力を出しておかないと倒れるかも」
「すぐに限界が来そう」
「それを超えろって事なのか」

洋子が少しずつ使い方を理解し、それを全員で行動する。そうして夕方になり
洋子達はどうにか旅館に戻ってきた。一人部屋にいた楓に報告した。

「使い方はわかったみたいだな。ま、それで戦えるなら予選ぐらいは勝てるだろ」
「予選ぐらいって、予選も本戦並みにきついと思うわよ」
「それはお前ら次第だ」
「そうかもしれないが、俺は君の力を見てみたいんだが」
「俺の?」
「ああ。あの時もそうだが、一年でしかも無名、ランクDの君がどうして
あんなことができたのかが不思議でね」
「ならずっと不思議に思っててください。俺は戦わないんで」
「どうして?一回でも試合に出れば公式だから成績も上がるのに」
「そんなのに興味はない。団体なら先に三勝した方が勝つからな。お前らが
勝てば俺の出る幕はない」
「それができれば良いけどね」
「できるまで訓練は続ける。今から行くぞ」
「今から?行くってどこに?」

楓は沙苗に許可をもらってあるのでそれを伝えてから康介達を連れ出した。
楓が向かったのは焼肉店だった。

「ここで食べるの?旅館でもあったのに」
「学校の経費で食えるからな。それを利用しない手はない。旅館のじゃ量が
少ないからな」
「少なくないと思うけど、タダで食べれるならそれでも良いかな」
「そうだね。せっかくだし食べようよ」
「私はあまり食べれないけど」
「俺はそこそこだな」

そうして席について、楓がタブレットで注文をする。そして、やって来たのは
メニュー表に載っていた商品全部だった。

「か、楓君頼みすぎじゃ」
「全員でも食べきれないんじゃ」
「食べるまで帰さんぞ。まぁ半分以上は俺がいただくけどな」
「半分以上って」

言葉通り、楓は誰よりも食べた。康介達は一応普通に食べるが、楓がどんどん追加
してしまい、康介以外の女子メンバーは全員倒れた。

「やりすぎじゃないか?」
「これぐらいしないと体はできんぞ」
「もしかして食べて体を作るってことか?」
「そういうことだ」

旅館に戻り、復活した亜美達に康介が事情を説明する。楓はどこかに行っていた。

「先生」
「なんだ渋谷」
「いくら経費でも彼だととんでもない額になるんじゃ」
「まぁそうだが、あいつは経費以外は自分で出すからな。問題ない」
「そうですか。でも、どうして楓君はあんなに食べれるんだろ。体は瀬戸先輩
より細いのに」
「細い奴の方が食べるのはよくあるが、あいつもその類なのかもな」
「それは違うかな」
「違うんですか先生」
「ああ。あいつはかなり特殊な奴だ。全部は言わなかったが、あいつは危険だ」
「危険って、ただの学生なのに」
「ただのじゃない。何かはわからないが、気をかけてた方がいいかもな」
「それでその本人はどこに言ったのかしらね」

楓は出かけていた。向かったのは飲食店だった。

「ここで最後にするか」

今日の締めをラーメンにする事にした楓。席につき、注文する。そうして食べ始めて
数十分程がすぎた。他の客達は驚いていた。楓は永遠と食べ続けていて、もう
全部のメニューを食べ終えようとしていた時、楓の横に制服を着た女の子が座った。

するとその女の子も一人なのにたくさん注文していた。

腰まである長い金髪。スタイルは良いが豊満な胸をしていて、いかにも美少女な
感じの女の子だ。その子も楓の様にたくさん注文し、それを苦しんだりする事
なく食べ続けていた。楓もまた注文をし、時間まで食べ続けた。

先に店を出たのは楓だ。もちろんギブアップではなく店の商品を全て食べた
からだった。その後に彼女も店を出てその子が楓に声をかけた。

「あの」
「なんだ?」
「よかったら別の店に行きませんか?男女でいくと安くなる所があって」
「別にかまわんぞ。金は出さんがな」
「大丈夫です。ただ、食べるなら安いに越したことはないと思っただけ
なので」
「そうか」

二人はその店に向かった。そこでも彼女は楓並みに食べた。食べ終えた二人は
公園で休憩する事にした。ベンチに座り、楓が飲み物を買って彼女に
渡した。

「ありがとう。奢ってくれるの?」
「出してもらえるならもらうが」
「奢ってくれてありがとう」
「良い性格だ」

楓も座りジュースを飲む。少ししてから彼女が話始めた。

「今日はありがとう。よく、知らない私と一緒に行ってくれましたね。もしかして
体目当てですか?」
「そんなのに興味はない。他人より飯の方が最優先だ」
「そうですか。それならまた一緒に食べに行きませんか?今度は私が奢ります」
「それなら遠慮なく行くぞ」
「面白いですね。テレビで見た感じとは違うわね」
「テレビ?」
「ええ。あなた有名ですよ。あの事件で。まぁそれで声をかけたわけじゃない
ですけど」
「ああ。わかってる。それじゃ俺は戻る。ここには合宿で来てるんでね」
「そうなんですか。それじゃいる間にまた連絡しますね。これ、私の名刺です。後で
見てくださいね」

楓は名刺をもらった。そこには和泉裕奈(いずみゆうな)と書かれていた。しかも
全国でも有名なお嬢様学校でもある白金台女子第一高等学園の名前も書かれていた。

「なるほど。もっと言っとくべきだったな」

楓はジュース一つ奢って損したと悔やんだ。そうして合宿をしている間に、裕奈と
食事に行く事が増えた。彼女はこの近くにも家があるみたいなので彼女は楓と
一緒に行くことができていた。

その彼女とラーメンを食べ終えてからある事を楓に話した。それは試合をして
ほしいという話だった。

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