俺がラスボスになった件

浅葱凍夜

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刀と鞘と美女

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朝、旅館の部屋で楓は裕奈に言われた事を沙苗に話した。

「本当にあの白金台とするのか?」
「ああ。本人から言われたからな。どうする?決めるのはあんただ」
「まぁ勝ち上がればいずれは戦う相手だからな。今のお前達が
どこまでできるのかも見たいからな。良いだろう。試合を受け入れると
伝えてくれ」
「了解」

楓はすぐに裕奈に連絡した。そうして彼女達との試合が決まった。

次の日曜日に場所は相手の白金台で行われる。それまでに楓は
康介達を鍛えた。

試合当日になり、楓達は白金台に向かう。一時間ほどで到着するがその
校舎に驚いた。いかにもお嬢様学校という感じで、どこも豪華な作り
になっていて、そこの生徒達も品があり別世界みたいだった。

楓達は校門の前で待っていた。そこに裕奈がやってきた。

「お待たせしました」
「お前、本当に和泉か?」
「そうですけど?」
「まぁいいか。それでどこに行けばいい?」
「今から案内しますねってあの、後ろの方々大丈夫ですか?」
「気にするな」

裕奈が気になったのは後ろでだるそうにしている康介達だった。楓は
普通に裕奈についていく。体育館に到着し、更衣室に案内される。

「それじゃ一時間後に」
「ああ」

裕奈が行ってからも康介達はあまり動かなかった。

「ほら!いつまでだらけてるつもりだ?シャキッとしろ」
「そう言われても」
「うん。こんな状態で試合なんて」
「朝霧どうする?」
「仕方ない」

康介達に何かをした楓。それから時間になり体育館に向かった。中に入ると、そこには
見学をしている選手以外の生徒が多くいた。

「休みなのにこんなに生徒が」
「こんな大勢の中で試合を」
「良い機会だ。大会はどこもこんな風に客は多い。そういうのにも慣れないとな」
「朝霧君は慣れてるの?」
「俺は客なんてどうでもいい。試合もしないしな」

楓はこの試合にも参加はしない。登録はしているが、大将のポジションに
いる。少しすると裕奈達がやってきた。その姿に他の生徒が歓喜する。

両生徒が中央に並ぶ。その横で先生達も挨拶をしていた。

「今回はうちの生徒からの誘いに対応していただき、ありがとうございます。私が
この子達の顧問をしている荒井円(あらいまどか)ですよろしく」
「こちらこそよろしく。佐々木沙苗です。まさか、西東京最強の学園と試合
できるなんて思っても見ませんでしたよ」
「そうですね。ただ、あの和泉が気になったらしいですからね。私も見てみた
と思ってます」
「そうしたいのですが、あいつは試合には出ないんですよ」
「でも、大将にはなってますよね?」
「ええ。その前に多分こちらが負けるとわかってるみたいだから。自分は
出ないと言ってるので」
「そこまで見通せれるのですか。一年生なのに」
「ええ。あいつは私にもわからない事だらけですので」

二人は楓に視線を送る。その楓は裕奈と話していた。

「今日はよろしくね楓君」
「俺は出ないけどな」
「出させて見せるわ。これは公式じゃないからね」
「そうか」

双方の選手が握手をし、元の位置に戻る。ステージの方に電光掲示板があり
そこに両選手のステータスなのが映し出される。

時間になり、試合が始まる。団体戦では先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と
あり、先に三勝した方が勝ちだ。公式では制限時間があり、三十分まで
となっている。その間に決着がつかなければ引き分けだ。

「じゃぁ行って来い霧沢」
「うん。行ってくる」

楓達の先鋒は霧沢亜美だ。訓練中、誰より楓に色々教えてもらっていたので
先手を取る為に亜美にした。

その亜美の相手となる白金台の先鋒は綾瀬雅(あやせみやび)だ。長い黒髪に
腰には刀を持っている。制服の上から羽織を着ていていかにも和風美人な
感じの女子生徒だ。ちなみに彼女は二年生だ。

「よろしくね雅」
「任せてもらおう。必ず先手を取る」

二人が中央に立ち、挨拶をする。

「よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。君を Dランクとは思わないよ。だから初めから
全力で行かせてもらう」
「こっちもそのつもりです。それじゃ始めましょう」

掲示板でカウントダウンが始まった。そして、ゼロになり試合が始まる。

それと同時に二人が衝突した。その衝撃はすごく体育館全体が揺れた。それを
見て白金台の生徒達は一瞬で雅が勝ったと思ったが亜美は倒れていなかった。
ちなみに雅のランクはAだ。そのAランクの攻撃に Dランクの亜美が耐えたのだ。

「驚いたな。私はいつもこれで決めてるんだが」
「そうですか。なら次は私から行きます。サイクロン」
「!?風の能力か」

亜美が台風の様な風を出し攻撃する。その風に押される雅だが途中で止まる。

「すごい風だ。しかも、ただの風じゃない。かまいたちの様な刃になって
体を切り刻んでくる」
「そうです。防御してもダメージは受けますよ。さぁどうしますか?」
「それなら吹き飛ばすだけ」

雅は刀を前に出しそのまま振りかざした。すると風が上空に巻き上げられる様に
なり、そして消え去った。

「あの風をかき消した!」
「しかも、能力も使ってないな」
「あの刀がすごいのかそれとも」

楓達も驚いていた。一番驚いてるのは亜美だ。

「今のが消されるなんて。やはりAランク」
「君も相当だよ。もしかしてAランクぐらいの力があるんじゃないのか?」
「そこまではないです。まだ」
「まだか。先が楽しみだ。君にはぜひ私と同じランクになってもらいたい。だから
私の本気を見せてあげよう」

そう言って雅は目を閉じた。その間に攻撃はできるが亜美はしなかった。いやしても
効かないのはわかっていたからだ。

そして、雅の体から能力が解放され鞘から刀を抜き出した。
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