俺がラスボスになった件

浅葱凍夜

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次鋒戦!炎の洋子対結界の杏

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館内が騒然としていた。雅が刀を抜いたからだ。大会でもあまり抜かずに勝っているので
それを見るのは珍しかった。さらにその刀からは雪の様なのがチラチラ舞っていた。

「細雪。私のこれを抜かせた事、光栄に思っていい」
「そうですか。それなら素直に喜びましょう。でも、たとえそれを使っても私が勝ちます」
「意外と自信があるんだな。なら見せてもらう。まずは小手調だ。行くぞ、氷結乱舞」
「!?」

真っ直ぐ向かってきた雅だが、あまりに早くて亜美は見えなかった。しかもすぐに
その斬撃を受けていた。雅の攻撃を見えてる者は少なかった。

「流石に早いな」
「そうですね。あの速さでどんな強敵も瞬時に倒してきましたから」

裕奈達も何度も見た事はないので珍しいそうに見ていた。その攻撃を受けている
亜美もかなりダメージを喰らっていた。

(流石にまずいな。早くて見えない。でも、まだ勝機はある。彼女が気がつかなければ)

亜美は何かを企んでいた。その為に今は攻撃を耐えていた。それに何か違和感を
雅は感じた。

(なんだ?まだ倒れない。そこまで守りがあるとは思えない。この風で守ってる?)

雅はまだわかってないが、その違和感を探るように攻撃を続けた。そうして攻めていた
雅にも少しずつ異変が現れた。他の者には気づかないが、本人は体力がなくなって
行っている事に気づいた。

「これは、まさか」
「気づかれたかしら」

その言葉に雅が亜美から離れた。他から見たらもう少しで倒せそうな所だったのに
それをしなかったのでおかしいとざわついた。

「雅、どうしたのかしら?」
「そうね。あのまま決めれたのに」
「気づかないか?雅の方が体力を奪われてるのに」
「!?」

白金台のメンバー達が雅を見て気づいた。何故か攻めていた雅が息を切らしていた。ダメージは
亜美の方が受けているが。

「これは、風のせいか?」
「そうです。私の周りには常にこの風があります。風の中では息がしづらいんです。その
中でいくら早くてもそこにいたら息が続かなくなります。まぁ先に私が倒れそうでしたけど」
「なるほど。今までも風の能力とは戦ってはきたが、そんな使い方は初めてだよ。しかも
練習試合でしてくれるとわね」
「練習に本気でやれない人は本番でもできないわ。だから全力であなたを倒す」
「嬉しいよ。そこまで本気なら私も全力を出す。次で決めよう」
「わかったわ」

二人は目を閉じた。さっきとは違い、静寂が館内を包み込んでいた。その次の瞬間二人が
動いた。

「氷龍武神撃(ひょうりゅうぶしんげき)」
「トュアリアスド・ノヴァー」

双方の最強の技がぶつかる。それを見て、白金台のメンバー達が他の生徒に結界を
作る様に指示をした。二人の技がぶつかる度に体育館全体が、いや、白金台の
敷地全体が揺れていた。

その衝撃は結界を張っても外にまで響き、客席の生徒達は飛ばされないように
しゃがみ込む。その様子を平然と見ているのは楓と相手の大将や裕奈ぐらい
だった。しばらく二人の攻撃がぶつかり始めて数分が過ぎた。そして
雅が一瞬攻撃を止めて刀を鞘に戻し、亜美に向かって行った。その攻撃が命中し
亜美が倒れ決着がついた。

雅は息を切らしていた。その息を整えて亜美のところに向かい。亜美を抱き抱えた。
その姿に他の生徒達から拍手が送られた。雅は亜美を楓の所に連れて行った。

「すまない運んでもらって」
「気にしないでくれ。私はこの子が気に入ったよ。また試合したものだ」
「俺達は東、あんたらは西だからな。戦うなら本戦でだ」
「そうだな。だが、君達ならいけるだろう」

亜美をおろして戻る雅。

「負けたか。まぁそれでも善戦だな」
「そうですね。さて、次か。会長大丈夫ですか?」
「ええ大丈夫よ。さっきので眠気は飛んだわ」

楓達の次鋒は生徒会長の八神洋子だ。普段眠そうにしているが今は普通にいや
少しやる気を出している感じだ。その洋子の相手になる白金台のメンバーも
出てきた。

白金台次鋒、城ヶ崎杏(じょうがさあんず)クールな性格であまり喋らない
のが挨拶はしっかりしている。二人は中央に向かった。

「相手は早くも生徒会長を出してきましたね」
「そうね。普通なら会長が一番強いから大将にするのだけれど、中には強い者を
先に出して三勝を先手するところもあるわ」
「そうですね。ただ、あの会長が相手するのはうちの絶対的な守りの要ですからね」
「ええ。彼女がどう戦うか見ものだわ」

その円は表情を変えず洋子を見ていた。

「何かしら?」
「何も。始めましょう」
「そうね。始めましょうか」

二人静かにカウントダウンを待った。そしてブザーがなり試合が始まるが、二人はいや
円は動こうとしない。

「やっぱり来ないのね。なら素直にこちらから行かせてもらうわね」

洋子は手から炎を出した。洋子の能力は炎だ。その炎を杏に向けて放ったが杏は
避けようともしない。そして炎が彼女に命中しようとした時、その炎が弾け飛んだ。

「消えた!?彼女は何もしてないのに」

洋子は再び攻撃するがどれもかき消された。

「それなら接近戦にしてみましょう」

手から炎の剣を作り杏に向かって行く。それでも杏はそこを動かない。洋子は迷わず
剣を突き刺した。するとその剣が彼女の体の前で止まった。

「なるほど。結界があったの。これを壊さないといけないのね」
「あなたにはできないわ」
「そう。なら試してみましょう」

そうして洋子は杏の結界を壊しにかかった。しかし、中々壊せない。

「朝霧、どう見る?」
「やり方はある。それを会長が気付けるかだ」
「そうか」

楓はすぐに気づいていた。でも洋子はまだ気づいていない。力を強くしては攻撃を
する。それでも彼女の結界は壊せない。

「随分頑丈ね。それを作るあなたの体力もすごいわ」
「私は戦いは好きじゃないの。だからずっと守りを強くしてきた。それのせいで
大会のメンバーになってしまったけど」
「そう。なら自分から降参すれば戦わなくて済むわよ」
「そうしたいけど、それでは他のメンバーに迷惑かけるわ。選ばれた以上は勝つ。私の
やり方でね」
「そう。なら私も私の戦い方であなたに勝つわ」

洋子はそういうと、身体中を炎で纏った。そして洋子の攻撃が再開する。
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