家族に辺境追放された貴族少年、実は天職が《チート魔道具師》で内政無双をしていたら、有能な家臣領民が続々と移住してきて本家を超える国力に急成長

ハーーナ殿下

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第4話:問題解決のための準備

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開拓村での生活がスタート。
村の生活必需品の中で、今後足りなくなる品を見つける。

「やっぱり、この分だと“食糧”が、いずれ足りなくなるぞ」

ボクが見つけてしまったのは、食糧の備蓄の少なさ。当分は大丈夫だが、いずれは領民が食べる主食が尽きしてしまうのだ。

「でも今回は、仕方がないかもな」

アルバート家の兵士に見つからないように、領民たちは家出当然で引っ越してきた。
農地の作物は収穫せずに、家にあった備蓄の食糧だけを荷馬車に詰め込んできたのだ。
お蔭で移民は成功したが、持ってこられた食糧は多くはない。

このままでは早くても一ヶ月で、村の食糧は尽きしてしまうのだ。
人は水だけでは生きていけない。それに領民全員の力を合わせて、なんとか解決をする必要がある。

よし、頑張ろう。
集めた代表にも事情を説明していく。

「皆さん、聞いてください。まずは食糧を手に入れることを、最優先に動いていきます。そのために仕事を班分けにしていきます。こっちの右半分に農業の人。左にそれ以外の職の人で別れてください!」

まずボクが行ったのは、領民の班分け。
移民してきた者は色んな職種と年齢に別れている。今までの経験と能力に応じて、開拓村での仕事を振り分けていくのだ。

ゾロゾロ……ゾロゾロ……

代表者たちが班に分かれる。
半分以上の七世帯が、農民の家族。
残りの五世帯が職人や狩人、鍛冶師、木こりなどの世帯だ。

アルバート領は基本的に農園が主な収入だったので、領民の多くが農家。移民の同じような割合になった。

「ありがとうございます。ますは農家の世帯は、農業の準備をしておいてください」

まずは大多数の農家の代表者に、仕事を割り振る。
大陸で主食は穀物であり、大人数が生き延びていくためには、穀物の栽培が必須。農作業はプロの農家の世帯に頼むのが一番だろう。

「かしこまりました、ライル様!」
「でもライル様。申し訳ないですが、この荒野では穀物の栽培は、少し難しいかもしれませんぜ……」
「そうですぜ、ライル様。こんな土の悪い土地は、初めて見るだす」

農業のプロな彼らが、弱気になる気持ちも分かる。
何故なら開拓村の周囲は、草木がほとんど生えていない荒地。おそらく土の状態が、農作に適していないのであろう。

もしも穀物を栽培できるのなら強欲なアルバート家が、こんな広大な土地を放置しているはずはない。きっと何度も開拓に挑戦して、挫折した放棄の僻地なのだ。

「なるほど、分かりました。土の問題はボクの方でなんとかしておきましょう。皆さんは水と地質調査して、開墾ができそうな場所を探しておいてください!」

だがボクは諦める訳にいかない。
生き延びていくために、穀物の栽培は必須事業。代表者たちを励まし、前の準備をお願いする。

「おお! “あのライル様”が、そう言ってくれるなら。よし、頑張りますぜ!」
「ライル様を信じて、農業の準備をするぞ、お前たち!」
「ライル様、万歳!」

農業班の人たちのモチベーションが一気に上昇。雄たけびを上げながら、農作業の準備に取り掛かる。
本当にありがたいことだ。

「えーと、現場監督は……」

「おそれながら、ライル様。是非とも私にお任せください!」

名乗り出てきたのは赤い髪で、妖艶なボディのメイド服なレイチェル。
ボクの代わりに現場監督と、領民の護衛をしてくれるという。ありがたいので彼女に任せることにした。

ん? 
でも“普通のメイド”のレイチェルが、自分で“護衛”を名乗り出てきたぞ。
手足も細いし、本当に大丈夫なのかな?

まぁ、あまり気にしないで、彼女を信じて任せることにしよう。家臣を信じて任せることも、領主としての大事な仕事なのだ。

さて、農業の準備はレイチェルに任せて、ボクは次なる仕事に取りかかろう。他の代表者の方に顔を向ける。

「では残りの人で食料の調達……“狩り”にいきます!」

次なる食料の入手油断は“狩り”だ。
普通は穀物の栽培だけで、食料問題は解決した……そう思うかもしれない。

でも穀物の栽培と収穫には、順調でも半年以上はかかる。
村の備蓄は一ヶ月分しかなく、穀物を収穫できる前に、一番早い食料入手の狩りをする必要があるのだ。

「分かりました、ライル様!」
「ですがライル様、ワシらのほとんどは、狩りの経験はないです……」
「工具は使えても、弓矢を使ったことはないですぞ……」

代表者が弱気になるのも仕方がない。
移民の中で狩り経験があるのは二人だけで、残りの者は弓を触ったことすらないのだ。

弓矢の扱いは想像以上に難しい。
矢をまとにも飛ばすようになるには、数ヶ月の鍛錬が必要。まして逃げる獣を命中させるには、数年の鍛錬が必要になるのだ。

「その点は心配ありません。ボクの方で考えがあります。とりあえず、あの森に狩りに向かう準備をして出発しましょう!」

弱きになる領民を奮い立たせる。何故なら開拓村が生き延びていくためには、狩りをすることは必須。
少し無理をしてでても頑張ってもらうしかないのだ。

「おお、ワシらにもライル様のお力を⁉」
「それなら大丈夫だぞ、みんな! 準備をするぞい!」
「この命を賭けても、ライル様の役に立つぞぉお!」

狩り班の人たちもモチベーションが、一気に上昇。雄たけびを上げながら、狩りの準備に取り掛かる。
本当にありがたいことだ。

「えーと、ボクの狩りの同行者は……」
「狩りならミーに任せるニャン、ライル様!」

狩りに同行を名乗り出てきたのはミーケ。
茶色いショートカットで、小柄な猫獣人のメイドだ。

これは有りがたい。
五感が鋭い獣人のミーケなら、森の中でも頼りになるだろう。

ん? でも普通のメイドのミーケは、どうして狩りに同行を申し出てきたのだろう?
しかもミーケは舌を出しながら、ハンターのような危険な笑みを浮かべているような?

あっ、でも執事セバスチャンに頭を叩かれて、何か叱られているぞ。急に大人しくなる。
家臣団内の規則でもあるのだろう。あまり気にしないでおこう。

「よし、それじゃ準備をして森に行きましょう!」

ボクたち狩り班は準備を完了。
弓矢とロープ、手で引く荷台を準備して、開拓村を出発する。

メンバーはボクを隊長にして、補佐にミーケ。狩人が一人と、狩り未経験の成人男性三人だ。

残りの女子どもや職人の人たちは、開拓村に待機。セバスチャンが現場監督となり、その他の仕事に取りかかってもらう。

「よし、あそこに向かおう!」

狩り班の六人は開拓村を出発して、荒野をひたすら進んでいく。
しばらくして開拓村から見えていた、深い森の入り口に到着する。

「うっ……ライル様……本当に、この森に入るんですか……」
「こんな不気味な森……アルバート領内にもなかったですぜぃ……」
「どう見ても、魔物や魔獣が、いる感じですな、ここは……」

不気味な森を目前にして、領民は息を飲んでいた。
何しろ明らかに普通の森とは違う雰囲気。

大陸の魔物と魔獣の多くは、こうした深い森の中に潜んでいる。
だから普通の農民は、こうした森の中には絶対に足を踏み入れない。今もベテランの狩人ですら本能が恐怖していた。

「そうですね。たしかに不気味ですね。でも大丈夫です! 今からボクの作った狩り用の魔道具を皆さんに配ります!」

ボクは幼い時から魔道具作りを趣味にしていた。その中には“狩り用の魔道具”もある。

皆を安心させるために、ボクは収納袋の中から“狩り魔道具”を取り出すことにした。
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