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第5話:狩りの道具
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村の食料問題を早急に解決するために、狩りを行う。
魔物や魔獣がいる不気味な森を、怖がる領民を安心させる必要がある。
「大丈夫です! ボクの作った狩り用の魔道具を、皆さんにお見せします!」
ボクは魔道具“収納袋”から、狩りの道具を出す。
「おお、でたぞ! ライル様の“神なる袋”だぞ、あれが!」
「何度見ても不思議な袋……さすがはライル様の魔道具だ!」
「ワシの家は、ライル様のあの偉大な袋に、救われたんだぞ!」
道具を取り出しただけで、領民たちはざわつく。羨望の眼差しで、ボクのことを見てくる。
この反応も仕方がない。“収納袋”は少し特殊な魔道具なのだ。
そんな高揚した雰囲気の中、狩りの魔道具の説明をしていく。
「えーと、皆さん、これが狩り用の魔道具です。これから使い方を説明します」
「ライル様……それは弩ですか?」
狩人の領民が訊ねてきた。職業柄、狩りの道具には詳しいのであろう。
「はい、そうです。これはボクが作った機械式の弩……《魔道クロスボウ》です!」
今回、狩りに使うのは機械式の弩のクロスボウだ。
普通の弩の威力は高いが、単発でしか発射できない。しかも狩りのように遠距離では、命中性能も落ちてしまう。
だが《魔道クロスボウ》特殊な仕組みよって、その全ての欠点を克服している。
矢筒を上にセットしているため連射が可能。また特殊な矢を使うので、遠距離でも命中精度が落ちないのだ。
しかも魔道具の仕組みで、普通の弩のような、力が必要な“巻き上げ作業”が不要。子どもや老人、女性でも扱うことが可能なのだ。
ボクは幼い時から魔道具作りが趣味。こうした“狩り用の魔道具”も密かに作っていたのだ。
「それじゃ、“論より証拠”で試し撃ちをしてもらいます。えーと、サラさん、お願いします!」
狩人班の中で唯一の女性サラに、クロスボウを渡す。非力な彼女が扱えたら、ここにいる全員が扱える作戦だ。
「当たらなくてもいいので、あの木を狙ってみてください。この引き金を引くだけです」
サラにクロスボウの使い方を説明する。
射る先は森の入り口の大木。あまり遠くない距離なので、素人でも簡単に当たる計算だ。
「では、撃ってみてください」
「はい、ライル様!」
狙いをつけてサラは、引き金を引く。
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
クロスボウから弾丸のように、矢が発射。見事、的の大木に命中した。
「「「おお!」」」
領民たちから歓声が上がる。
まさか素人のサラが命中させるとは、誰もが思っていなかったのであろう。
「この通り、誰でも簡単に扱えます。ちなみに少し狙いを外しても、このクロスボウには《標準補正機能》があるので、基本的に命中します!」
《標準補正機能》はクロスボウの中の魔道機能。
使用者の視覚と意識を読み取って、自動的に矢の発射する方向を修正してくれるのだ。
弱点は視覚が通らない場所や、複数の相手には発動しない。でも獣を狩る狩りでは、そんな弱点も気にはならないはずだ。
「自動的に矢が当たるとは……さすがはライル様!」
「不甲斐ない我々のために、このような万能の狩りの道具を! ありがとうございます!」
「よし、勇気が出てきたぞ! ライル様に恥を欠かせないように、絶対に得物を狩るぞ!」
クロスボウの性能を体感して、領民たちのモチベーションが高まる。先ほどまでの悲観的な顔の者は、もはや誰もいない。
これなら不気味な森での狩りも、何とかなりそうだ。
「それでは全員にクロスボウを渡します! 先ほどのように軽く練習してから、森の中に入っていきましょう!」
「「「かしこまりました!」」」
クロスボウを全員で練習する。注意事項なども含めて、反復練習をしていく。
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
《標準補正機能》のお蔭で、ほぼ100%の命中率。全員が的に当てていく。
よし、これなら何とかなるかもしれない。
「それでは、森へ行きましょう!」
こうして頼もしい狩り魔道具を手にして、ボクたちは深い森の中に進んでいくのであった。
◇
◇
◇
だがライルを含めて領民たちは、気が付いていなかった。
自分たちが手にしている、クロスボウの規格外の性能と真の破壊力を。
先ほどの試射した時の『ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!』の『ザシュッ!』が一気に三回も響いていたのは、実は理由があった。
的の大木を矢が貫通した直後、更に後ろの大木を二本も貫通していた事実。
つまり《魔道クロスボウ》異常なまでの破壊力を有していたのだ!
はたして森の中で待ち構えている危険な魔物や魔獣は、この後、原形を保っていられるのだろうか⁉
魔物や魔獣がいる不気味な森を、怖がる領民を安心させる必要がある。
「大丈夫です! ボクの作った狩り用の魔道具を、皆さんにお見せします!」
ボクは魔道具“収納袋”から、狩りの道具を出す。
「おお、でたぞ! ライル様の“神なる袋”だぞ、あれが!」
「何度見ても不思議な袋……さすがはライル様の魔道具だ!」
「ワシの家は、ライル様のあの偉大な袋に、救われたんだぞ!」
道具を取り出しただけで、領民たちはざわつく。羨望の眼差しで、ボクのことを見てくる。
この反応も仕方がない。“収納袋”は少し特殊な魔道具なのだ。
そんな高揚した雰囲気の中、狩りの魔道具の説明をしていく。
「えーと、皆さん、これが狩り用の魔道具です。これから使い方を説明します」
「ライル様……それは弩ですか?」
狩人の領民が訊ねてきた。職業柄、狩りの道具には詳しいのであろう。
「はい、そうです。これはボクが作った機械式の弩……《魔道クロスボウ》です!」
今回、狩りに使うのは機械式の弩のクロスボウだ。
普通の弩の威力は高いが、単発でしか発射できない。しかも狩りのように遠距離では、命中性能も落ちてしまう。
だが《魔道クロスボウ》特殊な仕組みよって、その全ての欠点を克服している。
矢筒を上にセットしているため連射が可能。また特殊な矢を使うので、遠距離でも命中精度が落ちないのだ。
しかも魔道具の仕組みで、普通の弩のような、力が必要な“巻き上げ作業”が不要。子どもや老人、女性でも扱うことが可能なのだ。
ボクは幼い時から魔道具作りが趣味。こうした“狩り用の魔道具”も密かに作っていたのだ。
「それじゃ、“論より証拠”で試し撃ちをしてもらいます。えーと、サラさん、お願いします!」
狩人班の中で唯一の女性サラに、クロスボウを渡す。非力な彼女が扱えたら、ここにいる全員が扱える作戦だ。
「当たらなくてもいいので、あの木を狙ってみてください。この引き金を引くだけです」
サラにクロスボウの使い方を説明する。
射る先は森の入り口の大木。あまり遠くない距離なので、素人でも簡単に当たる計算だ。
「では、撃ってみてください」
「はい、ライル様!」
狙いをつけてサラは、引き金を引く。
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
クロスボウから弾丸のように、矢が発射。見事、的の大木に命中した。
「「「おお!」」」
領民たちから歓声が上がる。
まさか素人のサラが命中させるとは、誰もが思っていなかったのであろう。
「この通り、誰でも簡単に扱えます。ちなみに少し狙いを外しても、このクロスボウには《標準補正機能》があるので、基本的に命中します!」
《標準補正機能》はクロスボウの中の魔道機能。
使用者の視覚と意識を読み取って、自動的に矢の発射する方向を修正してくれるのだ。
弱点は視覚が通らない場所や、複数の相手には発動しない。でも獣を狩る狩りでは、そんな弱点も気にはならないはずだ。
「自動的に矢が当たるとは……さすがはライル様!」
「不甲斐ない我々のために、このような万能の狩りの道具を! ありがとうございます!」
「よし、勇気が出てきたぞ! ライル様に恥を欠かせないように、絶対に得物を狩るぞ!」
クロスボウの性能を体感して、領民たちのモチベーションが高まる。先ほどまでの悲観的な顔の者は、もはや誰もいない。
これなら不気味な森での狩りも、何とかなりそうだ。
「それでは全員にクロスボウを渡します! 先ほどのように軽く練習してから、森の中に入っていきましょう!」
「「「かしこまりました!」」」
クロスボウを全員で練習する。注意事項なども含めて、反復練習をしていく。
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
《標準補正機能》のお蔭で、ほぼ100%の命中率。全員が的に当てていく。
よし、これなら何とかなるかもしれない。
「それでは、森へ行きましょう!」
こうして頼もしい狩り魔道具を手にして、ボクたちは深い森の中に進んでいくのであった。
◇
◇
◇
だがライルを含めて領民たちは、気が付いていなかった。
自分たちが手にしている、クロスボウの規格外の性能と真の破壊力を。
先ほどの試射した時の『ビュン――――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!』の『ザシュッ!』が一気に三回も響いていたのは、実は理由があった。
的の大木を矢が貫通した直後、更に後ろの大木を二本も貫通していた事実。
つまり《魔道クロスボウ》異常なまでの破壊力を有していたのだ!
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