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第1章 出会いと修行編
テリドというキャラ
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「ふぅ」
あれからしばらくして落ち着きを取り戻した俺はガロン爺に一回出ていってもらうとテリドの部屋の中で考え事をしていた。
というもののさっきは興奮しすぎて冷静さを失っていたが、改めて考えてみると色々な問題がある気がしてきたのだ。
まず、そもそも俺が転生したという点。
これまでテリドとして過ごしていたのにそこに俺が入り込んでしまったのだ。
特に周囲には気をつけないといけないだろう。あまりに不信感を抱かれると追い出される……なんてこともあり得るのかもしれない。
今日は興奮していて全く周りのことが目に入っておらずやらかしてしまったとは思うのでこれからは気をつけるべきだろう。
ただもう一つの問題が俺がこれまでのテリド通りの生活を過ごすことを阻害する。
何故ならテリドは「ラ ラ ライブズ」において悪役として描かれ、最終的には家からも学園からも追い出されてしまうキャラなのだから。
テリドというキャラは「ラ ラ ライブズ」において唯一の悪役。初回の登場においてはテリドの幼馴染である俺も大好きなヒロインのメイナちゃんをこき使うクズキャラとして現れる。
そこを主人公のライトが救うとメイナちゃんルートが現れるのだ。つまりこのままなにもせずにテリドとして過ごしていても罰を受けることになる。
もしかするとゲームの強制力やなんたらで無理矢理俺が悪役にされてしまう可能性もあるので、それを凌駕できるように今からでも動くべきなのは確かである。
しかし、現時点でのテリド(8歳)も横暴で自己顕示欲の塊というかなりのクズなのだ。
急に優しくなったり鍛錬でもし始めるものなら怪しまれて追い出されるかもしれない。
ただ、家のことを気にするのは15歳になり学園に入るまでのことである。そこからは家との関わりはなくなる為、俺は全力で追放エンドの回避を目指すことが出来るのだ。
そもそもテリドと主人公達が出会うのは作品の本編である学園でのこと、今はそこまで気にすることではないのかもしれない。
「そう俺が目指すべきは破滅エンドを回避しヒロインちゃん達を拝むことが出来るポジションにいることだ!」
冷静に考えみろ? そう悲観する状況か?
違うだろ!夢の聖地へとたどり着いたんだぞ。楽しまないでどうする!
ヒロインちゃん達を間近で見れるんだ、これは手放せない。
その為だったら俺はなんだってしてやる!!
まずは手始めに人間関係を変えないとな。周りには今までのテリドのイメージを物色しつつも、怪しまれないように接して……あとは……そうだな体も鍛えよう。
なにかあった時のために力はあった方がいいからな。
なにが起こるか分からないこの世界じゃ尚更だ。ゲーム転生したとは言え確実にシナリオ通り進む保証はないし、テリドが実は裏で戦いに巻き込まれていたとかいう裏設定だってあるかもしれない。
よしやるぞ! やってやる。この世界でヒロインちゃん達を拝み続ける為に……俺はあらゆる方面に立ち向かえることが出来るだけの力をつけよう!
まぁ、テリドは主人公ではないから追放イベさえ乗り切ってしまえば安全だとは思うけど……なるべくヒロインちゃん達の近くにいたいからな。
その為には俺が人として魅力的でないと無理だからな。
頑張るぞぉぉぉ。
*
また、部屋で雄叫びをあげ部屋の外で待機していたガロン爺をビビらせたテリドは知らなかった。
「NOT ラ ラ ライブズ」が原作ファンからクソゲーと言われる理由を……。
1つは少しのミスで即死するゲームの鬼畜性。
しかし、原作ファンが1番嘆いたことは「ラ ラ ライブズ」での悪役キャラであるテリドが主人公であるということだ。
確かに一部では「鬼畜ゲーなんだからテリドがボコボコにされる方がいいだろ」との意見もあったが、やはり主人公はライトがいいとの意見が大半。
結果、鬼畜要素もあいまってクソゲーと言われるまでになってしまった。
テリドはたかをくくっていた。自分は主人公ではないのだから追放イベ以外に対したイベントはないだろうと。だがそれは慢心!
この世界は「ラ ラ ライブズ」ではない。
「NOT ラ ラ ライブズ」であり主人公はテリド。鬼畜イベが次々に降り注ぐキャラなのである。
そしてそんな鬼畜イベが起こり始めるのは学園に入ってすぐのこと。
テリドは学園に入ることを浮かれていたが実際はそうではない。学園に入ってからがスタート。
ありとあらゆる鬼畜イベントを回避しなければヒロイン達を拝み続けることは叶わない、しかしそれも仕方のないことなのかも知れない。
なにせ彼はこの世界が「NOT ラ ラ ライブズ」だと知らないから。
甘いギャルゲーの世界だと思っているのだから……。
*
「て、テリドお坊っちゃま、具合は大丈夫でしょうか?」
「あぁ、もう大丈夫だ。心配かけてすまなかったな」
部屋をノックして俺が許可をするとすぐさま駆け込んできたガロン爺に俺は少し戸惑いながらも答える。
……ガロン爺ってこんな感じのキャラだったんだな。
「おぉ、テリドお坊っちゃまがお優しい。知らぬ間に成長していらしたのですね。朝のアレもそれが原因でしたか……ご自身で性格を直そうと頑張っていらしたのですね。
それなのに私はっっ、誠に申し訳ありませんでした」
見事に勘違いである。というかさっきから見てるとどうやらガロン爺はテリドのことが大好きらしいな。
「んで、なにか用事があったんだろう? 急ぎの用なら早く対処しなければならない。急ぎなら教えてくれ……」
「い、いえそこまで急ぎの用事というわけでもないのですが一応お伝えを……と思いまして」
少し怯えた様子のガロン爺を見て、あぁ俺がまだ怖いのだと再確認する。愛情と恐怖が折り重なった感じなのだろう。
「男爵家の方がいらしておりまして……テリドお坊っちゃまと同じ8歳のご令嬢様がいらしているのですが……まぁ、こちらは公爵家でありますしテリド様が拒否をするのであれば今回の挨拶は見送るということでも構いませんが……」
ガロン爺はやや引き腰でそんなことを言う。
うーん、どうやらテリドはこれまで断って来たのだろうか? 普通なら顔を出せって言われると思うんだけど……。
「あーうん、顔を出すよ」
「ほ、本当にございますか!?」
その途端に顔を輝かせるガロン爺。
「今すぐにでも行くが……一応名前とどこの家かだけ教えてくれないか? そんなことも知らないのでは恥だし相手にも失礼だしな」
「わ、分かりました。テリー男爵家のメイナ様でございます。大広間にいらっしゃいますよ。私も見てきたんですがとても可愛いお嬢様でしたよ。きっとテリド様とも仲良くなれるか____」
「メイナちゃん!?」
俺はガロン爺から飛び出てきた名前を聞き取り乱す。
「て、テリドお坊っちゃま落ち着いてください」
しかしそんなことでは俺の興奮は止まない。
マジかよ! あのメイナちゃんがいや最早メイナ様とも言うべき存在がすぐそこまで来ていると言うのか!!
「お、俺もう会いに行くから!」
「えっ、あっ」
俺はガロン爺の次の言葉も聞かずに部屋を飛び出していくのだった。
あれからしばらくして落ち着きを取り戻した俺はガロン爺に一回出ていってもらうとテリドの部屋の中で考え事をしていた。
というもののさっきは興奮しすぎて冷静さを失っていたが、改めて考えてみると色々な問題がある気がしてきたのだ。
まず、そもそも俺が転生したという点。
これまでテリドとして過ごしていたのにそこに俺が入り込んでしまったのだ。
特に周囲には気をつけないといけないだろう。あまりに不信感を抱かれると追い出される……なんてこともあり得るのかもしれない。
今日は興奮していて全く周りのことが目に入っておらずやらかしてしまったとは思うのでこれからは気をつけるべきだろう。
ただもう一つの問題が俺がこれまでのテリド通りの生活を過ごすことを阻害する。
何故ならテリドは「ラ ラ ライブズ」において悪役として描かれ、最終的には家からも学園からも追い出されてしまうキャラなのだから。
テリドというキャラは「ラ ラ ライブズ」において唯一の悪役。初回の登場においてはテリドの幼馴染である俺も大好きなヒロインのメイナちゃんをこき使うクズキャラとして現れる。
そこを主人公のライトが救うとメイナちゃんルートが現れるのだ。つまりこのままなにもせずにテリドとして過ごしていても罰を受けることになる。
もしかするとゲームの強制力やなんたらで無理矢理俺が悪役にされてしまう可能性もあるので、それを凌駕できるように今からでも動くべきなのは確かである。
しかし、現時点でのテリド(8歳)も横暴で自己顕示欲の塊というかなりのクズなのだ。
急に優しくなったり鍛錬でもし始めるものなら怪しまれて追い出されるかもしれない。
ただ、家のことを気にするのは15歳になり学園に入るまでのことである。そこからは家との関わりはなくなる為、俺は全力で追放エンドの回避を目指すことが出来るのだ。
そもそもテリドと主人公達が出会うのは作品の本編である学園でのこと、今はそこまで気にすることではないのかもしれない。
「そう俺が目指すべきは破滅エンドを回避しヒロインちゃん達を拝むことが出来るポジションにいることだ!」
冷静に考えみろ? そう悲観する状況か?
違うだろ!夢の聖地へとたどり着いたんだぞ。楽しまないでどうする!
ヒロインちゃん達を間近で見れるんだ、これは手放せない。
その為だったら俺はなんだってしてやる!!
まずは手始めに人間関係を変えないとな。周りには今までのテリドのイメージを物色しつつも、怪しまれないように接して……あとは……そうだな体も鍛えよう。
なにかあった時のために力はあった方がいいからな。
なにが起こるか分からないこの世界じゃ尚更だ。ゲーム転生したとは言え確実にシナリオ通り進む保証はないし、テリドが実は裏で戦いに巻き込まれていたとかいう裏設定だってあるかもしれない。
よしやるぞ! やってやる。この世界でヒロインちゃん達を拝み続ける為に……俺はあらゆる方面に立ち向かえることが出来るだけの力をつけよう!
まぁ、テリドは主人公ではないから追放イベさえ乗り切ってしまえば安全だとは思うけど……なるべくヒロインちゃん達の近くにいたいからな。
その為には俺が人として魅力的でないと無理だからな。
頑張るぞぉぉぉ。
*
また、部屋で雄叫びをあげ部屋の外で待機していたガロン爺をビビらせたテリドは知らなかった。
「NOT ラ ラ ライブズ」が原作ファンからクソゲーと言われる理由を……。
1つは少しのミスで即死するゲームの鬼畜性。
しかし、原作ファンが1番嘆いたことは「ラ ラ ライブズ」での悪役キャラであるテリドが主人公であるということだ。
確かに一部では「鬼畜ゲーなんだからテリドがボコボコにされる方がいいだろ」との意見もあったが、やはり主人公はライトがいいとの意見が大半。
結果、鬼畜要素もあいまってクソゲーと言われるまでになってしまった。
テリドはたかをくくっていた。自分は主人公ではないのだから追放イベ以外に対したイベントはないだろうと。だがそれは慢心!
この世界は「ラ ラ ライブズ」ではない。
「NOT ラ ラ ライブズ」であり主人公はテリド。鬼畜イベが次々に降り注ぐキャラなのである。
そしてそんな鬼畜イベが起こり始めるのは学園に入ってすぐのこと。
テリドは学園に入ることを浮かれていたが実際はそうではない。学園に入ってからがスタート。
ありとあらゆる鬼畜イベントを回避しなければヒロイン達を拝み続けることは叶わない、しかしそれも仕方のないことなのかも知れない。
なにせ彼はこの世界が「NOT ラ ラ ライブズ」だと知らないから。
甘いギャルゲーの世界だと思っているのだから……。
*
「て、テリドお坊っちゃま、具合は大丈夫でしょうか?」
「あぁ、もう大丈夫だ。心配かけてすまなかったな」
部屋をノックして俺が許可をするとすぐさま駆け込んできたガロン爺に俺は少し戸惑いながらも答える。
……ガロン爺ってこんな感じのキャラだったんだな。
「おぉ、テリドお坊っちゃまがお優しい。知らぬ間に成長していらしたのですね。朝のアレもそれが原因でしたか……ご自身で性格を直そうと頑張っていらしたのですね。
それなのに私はっっ、誠に申し訳ありませんでした」
見事に勘違いである。というかさっきから見てるとどうやらガロン爺はテリドのことが大好きらしいな。
「んで、なにか用事があったんだろう? 急ぎの用なら早く対処しなければならない。急ぎなら教えてくれ……」
「い、いえそこまで急ぎの用事というわけでもないのですが一応お伝えを……と思いまして」
少し怯えた様子のガロン爺を見て、あぁ俺がまだ怖いのだと再確認する。愛情と恐怖が折り重なった感じなのだろう。
「男爵家の方がいらしておりまして……テリドお坊っちゃまと同じ8歳のご令嬢様がいらしているのですが……まぁ、こちらは公爵家でありますしテリド様が拒否をするのであれば今回の挨拶は見送るということでも構いませんが……」
ガロン爺はやや引き腰でそんなことを言う。
うーん、どうやらテリドはこれまで断って来たのだろうか? 普通なら顔を出せって言われると思うんだけど……。
「あーうん、顔を出すよ」
「ほ、本当にございますか!?」
その途端に顔を輝かせるガロン爺。
「今すぐにでも行くが……一応名前とどこの家かだけ教えてくれないか? そんなことも知らないのでは恥だし相手にも失礼だしな」
「わ、分かりました。テリー男爵家のメイナ様でございます。大広間にいらっしゃいますよ。私も見てきたんですがとても可愛いお嬢様でしたよ。きっとテリド様とも仲良くなれるか____」
「メイナちゃん!?」
俺はガロン爺から飛び出てきた名前を聞き取り乱す。
「て、テリドお坊っちゃま落ち着いてください」
しかしそんなことでは俺の興奮は止まない。
マジかよ! あのメイナちゃんがいや最早メイナ様とも言うべき存在がすぐそこまで来ていると言うのか!!
「お、俺もう会いに行くから!」
「えっ、あっ」
俺はガロン爺の次の言葉も聞かずに部屋を飛び出していくのだった。
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