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第五章 コトリバコ編
250話
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「だから隠し場所としては最適」
「だろうな」
俺は横に座っているアディールからのツッコミに頷きながら携帯電話を閉じる。
「到着は、2時間くらいか?」
「そうなるわね」
「少し休ませてもらうか」
「私も――」
「ちょ! ちょっと!」
「何だよ……」
「そっちの子は良いけど、貴方は、寝なくても生きていけるでしょ! 運転手は、運転で疲れるんだからっ! 誰も起きてないと、ちょょっとダウナーな気持ちになるのよ?」
「はぁー。我儘な奴だな」
何をすることもなく、話すこともなく――、紅が運転する車は常磐自動車道から、北関東自動車道へと高速を乗り継いだあと、東北自動車道へと乗り換え――、宇都宮ICから日光宇都宮道路へと。
「ねえ。桂木君」
「――ん?」
「そんな小さな子を一緒に連れて来て良かったの?」
「何のことだ?」
「まだ中学校にも上がってないわよね? その子」
「そうだな。11歳とか言っていたな」
「そう。才能があると言っても、ずいぶんと酷な仕事をさせるわよね。命のやり取りがあるかも知れないのでしょう?」
「それが、何か問題でも?」
「小さな子を、命の危険がありそうな場所に連れて行くことに私は違和感を覚えるの」
「それは、コイツの覚悟に失礼ってものだろう?」
俺はアディールの方をチラリと見る。
「戦場を見て、殺し殺される覚悟を持つ。その時点で、そいつは戦士であり年齢は関係ない」
「――でも……」
「まぁ、平和な日本で暮らしていたのなら、そういう考えも分からなくはないが、年齢で哀れみ同情をするのは、覚悟をした戦士への侮辱に他ならない。そこは勘違いするな」
「貴方も、学生で日本育ちなのに――」
「ほう。俺のことも気にかけているのか?」
「ううん。貴方のことは、人間のカテゴリーで見てないから」
「失礼な奴だな」
「だって、そうでしょ? 少なくとも、貴方は一般人でも何でもないと思っているし、神すら一人で殺せる存在を人は何て言うか分かる?」
「さあな――」
俺は肩を竦める。
「ほんと、貴方の価値観って……、本当に日本で暮らしていたのかと疑うレベルよね」
「まぁ、少しズレている事は分かっている」
「少しどころではないけどね。高速を降りるわよ。そろそろ、神社庁の神薙候補を起こしてくれるかしら?」
「そうだな」
何度か、アディールの肩を揺する。
「――んっ……、到着した?」
「もうすぐだ」
車は、ガソリンスタンドと、セブンイレブン通り過ぎ――、市街地へと。
しばらく走ったあと橋を超える。
「本社でいいのよね?」
「届いたメールでは、そうなっているな」
「それなら、ぐるっと回る形になるわね」
川沿いに車は走り森の中に伸びる道路をひたすら走る。
しばらく走ると、関係者以外は通行止めの標識が置かれているが見えた。
「車で来られるのは、ここまでね」
「それじゃ、行ってくる」
「私も一緒にいく」
「私は、車で待っているわね」
紅は、車を左端に停めるとエンジンを切る。
俺とアディールは二人で、関係者以外立ち入り禁止の標識を超えて社務所へと向かう。
「だろうな」
俺は横に座っているアディールからのツッコミに頷きながら携帯電話を閉じる。
「到着は、2時間くらいか?」
「そうなるわね」
「少し休ませてもらうか」
「私も――」
「ちょ! ちょっと!」
「何だよ……」
「そっちの子は良いけど、貴方は、寝なくても生きていけるでしょ! 運転手は、運転で疲れるんだからっ! 誰も起きてないと、ちょょっとダウナーな気持ちになるのよ?」
「はぁー。我儘な奴だな」
何をすることもなく、話すこともなく――、紅が運転する車は常磐自動車道から、北関東自動車道へと高速を乗り継いだあと、東北自動車道へと乗り換え――、宇都宮ICから日光宇都宮道路へと。
「ねえ。桂木君」
「――ん?」
「そんな小さな子を一緒に連れて来て良かったの?」
「何のことだ?」
「まだ中学校にも上がってないわよね? その子」
「そうだな。11歳とか言っていたな」
「そう。才能があると言っても、ずいぶんと酷な仕事をさせるわよね。命のやり取りがあるかも知れないのでしょう?」
「それが、何か問題でも?」
「小さな子を、命の危険がありそうな場所に連れて行くことに私は違和感を覚えるの」
「それは、コイツの覚悟に失礼ってものだろう?」
俺はアディールの方をチラリと見る。
「戦場を見て、殺し殺される覚悟を持つ。その時点で、そいつは戦士であり年齢は関係ない」
「――でも……」
「まぁ、平和な日本で暮らしていたのなら、そういう考えも分からなくはないが、年齢で哀れみ同情をするのは、覚悟をした戦士への侮辱に他ならない。そこは勘違いするな」
「貴方も、学生で日本育ちなのに――」
「ほう。俺のことも気にかけているのか?」
「ううん。貴方のことは、人間のカテゴリーで見てないから」
「失礼な奴だな」
「だって、そうでしょ? 少なくとも、貴方は一般人でも何でもないと思っているし、神すら一人で殺せる存在を人は何て言うか分かる?」
「さあな――」
俺は肩を竦める。
「ほんと、貴方の価値観って……、本当に日本で暮らしていたのかと疑うレベルよね」
「まぁ、少しズレている事は分かっている」
「少しどころではないけどね。高速を降りるわよ。そろそろ、神社庁の神薙候補を起こしてくれるかしら?」
「そうだな」
何度か、アディールの肩を揺する。
「――んっ……、到着した?」
「もうすぐだ」
車は、ガソリンスタンドと、セブンイレブン通り過ぎ――、市街地へと。
しばらく走ったあと橋を超える。
「本社でいいのよね?」
「届いたメールでは、そうなっているな」
「それなら、ぐるっと回る形になるわね」
川沿いに車は走り森の中に伸びる道路をひたすら走る。
しばらく走ると、関係者以外は通行止めの標識が置かれているが見えた。
「車で来られるのは、ここまでね」
「それじゃ、行ってくる」
「私も一緒にいく」
「私は、車で待っているわね」
紅は、車を左端に停めるとエンジンを切る。
俺とアディールは二人で、関係者以外立ち入り禁止の標識を超えて社務所へと向かう。
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