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正妻戦争(32)
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「とにかく待て! 今、考えるから!」
上空から落ちてくる炎の塊を見上げながら思考する。
だが! その間も、少しずつ体感温度が上がり続けていく。
正直、暑いというか熱い!
「くそっ! 上空から火の玉から落ちてくるなんて……」
思わず悪態をつく。
まったくと言っていいほど! 打開策が! 浮かばない!
そんなことを思っている間にも、上空の火の玉が落ちてくるにつれてジリジリと耐えられないほどの熱さを放ってくる。
おそらく、まだ数秒しか経過していない。
だが、打開策が何も見つからない。
「――、く、くそっそおおお! このままでは俺の借金がああああああああああああっ!!」
思わず叫ぶ。
どうすればいい。
どうすれば全てが丸く収まる?
何かいい案は無いのか?
「もう無理なの! 吹き飛べ! エクスプロージョン!」
「やめろおおおおおお」
俺は絶叫する。
それと同時にリアの爆裂魔法が上空の炎の塊に直撃し強烈な爆風が、俺の体を木の葉のように吹き飛ばす。
「ソルティはいいとして……、マリーだけは!」
自分の体を盾にして、抱きしめていたマリーを守る。
何度も地面に叩きつけられる。
まるで木の葉のように。
地面の上を何度かリバウンドし――、それでも勢いは止まらない。
俺の体が建物の壁に背中から叩きつけられ――、ミシミシという嫌な音が聞こえてきたところで、ようやく俺の体は止まることが出来た。
「カハッ!」
思わず血を吐く。
それだけの衝撃だった。
「神田さん、大丈夫ですか?」
「ああ――」
俺は続けての「なんとかな……」と、言う言葉を口にする前に周囲の状況を見て目を見開いた。
死ぬことは無かったが、見渡す限り全ての建物から火の手が上がっている。
これは、もう……。
「どうすればいいんだ……」
「神田さん、こうしなければ私達は死んでいたのですから仕方ありません。それに、死人は、まだ出ていないようですから」
ソルティが、元気つけてきているのは分かったが、人口1万人を超す町の北と南――、50%を破壊したのだから請求金額が想像もつかない。
彼女が多少元気付ける言葉を言ってくれたとしても、それは慰めにもならないのだ。
本当に、あとでの請求は怖い。
「くそっ!」
俺がもっと上手くやっていれば問題なかったかも知れないのに。
もう、どうしようもな――。
――否、待てよ?
俺は自分の頭の中に降ってきた天恵にハッ! とする。
「カンダさん、ご無事でしたか?」
ソフィアがセフィと共に近づいてくると話かけてきた。
「ああ、大丈夫だ。それよりも! 早く! 全員、ここから逃げるんだ!」「神田さん? 一体なにを?」
ソルティが首を傾げながら語りかけてくるが、今は、彼女の問いかけに答える余裕はない。
「ソルティ、今までありがとう。あとは、俺に任せろ! ソフィア、お前はリアと合流してセフィとマリーを連れてなるべく高台のほうへ走るんだ!」
「カンダさん、何をするつもりなのですか?」
「ふっ――、俺は俺の後始末をするだけだ! このままでは炎は広がりソドムの町は多くの人が住めない焼けた荒野になってしまうだろう。だから俺が! 炎を何とかしてみせる!」
俺の言葉に、全員が「カンダさん!」と、瞳に涙を浮かべて感涙している。
「皆、あとは任せたぞ!」
「そんな! 私も一緒に!」
「ソフィア。お前の精霊魔法があれば煙に巻かれずに、高台に避難できるはずだ。お前は冒険者でもないセフィやマリーを危険に晒すのか?」
「それは……」
「見間違えるなよ? 冒険者は、一般人も守るための職業だ! そして、リアの攻撃魔法があれば、崩れてくる建物を破壊して移動することが出来るはずだ……そして、セフィ。マリーのことは任せた。そしてソルティ。村のことは女神であるお前に頼んだぞ!」
「神田さん……」
俺の言葉に全員が感激しているようだ。
これで、うまくフラグが立てることが出来ただろう。
「ほら! 早くいけ!」
彼女たちに背中を見せることで、この場は俺に任せろ! と、言うポーズを見せておく。
すぐに彼女たちの気配が遠のく。
何度も俺の方を見てくるのが分かるが、俺は彼女たちの方を見ることはしない。
ようやく彼女たちの気配が消えたところで。
「くくくっ……。全ては計画通り」
俺が何とかすると分かれた後、全ての証拠を無くしてしまえばいい。
つまり、中途半端に物品証拠が残っているから事件になるのだ。
やるなら徹底的! 完璧に! 完全に! 破壊しておけば俺のせいだという証拠がないのだから何とかなる。
「生活魔法発動!」
まずは救命胴衣を作り出し着る。
そして空へ手を掲げて。
「生活魔法全力全開発動! 水生成!」
俺の全魔力を使った生活魔法が発動し空から巨大な滝のような水が降り注ぎ、俺を含めた全てを呑み込んでいく。
もちろん、俺も呑み込まれた。
「これで湖面の下に証拠が沈下すれば俺のせいには……、がぼぼぼ……」
上空から落ちてくる炎の塊を見上げながら思考する。
だが! その間も、少しずつ体感温度が上がり続けていく。
正直、暑いというか熱い!
「くそっ! 上空から火の玉から落ちてくるなんて……」
思わず悪態をつく。
まったくと言っていいほど! 打開策が! 浮かばない!
そんなことを思っている間にも、上空の火の玉が落ちてくるにつれてジリジリと耐えられないほどの熱さを放ってくる。
おそらく、まだ数秒しか経過していない。
だが、打開策が何も見つからない。
「――、く、くそっそおおお! このままでは俺の借金がああああああああああああっ!!」
思わず叫ぶ。
どうすればいい。
どうすれば全てが丸く収まる?
何かいい案は無いのか?
「もう無理なの! 吹き飛べ! エクスプロージョン!」
「やめろおおおおおお」
俺は絶叫する。
それと同時にリアの爆裂魔法が上空の炎の塊に直撃し強烈な爆風が、俺の体を木の葉のように吹き飛ばす。
「ソルティはいいとして……、マリーだけは!」
自分の体を盾にして、抱きしめていたマリーを守る。
何度も地面に叩きつけられる。
まるで木の葉のように。
地面の上を何度かリバウンドし――、それでも勢いは止まらない。
俺の体が建物の壁に背中から叩きつけられ――、ミシミシという嫌な音が聞こえてきたところで、ようやく俺の体は止まることが出来た。
「カハッ!」
思わず血を吐く。
それだけの衝撃だった。
「神田さん、大丈夫ですか?」
「ああ――」
俺は続けての「なんとかな……」と、言う言葉を口にする前に周囲の状況を見て目を見開いた。
死ぬことは無かったが、見渡す限り全ての建物から火の手が上がっている。
これは、もう……。
「どうすればいいんだ……」
「神田さん、こうしなければ私達は死んでいたのですから仕方ありません。それに、死人は、まだ出ていないようですから」
ソルティが、元気つけてきているのは分かったが、人口1万人を超す町の北と南――、50%を破壊したのだから請求金額が想像もつかない。
彼女が多少元気付ける言葉を言ってくれたとしても、それは慰めにもならないのだ。
本当に、あとでの請求は怖い。
「くそっ!」
俺がもっと上手くやっていれば問題なかったかも知れないのに。
もう、どうしようもな――。
――否、待てよ?
俺は自分の頭の中に降ってきた天恵にハッ! とする。
「カンダさん、ご無事でしたか?」
ソフィアがセフィと共に近づいてくると話かけてきた。
「ああ、大丈夫だ。それよりも! 早く! 全員、ここから逃げるんだ!」「神田さん? 一体なにを?」
ソルティが首を傾げながら語りかけてくるが、今は、彼女の問いかけに答える余裕はない。
「ソルティ、今までありがとう。あとは、俺に任せろ! ソフィア、お前はリアと合流してセフィとマリーを連れてなるべく高台のほうへ走るんだ!」
「カンダさん、何をするつもりなのですか?」
「ふっ――、俺は俺の後始末をするだけだ! このままでは炎は広がりソドムの町は多くの人が住めない焼けた荒野になってしまうだろう。だから俺が! 炎を何とかしてみせる!」
俺の言葉に、全員が「カンダさん!」と、瞳に涙を浮かべて感涙している。
「皆、あとは任せたぞ!」
「そんな! 私も一緒に!」
「ソフィア。お前の精霊魔法があれば煙に巻かれずに、高台に避難できるはずだ。お前は冒険者でもないセフィやマリーを危険に晒すのか?」
「それは……」
「見間違えるなよ? 冒険者は、一般人も守るための職業だ! そして、リアの攻撃魔法があれば、崩れてくる建物を破壊して移動することが出来るはずだ……そして、セフィ。マリーのことは任せた。そしてソルティ。村のことは女神であるお前に頼んだぞ!」
「神田さん……」
俺の言葉に全員が感激しているようだ。
これで、うまくフラグが立てることが出来ただろう。
「ほら! 早くいけ!」
彼女たちに背中を見せることで、この場は俺に任せろ! と、言うポーズを見せておく。
すぐに彼女たちの気配が遠のく。
何度も俺の方を見てくるのが分かるが、俺は彼女たちの方を見ることはしない。
ようやく彼女たちの気配が消えたところで。
「くくくっ……。全ては計画通り」
俺が何とかすると分かれた後、全ての証拠を無くしてしまえばいい。
つまり、中途半端に物品証拠が残っているから事件になるのだ。
やるなら徹底的! 完璧に! 完全に! 破壊しておけば俺のせいだという証拠がないのだから何とかなる。
「生活魔法発動!」
まずは救命胴衣を作り出し着る。
そして空へ手を掲げて。
「生活魔法全力全開発動! 水生成!」
俺の全魔力を使った生活魔法が発動し空から巨大な滝のような水が降り注ぎ、俺を含めた全てを呑み込んでいく。
もちろん、俺も呑み込まれた。
「これで湖面の下に証拠が沈下すれば俺のせいには……、がぼぼぼ……」
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