85 / 196
エピローグ(3)
しおりを挟む
「せこいって……、1万人以上の人口を食わせていくのは大変なんだぞ? ベックが奴隷を購入した際の販促路を利用して、食料を他国から購入してきているから何とかなっているとして、石鹸だって行き渡ったら食料を買い換えるお金が無くなるからな。金になる塩だって、湖に溶け出してしまったから塩にするためには一手間かかるし……、そういえば、ソルティは?」
「ソルティさんは、ソルティ教を作って信者を増やすとか言っていました」
「あいつは何をしているんだか……」
「ソルティは、ソルティコインというのを作って将来、価値が上がると言って販売すると言っていたの」
「どこかで聞いたような商売方法だな。あとで、注意しておかないと暴動に発展しそうだ」
俺は大きく溜息をつきながらパンを口に運びスープで胃の中に流し込む。
そして、立ち上がり服を着るとログハウスから出ようとしたところで、扉が開く。
「カンダさん!」
そこには息を切らせたスザンナが立っていた。
「どうかしたのか?」
「はい! エルダ王国の王宮の使者が来て、これを――」
「手紙か?」
スザンナから手紙を受け取った俺は、書簡の内容に目を通していく。
そこには、塩湖により街道が塞がれているために食料を送るためには莫大なコストが掛かるため、コストの負担を俺達にするようにと書かれていた。
そして西方領地に関しては街道が使えないため、エルダ王国では統治は不可能と書かれており、ニードルス伯爵家に関しては一度、貴族籍を剥奪すると書かれていた。
「これは、無茶苦茶だな」
「はい。どうやらエルダ王国は、維持費に莫大な費用がかかる西方領地の切捨てを決めたようです。それと食料や貿易に関しては、他国と同じ税率をかけると――」
「――ん? つまり、それは……」
「はい。どうやら、エルダ王国側は私達を一国として扱う気のようです」
「なるほど……」
「それと、エルダ王国の第二王女ザビーネ様が、カンダさんに嫁ぐという話になっているようです」
「……は?」
「一体、どうしてそんなことになっているんだ? 一応、領地の実質的最高責任者はスザンナだろ?」
「現状は、そうなっていましたが……、エルダ王国が私達の西方領地を一国として扱う条件にカンダさんを国王として即位させるという条件があるのです」
……俺の紐生活が――。
「ですが! 丁度、良かったです!」
「――え?」
何が、良かったというのか?
スザンナは少なくとも伯爵位を剥奪されたのだから大問題だろうに。
「だって、カンダさんが国王になれば親族が起こした貴族は公爵家になるのですから!」
「あ――。そ、そうだな……」
そう考えると、ニードルス伯爵家からニードルス公爵家になるのだから悪いことではないのか?
「でも、あれだろ? 国王になったら仕事とか……」
「はい! 国が出来たばかりの時は、設備もそうですが、町や他国要人との外交など多くの問題ごとに晒されますので寝る時間は殆どないとおもいます」
「……」
異世界に来てまでなんというブラックな環境だろうか?
「ですけど、これで大手を振るって多くの女性と関係が持てますね!」
「……」
「そうでした。あと数時間でザビーネ様が来られるそうです」
「やっぱり、あれだよな? 后位の順位とかも決めないといけないんだよな……」
「はい。やはりザビーネ様が、后位1位が妥当かと思われますが……、おそらくですがリルカさんなどは納得しないと思うで――」
「正妻戦争が、また始まると?」
「いえ、今回は後宮戦争になると思います」
「……急に膝が痛くなってきた――」
俺は、自分の膝に手を当てながら座り込む。
最近では、膝の痛みに苛まれている。
以前にソルティが中和してくれていた膝の痛みだが、彼女が女神の力を殆ど失うと同時に呪いは再発してしまっていたのだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だが……」
「そうですか。良かったです。それでは、私はエルダ王国のザビーネ様を迎える準備をして参りますね」
「……ああ」
――色々と問題が山積みになっていて溜息しかでない。
たしかに、俺が起こした問題というか借金は、ソドムの町が塩湖に沈んだことで無かったことになったが、それを差し引いても国王になって建国して1万人以上の人口を食べさせていくために行動しないといけないのは罰ゲームというには、あまりに酷いものだろう。
「大丈夫なの?」
リアが話かけてくる。
「大丈夫だが、少し冒険に出たいなと……」
「カンダさん。それはダメですよ? リアも私も――」
「ま、まさか……」
「そのまさかなの!」
「一生懸命、建国をがんばってくださいね! カンダさん!」
ソフィアの言葉に「あ、はい……」と、しか俺は言葉を返すことが出来なかった。
……もう40歳過ぎのおっさんなのに異世界で建国をするとは思わなかったな。
「まぁ、頑張ってみるか……」
「はい!」
それにしても建国をするとなると資材も必要だが、何よりも必要なのは人材ということになる。
「ソルティさんは、ソルティ教を作って信者を増やすとか言っていました」
「あいつは何をしているんだか……」
「ソルティは、ソルティコインというのを作って将来、価値が上がると言って販売すると言っていたの」
「どこかで聞いたような商売方法だな。あとで、注意しておかないと暴動に発展しそうだ」
俺は大きく溜息をつきながらパンを口に運びスープで胃の中に流し込む。
そして、立ち上がり服を着るとログハウスから出ようとしたところで、扉が開く。
「カンダさん!」
そこには息を切らせたスザンナが立っていた。
「どうかしたのか?」
「はい! エルダ王国の王宮の使者が来て、これを――」
「手紙か?」
スザンナから手紙を受け取った俺は、書簡の内容に目を通していく。
そこには、塩湖により街道が塞がれているために食料を送るためには莫大なコストが掛かるため、コストの負担を俺達にするようにと書かれていた。
そして西方領地に関しては街道が使えないため、エルダ王国では統治は不可能と書かれており、ニードルス伯爵家に関しては一度、貴族籍を剥奪すると書かれていた。
「これは、無茶苦茶だな」
「はい。どうやらエルダ王国は、維持費に莫大な費用がかかる西方領地の切捨てを決めたようです。それと食料や貿易に関しては、他国と同じ税率をかけると――」
「――ん? つまり、それは……」
「はい。どうやら、エルダ王国側は私達を一国として扱う気のようです」
「なるほど……」
「それと、エルダ王国の第二王女ザビーネ様が、カンダさんに嫁ぐという話になっているようです」
「……は?」
「一体、どうしてそんなことになっているんだ? 一応、領地の実質的最高責任者はスザンナだろ?」
「現状は、そうなっていましたが……、エルダ王国が私達の西方領地を一国として扱う条件にカンダさんを国王として即位させるという条件があるのです」
……俺の紐生活が――。
「ですが! 丁度、良かったです!」
「――え?」
何が、良かったというのか?
スザンナは少なくとも伯爵位を剥奪されたのだから大問題だろうに。
「だって、カンダさんが国王になれば親族が起こした貴族は公爵家になるのですから!」
「あ――。そ、そうだな……」
そう考えると、ニードルス伯爵家からニードルス公爵家になるのだから悪いことではないのか?
「でも、あれだろ? 国王になったら仕事とか……」
「はい! 国が出来たばかりの時は、設備もそうですが、町や他国要人との外交など多くの問題ごとに晒されますので寝る時間は殆どないとおもいます」
「……」
異世界に来てまでなんというブラックな環境だろうか?
「ですけど、これで大手を振るって多くの女性と関係が持てますね!」
「……」
「そうでした。あと数時間でザビーネ様が来られるそうです」
「やっぱり、あれだよな? 后位の順位とかも決めないといけないんだよな……」
「はい。やはりザビーネ様が、后位1位が妥当かと思われますが……、おそらくですがリルカさんなどは納得しないと思うで――」
「正妻戦争が、また始まると?」
「いえ、今回は後宮戦争になると思います」
「……急に膝が痛くなってきた――」
俺は、自分の膝に手を当てながら座り込む。
最近では、膝の痛みに苛まれている。
以前にソルティが中和してくれていた膝の痛みだが、彼女が女神の力を殆ど失うと同時に呪いは再発してしまっていたのだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だが……」
「そうですか。良かったです。それでは、私はエルダ王国のザビーネ様を迎える準備をして参りますね」
「……ああ」
――色々と問題が山積みになっていて溜息しかでない。
たしかに、俺が起こした問題というか借金は、ソドムの町が塩湖に沈んだことで無かったことになったが、それを差し引いても国王になって建国して1万人以上の人口を食べさせていくために行動しないといけないのは罰ゲームというには、あまりに酷いものだろう。
「大丈夫なの?」
リアが話かけてくる。
「大丈夫だが、少し冒険に出たいなと……」
「カンダさん。それはダメですよ? リアも私も――」
「ま、まさか……」
「そのまさかなの!」
「一生懸命、建国をがんばってくださいね! カンダさん!」
ソフィアの言葉に「あ、はい……」と、しか俺は言葉を返すことが出来なかった。
……もう40歳過ぎのおっさんなのに異世界で建国をするとは思わなかったな。
「まぁ、頑張ってみるか……」
「はい!」
それにしても建国をするとなると資材も必要だが、何よりも必要なのは人材ということになる。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
969
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる