29 / 117
28.説明
しおりを挟むあの後、ゾディアス様は父に自分から、こうなった経緯を説明すると言ってくれた。だが、全てを赤裸々に話されては恥ずかしすぎるため、自分で話すと断わっているのだが・・・もめていた。
「君の父親には私から話をしよう」
「父には自分から話をしますから、大丈夫ですッ。何度も言わせないで下さい」
「いや、言いにくい内容だろうし、この様な事になった責任はこちらにある。だから遠慮しなくていい・・・」
「だから、遠慮とかではなくてッ」
ゾディアス様がこのように頑固だとは思わず、はっきりと言ってやろうと意気込んだ。
「こんな所で何を揉めているんだい・・・。リンジー、どうして副長とこんな所に?」
ゾディアス様と意見が一致しないまま、揉めていると父が来てしまった。
どうやら、なかなか戻ってこないゾディアス様を探しに来た様だった。
「ちょうどよかった。話がある」
ゾディアス様はリンジェーラが止めるのも聞かず、父に話をし始めてしまったため、リンジェーラは耳をふざいで、羞恥に耐えた。
話が終わったのか、父が眉間に皺を寄せて合図してきた。
「リンジー、耳を塞いでいたら、彼が言っている事が本当かわからないだろう・・・。リンジーからも聞きたいから、うちに帰って話をしよう」
父はリンジェーラに提案してきた。だが、ゾディアス様も一緒にと言われる。これからのことを話すらしい・・・。
「ついでにどれだけ、薬が持続するのか知りたいからね。まだ飲んで3時間くらいか・・・、おそらくは9時間くらいは持つ予定の調合だけど、ちゃんと時間が持続するかをね」
リンジェーラは、本当にそれはついでなのかと思った。今は昼近くだから帰って食事をし終われば、薬の効果は切れるだろう。
嗅覚だけ機能しないだけで、味覚は保たれるから味はある程度わかるだろうが・・・、やはり嗅覚、味覚があわされなくては食事は美味しくは感じないだろうなと考えていた。
リンジェーラが違うことを考えているうちに、父達は話がすんだのか、ゾディアス様はもう背を向けていた。
父に促されて調合室の個人部屋に通される。
「彼が起点を利かせてくれたのはいいが・・・。問題はこれからの人間関係だな。リンジーにとって、ここへは来づらくなるかもしれないよ。獣人を寄せ付けないことで、周りからの信頼があったから・・・だがそれが覆されたとなれば、リンジーに悪意をぶつけるものもでてくるだろう・・・」
父はリンジェーラを心配して、これから予想される悪い流れも話してくれる。
「そうですね・・・師団長には今のうちに説明をしてきます。彼らから身を守るためでしたが、今度は違う方達から悪意を向けられと思うと・・・恐ろしいですね」
「まぁ・・・普段関わっているうちの薬師達なら、非難したりはしないだろう」
薬師達とは普段から、軽口も言い合え、研究で意見も出し合うほど良好な関係を築いていた・・・。だからそこの不安はない・・・どちらかといえば、騎士団のメンバーにまとわりついている女性達からの妬みが凄いと予想された。
「はい。では、師団長に説明に行ってきます」
リンジェーラは、これから流される悪い噂に、ため息をつくのだった。
29
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
【完結】マッチョ大好きマチョ村(松村)さん、異世界転生したらそこは筋肉パラダイスでした!
櫻野くるみ
恋愛
松村香蓮はマッチョが大好きな女子高校生。
しかし、学校には納得できるマッチョがいないことに不満を抱えていた。
細マッチョくらいでは満足できない香蓮は、友人にマッチョ好きを揶揄われ、『松村』をもじって『マチョ村』と呼ばれているのだが、ある日不注意による事故で死んでしまう。
転生した先は異世界だった。
頭をぶつけた衝撃で前世でマチョ村だった記憶を取り戻したカレンだったが、騎士団の寮で働いている彼女のまわりはマッチョだらけで……?
新人騎士の幼馴染みも加わって、マッチョ好きには堪らない筋肉パラダイスに悶絶するマチョ村さんのお話です。
小説家になろう様にも投稿しています。
『文官貴族令嬢は、マッチョな騎士に首ったけ。』がエンジェライト文庫様より電子書籍で配信されています。
こちらもマッチョに惹かれる女の子のハッピーエンドのお話なので、よろしかったら各配信サイトからお願いいたします。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。
感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。
残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。
よろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる