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第四話
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漫画のような出来事があった冬休みも過ぎ、三学期が始まった。久しぶりに会った奴らと冬休みの出来事について話したり冬休みの課題を出したり、とこれといって変わった事が起きなかった始業式だった。
「まあ、あの出来事が特別変わってただけなんだよな。今思えばあれは現実の出来事だったのかすらちょっと疑わしいけど、連絡先は未だに残ってるしな……」
一緒にファミレスで昼食を食べた後、俺は松也さんの提案で松也さんと真夏さんと連絡先を交換した。そしてその後も度々松也さんや真夏さん、松也さんから携帯を借りた茉莉ちゃんと連絡を取り合っているが、それでも三が日のあの出来事は少し現実味がないように感じていた。
「俺みたいにあまり目立たない奴の身に起きた事だしなあ。まあ家族や他の奴らに話したってどうせ信じてもらえないし、また会う機会がある事を願いながらみんなとの毎日を楽しもう」
校長の長い話を聞きながらそんな事を独り言ちていると、それが生徒会長の挨拶に切り替わった。
「それでは、生徒会長の田母神さん。よろしくお願いします」
「ん……田母神?」
去年の秋に変わったばかりだった上にあまり生徒会選挙に興味がなかったから生徒会長の名前をまったく知らなかったけれど、偶然にも真夏さんと同じ名字のようだった。
生徒会長の田母神さんは、大きなレンズのメガネをかけた真面目そうな人のようで、長い黒髪を髪ゴムで一つに纏めていた。
「田母神なんて名字珍しいのに生徒会長と真夏さんで二人知ってる事になるのか。もしかして、親戚とかだったりして」
そんな事を考えている内に田母神生徒会長は登壇し、凛とした声で話を始めた。内容的には冬休み明けでも三学期も気を抜かずに頑張ろうとか寒さに負けずに体調管理にも気を遣おうという在り来たりな内容だったけれど、その凛としながらも綺麗な声は不思議と身に染み、校長の長い話なんかよりももっと聞きたいと思わせる物だった。
「すごいな……流石は生徒会長ってところか。まあ、俺が関わる機会なんてまったくないとは思うけどさ」
そうして田母神生徒会長の話が終わり、田母神生徒会長は降壇しようとしていたが、その前にチラリとこちらを見てきた気がした。
「気のせい、か。なんか他に気になる事でもあったんだろうな」
そんな事を考えている間に田母神生徒会長は降壇し終えており、生徒指導の先生の言葉などもあってから始業式は終わった。それからそれぞれのクラスに戻り、午前で終わる事もあって、みんながソワソワしながら放課後になるのを待っていたその時、教室の前の方につけられているスピーカーから声が聞こえ始めた。
『生徒の呼び出しをします。1-Bの父川冬矢君、1-Bの父川冬矢君。至急生徒指導室まで来て下さい』
「……え?」
突然の呼び出しに頭が真っ白になる。呼び出しなんてこれまでされた事はないし、何かをした記憶もない。なのに、呼ばれている。それが不思議で仕方なかったし、どうしてという気持ちでいっぱいだった。
「おいおい、冬矢。なにしたんだよ~」
「三学期の初日から呼び出しなんて大物だなあ、このこの~」
「な、なにもしてないって! とりあえず行ってくるから!」
クラスのダチ達から囃し立てられながら俺は教室を出て、生徒指導室に向かった。中に入ると、そこには生徒指導の先生じゃなく、田母神生徒会長が座っていた。
改めて見てみると、田母神生徒会長はとても真面目そうで冗談とかが通用しなさそうな感じがし、そんな田母神生徒会長と二人きりという状況は悪い意味でドキドキした。よくあるラブコメ作品みたいに男女が二人きりでドキドキするのと違って、何を言われるのかというドキドキでいっぱいだった。
「あ、あの……」
「呼んだのは私ですよ、父川冬矢君。どうぞお掛けください」
「し、失礼します……」
ビクビクしながら向かいに座る。何かをした記憶はないけれど一体何を言われるのだろう。そんな事を考えながら待っていると、田母神生徒会長はメガネを外して髪ゴムを取った。
「え……ま、真夏さん?」
そこにいたのは、紛れもなく真夏さんであり、真夏さんはあの日と同じ優しい笑顔を浮かべた。
「こうして面と向かってお話をするのは三が日以来ですね、冬矢さん」
「え……あ、はい。というか、真夏さんがウチの生徒会長だったんですね。同じ名字なんだなとは思いましたけど、まさか本人だとは思いませんでしたよ」
「学校では真面目キャラでやってますし、生徒会のメンバーやクラスメート以外とはあまり関わる機会もないので気づけなくとも仕方ないですよ。冬矢さん、改めてあの日はありがとうございました。茉莉ちゃんも無事だった上にあの日から冬矢さんのお話ばかりしてるみたいで、毎日楽しそうにしていると伯父様達から聞いてます」
「いえ、あのまま放っておけなかったので。でも、どうして俺をここに呼んだんですか? 気づいていない内に何かやらかしてましたか?」
それを聞くと、真夏さんはキョトンとした。そしてプッと笑ってからクスクスと笑った。それはあの日と同じで、それが不思議と安心出来た。
「冬矢さんが何かをしたからお呼びしたわけではないですよ。それとも、何か心当たりでもあるんですか?」
「そ、そんな事ないですよ!」
「ふふ、冗談です。本当はこういう形でお呼びして話す事でもないのですが、同じ学校の生徒というのを知って早くお話したいと思ったので呼び出しをしてしまいました」
「って事は……何か個人的な話って事ですか?」
「はい。冬矢さんにお願いしたい事があるんです。けれど、その前に……冬矢さん、茉莉ちゃんの事をどんな子だと思ってますか?」
「茉莉ちゃんの事……」
俺は茉莉ちゃんについて考えた。人見知りで警戒心が強い子とは言っていたけれど、俺から見れば人懐っこくて甘えん坊、何でも興味を持つ好奇心旺盛な性質があって元気いっぱいな子に見えていたし、妹がいればこういう感じなのかとも思っていた。
「とてもいい子だと思いますよ。聞いていた話と違って元気いっぱいな子でしたし、結構甘えん坊で可愛らしい子です。妹がいたらこんな感じなのかなと思って微笑ましくもなりましたし」
「なるほど……もし、茉莉ちゃんが家族だったら可愛がってあげてくれますか?」
「それはもちろん。でも、どうしてそんな事を?」
「このお願いを口にする上で聞いておきたい事だったからです。伯父様と伯母様、そして両親からのお願い事なので、冬矢さんの答え方いかんではその件を白紙にする事も考えていました。けれど、冬矢さんの回答は予想していた通りでしたし、そんな冬矢さんだったら私も安心です」
「えーと、話がまったく見えてこないんですけど……」
茉莉ちゃんの印象が必要になってくるお願い事と聞いてもまったくピンと来なかったし、松也さん達や真夏さんのご両親からのお願い事というのもなんだか不思議な感じだった。
そしてお願い事が何なのか考えながら真夏さんの返事を待っていた時、真夏さんは緊張しているのか一度深呼吸をしてから口を開いた。
「それではお呼びした理由をお話ししますね」
「はい」
「冬矢さんをお呼びした理由、それは……」
真夏さんが一度溜め、その緊張が伝わってきた事で俺の喉がゴクリとなった後、真夏さんは真剣な表情を浮かべた。
「貴方に茉莉ちゃんのパパ、並びに私の婚約者になってもらいたいんです」
「……え?」
思わぬ言葉に俺は変な声を出してしまった。
「まあ、あの出来事が特別変わってただけなんだよな。今思えばあれは現実の出来事だったのかすらちょっと疑わしいけど、連絡先は未だに残ってるしな……」
一緒にファミレスで昼食を食べた後、俺は松也さんの提案で松也さんと真夏さんと連絡先を交換した。そしてその後も度々松也さんや真夏さん、松也さんから携帯を借りた茉莉ちゃんと連絡を取り合っているが、それでも三が日のあの出来事は少し現実味がないように感じていた。
「俺みたいにあまり目立たない奴の身に起きた事だしなあ。まあ家族や他の奴らに話したってどうせ信じてもらえないし、また会う機会がある事を願いながらみんなとの毎日を楽しもう」
校長の長い話を聞きながらそんな事を独り言ちていると、それが生徒会長の挨拶に切り替わった。
「それでは、生徒会長の田母神さん。よろしくお願いします」
「ん……田母神?」
去年の秋に変わったばかりだった上にあまり生徒会選挙に興味がなかったから生徒会長の名前をまったく知らなかったけれど、偶然にも真夏さんと同じ名字のようだった。
生徒会長の田母神さんは、大きなレンズのメガネをかけた真面目そうな人のようで、長い黒髪を髪ゴムで一つに纏めていた。
「田母神なんて名字珍しいのに生徒会長と真夏さんで二人知ってる事になるのか。もしかして、親戚とかだったりして」
そんな事を考えている内に田母神生徒会長は登壇し、凛とした声で話を始めた。内容的には冬休み明けでも三学期も気を抜かずに頑張ろうとか寒さに負けずに体調管理にも気を遣おうという在り来たりな内容だったけれど、その凛としながらも綺麗な声は不思議と身に染み、校長の長い話なんかよりももっと聞きたいと思わせる物だった。
「すごいな……流石は生徒会長ってところか。まあ、俺が関わる機会なんてまったくないとは思うけどさ」
そうして田母神生徒会長の話が終わり、田母神生徒会長は降壇しようとしていたが、その前にチラリとこちらを見てきた気がした。
「気のせい、か。なんか他に気になる事でもあったんだろうな」
そんな事を考えている間に田母神生徒会長は降壇し終えており、生徒指導の先生の言葉などもあってから始業式は終わった。それからそれぞれのクラスに戻り、午前で終わる事もあって、みんながソワソワしながら放課後になるのを待っていたその時、教室の前の方につけられているスピーカーから声が聞こえ始めた。
『生徒の呼び出しをします。1-Bの父川冬矢君、1-Bの父川冬矢君。至急生徒指導室まで来て下さい』
「……え?」
突然の呼び出しに頭が真っ白になる。呼び出しなんてこれまでされた事はないし、何かをした記憶もない。なのに、呼ばれている。それが不思議で仕方なかったし、どうしてという気持ちでいっぱいだった。
「おいおい、冬矢。なにしたんだよ~」
「三学期の初日から呼び出しなんて大物だなあ、このこの~」
「な、なにもしてないって! とりあえず行ってくるから!」
クラスのダチ達から囃し立てられながら俺は教室を出て、生徒指導室に向かった。中に入ると、そこには生徒指導の先生じゃなく、田母神生徒会長が座っていた。
改めて見てみると、田母神生徒会長はとても真面目そうで冗談とかが通用しなさそうな感じがし、そんな田母神生徒会長と二人きりという状況は悪い意味でドキドキした。よくあるラブコメ作品みたいに男女が二人きりでドキドキするのと違って、何を言われるのかというドキドキでいっぱいだった。
「あ、あの……」
「呼んだのは私ですよ、父川冬矢君。どうぞお掛けください」
「し、失礼します……」
ビクビクしながら向かいに座る。何かをした記憶はないけれど一体何を言われるのだろう。そんな事を考えながら待っていると、田母神生徒会長はメガネを外して髪ゴムを取った。
「え……ま、真夏さん?」
そこにいたのは、紛れもなく真夏さんであり、真夏さんはあの日と同じ優しい笑顔を浮かべた。
「こうして面と向かってお話をするのは三が日以来ですね、冬矢さん」
「え……あ、はい。というか、真夏さんがウチの生徒会長だったんですね。同じ名字なんだなとは思いましたけど、まさか本人だとは思いませんでしたよ」
「学校では真面目キャラでやってますし、生徒会のメンバーやクラスメート以外とはあまり関わる機会もないので気づけなくとも仕方ないですよ。冬矢さん、改めてあの日はありがとうございました。茉莉ちゃんも無事だった上にあの日から冬矢さんのお話ばかりしてるみたいで、毎日楽しそうにしていると伯父様達から聞いてます」
「いえ、あのまま放っておけなかったので。でも、どうして俺をここに呼んだんですか? 気づいていない内に何かやらかしてましたか?」
それを聞くと、真夏さんはキョトンとした。そしてプッと笑ってからクスクスと笑った。それはあの日と同じで、それが不思議と安心出来た。
「冬矢さんが何かをしたからお呼びしたわけではないですよ。それとも、何か心当たりでもあるんですか?」
「そ、そんな事ないですよ!」
「ふふ、冗談です。本当はこういう形でお呼びして話す事でもないのですが、同じ学校の生徒というのを知って早くお話したいと思ったので呼び出しをしてしまいました」
「って事は……何か個人的な話って事ですか?」
「はい。冬矢さんにお願いしたい事があるんです。けれど、その前に……冬矢さん、茉莉ちゃんの事をどんな子だと思ってますか?」
「茉莉ちゃんの事……」
俺は茉莉ちゃんについて考えた。人見知りで警戒心が強い子とは言っていたけれど、俺から見れば人懐っこくて甘えん坊、何でも興味を持つ好奇心旺盛な性質があって元気いっぱいな子に見えていたし、妹がいればこういう感じなのかとも思っていた。
「とてもいい子だと思いますよ。聞いていた話と違って元気いっぱいな子でしたし、結構甘えん坊で可愛らしい子です。妹がいたらこんな感じなのかなと思って微笑ましくもなりましたし」
「なるほど……もし、茉莉ちゃんが家族だったら可愛がってあげてくれますか?」
「それはもちろん。でも、どうしてそんな事を?」
「このお願いを口にする上で聞いておきたい事だったからです。伯父様と伯母様、そして両親からのお願い事なので、冬矢さんの答え方いかんではその件を白紙にする事も考えていました。けれど、冬矢さんの回答は予想していた通りでしたし、そんな冬矢さんだったら私も安心です」
「えーと、話がまったく見えてこないんですけど……」
茉莉ちゃんの印象が必要になってくるお願い事と聞いてもまったくピンと来なかったし、松也さん達や真夏さんのご両親からのお願い事というのもなんだか不思議な感じだった。
そしてお願い事が何なのか考えながら真夏さんの返事を待っていた時、真夏さんは緊張しているのか一度深呼吸をしてから口を開いた。
「それではお呼びした理由をお話ししますね」
「はい」
「冬矢さんをお呼びした理由、それは……」
真夏さんが一度溜め、その緊張が伝わってきた事で俺の喉がゴクリとなった後、真夏さんは真剣な表情を浮かべた。
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思わぬ言葉に俺は変な声を出してしまった。
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