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第三十話
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「それでは皆さん。メリークリスマス!」
『メリークリスマス!』
クリスマスイブの夜、俺達はお屋敷の食堂で乾杯をしていた。白いテーブルクロスが広げられた長いテーブルには様々なごちそうが並んでおり、新旧の生徒会役員達はその豪勢さに目を輝かせた。
「す、スゴい……!」
「このお屋敷を見た時からスゴいなとは思ってたけど、こんなに豪華な食事が出来るなんて思わなかった!」
「まあ俺達も毎回こんな豪華な食事はしてないけど、せっかくのクリスマスだしな」
「そうですね。皆さん、今夜は楽しんでいってくださいね」
真夏さんの言葉にみんなが頷く。そして生徒会役員達や茉莉ちゃんが食べ始める中、それを見ていた真宙さんはクスクス笑った。
「いい食べっぷりだね。やっぱり若いとはいいことだなと思うよ」
「真宙さん達もまだ若いですよ。それにしても、電話で言っていたサンタクロースの件はどうなったんですか?」
「ああ、それか。私の口からは何とも言えないな。ただ、ここにはいい子がいっぱいいるから来てくれるんじゃないかな?」
「もう、お父様ったら……ですが、もしサンタクロースがいらっしゃるなら夢はありますね」
「たしかに。茉莉ちゃんもサンタさんが来たら嬉しい?」
茉莉ちゃんは咀嚼していたチキンをゴクンと飲み込んでから笑みを浮かべた。
「うん! サンタさん見たことないから、もし来てくれたら嬉しいよ!」
「サンタクロースか……ウチは久しく来てないな」
「え? いい子にしてなかったの?」
「ううん、私達くらいの歳になるとサンタさんは来なくなるんだよ。茉莉ちゃん達みたいにもっといい子達の方に行ってあげてくださいって言うから」
「サンタさんだって誰にでもプレゼントを渡しに行ってたら大変だからね。そうやって俺達もサンタさんにはバイバイしたんだよ」
「そーなんだ……でも、たしかにそうだよね。私よりも年下の子なんてこれからいっぱい出てくるわけだし、そういう子のためにサンタさんには頑張ってもらわないとだもんね!」
茉莉ちゃんがにこりと笑いながら言うと、新旧の生徒会役員達は微笑ましそうな顔で頷いた。いい言い方をしてもらったとは思うし、茉莉ちゃんがいずれ本当の事に気づいた後も同じような質問をされても同じ回答が出来ると思う。その事にはとても感謝しているし、こんな役員達と一緒に頑張っていけるのはとても心強かった。
「頼りきりにならないように俺も頑張らないと……」
「そうですね。ですが、一人で抱え込んだり一人でなんでもしっかりとやろうとはしないでくださいね? 冬矢さんだって一人ではないのですから、困った事や力を借りたい時があれば遠慮なく他の生徒会役員に頼ってください。わかりましたか?」
「はい、それはもちろんです。変に一人で頑張ろうとするよりはしっかりと協力しないとやりたい事だって出来ないですからね」
一人で頑張ろうとして空回っても色々迷惑をかけたり何か違う問題に直面したりしてしまうだろう。だからこそ、まずは他の生徒会役員達に相談をして、しっかりと話し合ってからそれに取り組んでいこう。それがやっぱり一番だからだ。
「でも、それは真夏さんも同じですからね? 真宙さん達はもちろん、俺達だっていますからね」
「はい、それはもちろんです。その時はよろしくお願いしますね、冬矢さん」
「はい」
俺達は笑い合う。婚約者としてこれからもお互いに支え合いながら俺はやっていきたい。俺はいつまでも真夏さんには笑っていてほしいからだ。そうしてパーティーはつつがなく進んでいき、ケーキを食べながら紅茶を飲んでのんびりとしていたその時だった。
「ほーほっほっー!」
突然そんな声が聞こえ始める。俺達が驚きながら声がした食堂のドアの方に向くと、そこには大きな袋を背負ったサンタクロースがいた。
「わあ、サンタさんだー!」
「ほんとに来た……」
「そうですね……」
茉莉ちゃんが目を輝かせ、俺達が驚く中、サンタクロースはゆっくりと食堂の中へと入ってきた。
「なんだかいい子達の気配を感じたんだよ。そしてその気配通りで君達はとてもいい子達のようだ。なのでプレゼントをあげよう!」
「プレゼント!? なにかな、パパ?」
「なんだろうね。それにしても、このサンタクロースの声……」
「はい、少々変えてはいますが、恐らくは……」
茉莉ちゃんは気づいていないようだけど、このサンタクロースの正体は恐らく松也さんだ。たぶんだけど、仕事の都合で一時的に帰ってこられる事を真宙さん達には言っていて、それで真宙さん達はサンタクロースが来るという事にして松也さんを茉莉ちゃんに会わせてあげようと考えたんだろう。
「やっぱり子供を想う親の気持ちって偉大だな」
松也さんや真宙さん達の事を改めて尊敬する中、サンタクロースは俺達にプレゼントを渡していく。高級そうな万年筆やスノードーム、渡す相手にピッタリそうなプレゼントをサンタクロースは渡していき、最後に茉莉ちゃんの番になった。
「さて、最後は君だね」
「うん!」
「君には……まずはこれだ」
サンタクロースは袋の中から上質そうな生地で出来たテディベアを取り出して茉莉ちゃんに渡した。
「か、可愛い……! サンタさん、ありがとう!」
「ほっほっほ、どういたしまして。そして君だけの特別プレゼントをあげよう!」
「え……で、でも……」
茉莉ちゃんが迷った様子を見せる。そして俺と真夏さんを見上げる中、俺達は微笑みながら頷いた。それを見て茉莉ちゃんは安心した様子で笑うと、サンタクロースは長く白い髭を撫でながらにこりと笑った。
「では、そろそろプレゼントをあげよう。それではお嬢さん、入り口の方を見てくれるかい?」
「え? う、うん」
茉莉ちゃんが入り口に視線を向ける。するとそこには、ゆったりとした服を着ながら微笑む結里さんがいた。
「えっ……お、お母さん……!?」
「茉莉、久しぶり。元気そうでよかったわ」
「おかあさん……おかあさーん……!」
茉莉ちゃんは嬉し涙を流しながら駆けていく。そして泣きながら結里さんに顔を埋めると、結里さんは愛おしそうな顔をしながら茉莉ちゃんの頭を撫でた。
「寂しい思いをさせてごめんなさい。でも、頑張っていたのは聞いてたわ。偉いわよ、茉莉」
「うんっ、うん……!」
茉莉ちゃんが泣きながら答える中、サンタクロースは髭などを外していき、スーツ姿の松也さんに姿を変えた。
「ここまで喜んでもらえるとはな。やっぱりそれだけ寂しくさせてしまっていたわけか」
「そうですね。欲しいプレゼントを聞いた時もお父さんとお母さんって言いかけてましたからね。いつもいい子にしてますけど、やっぱりまだまだ松也さん達が恋しいんですよ」
「あそこまで喜んでいますからね。どんなに立派な物や自分の好みのプレゼントを渡されても伯父様達が来てくれるだけでそれ以上に喜ぶはずですよ」
「そうか」
松也さんは嬉しそうに笑う。松也さん達もやっぱり茉莉ちゃんのことは心配で、会えたのは嬉しいのだ。
「でも、お仕事は大丈夫なんですか?」
「それなんだが……実は思ったよりも早く終わってしまってな。それで、クリスマスに合わせて早めに帰国してきたんだ」
「え、それじゃあ……」
「ああ、心配はいらない。すぐにこの生活は終わりにはしないからな。それどころか少し伸ばさせてほしいんだ」
「伸ばす……ですか?」
真夏さんが首を傾げると、松也さんは微笑みながら頷いた。
「ああ。1月の途中というのも中途半端だからな。二人さえよければ3月末まで伸ばさせてほしいんだ。真夏ちゃんも受験の途中でこの生活が終わるよりも区切りいい方がいいだろう?」
「それはたしかにそうですね。冬矢さんはどうですか?」
「俺も賛成です。とりあえず両親にもそれは伝えておきますね」
「ああ、頼んだ。さて、そろそろ茉莉に声をかけにいくか」
松也さんが茉莉ちゃんに近づくと、茉莉ちゃんはまた嬉しそうな顔をして松也さんに抱きついた。その後、俺達は松也さん達も交えてパーティーは再開され、さっきよりも楽しそうにしている茉莉ちゃんの姿を見て俺は最高のプレゼントを本物のサンタクロースがくれたんじゃないかと感じた。
『メリークリスマス!』
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「す、スゴい……!」
「このお屋敷を見た時からスゴいなとは思ってたけど、こんなに豪華な食事が出来るなんて思わなかった!」
「まあ俺達も毎回こんな豪華な食事はしてないけど、せっかくのクリスマスだしな」
「そうですね。皆さん、今夜は楽しんでいってくださいね」
真夏さんの言葉にみんなが頷く。そして生徒会役員達や茉莉ちゃんが食べ始める中、それを見ていた真宙さんはクスクス笑った。
「いい食べっぷりだね。やっぱり若いとはいいことだなと思うよ」
「真宙さん達もまだ若いですよ。それにしても、電話で言っていたサンタクロースの件はどうなったんですか?」
「ああ、それか。私の口からは何とも言えないな。ただ、ここにはいい子がいっぱいいるから来てくれるんじゃないかな?」
「もう、お父様ったら……ですが、もしサンタクロースがいらっしゃるなら夢はありますね」
「たしかに。茉莉ちゃんもサンタさんが来たら嬉しい?」
茉莉ちゃんは咀嚼していたチキンをゴクンと飲み込んでから笑みを浮かべた。
「うん! サンタさん見たことないから、もし来てくれたら嬉しいよ!」
「サンタクロースか……ウチは久しく来てないな」
「え? いい子にしてなかったの?」
「ううん、私達くらいの歳になるとサンタさんは来なくなるんだよ。茉莉ちゃん達みたいにもっといい子達の方に行ってあげてくださいって言うから」
「サンタさんだって誰にでもプレゼントを渡しに行ってたら大変だからね。そうやって俺達もサンタさんにはバイバイしたんだよ」
「そーなんだ……でも、たしかにそうだよね。私よりも年下の子なんてこれからいっぱい出てくるわけだし、そういう子のためにサンタさんには頑張ってもらわないとだもんね!」
茉莉ちゃんがにこりと笑いながら言うと、新旧の生徒会役員達は微笑ましそうな顔で頷いた。いい言い方をしてもらったとは思うし、茉莉ちゃんがいずれ本当の事に気づいた後も同じような質問をされても同じ回答が出来ると思う。その事にはとても感謝しているし、こんな役員達と一緒に頑張っていけるのはとても心強かった。
「頼りきりにならないように俺も頑張らないと……」
「そうですね。ですが、一人で抱え込んだり一人でなんでもしっかりとやろうとはしないでくださいね? 冬矢さんだって一人ではないのですから、困った事や力を借りたい時があれば遠慮なく他の生徒会役員に頼ってください。わかりましたか?」
「はい、それはもちろんです。変に一人で頑張ろうとするよりはしっかりと協力しないとやりたい事だって出来ないですからね」
一人で頑張ろうとして空回っても色々迷惑をかけたり何か違う問題に直面したりしてしまうだろう。だからこそ、まずは他の生徒会役員達に相談をして、しっかりと話し合ってからそれに取り組んでいこう。それがやっぱり一番だからだ。
「でも、それは真夏さんも同じですからね? 真宙さん達はもちろん、俺達だっていますからね」
「はい、それはもちろんです。その時はよろしくお願いしますね、冬矢さん」
「はい」
俺達は笑い合う。婚約者としてこれからもお互いに支え合いながら俺はやっていきたい。俺はいつまでも真夏さんには笑っていてほしいからだ。そうしてパーティーはつつがなく進んでいき、ケーキを食べながら紅茶を飲んでのんびりとしていたその時だった。
「ほーほっほっー!」
突然そんな声が聞こえ始める。俺達が驚きながら声がした食堂のドアの方に向くと、そこには大きな袋を背負ったサンタクロースがいた。
「わあ、サンタさんだー!」
「ほんとに来た……」
「そうですね……」
茉莉ちゃんが目を輝かせ、俺達が驚く中、サンタクロースはゆっくりと食堂の中へと入ってきた。
「なんだかいい子達の気配を感じたんだよ。そしてその気配通りで君達はとてもいい子達のようだ。なのでプレゼントをあげよう!」
「プレゼント!? なにかな、パパ?」
「なんだろうね。それにしても、このサンタクロースの声……」
「はい、少々変えてはいますが、恐らくは……」
茉莉ちゃんは気づいていないようだけど、このサンタクロースの正体は恐らく松也さんだ。たぶんだけど、仕事の都合で一時的に帰ってこられる事を真宙さん達には言っていて、それで真宙さん達はサンタクロースが来るという事にして松也さんを茉莉ちゃんに会わせてあげようと考えたんだろう。
「やっぱり子供を想う親の気持ちって偉大だな」
松也さんや真宙さん達の事を改めて尊敬する中、サンタクロースは俺達にプレゼントを渡していく。高級そうな万年筆やスノードーム、渡す相手にピッタリそうなプレゼントをサンタクロースは渡していき、最後に茉莉ちゃんの番になった。
「さて、最後は君だね」
「うん!」
「君には……まずはこれだ」
サンタクロースは袋の中から上質そうな生地で出来たテディベアを取り出して茉莉ちゃんに渡した。
「か、可愛い……! サンタさん、ありがとう!」
「ほっほっほ、どういたしまして。そして君だけの特別プレゼントをあげよう!」
「え……で、でも……」
茉莉ちゃんが迷った様子を見せる。そして俺と真夏さんを見上げる中、俺達は微笑みながら頷いた。それを見て茉莉ちゃんは安心した様子で笑うと、サンタクロースは長く白い髭を撫でながらにこりと笑った。
「では、そろそろプレゼントをあげよう。それではお嬢さん、入り口の方を見てくれるかい?」
「え? う、うん」
茉莉ちゃんが入り口に視線を向ける。するとそこには、ゆったりとした服を着ながら微笑む結里さんがいた。
「えっ……お、お母さん……!?」
「茉莉、久しぶり。元気そうでよかったわ」
「おかあさん……おかあさーん……!」
茉莉ちゃんは嬉し涙を流しながら駆けていく。そして泣きながら結里さんに顔を埋めると、結里さんは愛おしそうな顔をしながら茉莉ちゃんの頭を撫でた。
「寂しい思いをさせてごめんなさい。でも、頑張っていたのは聞いてたわ。偉いわよ、茉莉」
「うんっ、うん……!」
茉莉ちゃんが泣きながら答える中、サンタクロースは髭などを外していき、スーツ姿の松也さんに姿を変えた。
「ここまで喜んでもらえるとはな。やっぱりそれだけ寂しくさせてしまっていたわけか」
「そうですね。欲しいプレゼントを聞いた時もお父さんとお母さんって言いかけてましたからね。いつもいい子にしてますけど、やっぱりまだまだ松也さん達が恋しいんですよ」
「あそこまで喜んでいますからね。どんなに立派な物や自分の好みのプレゼントを渡されても伯父様達が来てくれるだけでそれ以上に喜ぶはずですよ」
「そうか」
松也さんは嬉しそうに笑う。松也さん達もやっぱり茉莉ちゃんのことは心配で、会えたのは嬉しいのだ。
「でも、お仕事は大丈夫なんですか?」
「それなんだが……実は思ったよりも早く終わってしまってな。それで、クリスマスに合わせて早めに帰国してきたんだ」
「え、それじゃあ……」
「ああ、心配はいらない。すぐにこの生活は終わりにはしないからな。それどころか少し伸ばさせてほしいんだ」
「伸ばす……ですか?」
真夏さんが首を傾げると、松也さんは微笑みながら頷いた。
「ああ。1月の途中というのも中途半端だからな。二人さえよければ3月末まで伸ばさせてほしいんだ。真夏ちゃんも受験の途中でこの生活が終わるよりも区切りいい方がいいだろう?」
「それはたしかにそうですね。冬矢さんはどうですか?」
「俺も賛成です。とりあえず両親にもそれは伝えておきますね」
「ああ、頼んだ。さて、そろそろ茉莉に声をかけにいくか」
松也さんが茉莉ちゃんに近づくと、茉莉ちゃんはまた嬉しそうな顔をして松也さんに抱きついた。その後、俺達は松也さん達も交えてパーティーは再開され、さっきよりも楽しそうにしている茉莉ちゃんの姿を見て俺は最高のプレゼントを本物のサンタクロースがくれたんじゃないかと感じた。
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