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37話 現れる災厄
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夏季11日。
ライシーン第一迷宮前タンザス村。
ここは迷宮から200メートルほど離れた村で、主に周辺の木を伐採し木材に加工してライシーンに送ることを生業にした者たちの拠点であり、迷宮攻略を目的とした冒険者達のベースキャンプとして機能していた。
そんな村のど真ん中に、それは突如として出現した。
曲がり角で遭遇したとか高速で向かって来たとかそういうものではない。
文字通り彼らの目の前の何も無い空間を切り裂くように姿を現した。
現れたのは直立歩行のドラゴンを縦に縮め横に肥大化させた巨大なワニ顔の魔物であった。
頭には大きくねじれた3本の角があり、その頭は首どころか頬近くまで太い胴体に埋没させ、まるで胴にワニの頭が直接乗っているかのようだった。
胴に埋没した顔の横に並んでいる肩は筋肉が盛り上がり、肥大した大きな腕は大きすぎて地面にまで達している。
その腕に生えた鋭く大きな鉤爪が地面を掻き、右手には金属の棍棒を握りしめる。
極めて太く極端に短い脚は自重で土に埋まり、短く太い尻尾は振り下ろされる度に地面を抉る。
背の申し訳程度に生えた翼には翼膜はなく、まるで骨と皮だけの歪な手が生えているようだった。
出現したドラゴンモドキの魔物は地面を踏みしめ、8メートルはあろうかという身長から冒険者達を見据えた。
「なんだこいつは…!?」
「ひぃぃぃ!?」
脈絡も無い登場の仕方と巨大すぎるバケモノの威圧感に、恐慌状態に陥る冒険者達。
村人は魔物を見た途端に後ろを向いて逃げ出していた。
ある者は棒立ちとなりある者は村人と共に逃げ出している。
「グヒっ」
魔物は口の端をつり上げ笑うと、前傾姿勢となり、巨体からは想像も出来ない速度で突撃。
棒立ちの冒険者数名をその巨体で跳ね飛ばし、逃げ出した数名の冒険者に向かって右手に持った鈍器を振り下ろし叩き潰した。
「グヒヒっグヒヒヒヒっ」
前方に垂直に飛び、金棒を振り下ろす。
そのたった二動作で脆弱な生き物が動かなくなったのが余程楽しかったのか、またも魔物は口の端をつり上げ笑っていた。
そして周りにはまだまだ壊せるおもちゃの山。
魔物はそちらへ向き直ると、またも一足飛びで跳ね、木造のコテージにダイブした。
中に居た村人は、何が起きたのか分からないまま人生を終える。
轟音に反応し、酒場から武器を手にした冒険者達が続々と現れるのを、魔物は下卑た笑みで見降ろした。
〝タンザス村崩壊、謎の巨大モンスター現る!〟
そんな一報がライシーンに届いたのはその三日後、夏季14日の早朝のことだった。
ライシーン第一迷宮前タンザス村。
ここは迷宮から200メートルほど離れた村で、主に周辺の木を伐採し木材に加工してライシーンに送ることを生業にした者たちの拠点であり、迷宮攻略を目的とした冒険者達のベースキャンプとして機能していた。
そんな村のど真ん中に、それは突如として出現した。
曲がり角で遭遇したとか高速で向かって来たとかそういうものではない。
文字通り彼らの目の前の何も無い空間を切り裂くように姿を現した。
現れたのは直立歩行のドラゴンを縦に縮め横に肥大化させた巨大なワニ顔の魔物であった。
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その腕に生えた鋭く大きな鉤爪が地面を掻き、右手には金属の棍棒を握りしめる。
極めて太く極端に短い脚は自重で土に埋まり、短く太い尻尾は振り下ろされる度に地面を抉る。
背の申し訳程度に生えた翼には翼膜はなく、まるで骨と皮だけの歪な手が生えているようだった。
出現したドラゴンモドキの魔物は地面を踏みしめ、8メートルはあろうかという身長から冒険者達を見据えた。
「なんだこいつは…!?」
「ひぃぃぃ!?」
脈絡も無い登場の仕方と巨大すぎるバケモノの威圧感に、恐慌状態に陥る冒険者達。
村人は魔物を見た途端に後ろを向いて逃げ出していた。
ある者は棒立ちとなりある者は村人と共に逃げ出している。
「グヒっ」
魔物は口の端をつり上げ笑うと、前傾姿勢となり、巨体からは想像も出来ない速度で突撃。
棒立ちの冒険者数名をその巨体で跳ね飛ばし、逃げ出した数名の冒険者に向かって右手に持った鈍器を振り下ろし叩き潰した。
「グヒヒっグヒヒヒヒっ」
前方に垂直に飛び、金棒を振り下ろす。
そのたった二動作で脆弱な生き物が動かなくなったのが余程楽しかったのか、またも魔物は口の端をつり上げ笑っていた。
そして周りにはまだまだ壊せるおもちゃの山。
魔物はそちらへ向き直ると、またも一足飛びで跳ね、木造のコテージにダイブした。
中に居た村人は、何が起きたのか分からないまま人生を終える。
轟音に反応し、酒場から武器を手にした冒険者達が続々と現れるのを、魔物は下卑た笑みで見降ろした。
〝タンザス村崩壊、謎の巨大モンスター現る!〟
そんな一報がライシーンに届いたのはその三日後、夏季14日の早朝のことだった。
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