四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

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123話 苦悩の溜息

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前書き
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〈苦悩の溜息その1〉は不要と判断し削除しました。
〈苦悩の溜息その2〉を123話に変更しました。

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「あ゛~~~も゛~~~~!」

 不味い事になっている。
 不味い上に面倒だはテンパってるはで良い案も思いつかず、チャットルームの方も誰も反応してくれない。

 リビングで横たわる俺は、現実逃避するように、いつの間にか服を着ているローザの胸に、上半身裸のまま顔を埋めて呻いていた。
 周りの皆も薄着とはいえちゃんと服を着ているので、俺だけがだらしない格好のままである。

 こういう時こそ悶絶流が威力を発揮するのだが、心がマイナス方向に引きずられること請け合いなのでやめておく。

「ん゛~~~~」

 なんだってこんなに早く、ウィッシュタニアにここが嗅ぎ付けられたんだよ!

 ぼやいたところで現状は変わらない。

「はぁぁぁぁぁ………」

 ため息と共に体の全面に広がる心地よく柔らかな質量を味わおうと、ローザのましゅまろ巨乳に顔をより深くねじ込み、彼女から香る石鹸の匂いを薄布越しに堪能する。
 そんな俺の頭をローザの肉厚の手がやさしく何度も何度も撫でてくれた。

 ローザに抱き着いてよしよしされるだけの人生を送りたい。

 このまま何もかも忘れたいところだが、さすがにそうも言ってられない。
 ローザのおかげで気持ちがかなり楽になったので、そろそろ何かしなければ。
 彼女達にこれ以上情けない姿を晒すのもどうかと思うし。

 見せてしまってる時点で、既に手遅れな気がしないでもないが。
 
「……よしっ、ありがとね」
「こんなの良ければ、いつでもご利用くださいね♪」

 ましゅまろボディから身を離すと、ローザがいつものやさしい仏顔で微笑んでくれた。

 神様仏様ローザ様。

 すると、誰かが俺の身体を巨大な手で後ろから掴み、そのまま抱き寄せる。
 柔らかく暖かい巨肉に包まれ、身体が丸ごと埋没した。

 いや、この柔らかな超乳で誰かもクソも無いが。

「次は我の番じゃな♪」

 いつの間にやら巨大ラミア形態に戻っていたイルミナさんによる犯行だ。
 人間形態でも爆乳を超える魔乳な上に、人の1.5倍はある巨大なラミア形態だからこそ、これ程すごい離れ業が出来るのだ。

 元の世界では決して味わえない天国がここにある。
 イルミナ様もありがたやありがたや……。
 じゃなくてっ。

「イルミナさんもありがとうございます。けど、やらなきゃいけないことがあるのでまた後でお願いできます?」
「うむうむ、わかっておる。して、どうするつもりじゃ?」
「んー、どうしたものか。おおよそ隣国の間者でしょうけど……」

 本当にそうなのかがわからないのも困りものだが、不味い事態に頭が思考停止に陥りそう決めつけている。

 実際の所どうなんだろう?


 オズウェル
 人 男 25歳
 ファントムシーフLv45


 鑑定眼に映し出された奴の少ない情報を思い出すも、名前と年齢と職業しかわからない。
 しかも町人Aでしかない格好をしている上に、何も持っていないのだから、手がかりなんてありやしない。

 どこの草だよ水破すっぱだよ。

 どちらも忍者を指す言葉だ。
 忍者は黒装束で有名だが、本物はまさしく農民村人町人など、その場所に紛れるための格好をしており、見るからにニンジャーな格好なんて普通はしない。
 結果、今のように持ち物や見た目では判断できない状況が出来る訳だ。

「拷問でもして吐かせましょうか?」
「それもやむ無しか……」

 ユニスがさらっと口にしたが、あれ程のプロフェッショナルだ、尋問される直前に何らかの方法で自害だって考えられる。
 それに、敵対反応が無いでちょっと気が引ける。
 こうして俺が困っている事態を招いてくれた時点で、十分敵対していると見るべきなのだが。

 にしても、よしのんを拾って来た時点でこうなる事は予想出来ていたってのに、いざ事件が発生したらこの体たらく。
 こんなことでは国家間の争いに巻き込まれた場合、簡単に命を落としかねない。
 もっと冷徹に、そして慎重にならなければ――そうだ、当事者のよしのんを忘れていた。

 PT覧からよしのんにチャットを飛ばす。

『よしのん、起きてる?』
『はい、なんですか?』
『すまないんだけど、話しがあるから今すぐリビングに来て』
『え、今良いところなんですよ。明日じゃダメですか?』

 口振りから本気で断りたい響きが聞こえてくるので、どうやら執筆活動がノっているようだ。

 てかこれは本来よしのんの案件だぞ。
 3週間前までただの腐ったJKでしたって16才の女の子に、自分で解決しろとは鬼畜過ぎて言えないが、〝困ったこと〟の当事者でもあるため明日で良い訳が無い。

『ほぅ、じゃぁ明日でも良いよ。ただし、来ないなら明日から納屋が君の部屋になる。それで良ければ――』
『すぐに行きます! ――お待たせしました!」

 はやっ!?

 すぐ行きますからの音速の速さで飛んできたよしのんが、薄着姿でリビングに到着。
 ブラをしていないのが布越しでも分かってしまうほど、胸が大きく揺れていた。

 未成年の女の子が成人男性の前でその格好はどうなんだ?
 あ、でもこの世界なら彼女も成人って扱いか?
 だがよしのんを成人女性とカテゴライズしたら色々と駄目な気がする。
 てかそんなに納屋は嫌か?
 聴くまでも無く、普通に考えて俺でも嫌だわ。
 
「不味い事態になってる。実はかくかくしかじかなんだ」
「なるほど、かくかくしかじかなんですね、ってそれじゃわかりませんよ!」

 俺のくだらないボケに乗りツッコミを返してくるとは有望だな、イントネーションからして関西人ではなさそうだけど。 

 冗談はこれくらいにし、先ほど起きた事を話した。


「あわわわわ、大変じゃないですか! どうしましょうか?!」
「ん~、拷問して吐かせようって案が出てるけど、どうしたものかなぁ。まぁやったらたぶん自白してくれると思うけど、やる前に死なれる可能性もある」
「自害されなくても、拷問は余程の知識がなければ途中で死なせてしまう可能性もあります」
「そこは死なない程度にエグイのなら知ってるんでまぁ何とか」

 よしのんが慌て、ユニスの心配にそう答えるも、この方法には一つ問題がある。

「山羊さえ手に入れば」

 山羊なんてどこで手に入るんだろ?

 流石に山羊娘であるモティナに頼むなんて、そんなの出来るはずもない。

 リベクさんなら伝手があるかな?
 なんて頭を捻っていると、リシアが小さく手を上げて発言。

「山羊ならスリープゴートでもよろしいのですか?」
「ああ、そう言えばあいつら山羊だったね」 
「お兄ちゃん、山羊なんて何に使うの?」

 思い出させてくれたリシアの頭を撫でつつ、モティナの質問に山羊による拷問法を聞かせると、はじめの内は冗談だと思われていたらしく笑顔で聞いていた皆であったが、最後の方になるとククとユニスを除くその場に居た全員の顔が引きつった。

 俺も大福さんに聞かされた時はそんな反応だったわ。

 ちなみにこの場に居ないトトとメリティエだが、現在寝室で爆睡中だ。

 先程まで起きていたのに、この騒ぎの中で眠れるとは大物だなぁ。
 そしてククの動じなさは、いつもながら頼もしい。

 先ほど拷問を提案してきたユニスは、尊敬の眼差しをこちらに向けてくる。
 その表情が若干赤らんでるのはご愛嬌である。

 やはりMっ娘ケンタウロスは一味違うな。
 ケンタウロスが皆こんなだとは思いたくないが。
 逆にフィローラとセシルとよしのんの3人なんて、怖がりすぎてイルミナさんに抱きつき震え、信じられないものを見るような目を俺に向ける程だ。

「別に俺が考えた訳じゃないからね?」
「そうなのですか……?」

 ホッと胸をなでおろす3人。

「ででででも、拷問なんてやっぱり駄目だと思います!」

 だがそれをやろうって話しをしていることを思い出したよしのんが、いきなり大声で否定意見を述べる。

「俺も本意じゃないし、狙われてるよしのんがそう言うならやらないけど。……でももしなにかあった時は自分の尻は自分で拭いてね。それと、この件で家族に被害が及ぶなら、君を見捨ててでもリシア達を守るから、そこだけは覚悟しておいてくれ」
「………」

 人道面と自分の命を秤にかけ、答えが出せなくなる吉乃さん。
 こんな選択肢を16歳の少女に突き付けてる状況に、自分の余裕の無さを自覚する。
 だが、事が起こるとわかっていて全力で行かない時点で、やはり俺は甘々だ。

 ……うん、甘すぎるな。
 この甘さが命取り、なんて事にもなりかねない。

「わかった。拷問しない方向で何とかしてみるよ」
「本当ですか!」
「あぁ」

 よしのんには悪いけど、彼女が部屋に戻った後で拷問を執行する。

 ぱっと表情が晴れたよしのんに微笑みを向けつつ、心中で覚悟を決めていると、イルミナさんが口を開く。

「拷問なんぞせんでも、我に良い考えがあるのじゃが」
「と言いますと?」
「ダメ元故、試してみて損は無かろう。まずはそやつに会わせてくれんかえ?」

 ダメ元と言いつつ、イルミナさんは豊満な胸を揺らして不敵に笑った。
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