四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

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140話 弱り目に祟り目

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「ん……」

 うつろな意識から徐々に目を覚ますと、リシアとクク、それにイルミナさんが俺の顔を覗き込んでいた。
 後頭部に当たる柔らかく程良い高さの感触に、自分が上を向いて寝た状態でリシアに膝枕されているのだと把握する。
 
「大丈夫ですか?」
「えっと……?」

 兜を脱いだリシアの問いかけに、視線だけで簡単な状況確認を行う。
 心配そうにのぞき込む2人の顔が青緑の光源に照らされており、ここがまだ迷宮の中なのだとぼんやりと思う。

 兜を外してるから戦闘は終わったのか……。

 倒れた原因を思い出す。
 MPの加減が出来ないまま槍に乗せて投げた。
 以上。

 語彙力皆無なシンプルで馬鹿っぽい振り返りだが、やったことはそれだけ。
 咄嗟だったため加減という概念すら頭になかったとはいえ、反撃されれば抵抗する手段すらなくなる程の全力を出すマヌケっぷりだ。

 リシアとククの顔を見ながら反省するも、直ぐに反省を忘れて2人の顔を魅入っていた。

 猫耳美少女とケモ顔美女に包まれる幸せ……ってそうじゃない!

「トトは?!」
「あてがどうかしたー?」

 慌ててトトを探そうとすると、当のトトは何事もなかったかのように上から覗き込んできた。
 何やらもそもそと口を動かし租借している。
 そして手にしたクッキーを俺の顔の上で頬張った。
 食べカスが重力に引かれ、俺の顔に降り注ぐ。

 目が、目があああああああああ!?

 目に入った固形物にのた打ち回り、指で擦って取り除こうとするも、クッキーの粉は奥に入ってしまい痛みと異物感に苛まれる。

 全然取れないし!

「トシオ様、水で洗い流しましょう!?」
「うん、水筒頂戴」

 革袋の水を手にすくい、出来た水たまりに目を浸け瞬かせる。

 なかなか取れない……。

 どうにかこうにか洗い流し、改めて周りを見回した。
 ミネルバ、ユニス、フィローラ、セシル、メリティエ、直ぐ近くにはレスティー達にモーディーンさん達、よしのんもちゃんと居る。
 誰一人かけることなく無事なようで胸を撫で下ろす。
 
「皆、お疲れ様」
「お疲れ様ですにゃ」
「お、おつかれよ~」

 安堵と共に皆に向けて労いの言葉を投げかけると、皆も返事を返す。

 けど、モーディーンさん達が何やら浮かない顔をしているのはなんなんだぜ?
 しかも壁ばかり気にしてる様子。

「トシオ殿、少し困った事態に陥りました」
「どうしたのユニス? まさか誰か殺られたの!?」

 神妙な顔で述べるユニスに、慌てて全員の安否を再確認する。

 見落とした!?

「い、いえ、そうではありません。ありませんが、トシオ殿の槍が取り出せなくなって……」
「あ、そうなんだ良かっ――え?」

 確かグレーターデーモンに向けて投擲した後、槍は壁に埋没――あちゃぁ。

「どこに埋まったの?」
「あちらです」

 皆が注視している壁に目を向けると、ユニスが指し示す方には確かに小さな穴らしきものが開いている。
 近付いて中を覗き込むと、穴の先には槍の石突きが小さく確認できた。

 4~5メートル? いやもっとか?
 一体何メートル埋まったんだよ。

 小さすぎて距離感が分からない。
 どう考えても手で取り出せるものではない。

 ……あ、こういう時の魔法か。

 何とか魔力を使って強引に引き抜くことに成功するも、またもやMPが枯渇し、本日何度目かのMP酔いを起こしてその場でダウンする。
 これ以上は流石に危険だとイルミナさんのドクターストップにより、午前の探索をここで切り上げ、午後の探索もお休みの運びとなった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 目に入ったゴミって洗ってもなかなか取れないよね
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