230 / 254
218話 不死の力
しおりを挟む
『お主の仲間がこの速度で向っているなら、最速でも2分といったところでござるか? 恐らく時間稼ぎのつもりだったのでござろうが、戦闘力では6人の中でも最弱のお主が何故拙者らの前に1人でのこのこと現れたでござる……』
エイタの死体へ淡々と語る映像の中の影剣さん。
だが映像の中では信じられない光景が展開される。
『そら死ないからに決まってんじゃないスか』
エイタの首の無い胴体がゆっくりと立ち上がると、生首の方へと歩き出したのだ。
その背中に影剣さんが投げたクナイが貫通し、臓物を腹部からぶちまける。
それでも体は動きを止めなかった。
『やめて下さいよ、痛くないからって自分の体に穴が開くのを見るのって気持ち悪いんスから』
体が生首を拾い傷口を合わせると、内臓を垂らしたエイタが口元をニヤケさせながら振り返る。
『何でござるか、そのデタラメな体は?』
『コレ良いっしょ? なんか痛みもないし、不死身になれるらしいっスよ』
『まるでゾンビでござるな。ガーランド、神聖魔法にそのようなものがあるでござるか?』
『いや、俺もそんなのがあるなんて聞いたことは無い』
エイタの異様さに警戒する2人。
どう見ても邪法か何かの類なんですが、宗教国家の勇者がそれでいいのか?
〈神器〉ってやつの影響下なんだし、魔法だとしたら神聖魔法なんだろうけど、魔法じゃなく俺が持つ傷を超再生で治すアイテム〈生命のしずく〉みたいな〈勇者の遺物〉の可能性もあるか。
『死なないなら殺し続けてやれば良いだけでござる』
『まぁ待つっスよ、どうせ俺1人じゃあんたには敵わ――』
言葉の途中にもかかわらず、エイタの顔面を手裏剣がめった刺しに。
顔面に金属を生やした物体が傾き床に倒れるも、倒れる前に〈ワープゲート〉が開かれた。
ゲートの向こう側には複数の人影が見て取れる。
『うわっ、ひでぇなこりゃ』
『エイタ大丈夫かよ!?』
足元に倒れたエイタを横目に、ワープゲートからは6人の日本人がぞろぞろと現れた。
……6人?
「ちょっと待った、1人多くね?」
俺の問いにガーランドが映像を止め、止まった映像を2回も数え直してエイタを含め7人居ることを確認する。
「いかにも。まさか新顔が2人も増えるとは。おそらくモンテハナムかハッシュリングの勇者、あるいはねこ殿と同じ流れ人でござろう。くふふ、あの時は肝を冷やしたでござる~」
「笑いごとじゃねぇ、俺は死ぬかと思ったぜ」
俺の指摘に影剣さんが笑い飛ばし、ガーランドがげっそりとした顔でぼやく。
つい今しがた味わったこんな状況を笑えるとか、影剣さんの精神構造は相変わらずぶっ飛んでるな。
「……てかいま新顔が2人って言った? どういうことよ?」
「以前話した異能殺しのスキル持ちが居ない代わりに、知らない顔が2人追加されていたでござるぞ」
「バラドリンドに勇者が8人とかクソゲー待ったなしジャマイカ!」
「くふふっ、ジャマイカとは今日日誰も言わぬでござるぞ」
もちのろんとか言ってた人に言われると腑に落ちないものがある。
「進めるが構わないか?」
「あ、お願いします」
わざわざ止めてくれた映像を再び再生してもらう。
『今こちらに向かって来る敵影は、おぬしらではない別の者でござったか』
『ご名答~。俺たちがいっぺんに行っても向ってる途中でバレて逃げられると面倒だから、エイタに1人で行ってもらいました~』
『こんな手に引っかかるなんて、気付くのが遅かったでちゅね~ぎゃはははは!』
『やめてあげろって、おっさんなんだから頭の回転が遅いんだよ』
『つーかお前らさぁ、死なないからって普通1人で行かせるかぁ?』
男達が他人を小馬鹿にするような口調ではやし立てていると、エイタがボヤキながら起き上がり、顔面から手裏剣を引き抜きその辺に投げ捨てる。
『ジャンケンに負けたのはお前だろ?』
『だからってさぁ』
『終わったことをいつまでも言ってんなよ。そんなことよりも、さっさとこいつら殺して帰ろうぜ。俺の女が部屋で待ってんだ』
『ちっ、わかったよ』
7人の男たちが影剣さんたちを囲むように広がると、それぞれが得物を構える。
『さっきはよくもやってくれたっスね。けど、いくら影剣でも俺たち7人相手に勝てるっスかね?』
『これはもしかしなくてもなかなかにまずい状況でござるな』
『呑気に言ってる場合か! あいつらが出てきた時点で既に十分まずいんだよ馬鹿野郎!』
影剣さんの不敵な軽口に、顔面蒼白なガーランドが剣を構えながら罵声を浴びせる。
うん、これはキレて良いレベルだわ。
でも2人共ここから戦闘に発展して生きて帰ってきたんだよなぁ。
2人を取り巻く状況は最悪だが、影剣さんの死闘が見れるのかと思うと、不謹慎ながら興奮が逸った。
エイタの死体へ淡々と語る映像の中の影剣さん。
だが映像の中では信じられない光景が展開される。
『そら死ないからに決まってんじゃないスか』
エイタの首の無い胴体がゆっくりと立ち上がると、生首の方へと歩き出したのだ。
その背中に影剣さんが投げたクナイが貫通し、臓物を腹部からぶちまける。
それでも体は動きを止めなかった。
『やめて下さいよ、痛くないからって自分の体に穴が開くのを見るのって気持ち悪いんスから』
体が生首を拾い傷口を合わせると、内臓を垂らしたエイタが口元をニヤケさせながら振り返る。
『何でござるか、そのデタラメな体は?』
『コレ良いっしょ? なんか痛みもないし、不死身になれるらしいっスよ』
『まるでゾンビでござるな。ガーランド、神聖魔法にそのようなものがあるでござるか?』
『いや、俺もそんなのがあるなんて聞いたことは無い』
エイタの異様さに警戒する2人。
どう見ても邪法か何かの類なんですが、宗教国家の勇者がそれでいいのか?
〈神器〉ってやつの影響下なんだし、魔法だとしたら神聖魔法なんだろうけど、魔法じゃなく俺が持つ傷を超再生で治すアイテム〈生命のしずく〉みたいな〈勇者の遺物〉の可能性もあるか。
『死なないなら殺し続けてやれば良いだけでござる』
『まぁ待つっスよ、どうせ俺1人じゃあんたには敵わ――』
言葉の途中にもかかわらず、エイタの顔面を手裏剣がめった刺しに。
顔面に金属を生やした物体が傾き床に倒れるも、倒れる前に〈ワープゲート〉が開かれた。
ゲートの向こう側には複数の人影が見て取れる。
『うわっ、ひでぇなこりゃ』
『エイタ大丈夫かよ!?』
足元に倒れたエイタを横目に、ワープゲートからは6人の日本人がぞろぞろと現れた。
……6人?
「ちょっと待った、1人多くね?」
俺の問いにガーランドが映像を止め、止まった映像を2回も数え直してエイタを含め7人居ることを確認する。
「いかにも。まさか新顔が2人も増えるとは。おそらくモンテハナムかハッシュリングの勇者、あるいはねこ殿と同じ流れ人でござろう。くふふ、あの時は肝を冷やしたでござる~」
「笑いごとじゃねぇ、俺は死ぬかと思ったぜ」
俺の指摘に影剣さんが笑い飛ばし、ガーランドがげっそりとした顔でぼやく。
つい今しがた味わったこんな状況を笑えるとか、影剣さんの精神構造は相変わらずぶっ飛んでるな。
「……てかいま新顔が2人って言った? どういうことよ?」
「以前話した異能殺しのスキル持ちが居ない代わりに、知らない顔が2人追加されていたでござるぞ」
「バラドリンドに勇者が8人とかクソゲー待ったなしジャマイカ!」
「くふふっ、ジャマイカとは今日日誰も言わぬでござるぞ」
もちのろんとか言ってた人に言われると腑に落ちないものがある。
「進めるが構わないか?」
「あ、お願いします」
わざわざ止めてくれた映像を再び再生してもらう。
『今こちらに向かって来る敵影は、おぬしらではない別の者でござったか』
『ご名答~。俺たちがいっぺんに行っても向ってる途中でバレて逃げられると面倒だから、エイタに1人で行ってもらいました~』
『こんな手に引っかかるなんて、気付くのが遅かったでちゅね~ぎゃはははは!』
『やめてあげろって、おっさんなんだから頭の回転が遅いんだよ』
『つーかお前らさぁ、死なないからって普通1人で行かせるかぁ?』
男達が他人を小馬鹿にするような口調ではやし立てていると、エイタがボヤキながら起き上がり、顔面から手裏剣を引き抜きその辺に投げ捨てる。
『ジャンケンに負けたのはお前だろ?』
『だからってさぁ』
『終わったことをいつまでも言ってんなよ。そんなことよりも、さっさとこいつら殺して帰ろうぜ。俺の女が部屋で待ってんだ』
『ちっ、わかったよ』
7人の男たちが影剣さんたちを囲むように広がると、それぞれが得物を構える。
『さっきはよくもやってくれたっスね。けど、いくら影剣でも俺たち7人相手に勝てるっスかね?』
『これはもしかしなくてもなかなかにまずい状況でござるな』
『呑気に言ってる場合か! あいつらが出てきた時点で既に十分まずいんだよ馬鹿野郎!』
影剣さんの不敵な軽口に、顔面蒼白なガーランドが剣を構えながら罵声を浴びせる。
うん、これはキレて良いレベルだわ。
でも2人共ここから戦闘に発展して生きて帰ってきたんだよなぁ。
2人を取り巻く状況は最悪だが、影剣さんの死闘が見れるのかと思うと、不謹慎ながら興奮が逸った。
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる