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223話 祭りのあとは
しおりを挟む「そろそろお開きにするか」
夜も更けり、子供だけでなく大人の中からも眠そうな顔をする人たちがぽつぽつと出てきた。
頃合いだろうと祭りの終了を口にする。
「もう終わりか」
「楽しかったのにー……」
物悲しい空気に包まれる中、メリティエとトトが不満顔で小さくぼやき、比較的元気な子供たちも残念そうにしょぼくれる。
「またその内やるからそう言うなって」
「ホントか?」
「絶対だよー?」
「絶対、な」
和風美少女とケモ少女の曇り顔が子供のようにパっと晴れ、それがおかしくて苦笑いがもれる。
そこへ忍び衆の前頭領を務めた老人が寄ってきた。
「夜も遅うございます。撤収作業は我々でやりますゆえ、殿はお休みくだされ」
「いえ、言い出しっぺなので片付けもやりますよ」
「出資だけでなく平時の糧を得るための催しまで開いてもらったのです。その上で後片付けまでさせたとあっては我々の立つ瀬がありませぬ」
「……ではお言葉に甘えます」
「痕跡1つ残さず消してごらんに入れまする」
そのセリフをいかにも伝説の忍び感のある人が言うと非常に物騒に聞こえるな……。
深々と頭を下げられ、後片付けをさせる側としては居心地が悪い。
「サクラも今日から拙者と新居で暮らすでござるぞ」
「本当なのパパ上!?」
「もちのろんでござる」
「わーい!」
影剣さんが背中の羽を広げて突撃したサクラを受け止める。
バラドリンドの潜入任務から解放された影剣さんが忍び衆の集落に落ち着くこととなり、ようやくサクラを引き取るみたいだ。
今まで我が家の寝室で寝泊まりしていたサクラが居たため禁欲生活を余儀なくされていたが、今夜は久しぶりのムフフな時間が過ごせるのかと思うともうウッキウキである。
しかも手元にはミストリックさんから頂いた〈境界樹の実〉。
これでリシアたちを孕ませられるのかと想うと、美しい嫁たちとのピンク色な情景を思い浮かべただけで尋常ではないほどの興奮を覚えた
「お待ちしておりましたわ」
帰宅後は高ぶる気持ちでリシアたちの待つ寝室に入るも、ランプの明かりに照らされた異物の混じりにテンションが急降下させられる。
異物というのは頭頂部に見覚えのあるうさ耳を生やし、煽情的な下着姿のクラウディア王女だ。
クラウディアは緊張こそしてはいるものの、あからさまな浮かれ具合なのが寝室に入る前の自分と重なる。
俺はこんなアホヅラしてたんだな。
クラウディアのような美女ならともかく、こんなアホ面で部屋に入ってきたのかと想像しただけで死にたくなった。
湯上りの火照った体が冷えていくのは決して冷房だけのせいではないとを冷静に思う。
「……んで、クラウディアがなんでここに居るの? てかなにそのうさ耳」
不覚にもうさ耳姿に可愛いと思いつつも、久々の楽しみを邪魔されたことでトゲのある口調で問う。
「トシオ様が一向に相手にしてくださらないので皆さまに相談したところ、これを付けてここに居れば抱いてくださるとの助言と許可をいただきましたの」
「許可を得たって……」
自慢げにウサ耳を見せつけてくるクラウディアの言い分に軽く混乱し、確実に許可を出したであろう我が家の筆頭奥様に目を向ける。
「えっと……リシア、クラウディアを招き入れた理由を説明をしてくれる?」
「このままお姫様にお客様扱いで居つかれても私たちが気疲れしちゃうもの。でしたらもう身内にしてしまえって♪」
「皆さんに余計な気を遣わせるのはわたくしも本意ではありませんわ♪」
楽しそうなリシアと腰をひねり煽情的なポーズを得意げに披露するクラウディア。
クラウディアの腰の後ろで白くて丸い綿毛のようなものが顔を覗かせる。
〝王女を身内にする理由=嫁の気疲れ〟て……。
新しい嫁を迎え入れる第一婦人の許可理由の斜め上具合に付いていけない俺ガイル。
しかもウサギの尻尾まで生やしやがって。
それでええんかおうじょさま、人としての尊厳的な意味で。
てかそのウサギの耳と尻尾に見覚えがあると思ったら、俺がリシアと初めて狩りに行ったときに拾った一角ウサギのドロップ品だよな?
まさかこんなところで出てくるとは思わずあきれてしまう。
「トシオ殿、これほど好意を示して手を出されないとあっては、さすがに失礼に値しませんか?」
人馬のユニスが俺の背後に近づくと、耳元でささやくように説得してくる。
「その言い分だと、ゴブリンやトロールのメスに迫られても受け入れなきゃいけなくなるんだけど?」
「〈アイヴィナーゼの至宝〉と謳われるほどの美姫を、人から逸脱した種族と比べるなど失礼にもほどがありますよ」
「こんな綺麗な人をリシアさんの許可をもらってお嫁さんに出来るのに、そんなチャンスを逃すなんてお兄ちゃんらしくないよ!」
俺の極論をユニスが冷静に窘めると、今度はモティナがクラウディアを援護をした。
しっかり者でちゃっかりしているモティナが言うと、クラウディアとの間で何らかの密約があったのではとつい勘ぐってしまう。
「一国の姫君にこのような格好で寝室に入られてはさすがに言い逃れも出来まい、男の子ならば甲斐性をみせてやらぬか」
イルミナさんまでクラウディアの擁護に回るも、その態度や口調はやや投げやり気味。
「で、イルミナさんの本音は?」
「くだらぬ問答をする時間すら煩わしいのじゃ。無駄なことに時間を費やしておらんと早よう我を可愛がってくりゃれ♪」
心底面倒そうな〝煩わしい〟から一変、愛らしくもみだらな娼婦の顔で身を寄せてくる。
その下半身は半人半蛇である蛇のそれに戻っていた。
部屋の明かりに照らされる黒い蛇皮が艶めかしい。
そんな欲望に忠実なイルミナさんの素直さに、今まで拒んでいた自分が馬鹿らしくなってくる。
今更幸せにしたい女性が1人増えたところで、俺のやることなんて対して変わらないか。
腹を括った俺の心境を察してか、先ほどまでふざけた仕草をしていたクラウディアが真剣な面持ちで俺の真正面に座りこちらを見据え三つ指を着いた。
俺も思わず正座し姿勢を正す。
「トシオ様、わたくしにも女として、そしてアイヴィナーゼ王国の王女としての意地というものがございます。好いた男性が危険を冒してまで我が国の民を守ろうとしてくれているのに、それに報いずに戦地へ送り出すなどできません。どうかわたくしのすべてをお受け取りくださいまし」
クラウディアが深々と頭を下げる。
以前彼女に言われお断りしたセリフだが、当時の俺はアイヴィナーゼと協力体制をとっていなかったためクラウディアにとっては国益に基づいた打算まみれの言葉だった。
だが今は違う。
婚姻なんてしなくても俺はアイヴィナーゼやウィッシュタニアの人たちを守ることを決めた後で、成功報酬とはいえそれなりの謝礼も話し合いで決まっている。
今更彼女が俺に対して何かをする必要はないだけに、純粋に好意を向けてくれているのだろうと今なら思える。
「謹んで頂戴いたします」
勢いよく顔を上げたクラウディアを、俺は笑みと共に腕を広げて迎える。
「本当にもらってくださいますのね?!」
「もらうもらう。みんなと同じように愛してあげるから、安心して嫁に来てくれ」
「言質はいただきましたわ!」
クラウディアは表情をほころばせ至近まで近寄るも、そこからどうすればいいのか分からずといった様子で戸惑ったので、抱き寄せて太ももの上にまたがる形で座らせる。
きつく抱きしめてくるも微かに体が震えていたので優しく背中を叩き髪を撫で続ける。
まるで大きな子供の様だ。
しばらくして落ち着いたのか、ゆっくりと身を離すクラウディアの眼は赤く、目じりには涙が浮かんでいた。
「見苦しい姿をお見せいたしましたわ」
「誰もそんなこと思ってないから気にしなくていいよ」
「いつもいじわるばかりですのに、こういうところは優しいのですから……」
すねた様子で口を尖らす仕草が愛らしかった。
「まぁいじわるするのはこれからだから」
リシアに目を向けると頷いたので、クラウディアを後ろにのけぞらせて押し倒し唇を奪う。
そのまま舌を押し込み、王女の口内を丹念に味わう。
最初こそ「んーんー!」と呻きながら抵抗するそぶりを見せるも、すぐに蕩けた瞳で受け入れてくれた。
絡み合う舌の心地よさに口内を休むことなく蹂躙していると、クラウディアの身体が強張りビクビクと震え、そしてぐったりと動かなくなってしまった。
「……クラウディア?」
「おーおー、せっかくリシアに一番を譲られたというに、接吻程度で気をやるとはなかなかに残念な娘よのぅ」
完全に意識を失ってしまったクラウディアに、イルミナさんがカラカラと笑う。
「ではいつもの順番で続けましょう」
リシアが首に腕を絡めてきたことで、俺は行き場を失いかけた猛りをリシアに向けた。
あとは久しぶりなこともありいつも以上に激しく身を重ね、途中で意識を取り戻したクラウディアも巻き込んで何度となく求めあった。
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