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デレリアット侯爵夫人とのお話し
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───武道館での稽古の日の翌日───
さて、ここがデレリアット家の別邸ね。
ナディアスから馬車で三十分ほど揺られてやってきたのだけど、別邸というか……平民街にあるただのアパートよね?
四階建ての同じようなアパートが横一列に並ぶ中の一棟、そこに今回会いに来た人物、ベレッカ・デレリアットが住んでいる場所である。
夫であるポンザ・デレリアットが別居の為の費用を出す訳がなく、何とか工面したお金でここを借りたのだろう。
王都の外れにあると言っても家賃はそれなりにかかるものね。
二階の中央付近のC号室。
そこにベレッカ嬢がいるはずだ。
コンコン。
私がドアをノックをすると、中からドドド!と激しい音がした後勢い良くドアが開いた。
「私は帰らないって言ってるでしょ!」
金髪を後ろで結び、白いシャツにゆったりとしたズボン。
そんな令嬢とは思えない格好をした女の子に怒られてしまった。
「……はじめまして。私はライラック・レミゼラルムーンと申しますが」
「あ、ああ……ごめんなさい……お父さんかお母さんかと思って……」
「いえいえ。構いませんよ」
「どのようなお話し……あっとりあえず上がりますか?狭い部屋ですけど」
「それではお邪魔します」
女性の部屋に入るわけだからハオルは置いてきたのだけど、いろいろな意味で正解だった。
自分の目では初めて見るけど、寝室、食堂、キッチン全てが一緒となっている部屋は人が三人入るには少し狭すぎる。
「はい、お水ですけど」
「ありがとうございます」
飾り気もない透明なグラスに注がれた水。
それを飲むと私は話を切り出した。
「ベレッカ夫人は今どうやって暮らしていらっしゃるの?」
「その夫人というのはやめてください」
「それではベレッカ嬢でよろしいかしら?」
「ベレッカで良いです。お嬢様扱いされるほどじゃありませんから」
「分かったわ。それじゃベレッカは今どうやって暮らしているの?」
「パン屋でアルバイトをして生計を立ててます」
侯爵令嬢から一転、平民のような暮らしをしている彼女だったが、その瞳には一切の陰りはない。
「そう。楽しそうね」
「ええ。焼きたてのパンを食べさせてもらえるし、お客さんは優しい人ばかりでとっても楽しいんです。名前ばかりの侯爵令嬢の暮らしと比べたらこっちの方が性に合っています」
ベレッカは今幸せなようね。
でも、気になっていることはあるはず。
「ベレッカ?あなたはポンザと離婚したくない?」
「したいです!できるんですか!?」
ものすごい食いつきに私は呆気に取られたが、すぐに微笑んだ。
「ええ、ポンザはただの商人とは思えないほど羽振りがいいわ。そしてそれはどうやらナディアスでの蓄財が要因らしいので私が調べているの。その蓄財が不正なものだったら、婚姻後の犯罪行為で離婚事由になるでしょう」
「はい!間違いありません!家柄重視の両親も納得するでしょう」
こんな喜んでくれると、私も嬉しいわね。
それにしても……ははぁん……
「ベレッカ、あなた好きな人がいるでしょう?」
「えっ……!?わ、わかりますか?」
「なんとなくだけど。それで?どんな人なの?」
「えへへ……パン屋の息子さんでして、こんな私を雇ってくれただけでなく色んなことを教えてくれて、とっても優しいんです……」
「あらあら、それじゃさっさと片付けないとね」
「お願いします!私にできることがあればなんでもしますので!」
「いいえ。あなたはただ日々を楽しく過ごしてくれればいいわ」
「ライラック様……なんでこんなに優しい人が貴族の中で嫌われてるんですかね……」
ベレッカは涙を拭い、私に問いかけてきた。
「うふふ……それがレミゼラルムーン家の存在理由なのよ。汚れた場所を管理する汚れた家門という理由」
「でもでも!私はいっぱい広めていきますからね!ライラック様は優しい人だって!」
「うーん……ほどほどにしておいてちょうだい……」
ベレッカの提案に、少々困ってしまう私だった。
さて、ここがデレリアット家の別邸ね。
ナディアスから馬車で三十分ほど揺られてやってきたのだけど、別邸というか……平民街にあるただのアパートよね?
四階建ての同じようなアパートが横一列に並ぶ中の一棟、そこに今回会いに来た人物、ベレッカ・デレリアットが住んでいる場所である。
夫であるポンザ・デレリアットが別居の為の費用を出す訳がなく、何とか工面したお金でここを借りたのだろう。
王都の外れにあると言っても家賃はそれなりにかかるものね。
二階の中央付近のC号室。
そこにベレッカ嬢がいるはずだ。
コンコン。
私がドアをノックをすると、中からドドド!と激しい音がした後勢い良くドアが開いた。
「私は帰らないって言ってるでしょ!」
金髪を後ろで結び、白いシャツにゆったりとしたズボン。
そんな令嬢とは思えない格好をした女の子に怒られてしまった。
「……はじめまして。私はライラック・レミゼラルムーンと申しますが」
「あ、ああ……ごめんなさい……お父さんかお母さんかと思って……」
「いえいえ。構いませんよ」
「どのようなお話し……あっとりあえず上がりますか?狭い部屋ですけど」
「それではお邪魔します」
女性の部屋に入るわけだからハオルは置いてきたのだけど、いろいろな意味で正解だった。
自分の目では初めて見るけど、寝室、食堂、キッチン全てが一緒となっている部屋は人が三人入るには少し狭すぎる。
「はい、お水ですけど」
「ありがとうございます」
飾り気もない透明なグラスに注がれた水。
それを飲むと私は話を切り出した。
「ベレッカ夫人は今どうやって暮らしていらっしゃるの?」
「その夫人というのはやめてください」
「それではベレッカ嬢でよろしいかしら?」
「ベレッカで良いです。お嬢様扱いされるほどじゃありませんから」
「分かったわ。それじゃベレッカは今どうやって暮らしているの?」
「パン屋でアルバイトをして生計を立ててます」
侯爵令嬢から一転、平民のような暮らしをしている彼女だったが、その瞳には一切の陰りはない。
「そう。楽しそうね」
「ええ。焼きたてのパンを食べさせてもらえるし、お客さんは優しい人ばかりでとっても楽しいんです。名前ばかりの侯爵令嬢の暮らしと比べたらこっちの方が性に合っています」
ベレッカは今幸せなようね。
でも、気になっていることはあるはず。
「ベレッカ?あなたはポンザと離婚したくない?」
「したいです!できるんですか!?」
ものすごい食いつきに私は呆気に取られたが、すぐに微笑んだ。
「ええ、ポンザはただの商人とは思えないほど羽振りがいいわ。そしてそれはどうやらナディアスでの蓄財が要因らしいので私が調べているの。その蓄財が不正なものだったら、婚姻後の犯罪行為で離婚事由になるでしょう」
「はい!間違いありません!家柄重視の両親も納得するでしょう」
こんな喜んでくれると、私も嬉しいわね。
それにしても……ははぁん……
「ベレッカ、あなた好きな人がいるでしょう?」
「えっ……!?わ、わかりますか?」
「なんとなくだけど。それで?どんな人なの?」
「えへへ……パン屋の息子さんでして、こんな私を雇ってくれただけでなく色んなことを教えてくれて、とっても優しいんです……」
「あらあら、それじゃさっさと片付けないとね」
「お願いします!私にできることがあればなんでもしますので!」
「いいえ。あなたはただ日々を楽しく過ごしてくれればいいわ」
「ライラック様……なんでこんなに優しい人が貴族の中で嫌われてるんですかね……」
ベレッカは涙を拭い、私に問いかけてきた。
「うふふ……それがレミゼラルムーン家の存在理由なのよ。汚れた場所を管理する汚れた家門という理由」
「でもでも!私はいっぱい広めていきますからね!ライラック様は優しい人だって!」
「うーん……ほどほどにしておいてちょうだい……」
ベレッカの提案に、少々困ってしまう私だった。
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