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意外なお客様
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今日も今日とて元気に書類作業。
「はぁ……花の乙女がこんなに引きこもっていていいのかしら……」
誘拐事件の後始末のおかげで部屋に引きこもる日々が続き、私はため息を吐く。
セイクリッド様からプレゼントをもらってから三日が経過した。
プレゼントのおかげでやる気に満ち溢れていたのだけど、すっかりとそのやる気は消え失せてしまっていた。
早く事後作業を終えて華やかな街の見回りに戻りたいものね。
コンコン。
改めて書類にサインをしていたところ、ノックの音が聞こえてきた。
「どうぞ」
「失礼いたします」
「あら、ゼオン。どうしたの?書類の追加ならいらないわよ?」
「残念ながら本日の書類は全てお渡ししています。足りませんでしたか?」
「もうお腹いっぱいよ。それで、どういった用件かしら?」
「お客様が来られるお時間ですが、お忘れですか?」
「えっ?ああ、もうこんな時間だったのね」
書類の山の影となり気づかなかったが、時刻は夕方六時。
勤務を終えたシェルドが報告にやってくる時間だ。
「はぁ……着替えるの面倒くさいのよね……」
「そのようなことを申していてはアイリスに叱られますよ」
「……このことは秘密だからね」
「残念でございますが……」
バタン!
「お嬢様!面倒くさいとはなんですか!」
「きゃっ!アイリス急に入って来ないでくれる!?」
突然やってきたアイリスに私は驚かされてしまう。
「私としては!その黒猫ちゃんのパジャマのまま仕事をするなんてもってのほかなのです!」
「いいじゃない。楽なんだもん」
「よくありません!令嬢と呼ばれるお方は、どのようなときでも麗しきドレスを着ているべきなのです!」
「物語の読み過ぎよ。そんな令嬢はいません」
「そんなことありません!」
「お嬢様方?お話も結構ですが、もう少しでシェルド様がいらっしゃいますよ。あの方は時間をきっちり守られる方ですからね。あと三十分ほどですか」
「きゃぁ!お嬢様急いでお支度しますよ!」
「はいはい」
「はいは一回です!」
私はアイリスに手を引かれ、衣装部屋へと赴くのだった。
そして着替え終えた私が応接室へと向かうと、
「待たせたわね」
「いえ、私も少し休ませて頂いていたので」
シェルドともう一人、赤毛の人物が待っていた。
「二人ともおかけになって」
「「はっ」」
「そちらの方は、会うのは二度目かしら?」
以前ポンザが暴れていたときに、取り押さえたのが彼だったと思う。
「はい!ハルト・アークと申します!第三騎士団所属です!」
「ご丁寧にありがとう。ライラック・レミゼラルムーンよ」
「お目にかかれて光栄であります!」
以前出会ったときはここまで熱烈な眼差しで見られていなかったのだけど、どうしたのかしら。
「それでは報告をさせていただきます」
シェルドが眼鏡をクイッとさせて話を進めようとするのだけどちょっと待ってほしいわ。
「どうして彼がここにいるのかしら?」
「ああ、どうしてもレミゼラルムーン伯爵にお会いしたというので連れてきましたが、やはりご迷惑でしたか?」
「迷惑というか、視線が気になるのだけど……」
「僭越ながらお話しさせてもらってもよろしいでしょうか!?」
チラリとハルトの方を向くと、彼は大きな声でそう言ってきた。
「いいけど、ちょっと声を落としてくれる?」
「かしこまりました。少し興奮が過ぎたようですね」
いきなり冷静になり過ぎるのもどうかしら?
「俺、いや私は、誘拐犯から単独で子どもを救ったというあなたのファンとなりました。よろしければこちらにサインをお願いします」
「……はぁ?」
差し出された色紙に私は呆然とするしかなかった。
「補足しますとハルトは正義という言葉が大好きでありまして、新聞に書かれていました正義のヒロイン、ライラック・レミゼラルムーン!子どもたちの救出劇!の見出しに魅了されたようですね」
「ようですねって……」
改めてハルトを見ると、キラキラと輝いた瞳が眩しい。
これはリリアンヌ王女殿下と似た陽の気を感じてしまう。
「よろしければ、お名前を書いて上げてもらっても良いですか?」
「別に名前くらいいいけど、書いたとしてどうするの?」
「もちろん額縁に入れて飾ります!」
「……私は女優ではないのだけれど」
まあいいか。
こんなにも真っ直ぐな好意を向けられると何かしてあげたくなるものね。
サラサラ。
「これでいい?」
私は色紙と万年筆を受け取り、先ほどまで嫌というほど書いていたサインをする。
「うぉぉぉぉぉぉ!我が家の家宝と致します!ありがとうございます!」
「そこまではしないでちょうだい」
「それでは報告に移らせて頂いてよろしいでしょうか?」
「あなたはあなたで一切ブレないわね」
こうして私に熱烈なファンができた日となった。
ふふっ、まあ悪い気はしないわね。
「はぁ……花の乙女がこんなに引きこもっていていいのかしら……」
誘拐事件の後始末のおかげで部屋に引きこもる日々が続き、私はため息を吐く。
セイクリッド様からプレゼントをもらってから三日が経過した。
プレゼントのおかげでやる気に満ち溢れていたのだけど、すっかりとそのやる気は消え失せてしまっていた。
早く事後作業を終えて華やかな街の見回りに戻りたいものね。
コンコン。
改めて書類にサインをしていたところ、ノックの音が聞こえてきた。
「どうぞ」
「失礼いたします」
「あら、ゼオン。どうしたの?書類の追加ならいらないわよ?」
「残念ながら本日の書類は全てお渡ししています。足りませんでしたか?」
「もうお腹いっぱいよ。それで、どういった用件かしら?」
「お客様が来られるお時間ですが、お忘れですか?」
「えっ?ああ、もうこんな時間だったのね」
書類の山の影となり気づかなかったが、時刻は夕方六時。
勤務を終えたシェルドが報告にやってくる時間だ。
「はぁ……着替えるの面倒くさいのよね……」
「そのようなことを申していてはアイリスに叱られますよ」
「……このことは秘密だからね」
「残念でございますが……」
バタン!
「お嬢様!面倒くさいとはなんですか!」
「きゃっ!アイリス急に入って来ないでくれる!?」
突然やってきたアイリスに私は驚かされてしまう。
「私としては!その黒猫ちゃんのパジャマのまま仕事をするなんてもってのほかなのです!」
「いいじゃない。楽なんだもん」
「よくありません!令嬢と呼ばれるお方は、どのようなときでも麗しきドレスを着ているべきなのです!」
「物語の読み過ぎよ。そんな令嬢はいません」
「そんなことありません!」
「お嬢様方?お話も結構ですが、もう少しでシェルド様がいらっしゃいますよ。あの方は時間をきっちり守られる方ですからね。あと三十分ほどですか」
「きゃぁ!お嬢様急いでお支度しますよ!」
「はいはい」
「はいは一回です!」
私はアイリスに手を引かれ、衣装部屋へと赴くのだった。
そして着替え終えた私が応接室へと向かうと、
「待たせたわね」
「いえ、私も少し休ませて頂いていたので」
シェルドともう一人、赤毛の人物が待っていた。
「二人ともおかけになって」
「「はっ」」
「そちらの方は、会うのは二度目かしら?」
以前ポンザが暴れていたときに、取り押さえたのが彼だったと思う。
「はい!ハルト・アークと申します!第三騎士団所属です!」
「ご丁寧にありがとう。ライラック・レミゼラルムーンよ」
「お目にかかれて光栄であります!」
以前出会ったときはここまで熱烈な眼差しで見られていなかったのだけど、どうしたのかしら。
「それでは報告をさせていただきます」
シェルドが眼鏡をクイッとさせて話を進めようとするのだけどちょっと待ってほしいわ。
「どうして彼がここにいるのかしら?」
「ああ、どうしてもレミゼラルムーン伯爵にお会いしたというので連れてきましたが、やはりご迷惑でしたか?」
「迷惑というか、視線が気になるのだけど……」
「僭越ながらお話しさせてもらってもよろしいでしょうか!?」
チラリとハルトの方を向くと、彼は大きな声でそう言ってきた。
「いいけど、ちょっと声を落としてくれる?」
「かしこまりました。少し興奮が過ぎたようですね」
いきなり冷静になり過ぎるのもどうかしら?
「俺、いや私は、誘拐犯から単独で子どもを救ったというあなたのファンとなりました。よろしければこちらにサインをお願いします」
「……はぁ?」
差し出された色紙に私は呆然とするしかなかった。
「補足しますとハルトは正義という言葉が大好きでありまして、新聞に書かれていました正義のヒロイン、ライラック・レミゼラルムーン!子どもたちの救出劇!の見出しに魅了されたようですね」
「ようですねって……」
改めてハルトを見ると、キラキラと輝いた瞳が眩しい。
これはリリアンヌ王女殿下と似た陽の気を感じてしまう。
「よろしければ、お名前を書いて上げてもらっても良いですか?」
「別に名前くらいいいけど、書いたとしてどうするの?」
「もちろん額縁に入れて飾ります!」
「……私は女優ではないのだけれど」
まあいいか。
こんなにも真っ直ぐな好意を向けられると何かしてあげたくなるものね。
サラサラ。
「これでいい?」
私は色紙と万年筆を受け取り、先ほどまで嫌というほど書いていたサインをする。
「うぉぉぉぉぉぉ!我が家の家宝と致します!ありがとうございます!」
「そこまではしないでちょうだい」
「それでは報告に移らせて頂いてよろしいでしょうか?」
「あなたはあなたで一切ブレないわね」
こうして私に熱烈なファンができた日となった。
ふふっ、まあ悪い気はしないわね。
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