召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

ボランドの苦悩

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試合開始から激しい斬り合いを続けるクリスとボランド。
その隙を狙い、クリスの背後からキマイラの鋭い爪が襲いかかる。
だが、クリスはそれをさらに上空へと飛んで躱した。
そこに向かってドラゴンとキマイラの炎のブレスを吐く。

ゴォォォォォォ!!

「おっと!危ない危ない!」

息を整える暇もない連続攻撃だったが、クリスは余裕をもってそのブレスの範囲から逃れた。

ヒュン!

そこを狙ってアイアンゴーレムの槍がクリスの真下飛んでくる。

もらった!これは当たる!

ボランドはそう思った。
だが、その甘い予想はあっさりと裏切られてしまった。

「ほいっと」

クリスはあっさりと真下からの槍を躱すとあろうことかそれを掴んだ。

「お返しだよ!」

そして槍を回転させると、そのままアイアンゴーレムへと投げ返す。
重力を味方にした槍は目に捉えることも難しいほどの速さで落下し、アイアンゴーレムの肩に突き刺さった。

ウゴォォォォォォォォォ!

それは内部のコアへと届いたようでアイアンゴーレムは大きな声をあげて消滅してしまった。

「なんと攻勢を続けていたボランド選手のアイアンゴーレムが消滅!あっという間の出来事でした!」

「クリス選手には死角というものが存在しないように思えますね。それほど攻撃への対応が早い」

「これはボランド選手苦しくなりました!ボランド選手の心境や如何に!?」


……なんだよそれ。
どうすればいいんだよ。

ボランドは絶望にも思えるほどの喪失感を覚えていた。

こんなに差があるのかよ……
俺だって一生懸命努力をしてきたはずなのに……
それをそれを……嘲笑うっていうのかよ!

「うぉぉぉぉぉぉ!」

負の感情を吹き飛ばすようにボランドは吠えた。

そして彼は未だに扱えないスキルを発動することに決めた。

「キマイラ!合成しろ!俺も含めてだ!」

キマイラはその命を受けると、ボランドを核として溶け合うように混ざり合っていく。
そして生まれたのはボランドの肩に獅子の顔とドラゴンの顔、背中にはドラゴンと鷲の片翼が一つづつ生えており、毒蛇の尻尾、腕と足はドラゴンのものとなっていた。

「ウギャァルァァァ!」

「こ、これは物凄い容貌へと変化してしまったボランド選手です!」

「あれはキマイラの合成スキル。本来は召喚獣同士を掛け合わせその能力を強化するものですが、召喚者ごと合成したようですね」

「ボランド選手は無事なのでしょうか!?」

「わかりません。クリス選手の天使化やレオン選手の融合とは違い、合成はキマイラに自我があります。その自我がボランド選手をも飲み込もうとすると、大変危険なものとなるでしょう……」

「ああっと!審判がすぐさまメディカルチェックにいきました!」


「ボランド選手!大丈夫ですか!?」

キマイラ、ボランド、スカイドラゴンと頭が三つ並ぶ中、ボランドの頭部はコクリと頷いたかのように見えた。
意識はあるようだと判断した審判ではあったが、続行をするかどうか判断を迷う。

その隙にボランドは少し離れた場所で待機しているクリスへと襲いかかった。

「ボランド選手!ストップ!ストップだ!」

審判の制止は聞こえていない。

コロス……クリス……コロス……
クリス……コロス……クリス……

キマイラとの自我が混在している中で、ボランドはただ一つの目標目掛けて大きく駆けていく。

「ウガァァァァァァ!」

二人が近づいてみればその大きさは倍ほどに違う。
そのような体格差の力任せの右腕がクリスに向かって振るわれた。

あまりにも高速の一撃。
しかもメディカル中で気が緩んでいたこともあり、クリスはその一撃を食らってしまった。

「きゃぁぁぁ!」

ギリギリで左腕を防御に回せたおかげで、致命的なダメージではなかったものの、身体の芯にまで深い衝撃が伝わっていく。

「ああっと!審判の制止を聞かずに飛び出しました!これは試合続行不可ですか!?」

「そうですね。恐らく審判役の召喚士たちが抑えに向かうでしょう」

その言葉を証明するように、四方から武装した者たちがやってきた。
そして彼らがリングに上がろうとした時、クリスは叫んだ。

「ボクが……ボクが彼を取り押さえます!だから待っていてください!」

そしてそのまま右手のロングソードをボランドに向かって繰り出した。

「どうやらクリス選手!審判団の介入を制止したようです!」

「お互いに学生である最後の決勝戦がこのような形で決着してしまうことを望んでいないのでしょう」

「それを審判は認めますか?」

「……どうやら裁定が出たようですよ」

「三分間!それだけの間試合形式を認めます!」

「おおっと!クリス選手の要望を聞き入れる形となりました!続行です!」

「ですが不意討ちのダメージは大きいです。大幅に強化されているボランド選手と決着をつけられるでしょうか?」

「どうなってしまうのか!?混迷の決勝戦です!」
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