召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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二年生

フレア対アリシア戦激戦の終着です!

お互いに息を整える間の静寂は、すぐに終わった。
だが、一瞬でも早く動いたのはアリシアだ。
フレアとの距離を詰め宙を飛んでいく。
その隣でランスも飛び、自身は氷竜へと向かっていた。
それに反応し、フレアは足早に地面を駆け、氷竜は宙を舞う。
二人は召喚獣同士を闘わせることを選択し、本命を討つことに専念する構えだ。
二対二の格好から一対一を二組という構図。
いかに召喚士本体を倒せるか、もしくは召喚獣が相手の召喚獣を倒し援護に駆けつけられるのか。
そんな闘い方になってくる。

「さあさあ!フレアさん!ダンスパートナーをお願いします!」

「面白い!私のダンスについてこれるか!?」

二人の闘いはまさに剣舞であった。
美少女が息の合った攻防戦を繰り広げ、アリシアの重量ある攻撃をフレアはそれを全て回避して魅せる。
一方でフレアの攻撃はアリシアの盾によって防がれ、リズミカルな音を奏でる。

「ふふふ……ひらりひらりと蝶のようですね!」

「そちらは防御に隙がないな!まるで亀のようだ!」

「乙女に亀とは酷いのではありませんか!?私持っていません!」

「ん!?どういう意味だ!?持っているだろう!?圧倒的な守備力を!」

「後でしっかり説明してあげます!」

そうして二人は思考を加速させる。

───アリシアSide───

私は苦笑をしつつも、ランサーへと目をやった。
すると、遠距離での攻勢となり苦戦を強いられている状況が見えた。
氷竜は距離を取り、ブレスや氷の羽根といった遠隔からの攻撃を繰り出している。
やはりランク差もあり、攻撃のバリエーションという意味でもあちらに軍配が上がったようだ。
だが、その高火力は召喚士本人への負担となる。
私の方はまだ魔力の余裕を維持できているので、フレアさんの自滅を待つことが一番勝率が高いと思う。
しかしそれは薄氷の上を歩くようにバランスを取らなければならない。
まずランサーが敗北しないこと、そのうえで私がフレアさんの高火力な一撃を最低限のダメージで抑え続けること。

ふふっ……多難ね。
ならばこちらも全力で相手を攻め立てるのみ!
決定的なクリーンヒットを狙って!


───フレアSide───

氷竜の方は優勢に闘えているように見える。
だが、それは私の魔力を消耗してのことだ。
フェザーとレイランの維持をこのまま継続していけば、いずれは先に私の魔力が尽きるだろう。
相手の召喚獣とは相当なランク差があるというのに、この有様は私に不甲斐なさに尽きる。
だが、反省は後だ。
今はただ、アリシアを渾身の一撃で打ち倒すのみ!
アリシアも消極的な闘い方はしないはず!
私の限界ギリギリまで受け切ってみろ!アリシア!


二人は互いに笑みを浮かべると、さらに回転を上げて攻防戦を続けた。

フレアはアリシアの盾を持っている左側を捨てて、自身の利き腕ではない左手からの攻撃を繰り出す。
サウスポーとなっても圧倒的な手数は健在で、右手に移した籠手は炎のブレスを吐く。

「まったく!攻めが強いことですね!」

「守りは性に合わないのでな!受け切ってみせろ!」

「ええ、喜んで!」

大剣ながら流れるようにフレアの剣を防ぎ、盾は炎のブレスの軌道を変える。

「ふふふ、私も攻撃の方が好きかと思っていましたが!耐える方も好みですね!」

「ははは!知っているぞ!そういうのをマゾヒズムというのだろう!」

「否定はできませんね!」

余裕があるかのように見える二人だが、その顔には汗が流れている。

「十五分経過!」

ルナが高らかに時間を宣言した。
この闘いは、今までの規定時間をとうに過ぎ去っていたのだ。

二人は思った。

なんて苦しくて……なんて楽しい時間なのだろう!と。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

ルナの宣言でフレアは一層攻勢を強めた。
自分に残された魔力が少なく、制限時間まで闘い切れないと思ったからだ。

「ふぅぅぅっ!」

それに対しアリシアは受ける。
受けながらも自身の必殺の一撃を繰り出すタイミングを見計らって。

そのような中で召喚獣自身もこの先の行方を思考していた。
ランスも氷竜もなんとか一瞬だけでも相手の召喚士の気を引く。
ただひたすらにそのことを考えていた。

〔アリシア様に……勝利を……〕

〔グルグルゥ……キュルゥ……(羽根でもブレスでもいいの……なんとか相手の気を引ければ……)〕

相談できる余裕はない。
どちらかが決めないといけない。

〔今だ!〕
〔キュイ!(今ね!)〕

奇しくもその判断を召喚獣たちが下したのは、同時だった。

ランスは炎を纏い、フレアの左腕に向かって突撃を。
氷竜もまた氷の羽根をアリシアの左腕に向かって飛ばした。

「なにっ!?」

「迂闊だったわ!」

それは自分たちの闘いに夢中となっていた二人にとって想定外のことだった。

ガギィィィィィィン!

フレアはアリシアを攻撃していた左腕をなんとか防御に回し、ランスの突撃を打ち上げた。

ガガガガガガッッッ!

アリシアも左腕に持った盾で氷の羽根を防ぐ。
そこで盾に限界が来た。
高熱度の剣を受けていた盾は急激な温度変化のダメージに耐えきれず、打ち砕かれたのだ。

一方でフレアもノーダメージではない。
突然の衝撃で左腕は痺れ、当分使えそうになかった。
ガランと左腕から剣が落ちていく。

ここにきて守りの要を失ったアリシアと左腕を失ったフレアとの構図となった。

「フェザー!」

フレアは瞬時に右手の籠手を解除し、落ちた剣を右腕に呼び寄せる。
アリシアは大剣を両手持ちへと移行し、大きく横に振りかぶった。

その大剣の一撃は右腕だけでは防ぎきれないと判断し、フレアは後ろに跳んだ。

そこを狙っていたのはランス。
頭上から着地点を狙って猛スピードで落ちてくる。

「しまっ……!」

フレアが危機を感じ、上を見上げたとき、

〔キュイィィィ!〕

ランスが貫いたのは氷竜の身体だった。
主の危機に高速で飛び、身を挺して庇った結果……氷竜は氷の残滓を残して消え去っていった。

「レイラン!ぐぅぅぅぅぅぅ!」

自分を庇った氷竜を討ったランスを無視し、フレアは右腕に持った剣でアリシアが横薙ぎを払った体勢の懐へと潜り込み、剣を突き刺した。

ガシュッ!

「きゃぁぁぁ!」

その剣は盾を失い、ダメージを負ったペガサスの武装変化を解くに至る。

こうしてお互いに召喚獣を一体失いつつも、二人の戦意は落ちることはなかった。

「ランサー!」

アリシアはランスをその手に呼び戻すと、軽量化された槍へと変化させた。そしてフレアに向かって幾度となく突きを放つ。
それに対し、片腕のフレアは槍の軌道を逸らすことでその連撃を防いでいた。

だがしかし……終わりは突然にやってくる。

「……ギブアップだ」

フレアは召喚を解き、右腕を上げた。

「試合終了!アリシアの勝利です!」

わぁぁぁぁぁぁ!

歓声が闘技場に響き渡っていく。

「……まだまだやれたでしょうに、なぜギブアップを?」

「私の現状では、これ以上はただダラダラと敗戦を遅らせる行為だ。私はそんなことをしたくない」

「負け際も美しくというわけですか」

「そんな大層なものではないがな。私はレイランを失ったとき、自身の敗北を悟ったのだ。あのランスの動きはアリシアの指示か?」

「まさか。そんな余裕はありませんでしたよ。そっちこそ盾を破壊したのはフレアさんの考えですか?」

「それこそそんな余裕はない。レイランの考えだ」

「ふふっ、私たちもまだまだ未熟ですね。自身の召喚獣の考えがわからないなんて」

「ああ、もっと意思疎通ができるようになりたい。そして今度は、貴様に勝ってみせるからな」

「私だって負けていられません」

二人は互いに笑い合うと、同時に右手を差し出した。

「ところで亀の件ですが……」

「ふむ。どういった意味だったんだ?」

アリシアはフレアに耳打ちをする。

「なっ!男の……!」

「ふふっ、そういうことです」

フレアは顔を真っ赤に染めて、自身の無知を恥じるのだった。
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