召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think

文字の大きさ
41 / 179
一年生

最強の戦乙女との闘いです!

しおりを挟む
「いよいよか……」

クリス先輩に果たし状を渡してから、数日後の終業後に闘技場へと向かう。
いつもの通路を歩いているだけだというのに、手のひらにじっとりと汗がにじむ。

緊張していますね。

そ、そりゃあこの学園で最強の人だぜ?
怖くもあるし、緊張もするさ。

それなのに挑むのですか?

力の一端でも知っておきたいからな。
それにヤバいと思ったら即座に降参する心構えは出来ている!

ふふふ……

なんだよ、情けないとでも思っているのか?

いえ、勇気と臆病さを兼ね備えた立派な人だと思っています。
ですので、共に頑張りましょうね。

ああ、よろしくな!

イエス、マスター。

闘技場の扉を開き、決戦の場へと足を進めていく。
カツンカツンと石畳の上を歩く音が響いていき、開けた場所へと到着する。

そして、

「待っていたよ?カイ君」

「お待たせしました」

対戦相手であるクリス先輩と顔を合わせた。

深呼吸とともに周囲を見渡すと、観客席にはほぼ全生徒が観戦にきたと言っても過言ではないくらいの人がいる。
その中にはクラスメイトの顔や、レオン先輩セツナ先輩といった顔もあった。

「カイ君、クリスさん、制限時間は五分です。それまでに決着しなかった場合は引き分けとします。いいですね?」

通常の対戦時間よりも短いが、それでも長いのかもしれない。
心してかからないと一瞬で負かされる可能性も十分にあるからな。

「はい」

「分かりました」

ルナ先生の言葉に同意した後、

「今日を楽しみにしてたよ!」

クリス先輩は笑みを向けてくれた。

「俺もです!」

俺も笑顔で返し、握手をする。
クリス先輩は長い金髪を束ね、ライトメイルとロングソードの武装だ。
完全に近接型と見て間違いない。

「では、指定の位置へ!」

俺たちは少し離れた指定の位置に付く。

「カイ!頑張れぇ!」
「勝てると信じているからな!」
「が、頑張ってください!」
「がんばれっ!」

集中した意識が、みんなの声を聞き取った。

俺はその声に精一杯応えたい!

「試合開始!」

その言葉とともに、

「行くぞ!ファーナ!」

イエス、マスター!

「おいでユニユニ!」

お互いが召喚獣を喚び合う。
クリス先輩の召喚獣は聞いていた通りのユニコーンだった。

クリス先輩はその背に跨がると、

「行こうか?」

首筋をポンポンと叩く。
ユニコーンがヒヒーン!といななくと、

ダダダダッ!

あり得ない速さで突っ込んでくる。

ユニコーンの速さじゃない!
サリアの召喚獣のロゼルと同じくらいじゃねぇか!?

「リンクメイル!」

ファーナと一体化する。

「へぇ!すごいな!そんな事できるんだ!」

近付いてくるクリス先輩が驚きの声を上げる。

光の剣よ、我が敵を討て。

先制攻撃はファーナの光の剣による遠距離攻撃から始まった。
ファーナの周囲に現れた三本の剣が、ユニコーンに跨るクリス先輩へと向かっていく。

「速いね!でも!」

ユニコーンはスピードを緩めることなく左右へと跳び、全ての剣を難なく回避する。

そして、お互いの剣が届く位置にまであと僅かとなった。

ファーナは光の剣を再度召喚し、今度は手に持つ。

「はぁぁぁ!」

クリス先輩の鋭い斬撃が馬上から振り下ろされた。

キィィィン!

ファーナは落ち着いた動きで、クリス先輩の剣を防いでくれた。

いってぇぇぇ!?

だが、俺の手にもビリビリと振動が来る。
その痛みで、剣の重さがかなりのものだとすぐに分かる。

「まだまだ!」

躱せませんので受けきります!マスターもこらえてください!

分かった!

そして目にも止まらぬ速さで、剣を交える二人。
激しい振動と衝撃が腕や体を襲ってくるが、俺は詠唱を終えてキーワードを放つ。

「フラッシュ」

目を閉じて発動した俺の魔法は、俺たちの間を強い光で照らしていく。

「うっ!」

一瞬の眩しさに、クリス先輩の目を眩ませる。

そこだっ!

ファーナはそこを見逃さなかった。
すぐさまユニコーンへと斬りかかる。
しかし、クリス先輩の反応も凄かった。

「ユニユニ!」

一瞬で不利を悟ったユニコーンは、後ろに跳ぶように避けた。
だが、ファーナの放った横薙ぎの剣はユニコーンの胸を捉えることに成功したようだ。
ユニコーンのバランスは崩れ、着地に失敗して石畳へと倒れこんでしまった。
その際に愛馬の背中から放り出されたクリス先輩だが、空中で体勢を整え、しっかりと着地をこなす。

その間にファーナは、倒れているユニコーンを狙い、剣を振るった。

「戻って!ユニユニ」

だが、ファーナの剣がユニコーンの身体を傷つける前に光となり、クリス先輩の中へと消えていった。

「予想以上だよ……カイ君!」

「こっちはいっぱいいっぱいですよ……」

楽しそうなクリス先輩。
そのお気持ちは嬉しいが、疲労Maxの俺に対してまだまだ元気な様子は絶望でしかない。  

「あはは!まだまだ行くよ!」

来ないで欲しいんですが!?

「ブースト!」

キーワードを唱えると、ユニコーンを失ったというのに先ほどと変わらない速さで斬りかかってくる。

キィィィン!

俺が反応できていなくてもファーナは見事に反応し、剣を受け止めてくれていた。

マスター、魔力は大丈夫ですか?

まだ、なんとかなる!

痺れる腕と荒い呼吸の中で、俺は虚勢を放つ。

はい、マスター。

光の剣を双剣で構え、クリス先輩へと斬りかかっていく。
もはや俺に出来ることは身体の痺れと魔力の消費に耐えることのみ。  

「でりゃぁぁぁ!」

ファーナがクリス先輩が繰り出した上段からの一撃を双剣で防ぎ、滑らすように懐に潜り込んでいく。

「くっ!」

それを蹴りで離そうとするが、ファーナの身体は止まらない。
しかし、クリス先輩はファーナの鎧を足場に後ろへと跳び、距離を離した。

どんな運動能力してんの!?

「はぁぁぁ!」

せやぁぁぁ!

お互いが気合いとともに斬りかかった瞬間。

「タイムアップ!試合終了です!」

長かった五分が過ぎたようだ。  
ギリギリで助かった気しかしない……
あと一分でもあれば、ギブアップしていただろう。

「もう終わりかぁ……もうちょっと闘いたかったな」

無茶を言わんで下さい。
ファーナありがとう……  

いえ、マスターのお体に負担をかけ申し訳ございません。

気にしないでほしい。
ファーナはよくやってくれた。

ありがとうございます、マスター。

召喚が解け、俺を包んでいた鎧が消えていく。

そして俺はしゃがみこんだ。
腕の痺れが激しく、魔力、体力ともに余裕はまるでないので仕方ないと思ってほしい。

「いやぁ!強いねカイ君!」

それに対してクリス先輩は汗は出ているが、まだまだ余裕そうだった。

「何言ってんですか……クリス先輩の方が強すぎますよ……」

「ありがとね。良かったらまたしてくれる?君たちの相手はとても気持ちよかったよ!」

なんだかドキドキする言い方だが、

「こちらこそ……今度は全力で相手してもらえるように、頑張ります……」

「十分に全力だったよ?」

「なら、良かったです……」

もう息も整いつつあるクリス先輩と動けそうにない俺。
この差が縮まるように頑張ります……

「君のリビングメイルさんも凄く強かった!あのまま闘っていたら、負けていたのはボクかも知れなかったし!」

「その前に俺の魔力が尽きてますよ……」

「あはは!そっかぁ!大丈夫?歩ける?」

「いやちょっとキツいですね……」

「じゃあ運んであげるよ?」

はっ?

「よいしょ」

お姫様抱っこをされる俺。

「いや大丈夫です!降ろしてください!」

「大丈夫だよ?軽いから」

そういう問題じゃない!

クリス先輩のキレイな顔が間近に……  

「どうしたの?」

クリス様、素敵です……って俺は乙女じゃねぇ!よ?

俺はお姫様抱っこされる姿を全校生徒に見られながら、闘技場を後にすることになった。  

つ、次は自分の足で闘技場から降りるからな!

ふふふ……頑張りましょうね。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

社畜だった俺、最弱のダンジョンマスターに転生したので、冒険者を癒やす喫茶店ダンジョンを経営します

☆ほしい
ファンタジー
過労死した俺が目を覚ますと、そこは異世界のダンジョンコアの前だった。 どうやら俺は、ダンジョンマスターとして転生したらしい。 だが、与えられた俺のダンジョンは最低ランクのF級。魔力を生み出す力は弱く、生み出せる魔物もスライムやゴブリンといった最弱クラスばかり。これでは、冒険者を呼び込んで魔力を得るなんて夢のまた夢だ。 絶望する俺だったが、ダンジョンの創造機能を使えば、内装を自由にデザインできることに気づく。 「……そうだ、喫茶店を開こう」 前世で叶えられなかった夢。俺は戦闘を放棄し、ダンジョンの入り口に木造の喫茶店『やすらぎの隠れ家』を作り上げた。メニューは、前世の知識を活かしたコーヒーと手作りケーキだけ。 ところが、そのコーヒーには異常なまでの疲労回復効果が、ケーキには一時的な能力向上効果が付与されていることが判明。噂を聞きつけた訳ありの冒険者たちが、俺のダンジョンに癒やしを求めて集い始めるのだった。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる

アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。 自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。 魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。 しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。 前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。 「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

処理中です...