召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

お見舞いに来てくれました

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「いででで……筋肉痛の身体に魔力の消耗のだるさが堪えるな……」

模擬戦の後、俺の身体の消耗は大きなもので、自由に動かすことができなかった。
俺は運ばれた保健室のベッドで横になり、今後のことを考えていた。
それはもちろんクリス先輩をどう攻略するかということ。

彼女はもう完成されてますね。
剣技は今の私とほぼ互角かもしれません。

ファーナがそこまで言うか……って今の?

はい。
言い難いのですが、現在のマスターの総魔力量では全力を出せないのです。

……そんな気はしてた。
俺のことを気にかけるように闘っていたしな。
どうすれば、ファーナが全力を出せるようになるんだ?

それは……マスターが私に優しくしたり、褒めてくれたりすればもっとより良い関係性へと深まるかもしれませんよ?べ、別に褒めて欲しいというわけではありませんからね!?

確かに俺という召喚師との関係性が深まれば、ファーナの身体を維持する魔力量も少なくなり、スキルを覚えたりしてくれるのだが……いい機会だし、今までの感謝を伝えておこう。

ここまでファーナのおかげでなんとかやってこれたよ。
君という存在を選んで、いや、俺の召喚に応えてくれてありがとう。
これからもよろしく頼む。

マスター……私こそよろしくお願いいたします……

きゅん……♪

あっ……私の中で何か生まれそうです……

俺の身体の内側から温もりが膨らんでいくのが分かる。

何かが目覚めそうなその瞬間。

コンコン。

静かな保健室に、ノックの音が響いた。

も、もう!いい感じでしたのに!

不機嫌そうなファーナだったが、来客を無視するわけにもいかず、

「どうぞ」

俺の声の後にフレアが入ってきた。
何気に緊張しているように見えるが、どうしてだろう?

「体は大丈夫か?」

「ああ、なんとか動ける位にはなったよ」

「そうか、それは良かった」

フレアはほっと安堵の表情を浮かべる。

「ありがとうな。わざわざ来てくれて」

「当たり前だ。カイは、その、大切な、ひ、仲間だからな!」

真っ赤なフレア。

「嬉しいな、そう言ってくれて」

「今日の模擬戦も凄かった。私もまだまだだな……」

「フレアも凄い訓練してるじゃないか。ファーナ相手に挑み続けている。その努力する姿勢は好きだし、尊敬しているよ。フレアがいてくれるから俺も頑張ろうって思えるんだ」

「うっ、うん……」

フレアはうつむき、黙ってしまった。

……マスター?

何故か不機嫌そうなファーナさんから闇を感じる。
先ほどは温かなものだったのに今は非常に心苦しい。

ど、どうかしましたか?

いぃえ、なんでもありませんが?   

その言い方はなんでもあるだろう?

「つ、次は!」

真っ赤な顔でフレアは立ち上がると、

「リーナが来るから!」

そう言って出ていった。
そしてその言葉通り、入れ替わりにリーナが来た。

「大丈夫ですか?」

「あははは、身体がギシギシ言っているけどなんとか大丈夫だよ」

「よ、よろしければ、少しマッサージしましょうか?」

「いいの?」

「もちろんです!」

「それじゃあお願いしようかな」

「お任せください!」

リーナは詠唱し、キーワードを放つ。

「癒しの手」

リーナの手がほんのりとした輝きに包まれると、足から揉んでくれる。

もみもみ。

「力加減はどうですか?」

「とってもいいかんじぃ……」

きもちいい……  

少しずつ身体の奥から癒されていく。

「うつぶせになれますか?」

「大丈夫だ」

「し、失礼しますね……」

俺がうつぶせになると、リーナは俺の上に跨がり背中をほぐしてくれる。
柔らかい感触と、リーナの手が気持ちいい。

しかも、

「んっ……んっ……んぅ……」

と、力を込めるリーナの声が色っぽくてたまらない。

い、いかん……これはいかん……
元気になる場所が違うぅぅぅ!
けど気持ちぃぃぃ……!

マスター、最低ですね。
リーナさんの純粋な想いを邪念で汚すなどと……

し、仕方ないだろ!健全な男子だよ!?

「リ、リーナありがとう。もういいよ」

これ以上はヤバい。

「そうですか?楽になりました?」

「おかげでとっても楽になったよ」

「それなら良かったです。あんまり無茶しちゃ駄目ですよ」

ニッコリと微笑みを向けられ、心から癒されていく。

「リーナは優しいな。俺にとって理想の女の子だよ。ありがとう」

「そっ、そんなこと……」

黙ってうつむいてしまった。

これだから、天然タラシは……  

何ブツブツ言ってんの?お礼を言っただけじゃないか?

はいはい。

「つ、次はサリアちゃんが来ますので……」

フレアと同じことを言い、出て行くと、

「失礼するの……」

すぐにサリアが来た。

「大丈夫……?」

「ああ、なんとかな」

「良かった……」

サリアは少し沈黙すると、一粒の涙をこぼした。

「どうした!?サリア!?」

「お兄ちゃんみたいに死んじゃうかもって……だから、わたし……」

「大丈夫、生きてるよ」

「ほんと……?」

そう言うと、寝ている俺の身体に抱きついてくる。

「サリア!?」

「とくん…とくんしてる……」

むにゅう……  

サリアは自分の身体を押し当て、俺の胸の鼓動を聞いていた。

ヤバい!またしても鼓動が速くなる。
それに加えてサリアの吐息が腕にかかっており、こそばゆいような変な気持ちになってしまう。

やはり大きい方がいいんですねぇ……

ち、違うって!

そうですかぁ?

「生きてる」

満足したのか、サリアはようやく離れてくれた。

そして潤んだ瞳で俺を見ると、小さくこぼした。

「いなくならないでね……?」

「ああ、約束するよ」

こくんと頷くサリア。

「サリア、ちょっとこっちに来てくれるか?」

「なに?」

近付いてくるサリアの頭に手を置くと、優しく撫でた。

「心配させて、ごめんな?」

サリアはうつむきながら

「い、いいよ……次はルースが来るから……」

そう言うと物凄いスピードで出ていった。

速ぁ……

はぁぁぁぁぁぁ……どうしたらそんなこと簡単に出来るんですかねぇ?

いやお兄さんのつもりで……  

そうですか、そうですか。

「カイ、元気にしてる?」

次はルースが来た。

ふう……ようやく一息つけそうだ。
同じ男子同士、気を使わないでいいからな。

「ああ、だいぶ楽になったな」

「そう、それは良かったよ。カイの顔がとても辛そうだったから心配してたんだ」

満面の笑み。

しくった!油断した!
ルースが可愛いってことを忘れるなんて、そんな初歩的なミスを!

「うん?なんだか赤くなってない?」

「いや、大丈夫だよ!」

「一応、失礼するよ?」

ルースは男の子とは思えないほど小さな手を、俺の額に当てる。

柔らかくひんやりしていた……  

マスター……ドキドキしてますね……

なんでさっきと反応が違うんだよ!?

「良かった。大丈夫みたいだね」

「ああ……ありがとう」

「えへへ、ちょっと恥ずかしいけど……カイは僕の憧れなんだ」

俺の手を両手で包み、笑った。

「また一緒に頑張ろうね」

その笑顔は、少女のように可愛いものだった。

うん……

マスター、ルース君とお二人で末永くお幸せに……

はっ……!いかん、いかん!
ファーナも応援しなくていいから!

「あ、ありがとうな」

「うん。じゃあお大事にね」

「ああ……」

「我らの中で一番いい雰囲気ではないか!?」

そんなカイとルースのやりとりを、医務室のドアの隙間から見守る三人の少女がいた。

「あれはあれでアリなのではないでしょうか!?」

「まけたかも……」

そうしてカイの挑戦から始まった濃密な一日は、過ぎ去っていくのだった。
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