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私の頭がパニックになっていると、その光景を目にしたレイラ嬢様は気を失って倒れてしまった。
村長が間一髪のところでレイラ嬢様を支えてくれてどこか打ち付ける事はなかった。
レイラ嬢様が気絶したことを確認するとクリウスはスッと唇を離し小さな声で「すまない…」と言って、少し放心状態の私の肩に手を添えたまま宿を出た。
そのままの状態で村の外に出ると肩からも手を離し、地面に頭をつけて土下座した。
「すまない!!!!!ミリア」
「…ぃあーあのー事情聞いてもいいですよね?」
私のファーストキスが見事に奪われたのだ。
理由聞いても罰はあたらないと思う。
少し青筋を額に浮かばせ、私の顔は引き攣っていた。
そんな様子に少し怯え、クリウスは帰りながら事情を話してくれた。
クリウスは昔、レイラ嬢様のお屋敷で庭師をして、まぁレイラ嬢様と恋仲になった。
庭師とお嬢様の恋は身分の違いで成就するわけもなく、レイラ嬢様の婚約が決まった時にクリウスは庭師をやめて出て行った。
簡単に言えばそういう話、クリウスはレイラ嬢様に幸せになってもらおうと諦めたのだが、こんな場所で再会してしまって私のファーストキスを犠牲に諦めてもらおうと思ったらしい。
協力しないことはない、しないことはないが心構えをさせて欲しかったと思う今日この頃だ。
「で、レイラ嬢様は諦めてくれるかな?」
「…俺の今の居場所もわかってしまうのは時間の問題かな。また別の街に移住する…」
「…」
せっかく出来たハンター仲間なのに、それは残念で仕方がない。
私とクリウスは気分が沈みながらギルド館がある街に戻った。
街に帰るとすっかり夜になっていたがナナンが出迎えてくれた。
私とクリウスの様子がおかしいことにすぐに気が付き、ナナンはクリウスに問い詰める。
「ま~さ~か~、ミリアに手を出したんじゃーーーー」
「いや!出してない!!!こともないが…違うんだ!!!」
ナナンに殺されかけたクリウスを庇う形で私が簡潔にクリウスの事情を話すとナナンの怒りは半分ぐらいに収まった。
その後、夜も遅くなったしクリウスとは解散した。
「ふーん。そんなことがあったの。まぁ訳アリハンターなんてゴロゴロいるからね」
「クリウス、なんとかしてあげたなぁ」
「…惚れたの?」
私の言葉に真剣な眼差しを向けるナナンに私は驚いた。
「え?いやいや!惚れてないですよ!ナナン、なに変な事言ってるの?」
「ふーん。まぁ数少ない真面なハンターだからねクリウスは、確かに惜しい。ちょっと調べてみるよ」
ナナンは宿屋の情報網舐めるなよ!と言って部屋を出て行った。
それから数日後、最近クリウスの姿を見ていない事に私は不安に思った。
まさか、何も言わずに街を出て行ったのでは…
そう思い少し落ち込んで食堂で座っていると、ギルド依頼所の受付人が私に話しかけてきた。
「あーいたいた、ミリアさん」
「あ、はい」
「実は王国からやっかいな依頼が来てましてねーゲルマエース討伐をペアでやったと聞いて、ミリアさんにも協力をお願い出来ないかなーと」
「王国の依頼ですか?」
王国からの依頼は大体上位の依頼が多くランク5以上がほとんどだ。
私はまだランク7なのでとても参加できるものだとは思えないが…
「このエリアの上位ハンターがいま遠征に行ってて人手が足りないって所が本当の所ですが、僕が見る限りミリアさんなら大丈夫だと思って!」
「どんな依頼ですか?」
「5人パーティでの採取依頼です」
採取なら簡単そうだな。
「ただし、採取物が魔石。しかも5名である必要性が3か所同時採取が必須だからです」
前言撤回します。
この内容はダンジョンにいる魔獣を倒しながら進む依頼ってことですね…
「南の洞窟で魔石が見つかったらしく、魔獣が守っているのでそれを討伐して魔石回収に3人とその統括に1名と補助に1名って所です。ミリアさんには補助をしていただけたらと」
「ということは他のメンバーは決まっているのですか?」
「はい。3名にはマックスとモモとロッソにお願いしております。統括はレックスさんですよ」
レックス!?
村長が間一髪のところでレイラ嬢様を支えてくれてどこか打ち付ける事はなかった。
レイラ嬢様が気絶したことを確認するとクリウスはスッと唇を離し小さな声で「すまない…」と言って、少し放心状態の私の肩に手を添えたまま宿を出た。
そのままの状態で村の外に出ると肩からも手を離し、地面に頭をつけて土下座した。
「すまない!!!!!ミリア」
「…ぃあーあのー事情聞いてもいいですよね?」
私のファーストキスが見事に奪われたのだ。
理由聞いても罰はあたらないと思う。
少し青筋を額に浮かばせ、私の顔は引き攣っていた。
そんな様子に少し怯え、クリウスは帰りながら事情を話してくれた。
クリウスは昔、レイラ嬢様のお屋敷で庭師をして、まぁレイラ嬢様と恋仲になった。
庭師とお嬢様の恋は身分の違いで成就するわけもなく、レイラ嬢様の婚約が決まった時にクリウスは庭師をやめて出て行った。
簡単に言えばそういう話、クリウスはレイラ嬢様に幸せになってもらおうと諦めたのだが、こんな場所で再会してしまって私のファーストキスを犠牲に諦めてもらおうと思ったらしい。
協力しないことはない、しないことはないが心構えをさせて欲しかったと思う今日この頃だ。
「で、レイラ嬢様は諦めてくれるかな?」
「…俺の今の居場所もわかってしまうのは時間の問題かな。また別の街に移住する…」
「…」
せっかく出来たハンター仲間なのに、それは残念で仕方がない。
私とクリウスは気分が沈みながらギルド館がある街に戻った。
街に帰るとすっかり夜になっていたがナナンが出迎えてくれた。
私とクリウスの様子がおかしいことにすぐに気が付き、ナナンはクリウスに問い詰める。
「ま~さ~か~、ミリアに手を出したんじゃーーーー」
「いや!出してない!!!こともないが…違うんだ!!!」
ナナンに殺されかけたクリウスを庇う形で私が簡潔にクリウスの事情を話すとナナンの怒りは半分ぐらいに収まった。
その後、夜も遅くなったしクリウスとは解散した。
「ふーん。そんなことがあったの。まぁ訳アリハンターなんてゴロゴロいるからね」
「クリウス、なんとかしてあげたなぁ」
「…惚れたの?」
私の言葉に真剣な眼差しを向けるナナンに私は驚いた。
「え?いやいや!惚れてないですよ!ナナン、なに変な事言ってるの?」
「ふーん。まぁ数少ない真面なハンターだからねクリウスは、確かに惜しい。ちょっと調べてみるよ」
ナナンは宿屋の情報網舐めるなよ!と言って部屋を出て行った。
それから数日後、最近クリウスの姿を見ていない事に私は不安に思った。
まさか、何も言わずに街を出て行ったのでは…
そう思い少し落ち込んで食堂で座っていると、ギルド依頼所の受付人が私に話しかけてきた。
「あーいたいた、ミリアさん」
「あ、はい」
「実は王国からやっかいな依頼が来てましてねーゲルマエース討伐をペアでやったと聞いて、ミリアさんにも協力をお願い出来ないかなーと」
「王国の依頼ですか?」
王国からの依頼は大体上位の依頼が多くランク5以上がほとんどだ。
私はまだランク7なのでとても参加できるものだとは思えないが…
「このエリアの上位ハンターがいま遠征に行ってて人手が足りないって所が本当の所ですが、僕が見る限りミリアさんなら大丈夫だと思って!」
「どんな依頼ですか?」
「5人パーティでの採取依頼です」
採取なら簡単そうだな。
「ただし、採取物が魔石。しかも5名である必要性が3か所同時採取が必須だからです」
前言撤回します。
この内容はダンジョンにいる魔獣を倒しながら進む依頼ってことですね…
「南の洞窟で魔石が見つかったらしく、魔獣が守っているのでそれを討伐して魔石回収に3人とその統括に1名と補助に1名って所です。ミリアさんには補助をしていただけたらと」
「ということは他のメンバーは決まっているのですか?」
「はい。3名にはマックスとモモとロッソにお願いしております。統括はレックスさんですよ」
レックス!?
応援ありがとうございます!
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