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不死王の天敵
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放棄された拠点の敷地内でサクラギは、丁重に葬られている墓を偶然見つけた。
しかしこれは、何かの必然であったのかもしれない。
そこに葬られていたのは、紅葉院 玲奈(こうよういん れいな)。
サクラギはディザイア達を苦しめるための手駒に使えると思い、キョーコに命じて彼女を蘇らせるための精気を集めさせた。
墓を掘り起こして棺を開けたが既に腐敗が進んでおり、ところどころで白骨化している。
そのためサクラギは玲奈を自分と同じ、スケルトンにすることを決めた。
外見も自分と同様、イセヤに創造で生身の部分を作らせれば良い。
けれど判断は軽率だったといえよう、サクラギは彼女が持っていた力を知らない。
その力を知った時には、既に手遅れだった。
(……うっ、ここは?)
蘇ったレイナは辺りを見回す、拠点の居住エリアからは少し離れた場所らしい。
そして自分が骨だけの身体になっていることに気付くと、半狂乱状態に陥りそうになった。
「無事に目覚めたようだな、紅葉院 玲奈」
見覚えのない青年が話しかけてきた、徐々に冷静さが戻ってくると彼の前で跪く。
「なにかご用ですか? 不死王サクラギ」
レイナは姿形は変わったが、その正体が櫻木 誠(さくらぎ まこと)だとやっと理解出来た。
「今はまだ出番は無いが、お前はディザイア達と長く付き合ってきた。 イセヤの力で生身の部分を与えるので、その不死の身体を使って奴らを苦しめるのだ」
(苦しめる? 誰を? ディザイア達ってことは、コージも含まれるの!?)
サクラギは、彼女から何か違和感を感じる。
普段通りならば皆、彼の名を呼んですぐに命令に従うのにレイナに従う気配が無いからだ。
するとここで予想外の事態が発生した、レイナが立ち上がるのと同時にサクラギが彼女の前で跪いたのである!
「なにかご用ですか? 不死の女王レイナ」
(僕はいったい、何を言わされているんだ!?)
蘇らせた者達は、誰も自分には逆らえないはず。
それなのに紅葉院 玲奈には通じない、逆に自分が逆らえない立場にされた。
「ふ~ん、櫻木くんってこんな力を持っていたのね。 悪いけど、しばらくこの力を借りるわね」
(借りる? もしかして彼女は、他者の力を拝借することでも出来るのか!?)
サクラギは、彼女を蘇らせたのは間違いであったと気付く。
命令したくても近くに行けば、逆に自分が命令される側にされてしまうからだ。
このまま傀儡にされてしまうのではないかとサクラギは考えたが、レイナの行動は彼の予想を裏切ることとなる。
「イセヤくん、あなたの力を借りるわね」
レイナは次にイセヤの創造を拝借すると、自身の生前の身体を模した生身の部分を骨の上に創造した。
創造に必要な精気は、キョーコの精気を吸い取る力を拝借。
近くに居る者の力を次々と借りていく彼女を、誰も止めることが出来なかった。
最初にサクラギから拝借した眷属化の力が、あまりにも強大だったためである。
「ねえ、キョーコさん。 コージは今、いったいドコに居るのかしら?」
「コージ? 誰かは存じませんが、ディザイアと関係する者であるならブレサの街に居ると思います。 不死の女王レイナ」
「そう? ありがと」
レイナは、跪いたままでいるサクラギに近づいた。
「あなたには途中までの道案内を頼むわ、それと……」
サクラギの身体が勝手に動き出し、その場に服を脱ぎ捨てる。
「追いかけられても困るから、あなたの持っている精気を全て吸わせてもらうわ。 私のココはコージ専用なんだけど……」
身動き出来ないサクラギに跨がり、ゆっくりと腰をおろすレイナ。
愛しい男との違いに、すぐに物足りない表情を浮かべる。
「あなた、こんな貧相なので満足しているの? コージみたいな太くてたくましいのでないと、すぐに飽きられちゃうわよ」
「……ぐっ、うううっ!」
性器の大きさをバカにされたサクラギは、レイナを再度眷属化しようと試みた。
しかし何度上書きしても、すぐに彼女に上書きされてしまう。
一度逆転してしまった上下関係は、簡単に取り戻せるものでは無かった……。
「それじゃあキョーコさんイセヤくん、またどこかで会いましょう」
翌朝レイナは昔のクラスメートに挨拶して、拠点を出立しブレサを目指す。
昨夜サクラギから搾り取った精気で創り出した原付の荷台には、元の骨の姿に戻る羽目となったサクラギが……。
「街の手前で解放してあげるから、そうしたらこれに乗って拠点に帰りなさい。 私の邪魔だけはしないでね」
「……わかりました、不死の女王レイナ」
ブレサの手前でサクラギを解放したレイナは、その足で街に入ろうとする。
身分証などを持たない彼女は当然止められたが、衛兵の代わりをしていたオークが顔を見た瞬間に逃げ出し、その隙に入ることが出来た。
街の中はにぎやかで、どこかお祭りムードな雰囲気がする。
レイナは近くに居た住人に声をかけ、にぎやかな理由を聞いてみた。
「ねえ、今日はだいぶにぎやかみたいだけど、何かお祝い事でもあるの?」
「もしかして、お前さん。 今日初めて街に来たのかい?」
「ええ、そうだけど」
素直に認めると、住人は破顔しながら街がお祭りムードで包まれている理由を彼女に説明した。
「今日はこれからディザイア様の子息コージ殿の結婚式が行われるのさ、2人も同時に奥方を迎えるなんて羨ましい限りだよ」
(なんですって、コージが私以外の女と結婚? それも2人!?)
レイナは思わず住人の肩を掴む。
「その結婚式はどこで行われているの!?」
「痛たたたっ! 話すから離してくれよ、式は街の教会で行われている。 今頃は式を無事に終えて、ライスシャワーでもしている頃じゃないか?」
教会の場所を聞いたレイナは駆けだした、結婚式を止めるためではない。
コージが選んだ相手を、その目で見定めるためだ。
彼に相応しくない相手であれば、どんな手を使ってでも無効にする。
その覚悟を胸に抱きながら……。
しかしこれは、何かの必然であったのかもしれない。
そこに葬られていたのは、紅葉院 玲奈(こうよういん れいな)。
サクラギはディザイア達を苦しめるための手駒に使えると思い、キョーコに命じて彼女を蘇らせるための精気を集めさせた。
墓を掘り起こして棺を開けたが既に腐敗が進んでおり、ところどころで白骨化している。
そのためサクラギは玲奈を自分と同じ、スケルトンにすることを決めた。
外見も自分と同様、イセヤに創造で生身の部分を作らせれば良い。
けれど判断は軽率だったといえよう、サクラギは彼女が持っていた力を知らない。
その力を知った時には、既に手遅れだった。
(……うっ、ここは?)
蘇ったレイナは辺りを見回す、拠点の居住エリアからは少し離れた場所らしい。
そして自分が骨だけの身体になっていることに気付くと、半狂乱状態に陥りそうになった。
「無事に目覚めたようだな、紅葉院 玲奈」
見覚えのない青年が話しかけてきた、徐々に冷静さが戻ってくると彼の前で跪く。
「なにかご用ですか? 不死王サクラギ」
レイナは姿形は変わったが、その正体が櫻木 誠(さくらぎ まこと)だとやっと理解出来た。
「今はまだ出番は無いが、お前はディザイア達と長く付き合ってきた。 イセヤの力で生身の部分を与えるので、その不死の身体を使って奴らを苦しめるのだ」
(苦しめる? 誰を? ディザイア達ってことは、コージも含まれるの!?)
サクラギは、彼女から何か違和感を感じる。
普段通りならば皆、彼の名を呼んですぐに命令に従うのにレイナに従う気配が無いからだ。
するとここで予想外の事態が発生した、レイナが立ち上がるのと同時にサクラギが彼女の前で跪いたのである!
「なにかご用ですか? 不死の女王レイナ」
(僕はいったい、何を言わされているんだ!?)
蘇らせた者達は、誰も自分には逆らえないはず。
それなのに紅葉院 玲奈には通じない、逆に自分が逆らえない立場にされた。
「ふ~ん、櫻木くんってこんな力を持っていたのね。 悪いけど、しばらくこの力を借りるわね」
(借りる? もしかして彼女は、他者の力を拝借することでも出来るのか!?)
サクラギは、彼女を蘇らせたのは間違いであったと気付く。
命令したくても近くに行けば、逆に自分が命令される側にされてしまうからだ。
このまま傀儡にされてしまうのではないかとサクラギは考えたが、レイナの行動は彼の予想を裏切ることとなる。
「イセヤくん、あなたの力を借りるわね」
レイナは次にイセヤの創造を拝借すると、自身の生前の身体を模した生身の部分を骨の上に創造した。
創造に必要な精気は、キョーコの精気を吸い取る力を拝借。
近くに居る者の力を次々と借りていく彼女を、誰も止めることが出来なかった。
最初にサクラギから拝借した眷属化の力が、あまりにも強大だったためである。
「ねえ、キョーコさん。 コージは今、いったいドコに居るのかしら?」
「コージ? 誰かは存じませんが、ディザイアと関係する者であるならブレサの街に居ると思います。 不死の女王レイナ」
「そう? ありがと」
レイナは、跪いたままでいるサクラギに近づいた。
「あなたには途中までの道案内を頼むわ、それと……」
サクラギの身体が勝手に動き出し、その場に服を脱ぎ捨てる。
「追いかけられても困るから、あなたの持っている精気を全て吸わせてもらうわ。 私のココはコージ専用なんだけど……」
身動き出来ないサクラギに跨がり、ゆっくりと腰をおろすレイナ。
愛しい男との違いに、すぐに物足りない表情を浮かべる。
「あなた、こんな貧相なので満足しているの? コージみたいな太くてたくましいのでないと、すぐに飽きられちゃうわよ」
「……ぐっ、うううっ!」
性器の大きさをバカにされたサクラギは、レイナを再度眷属化しようと試みた。
しかし何度上書きしても、すぐに彼女に上書きされてしまう。
一度逆転してしまった上下関係は、簡単に取り戻せるものでは無かった……。
「それじゃあキョーコさんイセヤくん、またどこかで会いましょう」
翌朝レイナは昔のクラスメートに挨拶して、拠点を出立しブレサを目指す。
昨夜サクラギから搾り取った精気で創り出した原付の荷台には、元の骨の姿に戻る羽目となったサクラギが……。
「街の手前で解放してあげるから、そうしたらこれに乗って拠点に帰りなさい。 私の邪魔だけはしないでね」
「……わかりました、不死の女王レイナ」
ブレサの手前でサクラギを解放したレイナは、その足で街に入ろうとする。
身分証などを持たない彼女は当然止められたが、衛兵の代わりをしていたオークが顔を見た瞬間に逃げ出し、その隙に入ることが出来た。
街の中はにぎやかで、どこかお祭りムードな雰囲気がする。
レイナは近くに居た住人に声をかけ、にぎやかな理由を聞いてみた。
「ねえ、今日はだいぶにぎやかみたいだけど、何かお祝い事でもあるの?」
「もしかして、お前さん。 今日初めて街に来たのかい?」
「ええ、そうだけど」
素直に認めると、住人は破顔しながら街がお祭りムードで包まれている理由を彼女に説明した。
「今日はこれからディザイア様の子息コージ殿の結婚式が行われるのさ、2人も同時に奥方を迎えるなんて羨ましい限りだよ」
(なんですって、コージが私以外の女と結婚? それも2人!?)
レイナは思わず住人の肩を掴む。
「その結婚式はどこで行われているの!?」
「痛たたたっ! 話すから離してくれよ、式は街の教会で行われている。 今頃は式を無事に終えて、ライスシャワーでもしている頃じゃないか?」
教会の場所を聞いたレイナは駆けだした、結婚式を止めるためではない。
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