旧約 俺の元カノが義姉に、今カノが義妹になって、家も学校も・・・(完全版)

三毛猫 ポチ

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全ては思い込みから始まり・・・

第82話 全ては思い込みから始まり・・・

「はい、こちらがそうですよ」
「あー、ありがとうございますー」

 中野さんは店員さんからギターケースに入ったギターを見せられて、嬉しそうに両手を差し出して受け取った。俺も高坂さんもそれを隣から覗き込むようにして見ていた。

 ここはハヤマの本店の4階だ。
 既に唯は自分のギターを受け取ってギターケースに収めたけど、中野さんは唯とは別の店員さんからギターを受け取り、俺と高坂さんに「どう、似合う?」とか言いながら、自分の肩に掛けてニコニコしている。
 さすがの中野さんも、アニメの『アスニャン』が使っているアメリカのメーカーのギターと同じ物ではないが、色や形は相当似てると言っても過言ではない。まあ、新品を買ったならともかく、従姉から譲ってもらった物にイチイチ文句をつけても仕方ないけどね。
 因みに、『放課後お喋り隊』の楽器でアニメと同じ機種なのは、左右が違う唯のギターを除けば先輩のドラムセットのみ!ただし、こちらは学校の備品なので、個人持ちではないから偶然同じ機種になったというだけだ。
 学校の備品のキーボードはアニメとは違う機種だけど、琴木さん個人のキーボードはマジでアニメと一緒!
 しかも琴木さん曰く「あのアニメと同じ物をお爺ちゃんに言って」なのだから、唯の爺ちゃんの亮太爺ちゃん同様、どうしてジジババは孫に甘いんだあ!と文句を言いたくなるぞ、ったくー。
 ま、まあ、そんな事は今はどうでもいいのだが・・・唯はギターケースを肩に掛けながら、さっきから一生懸命スマホをいじっている。これが何をするのか俺にはサッパリ分かりません、ハイ。
「・・・明日香ちゃーん、本当に『アスニャン』みたいだねえ」
「野乃羽ちゃーん、勘弁してよお」
「あらー、そんな事を言ってる割にニコニコしてるじゃあないの?」
「そ、そんな事ないもん!」
「ホントかなあ?」
「本当です!」
「ま、まあ、それはいいとして、折角だから弾いてみてよ」
「いいよー」

 ♪♪♪~♪♪♪~

「わおー、やっぱりアスニャンじゃあないの?」
「えー、どうしてー?」
「だってさあ、それ、『けいおんぶ』で出てきた『水性ペン~油性ペン』だよねえ。アスニャンがリードギターやったのは、今のところ、これだけだよー」
「そ、それは偶然です!たまたま頭にパッと思いついた曲をやっただけです!!」
「ホントかなあ?」
「ホントです!」
「なーんか嘘っぽいなあ」
「嘘じゃあないもん!そ、そんな事を言うとを言っちゃうぞー」
「あの事?」
「そう、あの事。どうせ言うつもりなら、わたしが今のうちに代わりに言ってあげるよー。まさに『いつ言うの?今からでしょ?』だと思うけど」
「ちょ、ちょーっと待ったあ!それはぜーったいにダメ!!」
「えー、勿体ないよお」
「勿体なくなーい!とーにーかーく、話を逸らさないで下さい!!」
「はいはい、それじゃあ、これでこの話はおしまい!」
 中野さんはニコニコしながらギターを肩から外して店員さんに渡したけど、店員さんはそれを丁寧にギターケースに戻した後、中野さんに手渡しした。
 これで中野さんと高坂さんの今日の予定は終了!となったのだが、俺と唯は今日の予定が大幅に狂って、最後にやる筈だった事が前半2つめに変わってしまったのだ。しかも、ギターケースを持ったまま次の場所、またその次の場所に行くのは不自然極まりない!浜砂駅かトーテツ百貨店のコインロッカーに預けるしかないのかあ・・・
「・・・唯さーん、この後はどうする?」
 中野さんはギターケースを肩に掛けながら唯に聞いてきたけど、唯はスマホをいじっていた手を止めて中野さんの方を見ながらニコッとした。
「ん?帰るよー」
「あらー、勿体ない。マイスドにでも行かない?」
「うーん、別に唯はいいけど、たっくんと野乃羽さんはどうなの?」
 おいおい、まだ中野さんたちと一緒なのかよ?俺は本音では拒否したいぞー。
 でも高坂さんは「あと2時間くらいなら大丈夫だよー」とか言い出すから、まさか俺だけNOと言う訳にもいかず、とうとう俺も一緒に行くことになった。これで唯と二人だけでいる時間が確実に2時間近く減る事が確定しちゃったじゃあないかよ、とほほ・・・
 そのまま四人でマイスドに向かったのだが、マイスドでは再び俺と高坂さんの愚痴り合いの場となり、桜高祭ブロッサム・フェスティバルの実行委員でありながら実行委員らしい事を何もしてない唯は、中野さんから散々突っ込まれて小さくなってたのは正直笑えた。
 さすがの唯も、「わがまま言い過ぎたかなあ」「連休明けからは唯も真面目にやるからさあ」とか言って、高坂さんに頭を下げていたけどね。

 そんなこんだで2時間近くもマイスドにいたから、太陽は西に傾き始めているが・・・
「「連休明けに合おうねー」」
 中野さんと高坂さんは、マイスドの店を出たところで俺と唯に手を振って別れた。
 俺と唯は中野さんたちに手を振りながら、二人が見えなくなるまで、店の前に立っていた。
 なぜなら、この次にの場所は、中野さんたちが歩いていった方向と同じ!でも、赤電の新浜砂駅は中野さんたちが歩いて行った方向とは逆方向!
 ぜーったいに怪しまれるから、ここに立っているしかなーい!
「はあああーーー・・・ようやく2匹のお邪魔虫がいなくなったなあ」
「まあ、それは唯も同感だよ」
「だよなー。それじゃあ、行くか?」
「うん、行こう!」

 そう言うと、唯はクルリと向きを変えて歩き始めた。えっ?え、えっ?
「お、おい、唯!方向が逆だぞ!!」
 俺は思わず唯を呼び止めてしまったけど、唯は首だけ後ろに向けて
「ん?こっちでいいんだよー」
「あれ?俺が間違ってるの?」
「ううん、予定変更。帰るよー」
「う、うん・・・はあ!?」
 俺は思わず大声を上げてしまったけど、唯はニコッとしたままスタスタと行ってしまったから、俺も仕方なく唯に追いついて唯の左に並んだ。その唯はというと、俺が自分の左に並んだのに気付いたのか、歩きながら左を見て
「たっくーん、神様が『今日は素直に諦めなさい』って言ってるからさあ、このまま帰ろう」
「えー、勿体ないよお」
「たっくんはさあ、今朝の『お目覚めテレビ』の占いを見てないから、そう言えるんだよ」
「へ?」
「あのさあ、たっくんの乙女座はブービーの11位、唯の射手座は最下位の12位なんだよ」
「はあ!?」
「乙女座は『やる事が全て裏目に出る日』になってたし、射手座は『強敵出現!足元をすくわれる可能性が高いから、外出は控えましょう』だよ。だから、今日はもう帰った方がいいと思うんだ」
「た、たしかに俺の場合、当たってるけど・・・」
「唯の場合は当たってるか当たってないかは分からないけど、完全に今日のたっくんは、『運』に見放されてるのは間違いないと思うよ」
「たしかに・・・」
「たっくーん、計画は完璧だったかもしれないけど、『運』はどうしようもないよ」
「『運』ねえ」
「もしかしたら、たっくんは自分では『運』があると思ってるのかもしれないけど、本当は思い込んでるだけで、『運』は全然ないのかもしれないよ」
「うーん・・・」
「たっくーん、こんなところで親父ギャグは勘弁してよお」
「あー、ゴメンゴメン」
「まあ、その代わり、おうちで楽しい事をしましょう!」
 そう言って唯は『オー!』と言わんばかりに左手を勢いよく上げたけど、俺には唯の言ってる意味がイマイチ分からない・・・
「・・・たっくーん、折角だから、今日は唯が一人のお客さんの為歌ってあげるよ」
「へ?・・・どういう意味?」
LIVEDOMライブドムがあるでしょ?」
「えーっ!だってさあ、爺ちゃんがどう見ても使ってるだろ?」
「大丈夫大丈夫!さっきハヤマにいる時にメールしてみたけど、使ってもいいって返事が来たよー」
「ふーん・・・たしかに『放課後お喋り隊』のボーカルが俺の為歌ってくれるのは悪くないかも」
「そういう事。唯もたっくんのために心を込めて歌ってあげるよ」
「期待してるよー」
「期待していてねー」
 唯はそう言うとニコッと微笑んだけど、その笑顔はまさに『姫様』に相応しいものだった。

 俺と唯は途中のセブンシックスでお菓子やジュースを買い込んで、そのまま平山弁護士事務所の面談室に直行した。
 たしかに二人だけでLIVEDOMライブドムで歌いまくったのは事実だけど、二人きりとはいえ、イチャイチャする事はしてないですよ。
 なぜなら、面談室にはカメラがついていて、室内の様子を事務所の別の場所にあるモニターで見ることができるからだ。休日だから誰もいないだろう、と思って油断してると誰かが見ている可能性があるから、俺も唯もハメを外すようなことは一切しないで、LIVEDOMライブドムで歌いまくった。

 結局、今日は殆ど『骨折り損のくたびれ儲け』に終わってしまった。

 まあ、最後は結構楽しかったけどね。

 ただ・・・
 今日、俺は大きなミスをした。この時には全然気付いてなかったのは素直に認めます、ハイ。

 これが、後に大きな代償を払う事になるのだが、「このくらいなら大丈夫」という、自分勝手な思い込み、いや、先入観がそうさせたと言ってもいい・・・

 まさかそれがトンデモナイ事態に発展するとは、この時には全然想像してなかった・・・
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