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知識の宝庫②
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「全然怖くないって顔ね? 本題はこれからよ!」
先ほどの凛とした知的な雰囲気から一気にいたずら顔に戻る。
「極まれにトゲの生えたスイレンが見つかるんですって!!」
スイレンはバラみたいにトゲがあるのか。
「スイレンってトゲがあるんだ~」
勉強になったと感心する私に、アリアはピシャリと言い放った。
「トゲなんてないわよ」
「え?」
「生えるはずのないトゲを持つスイレンが育つから不思議なのよ」
確かに不思議だが、パラスリリーで未知との遭遇を繰り返した私にはあまり響かない。
「トゲが生えたスイレンの真相は何だと思う?」
「教えて教えて」
いよいよ奇妙な展開が訪れるのだと体が前のめりになる。
「……誰も知らない。真相にたどり着いた者はトゲに刺されて3日以内に死んでしまうから。だからここにすら伝承が残されていないの……」
アリアはニヤリと笑った。
一杯食わされたようだ。
「えー何それー。今アリアが作ったの?」
「違うわよ~。誰が言い出したのか知らないけど、この話自体は最近になって広まったの」
噂話や都市伝説はどの国でも会話のネタになる。
「でもね、実際に失踪した研究者がいるって変な噂になったことがあるのよ」
アリアは周囲に聞こえないことを確認して話し始めた。
「数年前ドクターには共同研究者がいたんだけど、その人は『スイレンのトゲ』を見つけてしまって失踪したんじゃないかって。あたしが研究生になったばかりで右も左も分からなかった頃、確かに一人の研究者が失踪した事件のことを誰もが知ってた」
身近な人の登場により、急に信ぴょう性が高くなったように感じる。
オリヴァーの過去について知らないことが、より一層胸をざわつかせた。
「オリヴァーの?」
「でも失踪事件と話が広まった時期が違うから、ライバルの研究者がドクターの評判を下げるためにこじつけたんじゃないかって言われてるし、あたしもそう思う。だってトゲがあるスイレンなんて見たことないもの」
香水作りに欠かせない豊かな心を犠牲にしてまで貶めるとは……。
「ドクターにはこの話は内緒ね? 傷ついて良い薬が作れなくなるといけないから。当時は本人の耳にも入ったみたいだけど、今さら蒸し返すのは良くないわ」
「うん。なんか別の意味で怖かったかも」
その後数時間、アリアと勉強会という名の雑談を行い、暗くなる前に研究所に帰った。
たくさん勉強して、いつか共同研究者としてオリヴァーと肩を並べてみたい、なんて馬鹿な夢を抱いたことは誰にも秘密だ。
先ほどの凛とした知的な雰囲気から一気にいたずら顔に戻る。
「極まれにトゲの生えたスイレンが見つかるんですって!!」
スイレンはバラみたいにトゲがあるのか。
「スイレンってトゲがあるんだ~」
勉強になったと感心する私に、アリアはピシャリと言い放った。
「トゲなんてないわよ」
「え?」
「生えるはずのないトゲを持つスイレンが育つから不思議なのよ」
確かに不思議だが、パラスリリーで未知との遭遇を繰り返した私にはあまり響かない。
「トゲが生えたスイレンの真相は何だと思う?」
「教えて教えて」
いよいよ奇妙な展開が訪れるのだと体が前のめりになる。
「……誰も知らない。真相にたどり着いた者はトゲに刺されて3日以内に死んでしまうから。だからここにすら伝承が残されていないの……」
アリアはニヤリと笑った。
一杯食わされたようだ。
「えー何それー。今アリアが作ったの?」
「違うわよ~。誰が言い出したのか知らないけど、この話自体は最近になって広まったの」
噂話や都市伝説はどの国でも会話のネタになる。
「でもね、実際に失踪した研究者がいるって変な噂になったことがあるのよ」
アリアは周囲に聞こえないことを確認して話し始めた。
「数年前ドクターには共同研究者がいたんだけど、その人は『スイレンのトゲ』を見つけてしまって失踪したんじゃないかって。あたしが研究生になったばかりで右も左も分からなかった頃、確かに一人の研究者が失踪した事件のことを誰もが知ってた」
身近な人の登場により、急に信ぴょう性が高くなったように感じる。
オリヴァーの過去について知らないことが、より一層胸をざわつかせた。
「オリヴァーの?」
「でも失踪事件と話が広まった時期が違うから、ライバルの研究者がドクターの評判を下げるためにこじつけたんじゃないかって言われてるし、あたしもそう思う。だってトゲがあるスイレンなんて見たことないもの」
香水作りに欠かせない豊かな心を犠牲にしてまで貶めるとは……。
「ドクターにはこの話は内緒ね? 傷ついて良い薬が作れなくなるといけないから。当時は本人の耳にも入ったみたいだけど、今さら蒸し返すのは良くないわ」
「うん。なんか別の意味で怖かったかも」
その後数時間、アリアと勉強会という名の雑談を行い、暗くなる前に研究所に帰った。
たくさん勉強して、いつか共同研究者としてオリヴァーと肩を並べてみたい、なんて馬鹿な夢を抱いたことは誰にも秘密だ。
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