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3.目覚めた朝に
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翌朝、ベッドのカーテンが開けられ、明るい日差しが目に入ってきて目が覚めた。
メリアが天蓋付きベッドのカーテンを開けて回っているのだ。
ノソノソと布団から起き出すとメリアが気付いて前にやってきた。
彼女はスカートの裾をつまんで持ち上げると朝の挨拶をしている。
その後ろでは他のメイドがタライを置くための台を運んできて、その台の上にタライを置き、ヤカンのような水差しから水を注いでいる。
いつも、そのタライの水で手と顔を洗うのだ。
メリアが促すように歩み寄ってきたので、準備ができたということだと判断して立ち上がり、タライへと歩み寄る。
タライに両手を入れて手を洗うと、おもむろに顔を近づけて顔を洗う。
おそらく少しお湯を入れているのであろうタライの水は、冷たくなく心地よい温度のお湯だった。
顔を洗い終わってタオルを渡してくれるように手をのばしたが、一向にタオルが渡されない。
あれ?いつもはメイドたちが洗ってくれて顔をフキフキしてくれるほど準備が良いのだが、どうしたのだろう?
奇妙に感じて片目を開けると、メリアが驚いたような顔をしているのが目に入った。
驚いているメリアの後ろで同じ様に驚いた顔でタオルを掲げているメイドに、手を向ける。
タオルを掲げていたメイドはハッとして慌ててタオルを渡してくれた。
いつもは水を嫌がって ゴネててもテキパキと顔を洗って拭いてくれるのに、珍しいこともあるものだ。
って、あれ?
昨日の朝の記憶がある。
ということは、昨日の時点でボクはボクだったのか?
でも、ボクは昨日の時点でボクだったという印象がない。
なんだか昨日のボクはボクになる前のボクだったような……。
……何言ってるんだろうボクは?
ボクはボクだろうに。
うーん、どういうことなのかワケが分からないな。
まあ良いかな?
いやいや、そこはしっかりしとかないと。
前世では……何してたんだっけ?
おや?
なんだか、前世の記憶が……あいまいだ。
よく思い出せない。
これはショック症状か何かだろうか?
トラックとかに轢かれて頭を打った……とか?
などとタオルというには薄い布で顔を拭きながら考えたが結論には至らなかった。
まあ考え込んでも仕方がないか。
タオルを返すとメイドは恭しく受け取って部屋から出ていく。
ふと見ると、いつの間にかメリアの横には何枚かの衣服をトレイに乗せたメイドがいた。
着替えさせてくれるらしい。
昨日まではメリアがパジャマを脱がしてくれてシャツと上着、ズボンを着せてくれたが、着替えくらい自分でできる。
なにしろ、もう……、何歳だっけ?
忘れたが、前世でも……、何歳だっけ?
……ダメだ、思い出せない。
そんなことを考えながら、寝間着を脱ぐ。
おっと忘れていた、寝間着の下は素っ裸だったんだ。
メリアやメイドは見慣れているとはいえ、ボクが恥ずかしい。
トレイの上のパンツをとると、慌てて足を通す。
メリアが慌てて手を伸ばしてくるが、手を出して止める。
下を隠したら少し気持ちが落ち着いたので、上半身用の貫頭衣を取って頭からかぶる。
この貫頭衣は、頭からかぶって首を出した後、わきにあるひもを締めてサイズを調整するのだが、左右のバランスが難しい。
片側を締めすぎると、布がどちらかに偏ってしまうのだ。
何度か失敗していると、メリアが手伝ってくれた。
毎日やってくれていたためメリアは手馴れていて、一回でぴったりに合わせてくれた。
ありがとうって、伝えたかったのだが、言葉がわからないので、微笑んで返す。
伝わっただろうか?
にっこり笑ってくれた。
伝わったようだ。
続いてズボンを履こうと手を伸ばしたが、メリアがそれを止める。
彼女は、ボクの前に来ると、しゃがんでボクのパンツを下げた。
え?なんで?
今履いたばっかじゃないか!
アタマが真っ白になった。
でも、なんだかこれまでの生活の記憶を思い出してきた。
いつも朝は顔を洗って、それから……。
トイレだ!
蘇った記憶にアタマからサーっと血の気が引いていく。
青くなったであろうボクのことはお構いなしで、いつも通りメイドたちがオマルを持ってきた。
オマルといっても、座面に穴の開いた木の椅子である。
下には陶器でできた壺がセットされていて、椅子に座って壺の中に用をたすのだ。
メイドたちの目の前で。
何かのプレイか冗談みたいな状況だが、記憶によると、それで間違いない。
昨日も何度かの小と、一回の大をしたのだ。
メイドたちの目の前で。
どうして昨日は平気だったんだろう?
そして、どうして今日はこんなに恥ずかしいんだろう?
それでも朝の尿意には勝てず、ボクはメイドたちの前でおまるに座って用を足したのだった。
メリアが天蓋付きベッドのカーテンを開けて回っているのだ。
ノソノソと布団から起き出すとメリアが気付いて前にやってきた。
彼女はスカートの裾をつまんで持ち上げると朝の挨拶をしている。
その後ろでは他のメイドがタライを置くための台を運んできて、その台の上にタライを置き、ヤカンのような水差しから水を注いでいる。
いつも、そのタライの水で手と顔を洗うのだ。
メリアが促すように歩み寄ってきたので、準備ができたということだと判断して立ち上がり、タライへと歩み寄る。
タライに両手を入れて手を洗うと、おもむろに顔を近づけて顔を洗う。
おそらく少しお湯を入れているのであろうタライの水は、冷たくなく心地よい温度のお湯だった。
顔を洗い終わってタオルを渡してくれるように手をのばしたが、一向にタオルが渡されない。
あれ?いつもはメイドたちが洗ってくれて顔をフキフキしてくれるほど準備が良いのだが、どうしたのだろう?
奇妙に感じて片目を開けると、メリアが驚いたような顔をしているのが目に入った。
驚いているメリアの後ろで同じ様に驚いた顔でタオルを掲げているメイドに、手を向ける。
タオルを掲げていたメイドはハッとして慌ててタオルを渡してくれた。
いつもは水を嫌がって ゴネててもテキパキと顔を洗って拭いてくれるのに、珍しいこともあるものだ。
って、あれ?
昨日の朝の記憶がある。
ということは、昨日の時点でボクはボクだったのか?
でも、ボクは昨日の時点でボクだったという印象がない。
なんだか昨日のボクはボクになる前のボクだったような……。
……何言ってるんだろうボクは?
ボクはボクだろうに。
うーん、どういうことなのかワケが分からないな。
まあ良いかな?
いやいや、そこはしっかりしとかないと。
前世では……何してたんだっけ?
おや?
なんだか、前世の記憶が……あいまいだ。
よく思い出せない。
これはショック症状か何かだろうか?
トラックとかに轢かれて頭を打った……とか?
などとタオルというには薄い布で顔を拭きながら考えたが結論には至らなかった。
まあ考え込んでも仕方がないか。
タオルを返すとメイドは恭しく受け取って部屋から出ていく。
ふと見ると、いつの間にかメリアの横には何枚かの衣服をトレイに乗せたメイドがいた。
着替えさせてくれるらしい。
昨日まではメリアがパジャマを脱がしてくれてシャツと上着、ズボンを着せてくれたが、着替えくらい自分でできる。
なにしろ、もう……、何歳だっけ?
忘れたが、前世でも……、何歳だっけ?
……ダメだ、思い出せない。
そんなことを考えながら、寝間着を脱ぐ。
おっと忘れていた、寝間着の下は素っ裸だったんだ。
メリアやメイドは見慣れているとはいえ、ボクが恥ずかしい。
トレイの上のパンツをとると、慌てて足を通す。
メリアが慌てて手を伸ばしてくるが、手を出して止める。
下を隠したら少し気持ちが落ち着いたので、上半身用の貫頭衣を取って頭からかぶる。
この貫頭衣は、頭からかぶって首を出した後、わきにあるひもを締めてサイズを調整するのだが、左右のバランスが難しい。
片側を締めすぎると、布がどちらかに偏ってしまうのだ。
何度か失敗していると、メリアが手伝ってくれた。
毎日やってくれていたためメリアは手馴れていて、一回でぴったりに合わせてくれた。
ありがとうって、伝えたかったのだが、言葉がわからないので、微笑んで返す。
伝わっただろうか?
にっこり笑ってくれた。
伝わったようだ。
続いてズボンを履こうと手を伸ばしたが、メリアがそれを止める。
彼女は、ボクの前に来ると、しゃがんでボクのパンツを下げた。
え?なんで?
今履いたばっかじゃないか!
アタマが真っ白になった。
でも、なんだかこれまでの生活の記憶を思い出してきた。
いつも朝は顔を洗って、それから……。
トイレだ!
蘇った記憶にアタマからサーっと血の気が引いていく。
青くなったであろうボクのことはお構いなしで、いつも通りメイドたちがオマルを持ってきた。
オマルといっても、座面に穴の開いた木の椅子である。
下には陶器でできた壺がセットされていて、椅子に座って壺の中に用をたすのだ。
メイドたちの目の前で。
何かのプレイか冗談みたいな状況だが、記憶によると、それで間違いない。
昨日も何度かの小と、一回の大をしたのだ。
メイドたちの目の前で。
どうして昨日は平気だったんだろう?
そして、どうして今日はこんなに恥ずかしいんだろう?
それでも朝の尿意には勝てず、ボクはメイドたちの前でおまるに座って用を足したのだった。
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