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4.朝のルーティーンと不満点
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たとえメイドの前であろうとも、便座に座って用を足していると、なぜか頭が冴えてきたような気がする。
たとえメイドの前であろうとも、便座に座って用を足していると、とても落ち着いて考えることができるような気がするのだ。
多分、前世でもそうだったんだと思う。
いや、決してメイドの目の前で便座に座ってるシチュエーションに落ち着きを覚える訳じゃなくて、便座に座るって行為で落ち着けるってことだよ?
落ち着いて考えてみると……いや、メイドの前で便座に座ってる状況はそもそも落ち着いてられる状況じゃないんだけれども、そのことについては横に置いといて!
今の状況っておかしいと思う。
前世のことはともかく、なんで、昨日のことさえはっきりと思い出せないのだろう?
五才くらい?になるまで生活してきているはずなのに、言葉さえちゃんと理解できていない。
メリアや周りのメイドたちの様子を見るに、一人で放置されていたわけじゃないはず。
それなのに、誰もボクが言葉を話せないことを疑問に思っていない様子で、話しかけては来ずに促すように手を差し出したり誘導したりする。
今も、メリアがオマルの椅子の下から覗き込んで、ボクの排泄の様子を……。
ギャー!って、何してんの!?
思わず立ち上がる。
メリアはアラアラという感じで近づいてきて、手に持った綿のようなものでボクのお尻の穴付近を拭った。
うあ!ちべたい!
綿は水で濡れているらしい。
って、いや、まだ大はしていないよ?
って、そういうことじゃなくて!?
お尻くらい自分で拭くから!?
って、そういうことでもなく!?
恥ずかしさで顔が火照っている。
おそらく、顔は真っ赤になっているだろう。
そんなボクの顔を見て、メリアはアレ?って表情をして、ボクの前に跪いて目線を合わせるとメリアの額とボクの額をくっつけた後、にこりとやさしく微笑んでアタマを撫で頬にキスをしてボクにパンツを履かせてくれた。
なぜだろう?恥ずかしいんだけど、ものすごくうれしい。
ボクは本当にメリアが大好きなんだなと感じる。
他人事みたいなのに、そういうことは感じ取れる。
感じ取れるのだけれど、記憶とは結び付いていないのか感情だけが「だいすき」って感じがする。
要するによくわからないのだ。
どうも、ボクはこの体と記憶にあまり慣れていないようだ。
これは、もしかして転生して誰かの身体に憑依してしまったということだろうか?
だとしたら生活は難しいぞ。
もしボクがこの体に憑依したことがバレたら、除霊とかされてしまうかもしれない。
聖職者に囲まれてお経とか唱えられて成仏とかさせられてしまうのだろうか?
って、メリアどこ行くの?
着替えたボクをメリアが隣の部屋に連れていく。
隣の部屋には大きな長いテーブルがあり、食器とパンと焼かれた大きな肉の塊がセッティングされていた。
ああ、食事なんだね。
しかし、朝から焼肉かぁ。
いや、大きなブロックを丸焼きしているからローストビーフみたいな料理なのかな?
なんにしても胃腸には朝からトップギアで頑張ってもらわないといけないねぇ。
いや、日は高く昇っている様子なのでもうお昼かな?
ボクが席に着くと、メリアは優雅な手つきで二股のフォークを使って肉を押さえながら、鋭利そうなナイフで肉を一口大に切り分けていく。
そうしている間に他のメイドたちによってスープと豆のオイル和えが器に盛られて目の前に並べられていく。
ボクはメリアが切り分けた肉を目の前の皿に並べるのを待って、手を合わせると「いただきます。」と言って、スプーンに手を伸ばした。
と、驚いて慌てた様にメリアがボクに遅れまいとスプーンに手を伸ばした。
え?なんで?
と思ったら、メリアがスプーンにスープを掬ってフーフーしてくれている。
十代前半の女の子がフーフーって……。
な、なんのご褒美ですか?
いや、今のボクは幼児だ、やましいことなんかあるはずがない。
ちょっと喜びを感じながら待っていると、案の定メリアがア~ンという風に口を開きながらボクの目の前にスープを掬ったスプーンを持ってくる。
添え膳どころかア~ンである。
もちろん、ボクもア~ンと口を開けていただいた。
うん、満足じゃ。
と、次は一口大に切ったお肉らしい。
メリアはスプーンをスープ皿に戻すと、皿に切り分けてあった一口大に切ったお肉を三本の指先で優雅につまみ、またしてもボクの口元にア~ンをしてきた。
……え?
ボクも確かに、ア~ンは期待していたんだけどちょっと呆然としてしまった。
うん?
手づかみなの?
フォークとかじゃないの?
それに、メリア、君、さっきボクのお尻を拭いてくれたよね?
それから、手は洗った?
洗っていなかったような気が……。
イヤイヤをしたが、メリアはあきらめない。
何を思ったのか、つまんでいる肉をフーフーして『熱くないよ』ってアピールしている。
いや、熱いとは思っていないんだよ。
何度目かのやり取りの後、今度はあきらめたように自分の口にお肉を放り込んで、さも『美味しい~』というアピールをしている。
ああ、食べちゃった……。
メリアが食べるなら、ボクも食べざるをえないじゃないか……。
仕方がないので今度はメリアのア~ンに口を開けて応える。
うん、いつもの塩味の赤身肉の焼肉だ。
ほのかに香るのは、何かのハーブだろう。
美味しいんだけど、僕としては単純な塩コショウだけで焼いた肉のほうが好きだな。
ところで、ステーキや焼肉って鉄板の上でジュウジュウいっている肉を食べるってイメージがあるけど、メリアがつまんで食べさせてくれるお肉はいつも冷めているものばかりだったように思う。
さっきの『熱くないよ。』アピールから考えて、ボクが猫舌だと思われているということだろうか。
それとも、ただ子ども扱いされているだけなのだろうか。
まあ、子供なんだけどさ。
それにしても、肉だけではなく野菜や果物もすべて手掴みなんだね。
別に手食文化を馬鹿にするわけじゃないんだけど、果物くらいはフォークで食べたいな。
手掴みすると手がネトネトしてしまう。
しかし、テーブルの上にはスプーン以外、フォークや箸といったカトラリーがおかれていない。
せめて棒が二本あれば箸として使えるのに。
まあ、今はメリアがア~ンして食べさせてくれているからいいんだけど。
だけどさ、食べさせてくれるにしたって食べ物に触る前には手を洗ってくれないだろうか。
手洗いの後先、間違ってるよね。
アーンしてくれた後に、メリアがタライで手を洗っている様子を見て、心の中で思わず突っ込んでみた。
たとえメイドの前であろうとも、便座に座って用を足していると、とても落ち着いて考えることができるような気がするのだ。
多分、前世でもそうだったんだと思う。
いや、決してメイドの目の前で便座に座ってるシチュエーションに落ち着きを覚える訳じゃなくて、便座に座るって行為で落ち着けるってことだよ?
落ち着いて考えてみると……いや、メイドの前で便座に座ってる状況はそもそも落ち着いてられる状況じゃないんだけれども、そのことについては横に置いといて!
今の状況っておかしいと思う。
前世のことはともかく、なんで、昨日のことさえはっきりと思い出せないのだろう?
五才くらい?になるまで生活してきているはずなのに、言葉さえちゃんと理解できていない。
メリアや周りのメイドたちの様子を見るに、一人で放置されていたわけじゃないはず。
それなのに、誰もボクが言葉を話せないことを疑問に思っていない様子で、話しかけては来ずに促すように手を差し出したり誘導したりする。
今も、メリアがオマルの椅子の下から覗き込んで、ボクの排泄の様子を……。
ギャー!って、何してんの!?
思わず立ち上がる。
メリアはアラアラという感じで近づいてきて、手に持った綿のようなものでボクのお尻の穴付近を拭った。
うあ!ちべたい!
綿は水で濡れているらしい。
って、いや、まだ大はしていないよ?
って、そういうことじゃなくて!?
お尻くらい自分で拭くから!?
って、そういうことでもなく!?
恥ずかしさで顔が火照っている。
おそらく、顔は真っ赤になっているだろう。
そんなボクの顔を見て、メリアはアレ?って表情をして、ボクの前に跪いて目線を合わせるとメリアの額とボクの額をくっつけた後、にこりとやさしく微笑んでアタマを撫で頬にキスをしてボクにパンツを履かせてくれた。
なぜだろう?恥ずかしいんだけど、ものすごくうれしい。
ボクは本当にメリアが大好きなんだなと感じる。
他人事みたいなのに、そういうことは感じ取れる。
感じ取れるのだけれど、記憶とは結び付いていないのか感情だけが「だいすき」って感じがする。
要するによくわからないのだ。
どうも、ボクはこの体と記憶にあまり慣れていないようだ。
これは、もしかして転生して誰かの身体に憑依してしまったということだろうか?
だとしたら生活は難しいぞ。
もしボクがこの体に憑依したことがバレたら、除霊とかされてしまうかもしれない。
聖職者に囲まれてお経とか唱えられて成仏とかさせられてしまうのだろうか?
って、メリアどこ行くの?
着替えたボクをメリアが隣の部屋に連れていく。
隣の部屋には大きな長いテーブルがあり、食器とパンと焼かれた大きな肉の塊がセッティングされていた。
ああ、食事なんだね。
しかし、朝から焼肉かぁ。
いや、大きなブロックを丸焼きしているからローストビーフみたいな料理なのかな?
なんにしても胃腸には朝からトップギアで頑張ってもらわないといけないねぇ。
いや、日は高く昇っている様子なのでもうお昼かな?
ボクが席に着くと、メリアは優雅な手つきで二股のフォークを使って肉を押さえながら、鋭利そうなナイフで肉を一口大に切り分けていく。
そうしている間に他のメイドたちによってスープと豆のオイル和えが器に盛られて目の前に並べられていく。
ボクはメリアが切り分けた肉を目の前の皿に並べるのを待って、手を合わせると「いただきます。」と言って、スプーンに手を伸ばした。
と、驚いて慌てた様にメリアがボクに遅れまいとスプーンに手を伸ばした。
え?なんで?
と思ったら、メリアがスプーンにスープを掬ってフーフーしてくれている。
十代前半の女の子がフーフーって……。
な、なんのご褒美ですか?
いや、今のボクは幼児だ、やましいことなんかあるはずがない。
ちょっと喜びを感じながら待っていると、案の定メリアがア~ンという風に口を開きながらボクの目の前にスープを掬ったスプーンを持ってくる。
添え膳どころかア~ンである。
もちろん、ボクもア~ンと口を開けていただいた。
うん、満足じゃ。
と、次は一口大に切ったお肉らしい。
メリアはスプーンをスープ皿に戻すと、皿に切り分けてあった一口大に切ったお肉を三本の指先で優雅につまみ、またしてもボクの口元にア~ンをしてきた。
……え?
ボクも確かに、ア~ンは期待していたんだけどちょっと呆然としてしまった。
うん?
手づかみなの?
フォークとかじゃないの?
それに、メリア、君、さっきボクのお尻を拭いてくれたよね?
それから、手は洗った?
洗っていなかったような気が……。
イヤイヤをしたが、メリアはあきらめない。
何を思ったのか、つまんでいる肉をフーフーして『熱くないよ』ってアピールしている。
いや、熱いとは思っていないんだよ。
何度目かのやり取りの後、今度はあきらめたように自分の口にお肉を放り込んで、さも『美味しい~』というアピールをしている。
ああ、食べちゃった……。
メリアが食べるなら、ボクも食べざるをえないじゃないか……。
仕方がないので今度はメリアのア~ンに口を開けて応える。
うん、いつもの塩味の赤身肉の焼肉だ。
ほのかに香るのは、何かのハーブだろう。
美味しいんだけど、僕としては単純な塩コショウだけで焼いた肉のほうが好きだな。
ところで、ステーキや焼肉って鉄板の上でジュウジュウいっている肉を食べるってイメージがあるけど、メリアがつまんで食べさせてくれるお肉はいつも冷めているものばかりだったように思う。
さっきの『熱くないよ。』アピールから考えて、ボクが猫舌だと思われているということだろうか。
それとも、ただ子ども扱いされているだけなのだろうか。
まあ、子供なんだけどさ。
それにしても、肉だけではなく野菜や果物もすべて手掴みなんだね。
別に手食文化を馬鹿にするわけじゃないんだけど、果物くらいはフォークで食べたいな。
手掴みすると手がネトネトしてしまう。
しかし、テーブルの上にはスプーン以外、フォークや箸といったカトラリーがおかれていない。
せめて棒が二本あれば箸として使えるのに。
まあ、今はメリアがア~ンして食べさせてくれているからいいんだけど。
だけどさ、食べさせてくれるにしたって食べ物に触る前には手を洗ってくれないだろうか。
手洗いの後先、間違ってるよね。
アーンしてくれた後に、メリアがタライで手を洗っている様子を見て、心の中で思わず突っ込んでみた。
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