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一部 プリステラ王国編
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しおりを挟む「おはようございます。プラムブル商会のお嬢さんではないですか」
「おはようございます」
門兵は御者席に座るファルナとシャオメイの身分証を確認して挨拶をする。
ファルナはさらに取引の概要を記した木札を門兵に渡した。
「荷は何ですか」
「魔石を王都に納めてきた帰りだから、空魔石しか積んでないわ」
シャオメイが御者台からおりて後ろの荷台をもう一人の門兵に見せる。
車内のを確認した門兵は、ファルナと話す門兵に頷いて合図を送る。
「問題ないようですね。通っていいですよ」
「ありがとう」
身分証と木札を受け取ったファルナは、シャオメイが御者席に戻ってきてから馬車を進めた。
「まだ成人前なのに、仕事を任されてるんだなあ」
「そりゃ、あれだけの大店の後継何だ。子供の頃から仕込まれるんだろう」
門兵たちはそんな会話をしながら馬車を見送った。
馬車は領都の中心から少し離れた、商業区の端にあるプラムブル商会の裏に馬車を回す。
「お帰りなさいませ、お嬢さん。シャルさん」
「ただいま。ゼル、馬車は私用で使うから、荷物を下ろしたらそのままでいいわ」
「わかりました」
ゼルはプラムブル商会デルーナ支店の従業員だ。
「あ、旦那様が明日重要な話があるとのことでこちらに来られるそうですよ」
「父さんが?」
「はい。ミシェウさんが昨夕に手紙を受け取ってましたから」
「……そう」
少し首をひねって考えたファルナだが、来るというならロンメイあたりから知らせの手紙がいったのだろう。
ファルナはシャオメイを連れて裏口から店へと入る。
店舗はあまり大きくない。ほとんどの商品は陳列販売するような商いを行なっていないからだ。
プラムブル商会は本拠地を隣国ウーステラに置いていることになっている。
ウーステラ国内にある本店の店主はスーシェン帝国人のジェメイ。ファルの父親だ。
ジェメイはスーシェン帝国から魔道具を仕入れ、ウーステラやプリステラへ売っている。
魔道具は高価だ。手紙の魔道具のように嵩張らないものや小さなものは在庫も置くが、馬車のように大型のものは注文販売である。客の要望を聞いてから仕入れてくる形をとっている。なのでデルーナの店は注文を受けるのと、小物の販売、魔石の売買がメインである。
「お帰りなさい、ファルお嬢さん、シャル」
二人を代理店長のミシェウが迎えた。茶色の髪に茶色の瞳をもつミシェウはこの国の生まれではない。
ファルナの正体を知るジェメイの部下だ。
「父さんが来るって?」
「ええ、手紙を受け取りました。ようやく願いが叶うと」
歳は四十を超えたばかりのミシェウは、温厚そうな顔に似合わない目に強い光を浮かべにっこり微笑む。
「そうなの。今の私は正真正銘平民なのよ」
ミシェウはファルナの言葉に一瞬目を見開くも、今度は心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「それは……それはようございました」
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