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第1章
ある朝の一幕
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簡単な話だ。恋人の――もう元、が付くが――家で夜を過ごし、渚は相手より早く起きた。昔から朝には強く、普段から早起きする習慣がある渚は、いつも通りのんびりと恋人の寝顔を眺めていた。
その時、電話が鳴った。相手のスマホからだ。マナーモードの静かに唸るバイブに寝起きの悪い恋人が起きるはずもなく。渚は悪いと思いつつ、代わりに電話に出たのだ。
「もしもし、すんません、代わりに出てます。コイツ起きてなくて――」
『あれ!お友達さんですか?私こそすみません、起こしちゃいました?』
女の声。ゆったりとした、柔らかな声。邪気のない透き通るような高音に、不快感がジワリと汗で出る。
「……いえ、俺は起きてたんで大丈夫です」
『気を遣わせてごめんなさい。起きたら伝言だけお願いしていいですか?』
「えっと……」
『今日来るなら牛乳買ってきてって。彼、メッセージあんまり見ないでしょう?いつも電話してるんです』
「……そうですね。俺との飲みも、電話で呼び出すばっかですよ」
『ですよねえ。彼女からの連絡も、電話しないと気付かない時多いんですよ』
「起きたら伝えときますね」
『ありがとうございます。なんかすみません、男同士の邪魔して』
「いいえ。俺こそ、お邪魔してすみませんでした」
『これはこれはご丁寧に、ありがとうございます。良ければ今度、2人に私も混ぜてくださいね』
「勿論、機会があれば」
切ったスマホに映し出される表示名は”アヤカ”。
自分が浮気相手だったこと、本命が女だったこと、隠す気すらなかった又はやましいとすら思ってなかったこと、それに気付けなかったこと。
それら全てに対して頭に来た俺は、相手をベッドから蹴落とした。寝起きで目を白黒とさせる相手を踏みつけて、大した量じゃない荷物を持って、相手の家を出たのだ。勿論、捨て台詞は忘れなかった。
「くたばれクソ野郎」
その時、電話が鳴った。相手のスマホからだ。マナーモードの静かに唸るバイブに寝起きの悪い恋人が起きるはずもなく。渚は悪いと思いつつ、代わりに電話に出たのだ。
「もしもし、すんません、代わりに出てます。コイツ起きてなくて――」
『あれ!お友達さんですか?私こそすみません、起こしちゃいました?』
女の声。ゆったりとした、柔らかな声。邪気のない透き通るような高音に、不快感がジワリと汗で出る。
「……いえ、俺は起きてたんで大丈夫です」
『気を遣わせてごめんなさい。起きたら伝言だけお願いしていいですか?』
「えっと……」
『今日来るなら牛乳買ってきてって。彼、メッセージあんまり見ないでしょう?いつも電話してるんです』
「……そうですね。俺との飲みも、電話で呼び出すばっかですよ」
『ですよねえ。彼女からの連絡も、電話しないと気付かない時多いんですよ』
「起きたら伝えときますね」
『ありがとうございます。なんかすみません、男同士の邪魔して』
「いいえ。俺こそ、お邪魔してすみませんでした」
『これはこれはご丁寧に、ありがとうございます。良ければ今度、2人に私も混ぜてくださいね』
「勿論、機会があれば」
切ったスマホに映し出される表示名は”アヤカ”。
自分が浮気相手だったこと、本命が女だったこと、隠す気すらなかった又はやましいとすら思ってなかったこと、それに気付けなかったこと。
それら全てに対して頭に来た俺は、相手をベッドから蹴落とした。寝起きで目を白黒とさせる相手を踏みつけて、大した量じゃない荷物を持って、相手の家を出たのだ。勿論、捨て台詞は忘れなかった。
「くたばれクソ野郎」
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