86 / 92
3章 Super Avenge

【三十一】何度も激しい殺意を抱きました

しおりを挟む

それからはちょっとした、
いや大規模な激動の時だった。
ジェーンはアレンとエドガー、そしてシスマに主にお願いし、
王都で暴れ始めた者から
被害者になりかけた人々を保護してもらうようにした。
全員とてもよく頑張ってくれた。

そして、彼女自身は国中を飛び回って各地の暴動を止めようとしていた。
これまでになかった元気ハツラツな目元は大きな色の濃い隈がはっきり出ている。
いつも赤々としている頬がコケて、
吐く息にも憔悴が深く混じっていた。

シオンが国が国である屋台骨を完全に壊し、
この国は荒れに荒れた。
どれだけの問題を抱えていたとしても、
一日で政府も司法も灰になっては終わりだ。

これから他国からの干渉だってあるかもしれない。
政治。僕が絶対に関われない領域だ。
親にも殺人犯とドラッグの売人と政治家にだけはなってはいけないと言われたものだった。
前者2つは道徳的な理由だが最後は純粋な適性のなさからだ。

つまり、これからはジェーン達がいっそう
この世界を守るために頑張るしかないということだ。

ジェーンの食料改革によって生まれた余暇、
農家以外のやることのなさによる将来の閉塞感。
彼女が遅まきながらも気づいて
改善しようとしていたものが、
間に合わずに暴動の嵐に呑まれた。

屋敷の主であるジェーンが両脚をテーブルに投げ出し、
天井をぼーっと見上げて停止している。
初めて見た光景だ。

「一息ついたらどうだい?」

「強盗308回、リンチ234回、盗み1238回、殺し468回。
 あと木に止まった風船と高いところから降りられなくなった猫の救助が数千回。
 どれも放っておくわけにはいかないわ」

ヒーローとして立派な心がけだが、
見ていると彼女の体調が心配だ。
僕は1ヶ月間寝なくても平気な体を持っているが、
それをするとメンタルがガタガタに崩れてしまう。
万全なコンディションをキープするには、
最低でも一日6時間の睡眠が望ましい。

きっとジェーンは今、五感をフル稼働させてもいるだろう。
気持ちはわかる。
一度、五感を研ぎ澄ませると、
助けを求める声がひっきりなしに聞こえてくるのだ。
無視はできない。
だが、続けると確実に心身を蝕む。
そういった時に大事なのは身近な大切なものに意識を傾けることだ。
しかし、今の世の中はそれを許さない。

彼女はしばらく走り続けるしかないだろう。

「シオンはいつもここに来たわね」

いつでも外に出られるように、
助けを求める声を聞き逃すまいと気を抜きすぎないようにしつつ、
あえていることを選んだ応接間の誰も座っていない席を睨みつける。

「それで君をからかって、君はムキになっていた」

僕の言葉に何も反応はない。
かつてならあえて怒らせてあげたとか、
いつかギャフンと言わせると言っていたことだろう。

「クレオやシスマが一緒にいることもあったわ」

彼女は決して彼を「好き」とは言わなかったし、
それに類するような好意も表さなかった。
だがこうして身近な者達で二度と集まることもないかもしれない空間、
かつての形では機能しないかもしれない応接間を見ると、
こみ上げてくるものがあったようだ。

「ダメね。どれだけ嫌っていたつもりでも、
 終わってしまうと、もっとどうにかならなかったかと考えてしまうわ」

何を言おうとも、
彼は彼女の人生の一部だった。
それは永遠に変わることのない事実だ。

「もう会えなくなってようやく会いたくなるとか、
 本当に……うんざりするほど嫌なやつ」

顔を覆ってしばらくそのままでいた。
泣くわけではないが、視界を閉ざして、
過去に思いを馳せるのだ。
しばらくそうしている。
幸運なことに、この時ばかりは何も事件が起きていない。


長年ヒーローをやっていた経験から来る直感だが、
騒動というのは必ず凪の時がある。
すべての動きが奇跡的に止まり、
しばしなにも事件と事故、災害が起きないという魔法のひと時。

世界規模、惑星規模ならそれは一ヶ月に一度あるかどうかだが、
一国ならば頻度はもっと多くなる。
運良く、憔悴しきった時にその時間に滑り込めた。
そうして、ようやく自分のほんとうの感情と向き合っている。

「あんな奴に何を容赦する必要があるんだって思ってた。
 だって、あいつがあたしに何の因縁をつけてきても
 悪いのはあいつなのは間違いないわけだし……」

ずっとそういう主張をしていた。
だがそれでこの結末以外になったとは思えないだろう。
どれだけ憎くても、表に出すよりは、
べつのやり方をすべきだったと考えているかもしれない。

反省するのは立派なことだ。
過ぎたことは取り返しがつかないとしても
次の局面に活かすことができる。

「貴方の言うことが正しかったかも。
 あたし、敵にも優しくできるようになりたい。
 こんなもどかしさをもう味わいたくないわ」

「その気持ちをずっと抱えていられたら大丈夫だよ」

悲しいことだが、
ある意味で、これをもってジェーンはラスターとしての
ヒーローデビューを果たしたと言えるかもしれない。
特に、ヒーローを「ヴィランと戦う者」という意味に絞るなら。

ずっと張り詰めていた心と体が疲れ切っての、
弱音と後悔、それとこれからの抱負を口にしていたところで、
ドアから流野りさが顔を出した。
文字通り、ドアを開けずに通過している。

「今、いいですか?」

「疲れているからやめて」

「ここを出発しようと思います」

「わかった」

「いいんですか?
 私は旧世界最強のヴィジランテで
 過去・未来の万物と比較しても最も賢く、有能な存在ですよ」

テンポよく会話が進み、
りさがここを出発する話まで進んだ。
驚くことはない。
彼女はいつも勝手に何かを決めて勝手に行動していた。

だが、ジェーンは単純に
流野りさとこれ以上は話をするのを避けたい様子を見せている。

「貴女がどれだけ有能でもシオンがああなった原因の
 いくらかを担っているかもしれない。
 今は止める言葉も惜しむ言葉もないわ。
 できれば早くあたしの前から消えてほしい」

ハッキリとした決別の意志だ。
そこまで言うとは予想していなかった。
彼女は最終的にはりさ/ストリーマーの能力を求めるものだと思っていた。

「わかりました……
 この度は、本当に私のせいもいくらかあって、
 誠に申し訳ございません」

「あとね、これ次に会う時のために覚えておいて」

ジェーンが自分の首飾りを指で数回叩く。

「あたしの前でこの人が『邪悪』だとか二度と言わないで。
 脅したり人質取ったりも論外だから。
 いい? 約束しなさい」

彼女の発言に、りさが珍しく虚を突かれた。
こんなことを要求されるのは予想外だったようだ。

「あなたは知らないかもしれませんが……
 スゲーマンの大きな弱点として
 『精神構造がシンプルすぎて洗脳がめっちゃ効く』というものがあります。
 これは、5歳児が必ず猫だましをくらえば目を閉じてしまうくらいに確定したものです」

「それで人を殺したの?
 殺してないでしょう、絶対」

りさもジェーンも事実を言った。
ストリーマーは何度も洗脳された僕を倒してきた。
そうだ。だから彼女が僕を邪悪予備軍扱いするのも受け入れてきたところがある。

そして、ジェーンは何も疑うことなく、
僕が洗脳されても一線を超えなかったと信じてくれた。
りさもその意味がわかり、目を細めて頷く。
心からの笑みが口元に浮かんでいた。

「わかりました。この人のことはあなたに任せます」

「あなたを見ているわよ」

自分の両目を人差し指と中指で指し、
それからりさを指した。
絶対に目を離さないというジェスチャーだ。

それをしてから、糸が切れたようにジェーンは崩れ落ちた。
疲労の限界が来たのもだが、
ここは僕に任せようという意識もあったのだろう。

僕達が親友なのを忘れないでいてくれたのだ。
彼女の体の主導権が移った僕が
一対一でジェーンと向かい合った。
こっちは来世の体で、りさは幽霊だが、
その程度のことでは動じない冒険を繰り広げてきたのが僕達だ。
向かい合うだけで生前と同じようになる。

「では、ひとまずお別れです」

「これからどうするんだい?」

「悪の私を探します」

「…………? もう成仏させただろう」

「彼女の封印地点を調べたところ、
 悪霊としての総体が十倍にも膨れ上がっていました」

驚くには値しない。
彼女はありとあらゆることで
マイナスの感情を爆発的に増やし、増殖し、分裂させられるタイプだった。
狭い箇所に何年も封印されていたとなれば、
りさなら無限にマイナス面の感情を増やせるに違いない。

「ですが、実際には一人分しか悪霊がいませんでした。
 おそらくは、封印を抜け出した私は、
 その後も私がしたように自らを分離させています。
 この世界で最も制御不可能な存在が私なのは自覚していますからね」

「そうか……それじゃあ、
 悪の自分を成仏させ回る旅に出るんだね」

自業自得だが、雄大な旅路になることだろう。
あらゆる他者の邪悪さを糾弾し、公衆に晒してきたヴィジランテが
死後は己の悪を探し回ることになるとは
なんとも示唆的ですらあった。

「本当に私の過ちでこのような騒ぎになってしまい……
 これからも迷惑をかけるかもしれませんが、
 いくら頭を下げても下げたりません」

そう言ってりさは頭を深々と下げた。
後手に武器を隠し持っていない。
つま先からなにかを発射してもこない。
頭をロケットにして飛ばすかと思ったがそれもない。

純粋なる謝罪だった。

僕はその様に衝撃を受けた。
彼女は誰に何と言われようと、
どんな扱いを受けようとも
決して自分の過ちを認めない人間だった。

幽霊として過ごした遠大な時間は、
彼女に大きな変化を与えていたのか?

「驚いたな。君がそんなことを言うだなんて」

「もう私が貴方と組み続けなくても大丈夫とわかりましたから」

「どういうこと?」

「貴方はそんな性格ですからね。
 ヒーローもヴィランもいつも貴方を騙して悪用しようと企んでいました。
 間違いなく、彼らの陰謀が実行されれば、貴方は絶対に騙されます」

出た出た。
ヒーロー仲間による僕がまるで人を疑うことを知らない
蝶よ花よと育てられた無菌人間みたいな物言い。
まったく、僕が何年社会人をやっていると思っているんだ。

「そんなことはない」

「親や子供が病気ですぐに助けが必要なんだと言われたら?」

「隣で話を聞いて、落ち着かせて、手を取って
 『まだ世界が終わったわけじゃない』
 って言葉をかけて、一緒に解決方法を探すよ。
 それがどうかしたの?」

「はい、貴方は騙されました」

なんで?

首を傾げたのに答えを教えてくれない。

「貴方を守るためにも私は決して私であるブランドを崩すわけにはいきませんでした。
 時には、あなたの親御さんを人質にしてでも」

納得いくようないかないような。
全体的に釈然としない。
だが、長年の親友が僕のことを思ってくれていたのは事実なのだろう。
それはとっくに知っていることだった。
改めて感謝するべきことに思えた。

「生前は世話になったね」

「あなたの暢気さと鷹揚さと純朴さと正直さに、
 何度も激しい殺意を抱きました」

カミングアウトだ。

驚くには値しない。
彼女がそう思っていることは周知の事実だ。
“ヒーローイジメ”の二つ名を持つヴィジランテは、
この世のありとあらゆる善行を邪悪を呼び寄せる危険行為と見なしていた。

「ですが、我慢して付き合ったおかげで、
 この世界には常に希望と善があると信じられました。
 さようなら。あの娘の言うことをよく聞いてくださいね。
 私よりもずっと貴方を愛していますから」

「僕だってたまには一人で何もかもを決めて行動したいときがあるものだよ」

「ええ。ですから、それを絶対にしないようにしてください」

どうしてか訊いたら答えてくれるだろうか。
しかし、説明されても納得できなさそうな気がしてならない。
結局は僕は僕なのだし、死んだからってこの気質は治りそうにない。
それはりさも同じだと思っていたが、
頭を下げて謝罪してみせた。

僕も見習うべきだろう。
流石は自慢の親友だ。
常に学びをくれる。

色々な疑問点を脇に置いておいても、
流野りさ、ストリーマーは
めったに明かさない本心を明け透けにしている。
そのことはわかった。
彼女の僕への好意や想いもわかった。

「それじゃあ、またお別れだね。
 寂しくなるよ、親友がいないと」

「貴方の娘さんが怖いですからね」

「それは君が全部悪い」

「とにかく、あの日、コンビニの駐車場で貴方に声をかけて良かったです。
 私が人生最大の勇気を振り絞った瞬間は、
 あの時だってずっと胸を張れます」

お互いに後ろ髪を引かれつつも、
僕の親友はこうして旅立った。
ぽつんと一人だけいる応接間。
ジェーンはまだ起きる気配がない。

────助けて!

耳元に誰かの声が聞こえた。
本当は体も休めてあげるべきなのだろう。
だが助けを求める人がいるなら、
申し訳ないけれども行かなければ。

大丈夫だ。
僕の方が空を飛ぶのが速くて
力持ちでもある。

すぐに窓から荒れる王国へ飛び出した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。 絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」! 畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。 はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。 これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

処理中です...